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目上の人とうまく行かねぇというときは両親との関係にその理由があることが多いもので、ファザコンとか癒着などの問題が見えてくることも少なくありません。
そうした心理を解説しつつ、本来の自分を取り戻すプロセスを描いていきたいと思います。
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学生時代から、目上の人との関係に悩んできており、今も職場で評価されていません。
生活のためと割り切りつつも、自分の中の男性性の傷つきがピンとこず、お力をお借りしたいと思いました。
家族関係は以下の通りです。
・過干渉強烈専業主婦母
・高収入高学歴不在がち父
父と母は価値観が違いすぎて私の思春期時代は家庭内別居でした。ただ、私が結婚後離婚するのかと思いきや再構築し、やはり喧嘩プレイ?か、犬も食わないなと思っています。
・年上姉(私が小学生のころに家を出て、そのまま結婚、両親のごたごたからうまく距離を取っています)
ありがちですが、父は専業主婦の母をバカにしていたので、私はどんな仕事でもいいから働く母になるべく、勉強を頑張りました。
私は頭がよく、父にかわいがってもらったし、今も仕事の相談をします。
しかし、中高時代も職場でも目上に反発してしまうし、上司と楽しく(大事にされながら)仕事をする感覚がわかりません。
女性性は豊かで、我慢するのは大得意です(壮絶なパワハラを女性上司に受けながらも、辞めずに堪えた実績があります)。
私はやはり母の立場でものを見ていて、父に怒っているから、目上の人が苦手なのでしょうか?
ネタにしていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
(Jさん)
いや、惜しいなあ、とめちゃくちゃ思ってしまいまして。ここ。
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>・高収入高学歴不在がち父
の「がち」がなかったら、母も父も漢字で埋め尽くされていて「え?中国語?」というツッコミが成立したのですが・・・。いや、惜しい。
けど、Jさんがユーモアに富み、頭の良い方であることはよく分かりました。
いやあ、もったいないなあ。
ぜひ次回はそのあたりを工夫していただけると読者・筆者がたいへん喜ぶと思います。
で、何の話でしたっけ?
ああ、超絶父愛娘の話ですね。
まあ、そういうことですよ。父に比べたらどんな上司も無能でクソですもんねえ。
そりゃあ、「は?あんたがあたしの上に立つの?身分をお考えになられたら?」と思っちゃうのも無理はないものです。
・・・。
ん?ワケ分からん?
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ちなみに上司とうまく行かないことや、壮絶なパワハラを受けていたことをお父ちゃんに相談しなかったのかなあ?そのとき、父はどんな風に言ってくれたのかなあ?これ、けっこう引っ掛かってまして。
いわゆるこうした目上の人とうまく行かない問題を「権威との葛藤」という風に言います。
父や母が家の中では権威であり、学校では先生、職場では上司が権威ですよね。
その人とうまく行かないということで、「権威との葛藤」と呼ばれるのです。
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さて、実のところ「過干渉強烈専業主婦母」との関係をもう少し聞いてみたいなあ、とも思いますし、「高収入高学歴不在父」についてもけっこう興味のあるところなのですが(いやあ、いいっすねえ。この漢字の並び!)、そうした環境の中でJさんがどういう観念が育ってきたのかを推測してみたいと思います。
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父にかわいがられる私=ファザコン
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父が専業主婦の母をバカにする(多分バカにしてるのは母だけではないと思う)
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父に愛されたので父と同様に、母をバカにするようになる。
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父に愛され続けるためには「勉強ができて仕事もできる娘になるべき」という思いが生まれる。
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その期待に応え、父からも認められる職業に就く(だから今も仕事のことで父に相談できる)
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となるとJさんの恋愛事情についても気になるところなのですが、まあ、それはまたの機会ということで。
で、ふつうこうした関係性だと「上司から愛される部下」というポジションを獲得するのですが、Jさんはどうやらそういうわけではないようで、たぶん、そこに「過干渉強烈専業主婦母」の影響が絡んできているのだと思います。
で、よくよく見れば「壮絶なパワハラを女性上司に受け」と書いてくださっているんですよね。この「女性上司」という表現がたいへんありがたく、大いに手間が省けます。
この「女性上司」っておそらく「母」を象徴しているはずで、母の投影がふんだんに起きているかと思われます。
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一般的に「目上の人」には父・母を投影します。
「女性上司」だから「母」とは限らず、「父」を投影している場合もありますが、やはり「母」の方が多いものです。
だから、例外も多いものの「男性上司=父、女性上司=母」という風に捉えてもらって構いません。
それでカウンセリングとかで「上司との関係がいつもうまく行きません」なんて場合には「その上司って男性?女性?」という質問をさせてもらうことが多いです。
で、「女性上司」ってことになれば「お母ちゃんってどんな人?」と質問を続けさせてもらうわけですね。
で、明治~昭和にかけては家長制度というのが根付いており、父が絶対的権力を持っていることが多かったので「目上の人=父」という図式で理解すればよかったんですね。
しかし、昭和の終わりごろから平成、令和ときて家の中で父の権威は弱まり、変わって母が家庭内で主導権を握ることが多くなりました。
そうすると仮に母が専業主婦であったとしても「母が父を立てる」ということが少なくなった分だけ、家の中に父・母の2本の権威が成り立つことが増えました。
家庭によっては父の権威が失墜し、母の独裁政権になることもあり、その場合は「権威のシンボル=母」という風になります。
日本ではお金の管理を母がすることが多く、その場合はお金を稼いでくるのが父ひとりでも、実権を握っているのが母であれば、お金についても母が権威になるわけです。
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そういう風に見るとJさんのお母さんの強烈な過干渉具合が大変気になるところなんです。
壮絶な女性上司からのパワハラに耐えられたのも、おかんからの過干渉が壮絶だったために耐性ができていたのかもしれません。
で、そこで出てくるのが「母をバカにしている私」の存在です。
この辺を正確に見ていくには情報力が足りないので、実際とは多少ズレてるかもしれませんが、父にならって「母をバカにする」ということを身に着けたJさんは、「目上の女性」に対して無意識に見下すような態度を取りがちになります。
父が母をバカにしていたように、自分も目上の女性をバカにしてしまうわけです。
これ、自覚はありますでしょうか?
なので、Jさんは母との関係においては「過干渉」「バカにする」という2つの要素が絡み合った状態になっていると思うのです。
過干渉母についてはブログでも頻繁に登場しますので、すでにご存知の方も多いと思いますが、母からの干渉をブロックするために心の中に壁を作りやすくなります。
で、母から身を守るために壁を作るんですが、その壁は母以外にも適用されますから、人に対してなかなか心を開けません。それで秘密主義になったり、アンダーグラウンド愛好家になったり、親密感への怖れを生み出したりするんですね。
その場合、相手から見れば「自分に対して壁を作っている奴」という風に見えるわけです。
もちろん、母を投影する目上の女性に対してはその壁はかなり顕著になります。
壁を作られてご機嫌になる人は少ないですから、「あんた、なんであたしに対して壁を作るわけ?」という風にイラつく人も当然多くなります。
特に先生や上司という立場から見れば「Aちゃん、Bちゃんは私に対して素直、Cちゃん、Dちゃんはたくさんお話してくれる、で、Jちゃん、なんかあなたはあたしに対して壁を作ってるでしょ?」という風に他の人と比べられるので「あんたおかしいんじゃない?」という態度を取りやすくなってしまいます。
その上で、母をバカにしている分だけ目上の女性をバカにしちゃいますから、壁を作っている上にバカにされた上司はやっぱり気分は良くないですよね?
それが理不尽なパワハラを引き寄せる原因になっているのかもしれません。
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じゃあ、男性上司ならばOKなのか?というと、まだマシ、という感じじゃないかと思われます。
というのも、大好きなパパが高収入高学歴ですから、Jさんの目上の男性はほとんどがパパ以下のはずです。
とすると、パパが大好きな分だけ、目上の男性のこともバカにしてしまっている可能性があるんです。
つまり、「母をバカにしていた」という父からは「女性蔑視・男尊女卑」という視点だけでなく、学歴主義的な部分や、「比較・競争」という見方そのものを引き継いでしまっているのかもしれません。
そうすると目上の人からすると「かわいくない態度」を取りやすくなりますね。
で、こうした態度にせよ、観念(思い込み)にせよ、Jさんが意識的に作り上げてきたものではなく、家庭環境の中で培われた当たり前の常識になりますから、自分ではそのことに気付けません。
その結果、「目上の人とうまくいかない」という問題が出てきて、それで初めてそのことに向き合えるようになるんです。
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カウンセラーというのはその人の話の内容そのものに耳を傾けるのはもちろんなのですが、その人の言い回し、言葉遣い、話し方、雰囲気なども聴いています。
ていうか、場合によっては話の内容そのものよりも、その態度の方が重視されることが多いものです。
うちのクライアントさまの中には初対面にもかかわらずフレンドリーな話し方をされる方がいまして、「とりあえず、ファザコンだよね?」とバレてしまうことが多いですし、その表情や雰囲気から「ああ、セクシャリティが強いんだよね。」と分かってしまうことも少なくありません。
でも、そうした雰囲気って別に出そうと思って出してるわけじゃないですから、自分がどんな印象を相手に与えているかを知ろうと思ったら相手の反応から推し量るしかないんですよね。
「自分としては誠実に対応しているつもりだったが、相手の人が『バカにしてんのか!』と怒り出した。そんなつもりはなかったのに、自分が話してる姿を動画に撮って見てみたら終始ニヤニヤしていた。どうやら自分はマジメに話そうとするとニヤついてしまう癖があるみたいだ。」という風に。
だから、「目上の人との関係がうまくいかない」という場合には、その目上の人に対して自分が“無意識で”取ってしまっている言動に注目してみると良いのです。
同様に、「いつも彼氏と喧嘩になってしまう」とか「ずっと恋人いないのに、みんなから彼氏いるでしょ?って言われる」とか気になるケースがありましたら、自分の言動や挙動を客観的に見てみる機会を作ってみると良いかもしれません。(つまりは動画に収めたり、音声を録ってみたりするといいよ!ということ)(あるいはなんでも言い合える友達に聞いてみるのもアリかも)
私たちは自分の中にある観念(思い込み、ルール)を大量に持ち、その観念に従って言動をしています。けれど、それは自分にとって当たり前なので自分ではなかなか気づけないんですよね。
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ちなみに今回の話とはあまり関連はないかもしれませんが、「パートナーシップが気になるなあ」と思ったのは、「母をバカにする=女性をバカにする=自分の中の女性性をバカにする」という図式がどれくらい成立してるのかな?と気になったからです。
これ、ありがちですからね。
Jさんは違うかもしれませんが、母をバカにする=女性をバカにするという思いから、「男友達はいっぱいいるけど、女友達はあまりいない」「女になることを否定しているので、パートナーシップが組めない」と言った問題になることも多いんですね。
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ということで、とりあえずのカギは母との関係かなあ、と思うので、その辺をぐいぐい迫ってみたいと思います。
お姉ちゃんは年が離れてるということで一旦保留ですが、場合によっては物語に登場してもらうこともあるかもしれません。
昨日の記事も参考にしていただきたいのですが、「過干渉母」を持つと、否応なく「母と癒着」という問題も生まれ勝ちです。
ファザコンかつ母との癒着というハードコースを選ばれるのはまさに武闘派女子の鏡と言えるわけですから、そこを解きほぐしていきたいところです。
とりあえずノートに次のことを書き出してみてください。
〇母との関係。子ども時代、思春期、それ以降の様々なエピソード。
〇目上の人とのトラブルの数々。母や父との関係との類似点はあるか?
〇父に対する思い。父母に挟まれた苦悩なども。
〇恋愛やセクシャルなことに関すること。
カウンセリング的な流れで言えば、両親との関係から自分自身を見失っているので、ほんとのJさんってこんな人じゃね?という部分をあぶり出していきたいと思います。
ほんとうは専業主婦になりたい、とか、実は恋に生きる女でね、とか、ほんとは海外とかに飛び出していろんな世界を見て歩きたい人、とか。
そうして「本来の自分は○○なんだけど、家族のことを頑張ってたのでこうなっちゃったんだよね」というところが見えてくれば「じゃあ、こういう生き方をしようぜ!」というヴィジョンや目標も見えてくると思います。
そしたら家族のことも手放しやすくなりますし、仕事に対する意識も変わるでしょう。
なので、そうしたプロセスを意識しつつ自分と向き合い続けていただければと思う次第です。
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