なぜダイエットは成功しにくいのか?その心理的背景について



なぜ痩せたいと思っているはずなのに痩せられないのか?
その心理は実はけっこう深く、時に幼少期からの経験や様々な観念が影響していることも少なくないのです。
その心理についていくつかの角度から検討してみたいと思います。
つまり痩せられないってことはそれなりの理由がありますから、自己嫌悪したりバカにしたりしちゃいけないってことです。
ま、お前が言うな、という声は聞こえなかったことにしますね!(はあと)

恋愛とダイエットについての質問です。

脂肪を溜め込んでしまってる今日この頃…。

最近はいくらダイエットをしても、全然うまく行かないのです。
そうすると、元カレとかのお誘いにのるのが億劫になり、結果的に今の彼のところに収まってます。

それで、もしかして他の男性のところに行かないように、私はダイエットがうまく行かないのではないかと?!

もし、私が以前の体型だったら、間違いなく昔の彼氏たちのお誘いにのっていたようにおもうんです…。

でもデブになった今の姿を昔の彼氏たちにさらけ出す自信がないので、お断りすることが続いています。

もしや、私は今彼に操を立てるために、太っているのかもしれない?!なんて思い始めてきました。

ということは、もしかして、私は今彼とお付き合いしてるうちはダイエットできないのでは?!と不安になり始めて来ました。

今の彼のことは愛していますが、でも痩せたい!!!

どうしたら、今彼とお付き合いしながら、ダイエットをすることができますか??

ちなみに、今彼は太っている私でもいいそうではあるのですが…。
(Sさん)

先ほど温泉に浸かった後で体重計に乗ってみたら過去最高値をキープしていることが判明しまして、そんな私にダイエットのことを私に相談するってのはなかなかチャレンジャーだなあ、と思う今日この頃です。お元気そうで何よりです。笑

実は最近、不思議とご縁がありまして「美容家」とか「ダイエットコーチ」とか「食事療法家」などの方々からご相談を受けることが多いのです。

彼女たち曰く「行き着くところはメンタル」でして、よって「心理学をある程度学びたいし、また心理面からのサポートをお願いしたい」というご依頼を頂くようになりました。

例えば「ダイエットしたい!と言いながらも全然継続できない会員さんが少なくなくて、ひとりひとり話を伺うと何かしらメンタルの問題を抱えていることが分かった」という形でした。

そのメンタルの問題とは「痩せたい理由があいまいで、心から痩せたいと思っていない」「そもそも何かを続けることに苦痛を覚えやすい性格」「楽しみながらダイエットをする!をコンセプトにしているが、ダイエット=苦しいものと思い込んでいる」「かつてダイエットに失敗した経験がトラウマになっている」「気分の波が大きくて、頑張るときと頑張れないときのギャップが大きい」等々。

美容家さんからは「外側を整えても心が整ってないと美しさが出ないし、続かない人が多い」とか「女性はメンタルの影響を受けやすいから、心が安定していないと美容の効果も出にくい」等々。そういう目的でお弟子になった美容家の方もいらっしゃいますね!

それぞれ興味深いテーマなので、あれこれ詳しくお話を伺っていきますが、やはりなかなか奥が深いですね。

※心理系のサポートを必要とされている美容家等の方々はご協力できることもあるかもしれませんので問い合わせフォームやDMにてご連絡くださいませ。

そういうわけでそんな方々とお仕事をするうちに「ああ、自分は痩せることに興味はないなあ。食うことは趣味のひとつだし、体がちゃんと動くことの方がずっと大事だから」という本音に気付いてしまったのが私です。笑

だからSさんにも「あきらめたら楽になるよ・・・ふふふふふ」と悪い誘いをしてしまいそうなのですけれど、その根拠になるのが最後の一文、

>ちなみに、今彼は太っている私でもいいそうではあるのですが…。

ここですわなあ。お気づきかと思いますが・・・。

Sさんに限らず、ダイエットってどんなイメージがあります?

つらい。くるしい。がまん。がまん。がまん。

けっこうネガティブなイメージありません?

だから「頑張る!」ということが必要な感じになります。

ダイエットだけじゃなくて「貯金」「投資」「婚活」「離婚」「筋トレ」等々、あらゆるものに言えるのですが、「ヤリたい」のか「やらなきゃ」というところが大きいわけです。

ほんとうはやりたくないんだけどやらなきゃいけない!って思うんです。

そして、一生懸命、やらなきゃいけない理由を探します。
そして、その理由はほとんどが「正しい」ので、頭では納得します。

しかし、まったく正論が通じない「心」という世界では、なんぼダイエットすることが素晴らしく、正しいことだと力説しようにも、「え?めんどくさい」の一言で蹴散らしてしまうだけのパワーを持っています。

「思考は電卓、感情はExcel」って例えます。

なんぼ電卓を上手に叩けても、Excelの方が圧倒的に早く、そして、楽に結果が出ますよね。

思考で感情(心)を押さえつけようとするのって、電卓でExcelに挑もうとするようなもんなんです。

だから、「心」の方にやる気になってもらわないと、あらゆることがうまく行きません。

それで多くの人はそこで「感情(心)」を抑え込み、無視する、という作戦に出ます。
「めんどくさいなんて言ってないでさっさとやんなさい!」と気合で体を動かそうとします。

思考が鬼軍曹となって感情をぺちぺち鞭でぶっ叩き、脅したり、宥めすかしたりして「頑張る」わけですね。

だから、最初はけっこう頑張れるんです、
そして、効果が出てくると感情の方も嬉しいから頑張ろうと思えるのです。

しかし、基本、無理してますよね。頑張る!ってやっててもなかなか長続きしませんよね。
ときどきチートデーなんか作ってしまうと気が付けば週6がチートデーになってたりしますよね。

心が徐々に反撃をしてくるわけです。

そもそも思考よりも圧倒的にパワフルな感情ですから、少しその気になれば思考を倒せちゃいます。

だから、リバウンドするんです。

「意志の力が弱い」って多くの方が嘆きます。

でも、意志の力は元々弱いんです。感情に比べたら圧倒的に弱いんです。

だから、意志の力が強い人ってのは、感情をその気にさせるのが上手な人を指すんです。

自分がダイエットしたくなるように感情にアプローチするのが上手なんです。

自分を奮い立たせたり、やる気にさせたりするのが上手な人なんです。

だからはっきり言って向き・不向きがあると思ってます。

「やらなきゃいけない」「がんばらなきゃいけない」「続けなきゃいけない」という義務感で突っ走れるほど私たちは強くないのです。

だから、感情がその気になるように、せっせとエサをあげる必要があるのですね。

うまく行ったら褒めてあげる。
やる気になるようなエサを上手に用意する。
緩むときは緩む、というメリハリを作る。
自分の喜びを提供する。

例えば「目標達成が喜び」というタイプの人がいまして(そう、それはタイプなのです)、何かしらの目標を設定し、そこに向けて頑張るのが好き、という特異体質(?)なので、そういう方はダイエットも成功しやすいものです。

でも、そうじゃない方がダイエットに励もうと思ったら、心にとっての優先順位を上げていく必要があるわけです。

Sさん、みなさんにとってダイエットよりも大切なものってありますか?

単純に

1.今カレ
2.美味しいものを食べること
3.ダイエット

だとしましょう。

今カレが一番大事だから、その彼が「太ってるSちゃんでも好きだよ」とか言ってたら即座にダイエットへの気力は萎えてしまうわけです。

美味しいものを食べることが好きならば、痩せることよりも目の前の美味しいものの方が大事なわけですから、どうしたって食べてしまうでしょう。

ちなみに痩せてる方というのは「美容」とか「スタイル」「ファッション」の方が優先順位が上位にあり、食べることよりもそっちが大事なわけです。

で、多くの人はここで「禁止」をして「我慢」を強いたりして何とかダイエットを3位から1位に浮上させようとするのですが、そりゃあ、ダイエットより今カレの方が大事ですからその努力は一時的なものになりやすいものです。

だから優先順位を変えられたらそれが一番ダイエットが成功する秘訣なのですが、それも難しい方は優先順位を変えるというよりも1位と2位をうまくダイエットの“協力者”にできないかを検討するわけです。

例えば「今カレ」に「痩せたSちゃんの方がもっとかわいい」みたいなセリフを何度も言ってもらう、とか、「○○kgになったら△△をプレゼントしてあげよう」と約束してもらうとか。まあ単純ですけど、これはなかなか効果的かもしれません。

要するに彼を巻き込んで一緒にダイエットする、というイメージですね。

さて、問題は2ですね。

「体に悪いものほど美味しい」という格言(?)があるように、2がダイエットにとっては強敵と言えるでしょう。

単純に考えれば「美味しいもので、かつダイエットに有効な食べ物を探す」というあくなき挑戦に出てみるのもアリです。

それこそダイエットコーチを専属で付けるくらいの方がいいかもしれませんけど。

つまり「これは食べてもいいよ!」というリストを作成し、できるだけそちらに寄せていくようにするわけです。

が、中には「食べてもいいものの中に好きなものがない」とか「そればっかり食べていると楽しくなくなりそう」という抵抗が現れることもあるものです。

とはいえ、ダイエットよりも優先順位の高いものを協力者にする作戦はとりあえず試してみる価値はあるかと思います。

さて、あーだこーだと言い訳が出てくる時点で本気でダイエットしたいわけじゃないことが分かるのです。

なのでより深層心理に入り込んでいくことになるかと思います。

「食欲」というのはけっこうな欲求でして、俗に三大欲求のひとつと言われますが、そもそも人間も動物であり、現代のように飽食と言われる時代は経験したことがないらしいのですね。

つまり、常に食物の確保にエネルギーを注いでいたわけですし、いつ食べられなくなるか分からない、という状況にあった時代を何千年と過ごしてきたのです。

だから、食べ物があれば食べたくなる、というのが人間本来の姿と言えるのです。

そういう原初的な欲求を持つわけですからダイエットというのは難しいのですが、食欲に打ち克てる欲求を見つけてみるのもいいでしょう。

人にとって最大の欲求は「死にたくない」です。

だから、お医者さんから「痩せなかったら死にまっせ」と言われたら必死にダイエットに励む人が多いのです。

「食べること」よりも「死にたくない(生きたい)」という気持ちが勝るわけですね。

そういうわけで人間ドックなり健康診断なりを受けて「痩せなきゃ死ぬ!」という状態を確認してみるのもひとつの手ということになります。が、まあ、そんなうまいこと行かないですし、むしろ別の問題も生まれちゃいますね。

また、年頃の男女にとっては「モテたい」というのもまた「食欲」に勝る欲求になりうるわけですね。

つまり、ダイエットを成功させるためには、食欲よりも勝る欲求を作り出せばよいと言えるわけです。

その欲求はひとつでなくてもよく、いくつかを足し算してもよいです。

「かわいい服を着たい」「写真映えをよくしたい」「きゃーかっこいい!と言われたい」「アイアンマンレースを完走したい」「味の分かる女になりたい」「階段を登るだけで息切れするのはダサい」「ビキニでプールサイドを歩きたい」等々の欲求を積み重ねてみると良いでしょう。

で、時には「先に可愛い服やビキニを買い、今現在の写真をプロに撮ってもらい、アイアンマンレースに出るためのトレーナーと契約し、高級和食屋さんにて味を教えてもらい、今日からエスカレーターやエレベーターの使用を禁止してみては?」などと提案しちゃうのです。

ま、言ってみれば「先取り」「予祝」ですね。

ということは結局はリアルに協力者を求めることも必要ですので、真っ先にダイエットコーチに大金を払い、食事から筋トレから有酸素からを監視・管理してもらうのが良いかな、と思うんですけどどうでしょうか?

さて、カウンセラーらしい見方をすれば「うーん、なぜSさんはダイエットをしたくないんだろうね?」という角度から質問をすることになるでしょう。

ストレスが溜まっているのか、痩せることに対して恐怖心があるのか、ここまで見てきたように痩せることよりも優先順位が上のものがあるのか、そもそも体質的なものなのか。

心理的に見ると「太る=防衛」という意味があります。

何かから自分を守るために天然の鎧を見に纏おうするわけです。

もちろんこの防衛というのはリアルな攻撃から身を守るというよりは、エネルギー的なものから身を守る、というのが目的です。

周りからの嫉妬、攻撃、批判、否定、バッシング、炎上等から身を守ろうとしているわけですし、そもそもストレスから身を守る、という意味もあります。

つまり、この心理が当てはまる人は「私を守ってくれる人は誰もいない」「自分の身は自分で守らねばならない」という観念を持っていることも多いのですね。

今カレがいらっしゃるのに、なぜかそういうマインドがあるわけです。

となれば、「あたしはちゃんと守られている」という思いをインストールすることが必要になりますし、ストレスを解消する手段を常に持ち続けることが一つの手となります。

さらに、「太る=自己否定」という目的であることも少なくありません。

自分のことが嫌いだから、自分なんてダメな人間だから、自分なんて愛されるわけがないから、それを太るということで体現しているわけです。

だから、自己否定をし続ける限り痩せないということになります。

※この件に関しては「痩せすぎ」の方にも言えます。

ということは「ダイエットをするために、自己肯定感を上げる」という作業が必要になるわけですね。

さらに人によっては「太る=成功・豊かさ・愛の象徴」となっているケースもあります。

貧しい国などでは「太っている=食べるものがある=豊かな生活を送っている」という価値観があると言われますが、日本在住でもその観念を持っている方がいらっしゃいます。

それは育った家庭や一人暮らし時代に「お金がなくて食べるものに困っていた」という過去を経験している方に見られる心理傾向ですし、また、ご自身が体験していなくても両親からそんな話を何度も聞かされていたり、周りの人からの影響も見過ごせません。

戦後、ものがなかった時代に育った人たちは「食べられるものがある=幸せ」でしたから、今でもおばあちゃんの家に遊びに行くと死ぬほど食わされるってこともありますね。

つまり、そこでは「孫や子どもにたくさん食べさせること」が「愛情表現」になっているのです。

となると、「食べない=愛情を拒否する」ということになりますから、そういう環境で育った方は「愛を受け取るためにたくさん食べる」ということが習慣化されてしまいます。

「幸せ太り」と言われる現象にもこうした心理が影響している可能性がありますね。

となると、別の形で愛を受け取るって意識を持つ必要があるわけです。

この観念、意外と深いところにありますから手放すにはそれなりの覚悟が必要でもあります。

そして、まったく逆ですが「太る(食べる)=愛が足りない」という心理もあります。

過食症の心理のひとつに「愛が足りないから何かを食べることで愛されていることを感じようとする」という見方があります。

「口」というのは「愛を受け取る器官」と心理的には捉えます。

お母さんからおっぱいをもらっていたことがルーツになっていると考えられます。

お腹がいっぱいになると「幸福感」がありますよね?
誰かに愛されたときも「幸福感」がありますよね?

だから必要以上に食べてしまうのは「愛が足りないと感じている証拠」として解釈するのです。

だから、このケースでは「ちゃんと愛されてる」と周りの人からの愛を受け取ることが重要になってきます。

最近では「食べて痩せる」という考え方もだいぶ一般化してきていますが、そうした様々な心理的要素が重なって「痩せられない」という状態を作っている可能性もあるのですね。

つまり、痩せたいと思っていても深く自分に根差している観念がそれを妨害していることも少なくないんです。

そうした心理を知り、それに対処することで、「痩せても良い」という許可を出しやすくなると思うのですが、、、、まあ、私が話してもあんまり説得力はないですかね?笑

でも、少なくてもそうした心理的背景があって痩せられないことが多いので、ダイエットがうまく行かない人を否定したり、バカにしたり、笑ったりするのは無意味ですのでご注意くださいませ。

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