自分を大切にしてくれる彼ができたのに、自分をひどく扱う元カレのことが切れないのは「癒着」しているからですか?



自分のことをひどく傷つけるような言動をする彼とはすっぱり縁を切ったほうがいいってことは誰でもわかるのですが、それができないのはそれなりの理由があるのです。
つまり、強烈な自己嫌悪が内側にあり、それを元カレが体現してくれている、という見方が成り立つのです。
そして、それは「癒着」となり、切ろうにも切れない状態になってしまうのです。

2023/8/17掲載『育った「家」のイメージがネガティブだと、意識が「外」や「未来」に向かい、「今」を生きられなくなってしまうし、罪悪感から自分を穢れた存在として扱ってしまう。』でお世話になりましたNです。
ネタとして取り上げて頂きありがとうございました。根本先生から『家に対するネガティブなイメージを変え、彼と復縁したいのなら彼を迎え入れる家を整える必要がある』と言われ、正直ドキッとしました。
なぜなら、それをやりたくない(特に彼のために)という本音が出てきたからです。

それでも彼との復縁を願い自分とも向き合いつつ待っていたところ、数年前から友人関係だった男性から告白されました。
改めてその男性の魅力、男らしさ、居心地が良く楽しい、私を大切に想ってくれる所に気付き、新たに前に進めるかな?と思い始めたタイミングで、再び音信不通だった彼から連絡が来るようになりました。
当初復縁したくて連絡してきたのかなと思ったのですが、実は音信不通の間に彼女が出来た、と言うのです。
それなのになぜ連絡してきたのか聞くと、「お前が離婚しないからこうなった。今は彼女が最優先。お前はセフレ。でもお前が離婚したら彼女とも別れる」と意味不明なことを言ってくるのです。
その後何回か彼と会ってみたのですが、彼の態度と言えば【彼女がいかに若くて可愛くて素直で良い娘か自慢してくる、身体の相性が良いと言ってくる、頼んでもいないのに彼女の画像を見せようとしてくる】それに比べてお前はくたびれたおばちゃんだ、お前との予定は後回しだ、この状態が嫌ならいつ終わらせても良いんだぞ等、相当酷いことを言ってきます。
こんな関係は望んでいないと彼にも伝えているし、キッパリ関係を終わらせて新しい彼と前に進めばいいとも思うのですが、連絡が来れば嬉しいし会いたくなって会う→また酷い扱いをされて傷つく、を繰り返してしまうのは、私が彼と癒着しているからなのでしょうか?
また、彼とはもう同じステージにいないような感覚(私の方が数段上に上がっちゃった感じ)もしています。
彼との関係にはウンザリしているのにやめられない。そんな自分にもウンザリしてるし、もういい加減幸せになりたいんです。そうするには一体何が必要なのでしょうか?
(Nさん)

>新たに前に進めるかな?と思い始めたタイミングで、再び音信不通だった彼から連絡が来るようになりました。

これってほんと不思議ですよねー。
よくあるんですよねー。
「ええ、なんで?もう大丈夫と思ってたのにー!!!」と執着がぶり返すこともあるし、そこでスパッと「は?あんた誰?」と斬れる人はいいのですが、なんやかんや会いに行ってしまい、再び泥沼化することもよくあるものです。

お気づきの通り「癒着」があるのかもしれませんね。

で、依存症の相談というのもちょくちょくありまして、私の元に寄せられるのはアルコールやドラッグ、ギャンブルの類ではなく、恋愛・セックスや食べること、そして、忘れちゃいけないハードワークと言ったものが多く、ご自身も依存症とは気づいていないケースが多いものです。(ま、別に気付いてなくてもいいのですけれど)

過日「ポルノ依存かもしれない」という方をカウンセリングしたんですね。
それは一般的には男性が多いと思われるんですけど、やっぱり女性にもいないわけではないようで、その方は1日に何度も動画を見てしまう、暇さえあればサイトを開いて見入ってしまう、とのことです。

そして、だんだん内容も過激になってきて自分では決して望んでないのに複数人とのプレイやレイプ的な内容、拘束プレイなどの動画ばかりを見てしまい、見てないときにもそのシーンを思い浮かべてしまうのでさすがにヤバいと思うようになった、という相談でした。

でも、そこまで依存してしまうとなかなか脱却するのは難しいんですよね。
酒やたばこやギャンブルをやめたいと思ってもやめられず、やめられない自分に自己嫌悪をひどく覚えるにも関わらずやっぱりやめられない、という負のスパイラルにハマることはみなさんも想像に難くないと思います。

女性の場合は「甘いもの依存」というのもけっこうよく耳にしますが、思わずドキッとされた方、それをやめることの難しさは強く実感されてると思います。

確かにコロナ禍を経てそうした依存症的なモノは増えてますね。
相当なストレスでしたものね。

という一見関係ない話なんですけれど、「彼との関係ってある意味、それと同じなんですよ」とお伝えするカウンセリングって実に多いわけです。

それで「彼との関係を切ろうってのは酒やたばこをやめるくらいのつもりで取り組んだ方がいいんですよ」とお伝えするんです。

 心にも体にも良くないと分かっているのに飲んでしまう。
 飲むとしんどいって分かっているのにやめられない。
 飲むことにひどい自己嫌悪や罪悪感を伴うのにやめられない。
 近しい人にはそんな自分をとても見せられない。
 そんな辛い思いを一時でも忘れるために飲んでしまう。
 それでまたひどい自己嫌悪になり、時には鬱っぽくなってしまう。

アルコール依存の初期に現れる心理的状態なのですけれど、これ、そのままその彼に当てはまりませんか?

まあ、アルコールなどの問題は科学的にも脳への影響が原因とされていまして、必ずしも感情だけの問題じゃないとされていますけどね。

でも、その腐れ縁の彼のことはそんな風に理解されると良いと思うのです。
つまり、どんだけウンザリしようが、どんだけイヤな思いをしようが、アルコール依存の人が断酒するくらいの覚悟が必要なんだぞ、という意識を持った方がいいと思うのです。

その方が「癒着」を早く切ることができます。

男女関係の癒着(依存症)の恐ろしさを少し伝えさせていただこうと思います。
というのも案外Nさんと同じ“症状”の方にはよくお会いしますので、けっこう情報持ってるんです。笑

会うとひどいことを言われる。
嫉妬を煽るようなことから、自分を否定するような言葉。
ほんと言葉の暴力を振るわれている感じ。
セックスだってもちろん愛情を感じない。
一方的に相手の欲を満たすために体を捧げてる感じで、風俗嬢の方がまだマシじゃないかと思われるくらい。
彼と離れても虚しく、寂しく、辛いだけ。
そして、そんな彼に会いに行く自分を猛烈に嫌悪している。
彼に言われる言葉よりもひどい言葉を自分自身に投げかけている。
もう会いたくないし、声も聞きたくないし、顔も見たくないと思うけれど、呼び出されるとなぜか嬉しくなって会いに行ってしまう。
たまに彼に呼び出された日に用事が入っていると「行かなくてもいい」と思ってひどくホッとする。
けれど、彼に対して強い罪悪感も出てくる。
そして、自分から他の日を提案してしまう。
もちろん、そこではさらにひどいことを言われるし、性奴隷のような扱いを受ける。
分かっているのにやめられない。
友達や家族に言ったらバカにされるし、怒られるから言えない。
ネットで同じような人を見つけて自分ひとりじゃないとホッとする。

しかし、これだけだと「執着」であって「癒着」にはなりません。
つまり、彼もまた彼女(Nさん)に「執着」しているのです。

もっと優しくしてあげたいと思うのに、なぜか彼女に対しては暴言を吐いてしまう。
甘えなのか分からないが、他の人の前では出ないひどい自分が出てきてしまう。
彼女を傷つける言葉が勝手にあふれてきてしまうし、自分でもひどい奴だと分かっているのにやめられない。
彼女が泣き出してもその言葉は止まらず、命令口調でまたきついことを言ってしまう。
なぜ自分がそうなるのか分からない。
彼女が従順だからか相性なのか、全く気を遣わくて済むのは楽だが、逆に、そんな風に接することができるのは彼女だけだ。
だから、イライラしたときや疲れているときに彼女を呼び出してしまう。
そして、一方的に奉仕させることで欲を満たそうとしてしまう。
もちろん、彼女に対してはひどい罪悪感がある。当然そんなことは言わないが。

Nさんのその彼がこんな風に思っているのかどうかは分かりませんが、大筋は間違ってないと思います。

「癒着」には「罪悪感」が絡んでいます。

お互い相手に強い罪悪感を持っているがゆえに、やめられないのです。

だから根っこはだいぶ深いです。

暴言を浴びせかけられたり、性奴隷のような扱いをされたりするのはそりゃあ辛いですし、痛いですし、イヤですし、ほんとやめてほしいし、逃げたいと思います。

けれど、こういう見方があります。

「内なる自己攻撃がそういう形で表れている」

つまり、自分自身に対する強い否定的な思いを現実化しているんです。

だから「なんでそんなひどい彼と付き合ってるの?さっさと別れなよ!」と友達に言われたとしてもできないのは、彼と別れたとてそのひどい自己攻撃がなくなるわけじゃないからです。

そして、それは彼もまた同じなのです。

ものすごく気を使って生きている彼が唯一気を許せるのが彼女、みたいな。
自分に全然自信がなく、強がってばかりの自分が唯一素の自分を出せるのが彼女、みたいな。
猛烈な自己否定を持っていて、それを彼女にぶつけてしまうからやめられない、みたいな。

だから、彼の「お前なんか嫌いだよ。サイテーな女だよ」という言葉はすべて自分自身への言葉なのです。

そういうわけで、Nさんや同志のみなさまの話を聴いていると、「まあ、彼もまた彼女に相当執着してるんだろうなあ」という風に見るわけです。

だから、お互いさま、です。

例えば、Nさん。

「数年前から友人関係だった男性」とお付き合いされてるんですよね?

自分のことを大切にしてくれ、とても安心でき、居心地がよく、幸せだなあ、と感じられる時間も多いと思います。

まあ、ほんとうに典型的だなあ、と思う事例なんですけど、Nさん「何か刺激が足りん!」とか「ほんとの意味で気を許していない」とか「どこかいつも緊張している」という気持ちはありませんか?

「この人の前では自分の汚い部分を出せない」とか「なんかいい彼女を演じてなきゃいけない」とか「素の自分を見せたら嫌われそう」とか思いませんか?

よく「旦那もいるけど彼氏がいる問題」を取り上げていますけれど、表の彼氏・夫がいい人であればあるほど、自分のことを大切に扱ってくれるほど、罪悪感の塊である自分はアンダーグラウンドに逃げ込もうとするんです。

つまり、そのひどい彼というのはNさんの心理的な闇を担当してくれる存在で、だから別れられないし、切れないのです。

二人揃ってバランスが取れる、みたいな。

もちろん、これは表の彼氏がいなくたって同じですけどね。
職場、友人関係、表の社会で「いい人」をやってる分、自分の汚れた部分を処理する場所が必要になりますね。それがアンダーグラウンドってやつです。

ということで、まあ、表面的には「そんなひどい彼をすっぱり斬って、新しい彼と前に進みましょうよ!」という話になるのですが、心理的に見れば、そのためにしておく下ごしらえがあるわけです。

そろそろその強い自己否定的感情を手放しましょう。
罪悪感を手放すべく、自分を許しましょう。

となると育った家庭の問題まで視野に入れる必要が出てくるのかもしれませんね(ヒステリックな母との関係を扱うなど)。

つまり、「自分はその彼からそれだけひどい扱いを受け意味がある」という前提があるので、それを崩して行かなきゃいけないわけです。

それに、人は一定期間ひどい扱いを受けるといわゆるマゾ(M)的な快楽を覚えるようになるのですが、それは、唯一彼の前でだけ抑圧していた自己否定を解放できるからなんです。

彼のひどい言葉に傷つく一方で、それに納得している自分もいるのです。

つまり「自分はくらびれたおばちゃんで若くも美しくもないし、セックスはうまくないし、大事にされるほどの価値もない。こんなひどい扱いを受けるのは当然だ」みたいに思ってる自分がいるわけです。

だから、この部分を癒して行きましょう。
そんな自分を許して行きましょう。

ということをテーマにするのです。

なので、Nさんのような状態の方をカウンセリングする際は裏に隠し持ってる汚れてる自分、穢れてる自分、傷だらけの自分を浄化することを目的とします。

罪悪感を流していく感じです。

そうして自分のことをぴかぴかと輝かせていくわけですね。

感覚的にこういうときって「女性のシンボル」の部分に特に汚れを感じることが多いものです。胸だったり、性器だったり、子宮だったり。

「女」としての自分に「穢れ」を感じてるからそうなるのですね。

また、自立しすぎてる方は肩や腰、または脚が汚れているように感じやすいですし、子どもの頃から自己嫌悪が強かった方などはお腹周りに傷を認めることもあります。

だから、ふだんからその部分を丁寧に扱ってあげましょう、優しく触れてあげましょう、愛してあげましょう、ということをやっていきます。

また、新しい彼の愛を素直に受け入れられるようにサレンダーしてみることも効果的ですが、それは実際にやるっていうよりもセッションの中でイメージなどを使って行う方がいいですね。

そうして「自分を大切に扱ってくれる優しい彼に愛される」ということを自分に許可できるようになっていきます。

カウンセリング的なアプローチは、それを必要としてしまう心理的な理由を整理し、手放していく、というアプローチをしていきます。

強引に彼を切っても、その内面が解消されなければ、また似たような存在を見つけてくるからです。

ただ、癒着している状態などは、とりあえず形だけでも彼との関係を切り、そこで生まれてくる感情をカウンセリングの中で処理していく、という少々強引なやり方を取ることも有効ではあります。

アルコール依存の方が断酒し、カウンセリングや断酒会の仲間とのつながりのなかでその症状を抜け出そうとするのと同じです。

癒着や依存症になるくらいですから、心理的に見れば相当なトラウマなり何なりを抱えているものです。

寂しさ、孤独感、自己否定、罪悪感、無価値感、無力感、怖れや不安、といった強い感情がそうさせるんですね。

だから、その感情を癒して行けば症状も和らぐんでない?というのが我々の考え方なのです。

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