ココロのアンダーグラウンド(3/3)~表社会との統合に向けて~

アンダーグラウンドの世界は日の当たらない世界。そこでしか処理できないと思い込んでしまった心を解放し、表社会と統合していきます。
それは強い抵抗を感じるものではありますが、より自由に、解放された気分で生きていけるようになるのです。

ココロのアンダーグラウンド(2/3)~そうせざるを得ない人の心に理解と許しを~から続く

Bさん、Dさんはそれぞれご主人の問題です。
一見、それは自分の問題とは思えません。
しかし、パートナーは鏡、なんです。残念ながら。

だから、奥様方には「夫を変えるのではなく、自分を変える」ことを何度も提案していきます。
そういうパートナーを選んだのは自分ですよね?という風に。

もちろん、顕在意識ではそんな自覚はありません。
誠実な男性だと思っていたし、まさか、そんな人だとは思っていませんでしたから。
だから、それが「自分の問題である」と受け入れることは相当の抵抗がありました。

でも、彼女たちはご主人への愛が深かったんですね。(癒着もありましたけど)
だから、離婚して縁を切ることよりも、愛を選ぶことにしたんです。

Bさんにはご主人とケンカができるようになることをまずは目的としました。
外ではいい人のご主人も、Bさんの前だけでは暴漢のように振る舞い、暴言を吐いていたんですね。モラハラであり、精神的DVでした。
それは辛いことでしたが、彼にとっては奥さんにしか甘えられないんでしょうね。
すなわち、彼にとってはギャンブルがアンダーグラウンドであり、奥さんに暴言を吐いて甘えることもまたアンダーグラウンドなのです。

しかし、深層心理ではそれは自己攻撃が招く結果なのです。
それでBさんにはまず、ひたすら「自分を愛すること」を優先してもらったんです。

ついつい子どもや夫を優先していた日常生活の中に、少しずつ「自分のための時間」を作り、毎日を楽しむこと、を提案していきます。
何年もご無沙汰だったおしゃれをすることにも意識を向け、また、女として、大人として、趣味を持ったり、友達と会ったり、習い事をしたりすることに意識を向けたんです。
だから、積極的にセミナーに参加するなど外に出ることをお勧めしました。

そして彼女自身がまずは「自分を取り戻す」ことにしたんです。
彼女が自分を取り戻すプロセスで、まず子供たちに変化が訪れました。
子どもたちも知らず知らずのうちにママを見習って顔色を伺うようになっていたのですが、だんだん自己主張をすることを覚えたのです。

また、彼女自身もずっとお休みしていた仕事を始めることで自信を付けていきました。

その結果、ご主人に対してはっきりと「No」が言えるようになったんです。
暴言を吐かれても、向かっていくことができるようになったんです。
「夫の言葉が怖くなくなった」と彼女は当時話していました。

でも、その頃には不思議なことにご主人の態度にも変化が現れました。
Bさんに感情をぶつけるのではなく、相談を持ち掛けることが増えて来たんです。
暴言としてしか吐けなかった感情をもっと素直に表現できるように変わっていったんです。

そして夫婦で「一緒に解決していきましょう」って約束を交わすまでに至りました。
彼女は“本気で”「彼の借金は私の問題」って思えるようになっていたんです。

その“本気”に、ご主人の方が気圧されたような形になりました。

そして、彼女は心理学を学ぶことで得た知識と経験をもとに、ご主人の専属カウンセラーのような立場を獲得していきます。
詳細は省きますが、彼女は彼のお父さんとの問題を解決する手助けまでできるようになったんです。

その結果、ご主人は「お小遣いの範囲でパチンコに通う」ところまでたどり着いたのです。

また、Dさんはご主人の人には決して見せない心の闇を見つめていきました。
彼は子供時代からずっと孤独で、誰にも心を許さず、信頼しない人生を歩んできたのです。
あるセミナーで彼女は彼のその孤独感とつながることができ、大粒の涙と共に彼の女性関係を瞬間的に許すことができました。

Dさんが「彼に女がいてもどうでもよくなった」と語ってくれたのは印象的な出来事の一つです。
そして、彼のその心の痛み、闇を癒したい、と近い、この問題に腹を括って向き合い始めたのです。

その結果、彼もまた変わらざるを得なかったのでしょう。
2人の間に子供を作ることを提案し、積極的に家庭に向き合うようになっていったのです。

そこまでは約1年の年月が必要でした。
彼女も仕事をしていましたので、幾度となく彼女の方が離婚したくなり、彼にその話をしたこともあります。

しかし、やっぱり彼のことを愛していたんですね。
「見捨てることなどできない」と向き合い続けてくれた、すなわち、コミットメントをし続けてくれたのです。

彼の仕事をサポートするマネージャーになりました。
今までにないくらい甘えてくる彼に、時に鬱陶しさを感じつつも、滾々と湧き出る愛情に幸せを感じるまでになりました。

Cさんに戻りましょう。
Aさんと似た感じでしたが、彼女は「いい子」をしてきたというよりも、ずっと「姉」に対してコンプレックスを感じて来た存在でした。
何かと比較され、ダメ出しをされ、自尊心をすっかり傷つけていたのです。
だから、そんなことはないと外の社会で成功することで、家族を見返そうとしてきたのです。

しかし、裏返せばその人生は「家族から認められるための頑張り」だったんです。
「これくらい成功すれば愛してくれますか?」
「これくらいちゃんとすれば認めてくれますか?」
そんな思いから彼女は社会的成功を追い求めていたんです。

だから、結婚して、一児の母となっても、その意識はどこか実家の家族を向いていました。

Cさんと長年不倫関係にある男性や、遠距離でたまにしか会えない男性たちはみんな、そんな彼女をそのまま受け入れ、愛してくれる存在でした(実際はそうではないのですが、彼女にはそう思えていました)。

自分を認め、許し、受け入れてくれる存在としての彼らは、彼女の傷ついた自尊心を癒す、貴重な存在だったのです。
それこそ、アンダーグラウンドですね。

Cさんにとってもまた、そんなダメな自分を許すことが目標になりました。
しかし、家族に対して攻撃心を持ち(同時に罪悪感を持ち)、また、自分が今していることに対しても、優しいご主人やかわいい子供に罪悪感を持っていますから、それはなかなか困難な道のりでした。

自分を受け入れることがこんなにも難しいことだとCさんは教えてくれたようにも思います。

ダメな自分を彼女は私の前でも表現するようになりました。
それは私にとってはうれしいことでしたから、そのたびに前向きな対応をしていると、徐々に彼女は本音を話してくれるようになったんですね。

そこからは本当に家族との関係が良くなっていったんです。
愛情を感じないと言っていたご主人のことが愛おしく感じられ、子どもを作って以来拒絶していたセックスもできるようになり、また、一人娘にも愛情を感じられるようになっていきました。

彼女には幾度となく「目の前にいる、傷ついた女の子(=自分)を愛してあげましょう」というセラピーをしましたし、女神さまというシンボルを使い、罪悪感で穢れた自分を捧げるセッションをしましたし、また、家族(特にお母さん)に自分を愛させるようなイメージワークもしていきました。

そうして、少しずつ自分を許せるようになり、長年切れなかった男性との距離を空けることができたんです。
Dさん曰く「会うことがほんとうに苦痛になり、もう会わなくても大丈夫と思えた」とのこと。

今ではそのエネルギーを自分のビジネスに向けていらっしゃいます。

最後にEさん。
始めはご主人へぷっつんしてしまった愛情を取り戻すことが目標でしたが、結果的には離婚を選択されたんです。
Bさん、Dさん同様、ご主人ではなく、自分自身の問題としてご主人のアルコール依存や精神的な弱さを受け入れ始めたとき、「私がやるべきことはすべてやった」と悟るに至ったんです。

彼女には「癒着を切る」テーマを提案しました。
実はご主人だけでなく、お父さんもまたワーカホリックな上に暴力的でアルコール依存という問題を持っていたので、家族代々の問題だったんです。

そして、彼女自身に人を癒す才能があり、また、非常に深い愛があり、それゆえ、傷ついた男性ばかりを求める傾向があることに気付いていったんです。
だから、彼女はお店で出会う男性一人一人に愛情を感じ、また、傷ついた男性を放っておけなくてどこまでも相手をしてしまう傾向にあったのです。

「それは人生をかけるんじゃなくて、お金を取ってちゃんと癒すことをお仕事にしたらどう?」って私は提案していったんです。

もちろん、Cさん同様、罪悪感を癒すことは先決でしたが、同時に、どれくらい自分が助けたい存在で、それだけの力を持った女性であるのかを受け入れていったんです。

その結果、彼女は今はセラピストとして自立され、新たな人生を歩み始めています。

人によっては数年にわたるプロセスを数行で説明するのは難しいのですが、アンダーグラウンドに潜っていたマインドを表の社会と統合していくことで、新たな世界がそこに開かれる事例をご紹介させていただきました。

それぞれが自分を癒し、自分を取り戻すことに意識を向け、そして、自分を愛することに目を向けました。

一般的には禁忌とされるアンダーグラウンドの世界を否定することなく受け入れ、その意味を知り、表の社会に活用していくことで、精神的なバランスが取れていくことを彼女たちの事例は教えてくれました。

人は弱いもの。
だから、表では立派な存在であっても、アンダーグラウンドに人には見せられない世界があります。
それを嫌悪し、否定し、正すのではなく、その世界を受け入れ、許していくことが解決へのプロセスではないかと思っています。

まこと長文になりましたが参考になりましたら幸いです。

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