夫婦は同じ問題で苦しむもの。



夫婦のような深く近しい関係だと表面的には全然違う問題なのだけど掘り下げてみれば同じ問題を抱えていて、それでお互いが密かに苦しんでいるものです。
それぞれの慢性的な問題が、夫婦の慢性的な問題や繰り返し起こる問題を作っていると言っても過言ではないのです。

「夫婦は同じ問題で苦しむんだよ」と聞いてどんな感じがするでしょうか?

これ、意外かもしれないけれどなかなか核心を突く重要な視点となるものです。

「パートナーシップは対等である」という話もちょくちょくさせていただいておりますけれど、だからまあ、夫婦ってのは同じ問題で苦しむ/悩むってのも何となく分かるような気がします。

けど、この「問題」というのは「表面的なモノ」ではありません。

だからイマイチピンとこない方が多いだろうと思います。

そして、この夫婦共々が抱える問題というのはお互いにとって「慢性的」なものであり、それゆえに、お互いにとって「タブー」になることが多いのです。

ちなみに「夫婦」と言い、「パートナーシップ」と表現しないのは、その親密さ、関係性の深さの違いがあるからです。

パートナーでも長年連れ添う関係であれば今日のテーマにしてもらってもいいのですが、お付き合いして数年以内ってことであれば、まだまだその中核的な問題は表面化していないことも多いものです。

まあ、それくらい深い問題が出てくるってことですし、なかなか気づきにくいものでもありますし、何ならカウンセリングを受けたからって必ず触れる問題でもありません。

例えば「夫の浮気が発覚した!しかも3度目!」なんて話が出てきたとします。

それを聞いて某カウンセラー氏は「2度あることは3度あるってほんとうなんですねえ」などと呑気に答えてしまうため、「は?」とその場の空気が一気に凍てつくことも珍しくありません。

基本的に初犯だろうが再犯だろうが「へえ、夫が浮気したんや。なんであんたは浮気させたんや?」と老獪な刑事の如く調べを進めていくもので、要するに「浮気に至る原因ってのは彼のキャラの問題だけじゃねえよ、あんたらの夫婦関係にもあるんですぜ?」という視点を持つからです。

「今回はな、夫の方に芽が出ただけでな、タイミングひとつ間違えりゃ、あんたが浮気してたかもしれないんだぜ?」というわけです。

もちろん、その場の空気は凍てついたまま、「は?お前は何を言うてるんや?」と一発触発な空気にもなるわけですけれど、「まあ、みなまで聞きねえ」ということで淡々と(でも震えながら)話を進めることにしております。

そこで事情聴取を進めていきます。

「旦那さんはどんな仕事をしているんだね?忙しくてストレスを溜め込んでいるのかい?」
「夫婦関係はどんな感じだったんだね?仲良くしているつもりだったってことかい?」
「何かお互いに我慢してることか、相手に合わせてるってところはないかい?」
「なんとなくお互いにタブーにしてるってことはないのかい?」
「あんたの旦那さんってどんな性格なんだい?」

そこから話は大風呂敷を広げるかの如く展開していきます。

「今まではどんな恋愛をしてきたんだい?ちなみにあんたは浮気したことってあるのかい?」
「別れ方に共通点みたいのはあるかい?いつも自分が飽きて次の男に乗り換える的な」
「家族とはどんな関係だったんだい?両親は仲良かったのか?きょうだいの関係はどうだったのか?」
「ちなみにあんたの仕事についても教えてくれんか」
「趣味とか推しとかあるのか?また夫婦の共通の趣味みたいのはあるのか?」
「彼の実家の家族はどんな感じなんだい?」
「彼の今までの恋愛については聞いてるかい?」

まあ、私は全体像を把握したい人なので一見関係ないと思われるところもお聞きするわけですけれど、ここに書いた質問事項も入口でして、そこから話を膨らませることも多いものです。

そうしてお互いのことを根掘り葉掘り聴いて把握していくと「なんでこの夫婦に浮気っていう問題が生まれたのか?」という点がはっきり見えてくるものです。

というか、そこがはっきり見えるまで事情聴取は続くってことです。

そうしてあれこれ話を伺っていくとお互いに何となくタブーにしているテーマとか、ボトルネックになっている問題とかが分かってくるわけです。

「お互いにお金についてはアンタッチャブルになってんだねえ」
「お互いの両親については相手任せになってしまってる感じよね」
「子どもについてだけは役割分担がきちっとできすぎてないかい?」
「セックスについては暗黙の了解って感じになってるよね?」
「なんかお互いの仕事については口を出さないようにしてるんじゃね?」
「お互い大人になりすぎてる感じってしない?きれいごとって言うと言い過ぎかもしれないけどな」
「仲がいいのは認めるけど、将来の話になるとお互い口をつぐんじまう感じやね」

例えば、最近あった事例をご紹介しましょう。

夫が3度目の浮気(未遂含む)をしでかそうとしていることが判明したんですね。
でも、前回のとき大揉めに揉めて、夫は泣いて謝罪してくれたし、けっこうややこしいことになったから「もう二度としない」という夫の気持ちはウソじゃないと思っていた妻。

だから、ものすごくショックだったわけですね。

で、一般的には「夫に裏切られた」と解釈して当然ですし、「夫の涙の謝罪はウソだった」と思って不信感を募らせるかと思うでしょうし、「夫は病気ですよね?浮気症なんですよね?どうしようもないですよね?」と思いたい気持ちも分かりますが、カウンセラーてのはそういう見方はあんまりしないのです。

「そこまで反省して、二度としないと神にも妻にも誓ったにもかかわらず、浮気を繰り返そうとしているのは何かまだ見えてない事情があるのではないか?」と捉えるのです。

「夫氏は浮気をすることで何を得ようとしていると思います?」

その答えは色々あると思います。

「チヤホヤされるのが嬉しいのでは?」
「あたしとのセックスに満足してない?」
「あたしから逃げたい?」
「なんか調子に乗ってる?」
「求められると断れない性格だから?」等々。

ほんとうの答えはご本人にも分からないかもしれませんが、側にいる妻の見解ってのが大事なのですね。

例えば、夫の浮気問題でよくあるのが「妻が夫の愛情にあぐらをかいてる事件」です。

妻が家庭を実効支配しており、妻が女王であり、夫が平民もしくは奴隷であった場合、自立心を持つ夫はその状況が苦しくなって「安息」を外に求めるようになるものです。

となると妻から支配されてる夫は、自分が支配できる(思い通りにできる)女性を求めるものでして、その結果「職場の部下」とか「夜のお店の嬢」などにターゲットを絞ることになります。

そして、妻から逃げて、かつ、チヤホヤされることに喜びを覚え、自尊心を回復するのです。もちろん、必要とされる、求められることで自分の存在意義を感じることもありますね。

※余談になりますが、始めは自分が支配しているつもりでも、「支配されることがパターン」である夫氏は、気が付けば妻と同じような関係性を浮気相手との関係でも再現してしまい、求めてるものが手に入らないばかりか、支配される側になっているがゆえに浮気相手と別れようと思っても別れられないという矛盾に密かに悩むものです。

で、そこで意地悪で性格がひん曲がっているカウンセラーは夫の浮気に悩む妻にこんなひどい質問をするんです。

「もし今、めっちゃイケメンでダンディでジェントルマンな男性が現れたらどうします?」

そこで「そんなのきっぱり断ります!」とおっしゃる奥様もいないことはないのですけれど私はほとんどお会いしたことがありません。

「えー、あたしも浮気しちゃうかもー」と素直に答えられる方もいれば、「さすがに浮気したら夫と同じになっちゃうからそれはイヤだ。けど、やっぱりちょっとは甘えたりしたいかなあ。相談に乗ってほしいとか思っちゃうかなあ」と正直に答えられる方もいます。

みなさんならどうします?

しかも、さらにそのカウンセラーは奥様に追い打ちをかけるらしいのです。ひどい。

「そのジェントルマンな男性が(根本さんと違って)優しく丁寧に話を聴いてくれた上に、(根本さんと違って)『大変だったね。よく頑張ってますね。』とか言ってくれたらどうなります?」

「いや、そんなんだったらあたしもう耐えられないっ!」と素直におっしゃる方もいれば、「さすがにそこで流されたら夫と同じことしてるわけで頑張って耐えます!けど、2、3回押されたらヤバいかもしれん」と正直におっしゃる方もいます。

そこでそのカウンセラーはさらに具体的に追い込むのです。

「じゃあ、手をつなぐくらいはOK?チューは?ホテルは?」

そこで「えー、そんなのホテルに行っちゃうに決まってるじゃないですかー」と素直におっしゃる方もいれば、「えー、さすがにホテルは・・・我慢する!けど、チューくらいは・・・しちゃうかも・・・」と正直におっしゃる方もいます。

何となく誘導尋問みたいでしょ?笑

まあ、最後には奥様も冷静になられて「そんな男、いないもん。」と話を切られるのですけれど、敢えてちょっと大げさな話をしてますけど、そこまでイケメンでダンディでジェントルマンじゃなくても危なげな思いがあることにお気づきでしょうか。

「誰でもそうじゃねえの?」って思われるかもしれないんですけど、意外とそうでもないのです。

むしろ「いや、もう男なんていらん」モードになることもあるものです。

もちろん、中には復讐心を燃やして「見返してやる!」ってパターンもあります。

そうするとそんなカウンセラーはおもむろにこんな話をするのですね。

「お互いの恋愛観とか結婚観って話したことある?」

実はこの実例でもそうなのですが、多くの場合、「後ろめたい過去」とか「夫には言えない密かな想い」を隠していることが多いのですね。

つまり「浮気、ゼッタイダメ!!」と言えない気持ちが自分の中にほんのりあるんです。

もちろん、そこにがっつり蓋をしちゃってるケースも少なくありません。
だからこそ、さきほどのような意地悪な質問をするっちゃするんですけど、「いやー、結婚したって少しくらい遊んでもいいのでは?」「いい人がいたら惹かれちゃうのも無理はないよね?」「そんなあと腐れない関係だったら悪くないと思う」「夫や家族に迷惑をかけなきゃいいんじゃね?」みたいな思い、実はありませんか?

そこで「絶対ない!!」と言い切ってしまうのもまた怪しいですけどね。

でも、そんな話、夫婦ではなかなかできないと思うのです。

よほどの信頼関係があったり、オープンな関係じゃなかったら言えないですよね。
冗談や過去の話として言えたりすることはあるかもしれないけれど。

ましてや「夫に言えない過去とか秘密」があるならば、そんな話したくないですよね。

そうするとお互いの結婚観や恋愛観はなんとなくうやむやになって封じられ、「夫婦なんだから誠実であるべき。浮気なんてもってのほか」というルールで隠されていくのです。

もちろんそれはお互い様ですから夫氏の方にもなんかあるのです。

結婚したってチヤホヤされたいとか、やっぱ男だからかわいい子がいたらエッチしてみたくなるとか、妻のことは愛してるけどたまには遊んでもいいんじゃね?とか。

もちろんそんな話を妻にするのは恐ろしすぎますからやっぱり隠されます。

こうしてお互いのその部分が「タブー」となっていくのです。

この「タブー」は言い方を変えれば「弱点」ということになります。

よってその弱点において「問題」が起こるのです。

表面上は夫が浮気してるわけですから夫が悪い、ということになります。
しかし、妻は妻で、後ろめたい何かがあるとすれば、お互いに弱点を突かれたことになって、その件はルールや罰則で処理して深い話をするところまでは至りません。

私はカウンセラーとしてかつてその辺の正直な意識を夫・妻それぞれに話してもらい、そののち、私の前でその件について夫婦で話をしてもらったことが数度あります。

喧嘩になると思いきや、意外と同じような恋愛観・結婚観を持っていることに驚き、そして、「似た者同士だったんすね」とすごい安堵感が流れた現場に立ち会いました。

さて、今回紹介した事例では結婚観・恋愛観がタブーになっているって話を紹介したのですが、それが「夫婦は同じ問題で苦しむ」ということになるかというとまだ実は少々足りないのです。

「問題」というのは「感情」が作ります。

だから、その結婚観・恋愛観によって生まれる「感情」が「問題」を生みます。

今回の例で言えば「罪悪感」がそれに当たります。

お互いにその話をタブーにするのも、そこが弱点になるもの、そこに「罪悪感」があるからです。

そしてそれをお互いに(カウンセラーの前だから仕方なく)オープンにしたところ、つながりが生まれ、それによって「許されている」と感じたがゆえに、「安堵感」がどばっと出てきたわけです。

それは例えば「ほんとうは結婚したら他の異性に目移りなんてしちゃいけないのに、自分は異性に興味を持ってしまっている」というような罪悪感です。もちろん、それを行動に移してしまったらさらに罪悪感は増しますし、罪悪感ってのは罪が罪を呼ぶものですから再発を招き、さらに罪悪感を増すことにもなるもんです。

だからこの問題を解決していくには「他の異性に目移りしちゃいけない」という思い込みをどうするかを考える必要があるのですね。

お互いに「ここまでは良しとしよう」みたいな話し合いができることが理想です。
しかも、本音で。

ちょっと難しい話になってしまったかもしれませんが、そもそもこのテーマはけっこうややこしく、タブーに触れる話題ですのでピンとこないものかもしれません。

しかし、心の蓋を開けてタブーと向き合っていくと、お互いがどんな問題で苦しんでいるのかが見えてくるものです。

そしてその結果、より夫婦の絆を深めることができるのは言うまでもありません。

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夫婦は同じ問題で苦しむもの。


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