ウチナーンチュと行く沖縄紀行。



「牧志の公設市場ほど有名じゃないんだけど、セリもすぐ横でやっているし、美味しい魚があるんだよね」と生粋のうちなーんちゅでありながら標準語っぽいイントネーションで友人が言う。

この日は妻は1日セミナーで、子どもたちを預かるパパとなった私は友人の申し出に甘えて「地元民が知っている沖縄ツアー」を堪能することした。
その第一弾として連れてきてくれたのが彼の家からほど近い市場であった。

私は「僕はここめっちゃ好きなんだけどねえ」と遠い目をする。
娘は興味なさげにDSに目を落としているし、息子は早く走りたそうだけど我慢してパパたちに付き合ってくれている。イラブチャーなどの熱帯色をした魚やずらっと並んだタコを見て興奮しているのも、どこか気を使ってくれてるように見える。

セリの会場がガラス越しに見えるこの市場で私はとてつもなくテンションが上がり、新鮮なお魚(しかも激安)に目を奪われるのである。
牧志の公設市場ほど店も人も多くないが、ここはプロが訪れるような空間であった。

朝早かったのでまだ「酒!」という気分ではないが、代わりに「白いごはん!」への欲求は抑えがたきものがあった。

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結局、現物を目の前に差し出されると弱いのである。
本物の県産の生マグロの刺身を1パック購入し(しかも、これで580円だ)、一口食べれば奴らは次々と「あーん」と要求してくる。退屈そうだった目は輝き、「これおいしいね!」などという素直さは見習わなければならないだろう。
久々にうまいマグロを食った気がした。

「すごく長い滑り台のある公園があるんだけど・・・」と遠慮がちに友人は言う。
異論はあるまい。子どもたちはすでにテンションを上げている。

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私たち夫婦、もしくは、ママ友たちの中では「放牧」と呼ばれているのだが、これだけ広い公園に入れば子供たちはオートマティックに歓声をあげて走り出す。
やはりこの素直さと行動力と体力は見習うべきであろう。

長い長いローラー滑り台は横を走る高速道路に突っ込んでいきそうなスリルと、いきなりスピードアップする下り坂と、「まだ終わらないの?」と正直思いたくなるコースの長さによって利用者の心を掴んで離さない。
娘も息子も幾度となく上り下りを繰り返している。
こういう遊具のいいところは下った分、登らなきゃいけないということで、そこで足腰が鍛えられるのだ。

とはいえ、40を過ぎたオッサン二人には過酷な山道には違いなく、お互いの運動不足を慰めあいつつ、ベンチに腰を下ろすのであった。

正直、もう少し上りが楽であったらあと2、3回は滑りたいところであった。

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ふだん、我が家の食卓に肉が並ぶことはない。
ゆえに、ママもいないこの状況で子どもたちが要求するのは定番の「ハンバーガー」であった。

ここ沖縄にはソウルフードと呼ぶべきハンバーガーチェーンがある。
そう、A&W(通称:エンダー)だ。
そして、ここはものすごくアメリカンナイズされたチェーン店で、ドライブスルーならぬ、ドライブイン方式を未だに採用している。
すなわち、車をずらっと並んだ屋根の下に入れ、目の前にあるインターフォンにて店を呼び出し、注文を伝える。

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この年代もののインターフォンがいい。
チャチな作りに見えて音声は非常にクリアだ。
思わず、ここから伸びてる配線はまがい物で、この小汚い箱の中に携帯電話が仕込まれているんじゃ?などと想像してしまった。

そして、待つこと10分。オーダーしたセットを車まで運んできてくれるのである。

その味にアメリカを感じるなあ、と子どもたちがオーダーしたポテトやバーガーやチキンをかじって思うのだ。「おぉ、これこれ」って感じ。アメリカにはまだ行ったことはないけれど(笑)
でも、やはり濃厚過ぎて40過ぎのオッサンの口には厳しいな、と思えば、子どもたちもなんだかんだ残してしまった。

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オッサンはバーガーよりもそば(沖縄そば)である。

「近くにおいしい店があるんで・・・」と、ゆし豆腐入りのそばを食べに行く。

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このそばはちぢれ麺でありながら少し太目であり、ゆし豆腐がいい感じのアクセントとなってどれだけ食べても飽きさせない。
何よりも「体にいい気がする」というのは何よりも嬉しい。

チーズバーガーを1個で断念した娘も、中サイズのそばをがっついていた。

子どもが嬉しいものと、親が喜ぶものは違う、という典型的な例がこれであろう。

「室内で遊べるところがいい!」と主張する娘に対し、親としては「せっかく沖縄に来たんだし、天気もいいんだし、過ごしやすいんだし、公園とか牧場とか海とかが良くない?」と思うのだ。

で、結局、娘の意見が採用され、友人の言う「波之上に新しい室内で遊べるところができたんで・・・」というお店にやってきた。
波之上と言えば、ビーチもあるし、お宮もあるのに・・・と思ってしまうのは親のエゴであろう。

まるでここで生まれた子供たちのように、観光客ゼロの遊び屋にてテンションをマックスに上げていた。

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子どもたちにとっては沖縄だろうが、大阪だろうが、あまり関係ないのであろう。
楽しいことが大事で、楽しいことは大阪でも沖縄でも同じなのである。
室内の様々な遊具で遊ぶことが好きな子どもたちは、ただ沖縄でも同じ原則で動いているだけである。
それを「せっかく沖縄に来たんだから」というのはまさに親のエゴに過ぎない。

そういう意味で子どもたちはものすごく正しいし、自然だ。

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この施設の素晴らしいところは追加料金なしにコスプレが楽しめるところである。
4歳児の郵便屋さんに結局萌えてしまい、ここに来たことを心底喜んでいるのである。

それにしても、この最新の施設は素晴らしい。
何が素晴らしいって子どもたちの遊具ではない。
椅子やテーブルが並んでいるスペースには「コンセント」が付いており充電切れの心配なくスマホを使える。
何ならパソコンで仕事もできる。
しかも、奥のスペースにはコミックスを並べた棚があり、ラインナップを見る限り、どう控えめに見ても12歳以下の子どもを対象としたものではない。すなわち、ママに「たまにはどっか連れて行ってあげなさいよ」と言われて家を追い出されたパパがここに来れば子どもたちを放牧させながらマンガを読んで時間をつぶせる、という画期的なシステムが構築されているのである。
とりあえず私も「進撃の巨人」を3巻ほど読破し、そのシステムのありがたさを身をもって体験したのである。

さて、この日はレンタカーで移動したのだが、返却前に満タンにしたガス代はわずか600円少々であった。
沖縄紀行と銘打ちながらも、那覇と浦添を行き来しただけの非常に地元民的な休日であった。
とはいえ、日常の延長で遊べた子どもたちにとっても幸せな一日であり、各地で地元に溶け込みたい私としてもまたものすごく幸せな1日であった。

ホテルに戻るなり、セミナーを終えた妻が「呑んべえ2人が素面で一日遊んでたの?信じられない?ほんとに一滴も飲んでないの?」と言っていた。
ええ、飲まなくても楽しめるんです、たまにはね。でも、ぜひ、次回はビールとシマ酒持参で市場巡りをしましょうぜ(笑)

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