女が男より稼いでるとか、仕事ができるとか、そういうカップルはうまくいかないって言いますよね?~競争心と、素の自分でいることと~



自立同士が付き合おうってなったらそこには必ずと言っていいほど「競争」が生まれます。
マウントしたり、正しさの争いをしたり、相手の態度に反発を覚えたり、頑固になって意地を張ったり。
でも、それが今の「素」ですからそんな自分を出しつつ、同時に生きにくさを解消していくんです。

恋愛のことで、質問なんですが良いでしょうか。
よく、女が男より稼いでるとか、仕事ができるとか、そういうカップルはうまくいかないって言いますよね。
共通の趣味で出会っていい感じの男性がいるのですが、私のほうが趣味歴が長く、凝り性なため勉強もして知識も豊富で、男の前でかわいく謙遜できるタイプでもなく、だんだんと彼のご機嫌が傾いていくのを感じています。
趣味以外の部分では、さりげなくマウンティングするような発言が見られます。(例、得意料理の話になったときに「それって誰でも失敗しないやつだよねw」とか)
それでも連絡してくるし、趣味の話も振ってくるし、もしかしたら彼は自覚ないのかもしれないですけど…
でも私はマウンティングの気配にかなり敏感に「イラっ」としているのです。
私は誇りをもってやってきたことだし、男のご機嫌取りのために手加減なんてできません。同時に彼の趣味に対する一生懸命さや学ぼうとする気持ちが好きです。だからこそ話してて楽しいです。
こういう場合、私はどうしたらいいんでしょうか。素のままでいていいんでしょうか。
ネタにしていただけましたら幸いです。
(Hさん)

「素のままでいいんでしょうか?」と聞かれたら「そりゃそうでしょ」とお答えする私です。こんにちは。

最近、お弟子さんのカウンセリングを絶賛する声をあちこちから聞いており、「なに?俺より優秀な奴がおる?許せん!!」と破門リストの作成に着手すべきと悟っております。笑

・・・ということがHさんは許せないわけですよね?笑

さて、兼ねてから高収入・高学歴などのハイスぺ女子たちからはそんな恨み言をよく聴かされておりまして、

「女医をもらってくれるのは医者だけ」
「会社やってるって言うだけでドン引きされる」
「職業バラしたらソッコー音信不通にされた」
「同業者なのに年収が10万違うだけで嫌味を言われた」

などは耳ダコになっております。

とはいえ、覚えておいていただきたいのは「彼女の職業や年収に一切興味を示さない男」というのも一定数いるってことです。もちろんヒモじゃないですよ。

ということで、そんなマウンティング男子の心理について少し触れておきたいと思います。ただ、そこにはちょっと切ない物語があることを予めお伝えします。

男尊女卑を標榜する男子こそ最近は激減しているものですが、長らく日本社会に根付くこの文化の影響はまだまだ強いと言わざるを得ません。
本人は男女平等を謳っていても心の中にはその気配が残っていたりしますし、会社組織においてもなかなか女性が正当に評価されていないところもまだまだめっちゃ多いですね。

それゆえ、彼女の方が年収が高いだの、学歴が上だの、勤めてる会社が名の通ったところだのってなってくると、男性がドン引きしちゃうことになり、実はこの男尊女卑の分かは女性を抑圧するだけでなく、現代の男性にとってはいらんプレッシャーを与える結果になっていると思います。

まあ、この件については社会学者に見解は譲るとして、その心理的な動きをここでは見ていくことにします。

かつて、とある常連様が「今回の彼、めっちゃいい感じで、性格も合うし、体の相性もばっちりだし、将来の話もしてたのに、女医だって分かった瞬間、音信不通になっちゃったのよー。もうなんでよー。根本さん、責任取ってよー!」とうだうだ言ってたんですね。

まあ、その男が甲斐性ないだけじゃん、と片付けるのも簡単なんですけど、そこにあるのは「男性性的な競争心」という厄介な問題です。

自立しているということは競争心がそれなりに強いことを意味し、勝ち負けにこだわってしまうことを意味します。

そして「男性性が傷ついている分だけ競争心は強くなる」という心理に基づき、自信のない男子たちは、彼女が稼いでる、仕事ができる、著名な企業に勤めてる、学歴がすごい、と聞くだけで即座に「無価値感」を発動させてしまいます。

そして、俺なんかいなくてもいいじゃん、俺じゃなくても大丈夫じゃん、と引きこもるようになるんですね。

先日もとあるグループセッションで似た話題が出まして「君みたいな強い女は一人で生きていける」という昭和なセリフを何度も吐かれたことがある方がいらしたのですが、それも競争心の表れです。

かつて女性の社会進出がままならなかった頃(今でもままならないわけですけど)は、男が稼いで女が家を守る、という不文律が成り立っていました。

そこで「稼ぐこと」「家族を養うこと」が自分にとっての存在価値であり、役割であり、誇りであったんです。

だから、これまた昭和のお父さんの決め台詞「誰が稼いでると思ってんだ!」「誰がお前らを食わしてると思ってるんだ!」が登場するわけで、その言葉を要約すれば「稼ぐことでしか存在価値を感じられない弱い俺を認めてくれよ」という意味になります。

そもそも男性性というのは目に見える結果にこだわってしまう傾向があり、数字やら形やらを求め、それによって自分の存在価値を認めようとするものです。

つまり、性格や生き方、価値観、情緒、感性、直観力などの目に見えないものでは自分の価値を感じられないのです。

だから、「年収という数字が俺の方が上だ」とか「俺の方が偏差値の高い大学を出ている」とか「俺の方が名の通った仕事をしている」というところにこだわるようになるんですね。

また、「セックスに自信のある男」というのも誇りの一つですが、それもまた「目の前で女をイカせてる」という目に見える現実がその自信を作ってくれます。

だから、彼らは「女の7割は演技である」というニュースに戦々恐々とし、かつ、「中折れ」「勃起不全」になると即座に男としての自信を失ってしまうわけですね。

で、そんな自立的な男性性の心理があるがゆえに、年収・職業・学歴・付き合った女の数などでマウントを取ってくるんです。

だから、さっきは書かなかったんですけど「彼女の方が自分よりも経験人数が多い」という事実にドン引きする男子も少なくなく、そんな嘆きもよく耳にしているわけです。

でも、裏を返せば「目に見える結果を出せないと自信が持てない」という部分を多くの男性は抱えることになります。

今の時代、給料は上がらず、目に見える結果を出しにくい仕事(チーム制、プロジェクト制)が多いですから、男性が自信を失ってしまうのも無理はないかもしれません。

そんな中でも女性性が豊かな男性というのは、結果にこだわるよりも、中身にこだわることが多いものです。

女性性が豊かな男性と聞くとなんか弱い人のように思えるかもしれませんが、感性が豊かで、器が広く、包容力があって、心が広い男性のことを指します。

海外での生活を経験するなどして多種多様な文化や人々と接点を持っていたり、感性を活かすアーティスティックな仕事をしていたり、女性と交わることが多い職業だったり、家族に女子の方が多かったりする男性はその傾向が強いですね。

だから、女性性が豊かな男性というのは女性の方が年収が上でも気にしないし、仕事がデキる女子をリスペクトするものです。

さて、そんな一般論をお伝えすれば、Hさんの「いい感じの彼」がいちいちマウントを取ってくるのもちょっと理解できませんか?

共通の趣味の世界では明らかにHさんに敵わないんですね。
だから、その競争心から彼は趣味を楽しむ一方で、Hさんに対しては劣等感、惨めさ、無価値感、居場所のなさなどを感じます。

けれど、たぶん彼もHさんのことを「いい感じ」だと思っているので、何とか自分の存在を“目に見えるもので”アピールしなければなりません。

そうじゃないとHさんと自分は釣り合わないと感じてしまうし、一緒にいても惨めな気分になるので逃げたくなってしまうんですね。

だから、その趣味以外のところでマウントを取ってくるようになるんです。

いわばこれって一種のマーキングですよね。
自分の存在を誇示したい、という。
孔雀が羽を広げて求愛行動するのと同じです。

「俺ってすごいだろ?」ってアピールしたいわけですし、「すごいだろ?」が見つからなければ「お前、そこがダメだな」と優越感に浸れるものを探そうとするんです。

そんなことされても彼女としてはうれしくもなんともないのですが、彼の心理から言えば、「そうしなければ自分は役立たずだと思われて見捨てられてしまう」と思い込んでいるので必死です。

彼女に対して何かで勝っていないと自分は捨てられる、相手にされなくなる、と思い込んでいるんです。

これが競争心ってやつなんです。

だから、彼は自分がその趣味を一生懸命学ぼうとしていることにはあまり価値を見出せてないと思います。

仮にHさんが「あなたのその趣味に対する一生懸命さや姿勢が好きだし、尊敬できるの」と伝えたとしても彼は「でも、君に比べれば僕はまだまだ未熟だし、何の結果も残せてないからダメだよ」と一蹴されるんじゃないでしょうか。

女性性は「内面」に価値を見ますから、その姿勢、一生懸命さ、意欲の強さに価値を見ます。
一方、男性性は「結果」に価値を見ますから、何も結果を残せていない自分には価値がないと思ってしまうんです。

このズレはほんとうにあちこちで起きてると思います。

「家族のために一生懸命働いてくれる夫」を尊敬する妻に対して、「でも、会社から評価されなければ意味はない」と自己否定する夫みたいなもんです。

さて、彼の心理は何となく理解できたと思うので、いよいよ本題であるHさん自身の競争心について触れて参りましょう。

え?あ、こっちが本題っすよ。

Hさんも筋金入りの武闘派女子のようで、かなり自立的な生き方をされているようです。
つまり、Hさんも男性性が強いということです。

そうすると、相手が仕掛けてきた競争に、自分も反発してしまうんです。

マウントを取られるのは誰でも気分の良いものではありませんが、その気分の悪さは自分の中に自立的なマインド、競争心があるほど強くなります。

実際、5歳の男の子に「お姉ちゃんもなかなかやるじゃん」と上から目線で言われてもほとんどの人はムカついたりしないと思います。

それは5歳の男の子とは競争しないからですね。

むしろ、そのあとに続く「あ、お姉ちゃんじゃなくて、おばちゃんだった」と言われた方がカチンときて、体育館裏に連れ出そうとしちゃうはず。(それは自分がおばちゃんであることを受け入れられず、否定しているからですね。競争心とは違います。痛いところをまともに突かれたカチンです。)(これは完全にいらん話で、何となく地雷を踏んでしまったような気がしますのですぐに話題を変えようと思います。)

つまり、Hさんの中にも彼(だけではないと思いますが)に対して、何らかの競争心があって、彼に負けたくない自分がいるんです。

つまり、相手のマウントに対して反発して、マウントし返そうとしてしまうんですね。

ただ、こうした現象は自立同士の関係であれば少なからず生まれるもので、「主導権争い(パワーストラグル)」と言われます。

>男の前でかわいく謙遜できるタイプでもなく、

とか、

>でも私はマウンティングの気配にかなり敏感に「イラっ」としているのです。
>私は誇りをもってやってきたことだし、男のご機嫌取りのために手加減なんてできません。

という風な部分に、Hさんも名うての武闘派女子であり、男たちと戦闘を繰り広げてきた跡が見て取れるわけです。

なので、「何があったの?」とお聞きしたいところなんですな。

なぜ、かわいく謙遜しなきゃいけないと思っているのでしょう?
なぜ、マウントの気配にそんな敏感に反応してしまうのでしょう?
なぜ、男のご機嫌取りをしなきゃいけないと思い込んでいるのでしょう?
その「誇り」はポジティブな「誇り」でしょうか?それとも自分を守るための「誇り」でしょうか?

別に可愛く謙遜できなくてもいいし、ご機嫌なんて取らなくてもいいし、誇りをもってやってきたことなんだからふつうに自信を持っていればいいだけなのに、なぜ、そんな風にHさんの心は反応してしまうのでしょうか?

仮にですが、その趣味の世界で彼が頭角を現し、経験も知識も下の彼が自分よりも評価を得るようになったら、それを素直に喜び、尊敬できるでしょうか?

もし、Hさんがほんとうにその趣味が好きで、喜びを感じ、いい意味でのプライドを持っていらっしゃるのであれば、彼のその成長を自分のことのように喜べるでしょう。

けれど、Hさんの中に競争心が強ければ強いほど、彼が頭角を現すことは自分のポジションを奪われるような恐怖にり、強く抵抗を覚えるでしょう。

だから、Hさんは男にどんな目に遭わされてきたのかなあ?男に何か恨みを抱くものでもあったんかなあ?そもそもお父さんってどんな人だったんかなあ?とか思うのです。

こうした競争心は「分断」を生み出します。

パートナーの成功は二人にとっての成功なので、だからこそ、喜びも2倍になり、感動を共有でき、パートナーに感謝も生まれます。

しかし、パートナー間に競争があると、パートナーがうまく行くと嫉妬しますし、自分の方が先に功績を残そうと相手を邪魔したくなります。

Hさんが彼に対してマウントを取られたと感じ、「男」に対して競争心を覚えるのは、実はまだまだ「自信がないこと」の表れでもあります。

もし、自己肯定感が高く、自信のある女性が彼から次のようなセリフを言われたらなんて返すか想像してみてください。

>得意料理の話になったときに「それって誰でも失敗しないやつだよねw」

ぜひ、みなさんも考えてください。

競争心旺盛な武闘派女子のみなさんは、そんなこという男は〇して樹海に捨ててくる、とか、「は?じゃあ、お前作ってみろよ!」と包丁を向ける、とか、「畜生!舐めやがって!」と生霊を3体飛ばす、とかやっちゃうんですけど。そーじゃなくてーーー。さあ、何!?

※正解はありません!笑

で、結局のところ表面的なテクニックを駆使したところで本質が変わらなければ、彼にイラっとするでしょうし、マウント合戦になってしまうでしょうから、

( 再掲)「素のままでいいんでしょうか?」と聞かれたら「そりゃそうでしょ」とお答えする私です。

ということになります。

ここでいう「素のまま」ってのは「今の自分のまま」てことですから、競争心があろうがなかろうが、自己肯定感が低かろうが高かろうが、今の自分で勝負するしかないわけですね。

だから、彼に対しては素のままで接するのが一番ストレスが少なくなりますし、楽しめます。

ここで理想論者は「自己肯定感が高い人みたいに振舞わなきゃ!」と今の自分を否定して理想を追い求めるので疲れちゃいます。

「競争心がある?上等だこの野郎!今のあたしはコレなんだよ!」と啖呵を切れば良いのです。

みんな不完全なわけですから不完全な自分を肯定し、愛し、そんな自分を出していくことがまず大事です。

で、その一方で自分の生き方を狭めてる原因を取り除いて自分を解放してあげるわけですね。
すなわち、「競争心を手放す」とか「男を許す」とか「男好きを素直に認める」とか「お縄を頂戴する」なんてことを粛々と進めていくのです。

そうすると自分もかつてほどの競争心を持たなくなるので彼のマウントが気にならなくなると同時に、不思議と彼もマウントを取ってくることがなくなります。(これがほんと不思議なんだけどね)

そうするとお互いに素のまま自然体で付き合えるようになるってわけですー!

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