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きょうだいの問題は複雑な感情を纏い、また、一筋縄ではいかない葛藤を招くので、親子問題よりも時には困難な問題になりやすいものです。
だからこそ、そこと向き合ったときの恩恵もすさまじいものがありますし、人生を一変させるほどのパワーがあるので、いよいよとなった際には逃げずに思い切り向き合いたいものなのです。
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今やっと人生がとても自分らしく楽しいのですが、今一番熱量をかけている趣味に妹も興味を持ち始めた予感がして、いてもたっても居られない焦燥感と悲壮感に身体を震わせております。
機能不全家庭で育った長女です。
両親はドケチヒステリー鬱病父、長女に精神的母を求める(無自覚)母。高校生の時から不仲で家庭内別居。
私が家族を助けなきゃ!の精神のもと典型的な武闘派やってました。
結婚して家を出てから育った家庭を客観視することができ、同時にたんまり抱え込んだお恨みの気持ちも少しずつ癒され、ボストンバッグから財布くらいまでには小さくなりました。
ただ、「妹に居場所を奪われる」という恐怖だけがどーーしてもまだ拭えません。大きさでいうと海外旅行用キャリーバッグくらいあります。
・母が姉である私の進路を軒並み妹にもゴリ推ししてきたためにほぼ同じ学歴・キャリアを辿っていること
・同じ習い事をしていたが全て妹に勝てなかったこと
などから、「私がせっかく見つけた道は全部妹に侵食される。奪われる。負ける。」というテンプレ感情がこびりついています。
また母は無自覚ですが、姉=頼れる長女、妹=いつまでも面倒見てあげたい可愛い子、という構図が現在も見受けられます。
反抗期で荒れていた時、両親から「お前と関わると妹まで歪むから関わるな。お前は頭がおかしいから精神病院へ行け。」と吐かれた事が人生指折りのトラウマです。
今没頭している趣味は夫との共同作業も可能で、いずれ夫と一緒にお仕事にしたいなというくらい好きで楽しい事なのですが、妹も始めるならもう辞めたいです。
最低限の関わりだけで良い(※できればあまり関わりたくない)のに、なぜか今回以外にも妹が私のやっていることに興味を持ち、介入してくることが多々あります。何度頼まれて人を紹介したことか。
私はただ、妹のいない私だけのオアシスで穏やかに幸せに過ごしたいだけなのに…。
自分の中にあるどのような想念を炙り出し、手放し癒していけば楽になれるでしょうか。
(Nさん)
>反抗期で荒れていた時、両親から「お前と関わると妹まで歪むから関わるな。お前は頭がおかしいから精神病院へ行け。」と吐かれた事が人生指折りのトラウマです。
どの程度荒れていらしたのかが興味深いところですけれど、親から似たようなセリフを吐かれる方が意外と多いので、機能不全家庭あるあるなセリフではないかと勘ぐっている今日この頃です。(投影ってすごいよね!)
そして、東阪を頻繁に行き来している出張族の私としてはインバウンドな方々が持参されてるスーツケースのサイズにいつも圧倒されてますので、Nさんの妹さんへの恐怖心の大きさに「それは持ち運びに苦労されるでしょう。やっぱり“特大荷物置場”をいつも予約されてるのですか?」とお聞きしたい衝動に駆られております。あるときなど荷棚が巨大スーツケースでずらっと埋め尽くされておりましてなかなか圧巻の光景でございました。
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さて、目の上のタンコブである妹さんとの関係なのですが、この辺、実に複雑な心理が混ざり合っているのだろうと思います。
ちょっとめんどくさい気持ちもしますけれど(苦笑)、ひとつひとつ拾い上げて解説していこうと思います。
機能不全家庭に育った“同志”でもあり、「私が家族を助けなきゃ!」という思いの元で悪戦苦闘を重ねてきたNさんですから、妹さんに対する愛情も並々ならぬものがあろうかと思われます。
そして、その妹さんは妹さんで表面上はどうか知らんけど、自分を守り、盾になってくれた姉を心底尊敬しているようですね。
それゆえ、
>なぜか今回以外にも妹が私のやっていることに興味を持ち、介入してくることが多々あります。何度頼まれて人を紹介したことか。
ということが起こるのだろうと思うのです。
つまり、(母のごり押しがあったとはいえ)進路も何もかも姉のあとを付いてきた妹としては、どうしたって姉が指標になり、目標になり、基準になるものだと思います。
「姉ちゃんのあとを付いて行けば間違いない」という思いもあるでしょうし、「大好きなお姉ちゃんのあとを付いて歩きたい」という気持ちもあるでしょう。
小さい子がお姉ちゃんのあとをずっとついて歩いてるのと似たようなものですし、姉は姉で、それを嫌がりながらも放置できず、もちろん可愛いし愛情もあるものですから何かと受け入れてしまうようなものですね。
この辺のお話、実感はありますでしょうか?
だからNさんは「何度頼まれて人を紹介したことか」ということをしてしまうわけですね。
つまり、いやだいやだと言いながらもなんだかんだ協力してしまっている自分がいらっしゃるのだろうと思います。
「妹を守らねば!」という姉の強い思いが未だに残っているのだろうと思いますし、妹をなんだかんだ切れない自分が葛藤しているとも言えます。
ちなみに経済的支援とかはしてませんよね?
というのも、似たようなお話を伺うと、中には学費から生活費まで面倒を見ていた(全額じゃないけど)という話もちょくちょく出てくるのです。
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さて、兄弟姉妹本を出したときに調べたところ、アスリートは圧倒的に妹・弟が多いことが分かりました。
スポーツ雑誌の調べではサッカー日本代表選手の半数以上が弟でしたし、アスリートとして活躍している選手には兄・姉がいることが多いんです。そういうとたいていの今の日本人は大谷翔平選手を思い浮かべてるかと思いますが、彼も兄・姉のいる末っ子次男ですよね。
「兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか」(WAVE出版)
お姉ちゃんに憧れてフィギュアスケートを始めた著名人もいらっしゃいますけれど、姉に憧れて始めるのでたいてい姉より年齢的に早くその競技を始めます。
そして、たいてい妹は「かわいいけれど負けん気が強い」ものですから、姉に追いつき追い越そうと根性を見せて頑張ります。
また、姉が先に始めていることから親もその競技への理解が深まっているし、必要な設備も(姉のおさがりだけど)揃っているものですからスムーズに入ることができます。
あとは才能とかセンスとかが影響してくるので必ずしも妹が姉に勝つわけじゃないのですけれど、第一子長女はちょっと一本気で不器用なところがあるので、要領のいい妹が姉を追い抜いてしまうシーンがあちこちで誕生するのだろうと思います。
そんな心理に興味ある方はぜひ兄弟姉妹本を手に取ってみてください。
「兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか」(WAVE出版)
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で、アスリートの世界に限らず、我々の一般社会でも、姉のあとを付いて歩いてたはずの妹に気が付いたら追い越されるという事件は多発しているものです。
そもそも第一子長女として親の視線を一身に受けてきた姉は、妹が生まれた瞬間、その視線がすべて妹に行ってしまったような“錯覚”を受けます。
そして、それがかなりのハートブレイクになっていることも多く、そこから妹に嫉妬して妹をいじめることもあるくらいです。
さらに、それがパターンとなり、「あとから来た人に追い抜かれること」を人生において繰り返してしまう人もいて、「結局あたしは選ばれない」という思い込みから“2番手の恋”を繰り返していたり、「どうせ妹(弟)に全部持っていかれる」と優秀だけどやりたいことが見つからなくなっていたりする事件もよく目にします。
そうして妹が目の上のタンコブというか永遠のライバルになってしまうのです。
とはいえ、妹は妹で姉にコンプレックスを持っていることも多いですし、純粋に姉のことが大好きだけど姉にはそっぽ向かれて辛いとハートブレイクしていることもよくあるのですけれど、その辺はまた本を読んでみてください。
「兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか」(WAVE出版)
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ということで冷静に妹への感情を見ていくと「愛憎入り乱れる」というのがNさんの心境ではないかと思うわけです。
まず、姉として妹に対する相反する感情を素直に受け入れていくことから始めていきたいところです。
この姉妹や兄弟の葛藤というのは「競争心」の影響が大きいものです。
そもそもみなさん全然自覚はないと思いますけど、親の愛情を奪い合うライバルですから当然のことです。
だから、何かと勝ち負けにこだわりやすく、特に筋金入りの武闘派として君臨されるNさんとしては「我が辞書に敗北の2文字は許さじ」と走り続けてきたわけですから、「敗北の象徴たる妹を排除したい」という思いが出てくるのは無理もありません。
なんとなく永遠に敵わない相手みたいになってませんか?
だからこそ、妹に対しては「嫉妬」もめちゃくちゃ出てくるし、負けたら「超絶悔しい」思いをするわけですし、何かと張り合ってしまう相手でもあり、自分が勝てば「優越感」に浸れると思うわけです。
ちなみに結婚はNさんの方が先なんでしょうか?もしそうだったら「よっしゃ!」と思いました?それとも「姉として何とか面目を保てた」とほっとしましたか?
そうなんですよねー。仮に妹に勝ってもそんな感動はないと思うのですよね。そこが苦しいところでもありますね。
別の見方をすると「妹がシャドウになっている」と言います。
※「シャドウ」で検索するとたくさん記事が出てくるので「???」な方は参考にしてみてください。
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しかし、その一方で、何度も繰り返しになりますが「妹を放っておけない」「妹がかわいい」という愛情もあるのです。
嫌いになれたらまだマシなのですが、嫌いになりきれないところがお姉ちゃんの良いところでもあり、不器用なところでもありますし、習慣的な部分もあるでしょう。
だから、やっぱりかなり気合を入れて妹との葛藤と向き合いたいところですけれど、、、これがなかなか(感情的に)難しく感じるかもしれません。
今ご主人と夢中になっていて将来は仕事にしようと本気になってるところですよね?
そこに妹が参入してくるかも?と思っただけでやめたくなっちゃうわけですよね?
そこにはどれくらいのトラウマや葛藤があるのでしょう。
まずはその思いを吐き出してみましょうか。
何がイヤなのか?
負けることがなぜそんなにも屈辱的なのか?
妹に対してどんな感情を持っているのか?
たぶん、自分の中にある汚い部分を真正面から見ることになると思います。
だから逃げたくなるんですけど、今回はちょっと逃げずに向き合ってみましょう。
ご主人と共同作業で没頭している大切な趣味を失わないためにも、そして、それをきっかけに妹に対する感情的なしこりを解消するためにも、大きなチャンスが来ていると思います。
妹を介して親への恨み辛みも出てくるかもしれません。
そしたら、今度は親に対する感情を整理していきましょう。
とはいえ、その気持ちと向き合うのは決してしんどいだけではありません。
ご主人の存在がますますありがたく感じられたり、ご主人への愛情がさらに深まるきっかけになるかもしれません。
Nさんにとってご主人というのは人生で初めて味わう安息の地なのかもしれませんよね。
そのことを改めて思い知ることができれば、それだけで妹さんの介入が気にならなくなることもあります。すごいでしょ?パートナーシップって。
また、これもあるあるなのですけれど、自分では手の付けられない親や妹との関係が、夫を介することでスムーズになることもあるのです。
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また、その妹さんとのパターンが他にも出て来てないかもちょっと気になるんです。
例えば、仕事でも自分よりも後輩がやたら評価されたり、可愛がられたり。
今までの恋愛でも、何かと妹みたいな存在が現れて振り回されたり。
妹本人が現れなくても、妹みたいな存在が介入してくることって他ではなかったのでしょうか?
それもまた妹さんとガチで向き合ういい理由になると思います。
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ガチで向き合うってのは先ほどの感情を吐き出す(ノートなどに書く)だけじゃなくてもできるものです。
リトリートセミナーなどのロールプレイセッションでは妹役の人と実際に向き合っていただきます。
個人セッションだったらそれをイメージしてもらって言いたいことを全部言ってもらうこともあります。
目の前に妹がいると思って出てきた感情を洗いざらい吐き出していくのです。
とってもシンプルだけどその分、効果も大きいです。
ひとりでやるならカラオケボックスに籠ってもいいですし、ひたすら御恨み帳に筆を走らせてもいいでしょう。
★【保存版】御恨み帳(お恨み帳)の書き方~心の健康を維持するための素敵なノート~
そうして、自分の思いを解放していくと色々な気持ちがあふれ出てきます。
怒りや困惑、悔しさ、罪悪感、競争心、嫉妬、劣等感、嫌悪感のほか、言葉にならない気持ちだってあります。
しかし、その一方で、愛情や感謝などがあふれ出てくることもあるし、なぜか悲しみや寂しさなどの気持ちが出てくることもありますし、妹の価値や魅力がバンバン見えてくることもあります。
そうして徐々に「妹を自分の手の内に収める」ということを目指していきます。
そうすると不思議なほどに「気にならなくなる」んです。
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シャドウとの統合でも同じやり方を取るのですが、すごく苦手な人がいたり、嫌いな人ってのはシャドウだったりするわけですが、その人がほんとうにイヤなのではなく、自分がその人に対して感じている感情がイヤなんです。
妹が嫌い、なのではなく、妹に対して感じている敗北感が嫌い、なのです。
敗北感を感じたくないから妹を遠ざけるのですが、だからといって敗北感はなくなりません。
なぜならば、それを感じているのは他ならぬ自分だからです。
だから、その敗北感と向き合い、それを解放し、受け入れていくのです。
逆に言えば、その敗北感を嫌って遠ざけているからいつまでもその感情がなくならないのです。
妹に対する感情を受け入れることができれば、妹のことは平気になります。
これは何に対しても同じ。
その感情を拒絶せずに感じて受け入れていくこと。
そうすることでその相手に対するネガティブな感情もなくなっていくのです。
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さて、ついでなのでもう一つイヤな話をしておきたいと思います。
それは「妹を利用する」という心理学的表現になるのですが、「妹のせいにして諦めたこと、やらなかったこと、逃げようとしていることってありませんか?」という、たいへん嫌な質問があります。
今没頭している趣味にしても、ご主人と一緒に仕事にしようかくらいハマっているのですが、まだまだ無意識にブレーキをかけてしまっているようです。
妹が理由で辞めたくなるくらい、まだまだ本気になってないんです。
まだ妹を理由にして辞められるくらいのハマり具合なんです。
そんなこと言われたらムカつくと思いますが、ほんとうに夢中になり、本気になっているんだったら、妹や他人との競争はそこに入って来ません。
自分が好きだからやりたい、これに尽きるからです。
だからもっともっと今の趣味に夫婦して没頭するのもひとつの手です。
ただし、やっぱり妹の生霊が気になると思いますので、そこは向き合っておいた方がいいと思いますけどね。
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