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たぶんみんな頭では分かっているのだと思うのですが、愛情表現というのは人それぞれで、人との距離感もまた人それぞれです。
それを心で理解していないと不満・不安をひたすら溜めるし、愛情の豪快なすれ違いが起きてしまうのです。
そこから抜け出して信頼し合える関係を築くための3つのステップをお話しします。
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みなさんは自分がどんな愛し方をする人なのか知ってるでしょうか?
そして、その愛し方はどれくらいの強度・頻度を持ったものか知っているでしょうか。
愛情表現というのはそれこそ立体的なもので、その方法の強度もさまざまだし、それを出すタイミングも人それぞれです。
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例えば、AちゃんとBくんのカップルがいるとしましょう。
Aちゃんは言葉で愛情を表現したい人。スキンシップも大好きです。
そして、たいへん情熱的な人なので機関銃のように愛の言葉を伝えるし、一緒にいればずーっとくっついていたい人です。
一方Bくんはやはりそんな情熱的なAちゃんが惚れるくらいですからロックマン的な人。
仕事はバリバリできるし、理論的な思考も得意だし、信頼のおける人物です。
しかし、あまり言葉でのコミュニケーションは得意ではなく、恥ずかしがり屋なので人前で手をつなぐことは苦手です。
でも、二人きりになると甘えん坊な一面もあってAちゃんをきゅんとさせるし、デートもAちゃんの希望をできるだけ聞いてくれる優しい一面もあります。
しかし、Aちゃんは不満なのです。そして、不安なのです。
彼女は彼と結婚したいのですが、彼はそんな素振りは見せてくれません。
他の女の影は見当たらないものの、常に仕事優先で、連絡もマメではありません。
「あたしは彼のことが大好きなんですけど、彼はあたしのこと、そんなに好きじゃないんじゃないかと思うんです。だって、あたしはいつも彼に『大好き!好き!どうしよ!ヤバいくらい好き!』って言って抱き着くんですけど、そういうときに彼は無反応というか、全然うれしそうじゃないんです。
それにデートのときも全然手をつないでくれないし、それどこかあたしから少し離れたところを歩こうとするんですよ。不倫じゃないんだし、堂々とイチャイチャしてもいいじゃないですか。
将来のことも考えたいのに全然そんな素振りも見せてくれなくて。やっぱり遊びなのかな、あたしの一方通行な思いなのかな、と不安になっちゃうんです。
デートの約束だって私はちゃんと次にいつ会えるか決めておきたいのに彼は『仕事の予定が分からない』とか言ってあいまいにするんです。突然『今日会える?』ってそっけない連絡が来るんですけど、女子はそんな急に動けないじゃないですか。
彼に会うときはいい女でいたいから服だって選びたいし、メイクだって気合を入れたいし、そんな急に言われたって、と思うんです。けど、誘ってくれるのはうれしいから喜んで飛んで行ってしまうんですけど、やっぱりあたしの片思いなんですか?」
彼女はカウンセラーであるN氏に対して立て板に水の如く、そんな話をしています。
その話を辣腕のカウンセラーであるN氏は近年まれにみるサイズの鼻くそが取れたことに感動しながらこう切り返すのです。
「でも、彼はちゃんとAちゃんのことが好きで、愛してくれてると思うんだけどね」
その一言を聞いてさらにギアを5速に上げたAちゃんは
「どうしてそう思うんですか?なんでなんですか?彼は愛情表現もろくにしてくれないし、あたしのLINEにもすぐに返事してくれないし、デートの約束だってきちんとしてくれないんですよ!
そりゃ、二人っきりになればちょっとべたべたしてくるとこともありますし、エッチは好きそうなんですけど、それって体だけが目当てでもそうなりますよね?」
と畳みかけるように話をしてきます。
若干、その圧に押されつつも、その特大サイズの鼻くそを丸めながらN氏はこう答えるわけです。
「確かにそう思っちゃうのも無理ないけどねー。でも、彼にインタビューしてみたらたぶん違う答えが返ってくると思うんだけどねー」
ついにギアを6速に入れた彼女はさらにヒートアップしてこう言うわけです。
「どうしてそう言えるんですか?ほんとに彼のこと、信じてもいいですか?でも、全然そんな風に感じられないんですよ!あたしは彼に合わせてるばっかりだし、これが惚れた弱みってやつなんですかね?ときどきすごく不安になって寂しくなっちゃうんですよ。ほんとに彼、あたしのこと好きなんですか?」
するとスーパーカウンセラーと本の帯でいじられてるN氏はこれまた過去最長の飛距離を出したと思われる鼻くその行方を目で追いながらこう答えるんです。
「たぶん好きだと思うよ。けど、愛情表現がお互いすれ違ってるんだわね。Aちゃんの話を聴いてると、自分で穴掘って、自分で落ちて、それでヤバいヤバい言ってるみたいなのよねー。」
その冷静沈着な対応をするN氏に対しAちゃんは感動を覚える、、、わけもなく、これまた近年まれに見る殺意を胸に抱いたのです。(了)
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愛情表現って人それぞれなんです。
そして、人との距離感もまた人それぞれなんです。
愛情表現って言うと「言葉で表現する(聴覚派)」「モノやお金で表現する(視覚派)」「スキンシップで表現する(触覚派)」などが代表的ですけれど、ほかにもいろいろあるんです。
「黙って見守る」「相手に合わせる」「一歩引いて相手に付いていく」「心配する」「したいようにさせてあげる」などなど。
これが全部「愛」なのか?というと違うモノもありますけれど、でもよく母親の愛情表現が「あんたほんとに大丈夫なの?お母さん、心配だわ」という形で現れるように、無口な父親が黙って大学の費用を出してくれるように、愛がベースになっていることは間違いありません。
そして、距離感も人それぞれです。
くっついているのが好きな人もいれば、少し離れたほうが安心感がある人もいます。
どっちが正しいか?なんてどうでもよくて「この人はそういう人なんだな」というわけです。
しかも、時間軸だってあります。
「毎日会いたい。ずっと一緒にいたい」という人もいれば「会うのは月に1,2回で十分。自分の時間も大事にしたい」という人もいます。
けれど、人は「自分が求めるものを与えてほしい」というニーズを常に持っているものです。
そして、それは往々にして「自分が与える愛し方をそのまま返してほしい」と思うものです。
例えば、自分が「言葉で愛情表現をするタイプ」で「できれば週に2,3回は会いたい」と思っていて「一緒にいるときはずっとくっついていたい」と思うタイプだとしますね。
そうすると、恋人にも「言葉で愛情表現してほしい。週に2,3回は会いたいと思ってほしい。一緒にいるときはずっとくっつきたいと思ってほしい」と思います。
これ、欲(ニーズ)です。
そして、これ、テストです。
自分の欲求によって相手をテストしてしまってるわけです。
だから、「彼は好きって言ってくれない。会うのは週に1回あるかないか。デート中、あまり手をつなぎたがらない」という相手は不合格なんですよね。
「彼はあたしのこと、好きじゃないんだわ!」と思い込むのです。
もちろん、その逆もあります。
「彼ったらちょっと『好き』って言い過ぎなんですよね。会ってる最中、ずーっとあたしに好き好き言ってくるんです。それに毎日会いたいみたいでデート中にも関わらず『明日も会える?』って聞いてくるんです。『明日は友達と会うから無理』て言うとすごく寂しそうな顔をして罪悪感刺激してくるし。それに所かまわず抱き着いてくるし、ちょっとウザいって思うときも多いんです。あたしは手をつなぐくらいで十分なんですけど。もっとあたしのプライベートも尊重してよ!って思うんですけど。」
人は勝手なもんですよね。
自分の思い通りにしたいんです。
自分の基準に相手を合わせさせようとし、それが一致しないと不合格にしちゃうわけです。
それで勝手に不安や不満を溜め込んで、何かの拍子に爆発させてしまうわけです。
もちろん、これが悪いわけではなく、人間誰もが持ってる欲求なのですが、その欲求に振り回されてることに気づくことが大事なわけです。
自分軸というのがここでも重要になってきます。
私はこういう人。相手はああいう人。
私はこういう風に愛情を表現する人。相手はああいう風に愛情表現する人。
私の距離感はこれくらいがちょうどいいけど、相手はあれくらいがちょうどいい。
私、と、相手、の間にちゃんと線引きするわけです。
この線引きは子どもから大人になるにつれて人間関係の中で自然に育まれるものなのですが、でも、多くの場合は親子関係、友人関係、過去の恋愛などの影響によって「時を止めちゃってる」ようなことがよく起こるんです。
過干渉な母親によって人との距離感が異常に近くなってしまうこと。
無口で家族に関心のなさそうな父親によって自分は愛されてないと思い込んでしまっていること。
学校での友達関係で傷を負って不信感を抱えていること。
大好きだった人との失恋ですっかり自信を失ってしまってること。
様々なトラウマによって愛情表現も距離感もタイミングも分からなくなってしまうのです。
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ということで、じゃあ、私はどんな風に人を愛するのだろう?ということをまずは考えてみましょう。
「大好きな人にどうやって愛情を示すタイプなのか。」
「大好きな人からどうやって愛情を示されるとコーフンするタイプなのか。」
それを明らかにしてみましょう。
良いとか悪いとかではなく、それが今の自分なんですから何でも良いです。
うちのクライアントさんでも「彼とは月に1回会えれば十分。連絡も週に1,2回で十分」という人から「彼とはずーっと裸で抱き合っていたい。一時も離れたくない。」という人まで様々です。
女子は一般的に言葉で愛情を示すのが得意な人が多いですけど、女子でもそれが苦手という人がいてもいいんです。自然なことですから。
そして、「ああ、自分はこんな風に愛情を示す人なんだなあ」ということに気づいたら、今度は相手に意識を向けるんです。
「大好きなあの人はどうやって愛情を示すタイプなのだろうか?」
これはなかなか難しいですね。
自分の欲が邪魔して冷静に見ることができなくなったりしますし。
先ほどのカップルで言えば、Aちゃんは「言葉やスキンシップで愛情表現をして、いつもくっついていたい人」ですし、Bくんは「スキンシップが好きだけど、ちょっと距離が空いてる方が心地よく、彼女に合わせてあげることが愛情表現」と見ることができます。
なので、いきなり本命の相手でこれを見るのは難しいので、自分の周りの人でトレーニングするのがお勧めですね。
「自分の両親はどんな風に愛情を示す人なのだろう?」
「友達のCちゃん、Dちゃん、Eくん、Fちゃんはどうだろう?」
女子会のネタにしてみても面白いテーマかもしれません。
そうして「ああ、私はこういうタイプなんだな」と同時に「相手はこういうタイプなんだな」ということが分かってくると第一段階クリアです。
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ええ、まだ第一段階なんです。
「言葉で愛情を示す人」は「相手にも言葉で示してほしい」というニーズを必ず持ちます。
分かっていても持ってしまいます。
だから、「彼は言葉で愛情を示すのが得意じゃない人」と分かっていても、寂しくなります。
「たまにでいいから好きって言われたい」という風に。
そうすると「彼に好きと言わせるテクニック」をネットで調べることになるんですけど、それってコントロールじゃないですか。それで言わせても思ったほどうれしくないじゃないですか。ずっとそのテクニックを使い続けなきゃいけなくなってしんどいじゃないですか。「無理やり言ってくれてもうれしくない」って新たな不満もでるじゃないですか。
ということで、相手の愛情表現が分かったらそれを「受け取る」ことが第二段階です。
でも、正直これってやりたくないんですよねー。
だって、自分を変えなきゃいけないんですものー。
めんどくさいですよねー。
この「相手なりの愛情を受け取る」という行動は「自分の器を広げる」のにすごく役立つと同時に、「自分軸」を確立して地に足が着いた恋ができるようになるんですけど、でも、なんかイヤなんです。
それくらい私たちは「自分の思う通りに愛されたい欲求」が強いんです。
けど、それができたらめちゃくちゃ恋が楽になりますし、相手を信頼できます。
お互い自然体で付き合えるようになるので負担がなくなります。
そして、何よりも不安・不満がかなり減って、愛されてることに自信を持てます。
では、どうしたら受け取ることができるようになるでしょう。
相手の愛し方を知り、その表現に出会ったら即座にスマホを起動し、「愛されポイントカード」にハンコを1つ押すのです。
彼が「今日会える?」と言ってくれた。ポイント+1。
待ち合わせ場所に行ったらはにかんで手を振ってくれた。ポイント+1。
自分の行きたい店に連れて行ってくれた。ポイント+1。
部屋で二人っきりになったら彼がくっついてきた。ポイント+1。
いつものように楽しいセックスができた。ポイント+1。
終わった後に「くっついていたい」と言ったらギュッとしてくれた。ポイント+1。
帰るとき駅まで送ってくれた。ポイント+1。
電車の中で「ありがとう。楽しかった。大好き!」ってLINEしたらわけの分からんスタンプを返してくれた。ポイント+1。
こうして彼の愛を感じたときにポイントを加算していくんです。
ただ、ここで情熱系女子は特に注意してほしいんですけど、「LINEを既読スルーしよった。ポイント-100じゃ!!」とかやらないことです。ここ、厳重注意です。これはプラスするだけでマイナスはなしのシステムです。
そして、ポイントを加算するときに心の中で「ありがとう」って言ってみます。
はじめは感情が伴わないかもしれませんが、「ありがとう」って言うことが大事です。
だんだん気持ちが付いてきます。
そうして不安や不満が減ってきたら第二段階クリアです。
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ここまでクリアになってくると自分の要望を伝えるのも自分軸で伝えられますし、不満もあまりないので相手も素直に聞いてくれるコミュニケーションができるようになります。
「ねえ、あたしのこと好きって言ってみて。」
「夜だからだれも見てないし、ここでキスしようよ。」
「こんどの週末、久しぶりに温泉行かない?」
自分の欲求を安全な方法で伝えられるようになるのです。
もちろん、このレベルでは自分に不満をぶつける意図はないので、相手も素直に耳を傾けられます。
そしたら自分の希望が実現可能になるものです。
そして、こうした試みを繰り返すことで相手も学習していきます。
そもそも人は相手を喜ばせたいという欲求を持ちますし、恋人であればそれはなおさら強いものです。
「彼女は好きって言うと喜んでくれるんだな」
「とこでもくっついていたい人だけどさすがに人前は抵抗あるなあ。けど、誰もいないエレベータとか車の中ならできるかな」
「来週は仕事が少し落ち着いてるだろうし、彼女の好きな温泉に誘ってみようかな」
なんて発想が生まれてくるのです。
つまり、第一、第二段階を経て第三段階までやってくると、相手は自ら自分の望みをかなえてくれるようになっているのです。
そしたら二人の絆はますます深まりますし、不安や不満などを感じる余地はなくなっていくでしょう。
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このステップは人間関係の基本です。
地に足を着け、与えてもらいたいものを与え、そして、受け取る。
そして、この話は仕事やその他でも応用が利くのは当然のこと。
上司によって評価の仕方は様々だし、習い事の先生だって生徒への愛情表現は人それぞれです。
そこでも私たちは「上司からはこう愛されたい」「先生にはこうしてほしい」というニーズを持っているわけで、同じように「この上司はどう愛情を表現する人だろう?」という発想がすごく役立つものです。
人はそれぞれ違う生き物だということを頭では分かっていても欲求(ニーズ)はなかなかそれを受け入れられません。
なので、まずはニーズをちょっと横に置いて、地に足を着けて相手をよく見るところから始めてみることにしましょう。
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