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パートナーシップや親子関係など、心理的距離が近い関係では、自立と依存がひっくり返るということがよく起こるものです。
そうすると役割が入れ替わって、かつて自分がしていたことを相手にされるようになり、相手がしてきたことを自分がするようになるのです。
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先生のブログを読み漁り、父が海外駐在で不在の子供時代、エモーショナル母に対峙する長女(弟と妹がいます)として能面を被り始め、家族の前では感情をうまく表現出来ない自立系武闘派女子として育ちました。でも家族は大好きです。
勉強はほどほどで県内トップ、仕事も大手企業出世コースではありそうですが、恋愛がうまく行きません。
初めての彼は大学時代、穏やかでケンカもなく4年付き合いましたが、私が飽きて内緒で浮気、別れました。
次に付き合ったのが今彼です。前回ネタにして頂いた彼と彼母との同居は継続中ですが、苦闘しつつ私が自分軸を見つけられ始め、同居の件はもう気になりません。
ただ、最近は何かあるたびに、昔の彼からの暴言や取っ組み合いで喧嘩したことを思い出し怒りが湧きます。
彼は浮気され婚約破棄となった過去があるので、付き合い当初は私の過去を知りビッチやその他暴言で罵倒してきました。(当時の私は彼軸で完全に依存状態)
今や彼はすっかり改心したと感じるのですが、ケンカのたびに私が彼の過去の暴言を引合いに出し、彼を言葉でタコ殴りして、私が彼を試すようなことを言ってしまいます。
今や彼が野良猫にいじめられる子猫のようで可哀想です。こんな自分とどう向き合えば良いでしょうか。好きにしたらええ以外でご教授頂けると幸いです。
(Mさん)
このところ賢い武闘派女子のみなさまから機先を制されることが多く、カウンセリングでも「好きにしたらええやん以外の回答をお願いします」と言われ、ネタでもMさんのように最後にひとこと加えられることが増え、ギャグを先取りされた芸人の気持ちが痛いほどわかるようになった筆者です。
ま、Mさんも好きにしたらいいんですよ。(ダダすべり)
ということで、立場が変わるとやってることも真逆になるって話っすね。
よくあるんすよ。
最近もこんなご報告を頂きました。
「追いかけまくっていた野良猫が家猫化した瞬間、自分の野良猫っぷりが出現し、逃げまくっている」
「難攻不落なロックマン氏を尽くしまくって落とした結果、やたら優しくなった彼に辟易してしまう」
「今まで一方的に奉仕させられるだけだった彼が、最近は丁寧な愛撫をしてくれるようになってなんだかキモい」
「冷たく突き放すことばかり言ってた彼が最近はめちゃくちゃ愛情表現してくれるようになって正直怖い」
「こっそり浮気を繰り返してたら、彼にも浮気されてめちゃくちゃショックだった」
「めちゃくちゃ口説かれて彼のこと好きになった途端、彼に素っ気ない態度を取られるようになってすごくいや」
みたいな感じで、心理的に見ると「自立と依存がひっくり返った状態」なんですよね。
依存側=追いかける。尽くす。我慢する。
自立側=逃げる。あしらう。自分勝手。
だから、この自立と依存がひっくり返る瞬間ってのが「別れの危機」になることも多いのですが、そこを乗り越えると今までと役割が入れ替わるものなんんです。
それで「今まで彼がどんな気持ちだったか分かるでしょう?そして、今の彼がどんな気持ちか分かるでしょう?」ということが言えるのです。
今までの彼が今の自分だし、今の彼がかつての自分なわけですから。
そういう意味では「やっぱ似たもん同士ってことやんなー」とも言えるわけですね。
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こうしたことはパートナーシップに限らず、親子関係でも起こりますし、上司と部下の関係でもけっこう起こりうるものです。
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Mさんの話にしても、今のMさんの気持ちがかつての彼の気持ちだし、かつての自分の気持ちを今の彼が味わっている、とも言えるわけです。
だから、そういう意味ではお互いの気持ちを理解し合えるようになったとも言えるのですね。そして、ここがポイントです。
結論だけ先にお伝えするとお互いの立場が逆転したのだから、ふたりの関係を良くしていくには「かつて自分がしてほしかったことを今の彼にしてあげる」で良いわけです。
かつては
>彼は浮気され婚約破棄となった過去があるので、付き合い当初は私の過去を知りビッチやその他暴言で罵倒してきました。
とのことですが、その頃のMさんは彼にどうして欲しかったんでしょうか?
罵倒されたくはないですよねえ?
そのどうして欲しかったか?を今の彼に与えてあげると良いってことです。
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ただ、そういう話は今まで散々してきたんですけど、たいていその提案に対する自武女たちの答えは、「まあ、理屈は分かるんですけどねぇ。気持ちが付いていかねぇっていうか。今までのことを思い出しゃ、そう簡単に水に流せねぇってのが武士でして。それまでのお返しをたっぷりしてやろうじゃねぇかと思っちまうんですよねぇ」なんですよね。
まあ、もちろんその答えに対する私の回答も「姐さん、ようく考えてくだせぇ。もしかしたら、かつての彼もそんな気持ちだったかもしれませんで?」だったりします。
彼は浮気からの婚約破棄という過去を持つわけですが、Mさんもかつて浮気して彼氏を捨てた過去があるわけですよね。
パートナーシップのような心理的に近い距離の関係だと「過去の人間関係を投影し合う」という現象が起こりんですよ。
彼はMさんにかつて婚約破棄をした元カノを映し出し、Mさんはかつて別れた元カノを映し出す、というわけです。
彼としてはその傷が疼くので「こいつ(Mさん)もまた浮気して俺を捨てるんじゃねえか?」と思いますし、ましてやその彼女が前科持ちであれば「なおさらこいつは怪しい。そう簡単に信じられねえ」と思うものです。
それでかつての暴言に至るわけですが、それはMさんやMさんの過去に対してという体裁を取りつつ、実際は元カノに言えなかったことを言ってるようなものかもしれません。
トバッチリっちゃトバッチリなんですけど、Mさんは彼と元カノの代理戦争に巻き込まれたようなものと言えるのです。
一方、Mさんから見れば、かつて男に飽きて浮気して捨てた過去があるものですから、そこには立派な罪悪感が根付いているわけですね。
そうすると彼からの罵倒の言葉がまるで元カレから発せられたように感じてモロにダメージを喰らってしまうのです。
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しかし、不思議なもんですよねえ。パートナーシップって。
彼も彼で浮気されて捨てられた過去があるにも関わらず、また似たような女を好きになってしまう。
MさんもMさんで、女に恨みを持つ男に引き寄せられてしまい、過去の傷をえぐられるような言葉を浴びてしまう。
罪悪感ストーリーから見れば、明らかに罰を受けてるようなものです。
こういうのを「パターン」というのですが、お互いが過去の恋人なり親なりきょうだいなりを投影し合って今の関係が成り立っているんです。
これはお互いを理解する上でものすごく重要な法則ですので、ぜひともスマホの待ち受けにしていただきたい次第です。
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そんな二人の関係がひっくり返ったのはやはりMさんが自分と向き合い続け、自分軸を確立されてきたからでしょう。
>当時の私は彼軸で完全に依存状態
とありますが、それは先ほどお伝えしたように「元カレを投影し、罪悪感を大いに刺激されていたので彼軸にならざるを得なかった」と解釈できるのですが、そうして自分軸を確立すべく、依存から抜け出して自立の立場を得たわけです。
ただ、厳密に言えば「自立もまた他人軸」ですから、自分軸確立への道はまだ半ばと言えます。
そして、自立の立場を得たMさんは今度はかつて暴言を吐きまくっていた彼に対する「復讐」を始められたわけですね。
>ケンカのたびに私が彼の過去の暴言を引合いに出し、彼を言葉でタコ殴りして、私が彼を試すようなことを言ってしまいます。
元々賢い上に本質的にはたいへんエモーショナルであられるMさんですから、彼をタコ殴りにするのは簡単なことでしょう。
ここまでの流れを整理するとこんな感じですね。
【1stステージ】
自立=彼
依存=Mさん
彼・・・婚約破棄した元カノをMさんに投影して暴言を吐く
Mさん・・・かつて捨てた元カレを今カレに投影し、罪悪感からそれを真に受ける
【2ndステージ】
自立=Mさん
依存=彼
Mさん・・・1stステージでの彼の振る舞いをネタに彼をタコ殴りにする
彼・・・1stステージでの自分の振る舞いによる罪悪感からそれを真に受ける
とすると、【3rdステージ】がどんな関係になるかは想像に難くないと思います。
そうそう、自立と依存は1回ひっくり返って終わりじゃないです。
何度もひっくり返りますし、回数を重ねるたびに複雑化していきます。
ある部分では彼が自立、別の部分では自分が自立、という風に。
そうして何度も自立と依存を交代していくことによってお互いを理解し合い、そして、「ケツの穴まで見せ合える対等な関係」に進化していきます。
ただそうして常に戦争が起こりますとお互いに疲弊しますからどこかで「もうええよ」とストップがかかり、「冷戦状態」もしくは「別れ話」になるものです。
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ただ、ここで注目したいのはMさんが復讐を企てているのは「かつて暴言を吐きまくっていた彼氏」に対してだけなのでしょうか?という点です。
例えば、彼に対して今感じている「怒り」はかつての彼に対するモノだけでしょうか?
他の人に対する怒りを上乗せサービスしたりしていないでしょうか?
例えば、、、「かつての自分自身」というのも今の彼に投影する対象となります。
もちろん、かつてぼろ雑巾のように捨てた元カレを今の彼に投影している可能性もあります。
さらには、かつては敵だった「母」とか、家族を捨てて海外逃亡していた「父」とかを今の彼に投影している可能性だってあります。
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まあ、こういうことは非常によくありまして、例えばカウンセリングだとお話を聴きながら「うーん、なんか今カレに対する怒りだけにしてはボリューミーじゃねえか?」と感じることがあるのです。
そうすると「今カレ」に「元カレ」やら「親」やら様々な人々を重ね合わせていることが分かってくるものです。
もちろんこれは「怒り」のみならず「罪悪感」なんて最たるものですし、「不安」や「寂しさ」「悲しみ」なども同様です。
まあ、そうすると今の彼もまたトバッチリを受けてるようなものですが、かつて彼も同じことをやってたわけですから、どっちが悪いとも言えませんね。
そんな風に見ればお二人は「大変お似合いで」と言われるカップルなのかもしれません。
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ということで、先ほどお話したように「かつての自分がしてほしかったことを今の彼にしてあげる」ということを目標にしましょう。
もちろん、それは目標であって今すぐにはできないかもしれません。
そういう場合は、その怒りを水に流すべく日夜御恨み帳をしたためたり、カウンセリングなどで彼への恨み辛み憎しみを吐き出したりしてその怒りを整理しましょう。
そこから、元カレへの罪悪感、両親やきょうだいに対する思いと向き合っていきましょう。
そうして気持ちを整理していくうちにさらに自分軸が確立されていき、彼を対等な目線で見ることができます。
そしたら、ほんとうはお互い優しいし、愛し合ってんだし、幸せになりたいと思ってるんですからそれが現実になるでしょう。
だから、そこを目指していきましょう。
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さて、3rdステージは明らかだよね!と先ほど話したのですが、あるあるな話として、3rdステージへの移行をMさんが拒否する可能性もあります。
もう依存に落ちるのはイヤですからね。
そのときMさんがどんな気持ちになって、どういう行動をとるかってのはもうお分かりですね。
Mさんも、そして、彼にとっても、過去のできごとが「再現」することになるのです。
だから、お二人にとって最大の危機はMさんが他の男が気になり始めた頃ですし、お互いにとって最大の課題は「過去と同じパターンを繰り返さないように、向き合い続けて違う行動をとる」という点にあろうかと思います。
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ちなみに、今日は王道の話をしてきたのですが、Mさんの育ちや経歴などから勝手に推測する限り、「なんだかんだ言うてもあんたお嬢でしょ?お嬢はお嬢らしくした方がええんと違いますか?姫ではおられんようなってリボンの騎士みたいなことやったはりますけど、ほんまは姫なんかもしれへんでっせ」というところから、武闘派女子を姫に戻すプロジェクトが発動するかもしれません。
もしそうだった場合、彼に優しくするよりも遥かに恥ずかしく、屈辱的なプロセスになるかと思いますので、カウンセラーに相談する場合は相手をきちんと選んだ方がいいと思いますぜ?笑
セクシャリティや女性性が強すぎる上に器もデカいし、後天的に男性性を育てちまったからそのバランスに苦慮してる女子のための話。~リボンの騎士問題~
★そんな心理学的な話を学びたい向けの本でもあるのです。
戦闘力上がりすぎてひとりで頑張っているあなたへ1日5分、スキマ時間にととのう本(ハーパーコリンズ社)
◎オンライン:5/10(金)20:00-22:00 特別心理学講座「自分とのつながりを取り戻す~直感/感覚に耳を傾ける」
https://nemotohiroyuki.jp/event-cat/52513
◎根本のカウンセリングスキルを伝授する根本式アクティベーション・カウンセリング講座
https://nemotohiroyuki.jp/schedule-cat/52425
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