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「あたしだってそんな強くないのに」と思う一方で、虎の穴で鍛えられたメンタルは強靭で、男たちの自信を奪ってしまい、そのセリフに繋がるんです。
だから、ちゃんと彼らの価値魅力を見てあげる必要があるんですが、それには競争心を手放して相互依存の意識を持つことがカギとなるのです。
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私は結婚してずっと主人から「君は何があっても1人でも生きていけるから」と言われてきました。
そもそも、自分の家庭は父親がコロコロ変わる家庭で、母親はアルコール中毒、虐待、連れ子との差別、貧困、借金まみれ、ヤングケアラーなど沢山の問題を抱えた家で育ち、9歳の時に母親を守らないと…と思ってから自分を強くする事だけを考えて生きてきました。
お陰で、仕事では出世をし「非の打ち所がない」と言われるようになりました。
今は自分の会社があり、お仕事が沢山舞い込んでくる状態です。
ですが…この生き方にいつも違和感があります。何十年も前に母とは縁を切りましたが、強く生きる癖は残りつづけています。
そんな自分には弱いけど、周りにいつも助けてもらえる娘がいます。
そんな娘をみて「いいな…」と思います。かたや娘は私に「ママは何でも出来るしいいな…」と言います。変な親子ですね(笑)
最後に更に変な質問なんですが、私も殿方に守ってもらいたいのです。主人は違う部分でも守って来てくれています。
だけど、、「俺がいなきゃどうにもならねーなコイツは!」と思ってもらうには、私が弱くなるしかないのでしょうか…
(Iさん)
おそらくうちの読者様は人生において少なくとも300回は「君は何があっても1人でも生きていけるから」と言われているかと思っているのですが少ないですかね?
同様のセリフとしては「君は俺がいなくても大丈夫」とか「君は強いから一人でも生きていける」等々のバージョンがあり、そんな男性からの白旗宣言に「おい!」と力強くツッコミを入れていらっしゃることと思います。
でもね、そんな君たちに聞きたいんだけどさ、
「俺が君を守ってあげる」
とか言われたらサブイボ(鳥肌)立って猛烈な吐き気を催したりしませんか?
「君は俺がいなきゃダメな女だな」
とか言われたら間髪入れずにドロップキックをお見舞いしたりしませんか?
「俺がいなきゃどうにもならねーなコイツは!」
というセリフを脳内で妄想するのはきゅんと来るけど実際言われたら「は?どの口が言ってんだよ?」と思わずみぞおちに一発正拳突きを食らわしちゃいませんか?
そもそも西日本在住の方々は「君」とか言われるだけで噴き出しちゃうんじゃないかな?と思うんですけれど・・・。
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で、結論から先に申しておきますと「弱くなることを考えるよりも、守ってもらうことを狙うよりも、今の自分のままで良いのだ」という意識を持つことがまずは大事です。
・・・このひとことで離脱率が大幅に上がったらあとでこの一文をこっそり削除しておこうと思います。
さて、壮絶な家庭環境で育って来られたIさんや同志の皆様は、早くに自立し、そして、虎の穴で鍛えに鍛えられた結果、ダイアモンドよりも硬いメンタルを獲得されました。
それゆえ、社会的にはたいへん優秀な人になることが多く、仕事では成功を収める方がとても多いんです。
それで私の元には「仕事は問題ねえんだよ。パートナーシップを何とかしろや」という脅迫めいたご相談が山積みになるわけです。
要するに「親密感への怖れを持つ一方、自立的で聡明に育つので『あいつに任せとけば安心』という信頼を得ることに長けており、人望もあり、上からは畏れられ、下からは慕われる唯一無二の人材として職場に君臨する」というわけです。
で、そうした成功を収める一方で、パートナーや家族という点においては心がざわつくのは、やはり「心理的に距離が近いところでたくさん傷ついてきたから」というわけでして、どうしても家族に対しては母に対して思っていたように「あたしが守らねば!」という意識を過剰に持ってしまうのです。
その辺はこちらの記事にも書きました。
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さて、話はぶっ飛びますが、以前、十三(じゅうそう。大阪の難読地名のひとつ)のSMクラブの女王様が足繁くカウンセリングに通ってくれたことがあります。
人気の女王様だったので出勤日には毎回4人の豚野郎どもを調教することに精を出されておりまして、お客様が彼氏になることが多く、「あたし、仕事でも恋人でもいつもSだからなんか疲れちゃうのよ。」と愚痴をこぼされてました。
まあ、SMクラブに来る男性を恋人にするんだったらそりゃあプライベートでも女王様をやんなきゃいけなくなるよね・・・といたく同情したものです。
で、彼女は出勤前にカウンセリングルームに来てくださるんですけど、特に相談したいこともなく、世間話や仕事の話、彼氏とのことをつらつら話してくれてたんですね。
それであるとき「まあ、それでいいんだけど何でカウンセリング受けに来るの?」とお聞きしたら「ここではMになれるから。ずっとMは無理だけど根本さんにいじめられるのがちょっと快感やねん」と予想外の回答で「え?僕がSってこと?どっちかというとMだと思うんだけど?」「ベッドの上ではそうかもやけど、カウンセリング中はけっこうSっ気あるやん?」「・・・。」
要するに彼女は普段Sになり切らなきゃいけない分を、カウンセリングという場でバランスを取っていたんです。
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このエピソードで何が言いたいか?は何となく分かったかと思いますけれど、あ、別に「俺んとこ来いよ。可愛がってやるから」とキモいことを言いたいわけではなく、要するに「心のバランスの問題」ということをお伝えしたいわけです。
「自分を強くすることだけを生きてきた」Iさんですが、その結果、仕事では成功を収め、夫も娘もいる家族を持つことができたんですよね?
「君は何があっても1人でも生きていけるから」と言いながらも夫氏は別にIさんの元を離れようとしないわけですよね?
※ちなみにこのセリフの意味については後で解説したいと思っていますが、もし忘れてたらゴメンねっ!
さらに、
>主人は違う部分でも守って来てくれています。
という自覚もあるわけですけど、その価値をどれくらい受け取れてるのかな?と思うわけです。
つまり「強く生きてきた」というIさんの選択によって多くの恩恵がもたらされていることは事実ですよね?
で、まずはこれをきちんと受け取ることがものすごく重要なんです。
人は満たされると「ないものねだり」が始まります。
強く生きてきた人は弱さに憧れ、
Sで生きてる人はMに憧れ、
OLは主婦に憧れ、
主婦はOLに憧れるわけです。
その憧れを追いかけることも悪いことではないのですが、じゃあ、あなたが今得ている恩恵を手放しちゃってもいいの?という質問を忘れないでいて欲しいわけです。
「強くなれたこそ、得られたものがある」という前提をまずは作りたいのです。
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もしIさんが恩恵を十分受け取り「感謝」しているならば先ほどの話はすっ飛ばしてもらっても構いません。
その前提の上で「ねえ、これからどうする?」という話をしていきます。
今のIさんが求めている「弱さ」というのは、その強さから得た恩恵を手放してまで手に入れたいものなのか?それだけの価値があるものなのか?という点をちゃんと検討していきたいのですね。
先の女王様は元々Sっ気が強い女子だったので「女王様業は自分に合ってる」とおっしゃってます。同僚には「あんたほんまはMやろ?女王様やんのしんどくね?」という人もけっこういるらしいのですけど。
でも、「やっぱ女王様をずっとやってんのも疲れるのよね。基本、辛いものが好きな人もたまには甘いものが食べたくなるじゃん?それと同じくらい、たまにはMな気分を味わってみたいわけ」というわけです。
じゃあ、Iさんにとって「弱くなれる場所」を探してみるのも一興です。
例えば、筆者の場合、パーソナルトレーニングに行くたびに自らの弱さとMっ気を強く刺激されます。
「はい。さっきより重量は半分ですよ。これなら20回は挙げられますよね?はい。1,2,・・・,12,13,14、、、え?もう上がらないんですか?重さ半分ですよ?はい、休まない!行きましょう!15、え?もう挙がらない?」とか言われるわけですよ。めっちゃ屈辱的ですよ。でも、くそーっ!!と思っても挙がんないんですよ。胸が悲鳴を上げてるんですよ。めっちゃ悔しいんですよ。(愚痴)
あるいは、Iさんと同じく武闘派中の武闘派である某社長はなぜかアラフォーにしてダンスを習い始めたところ全然体が動かなくて屈辱的な日々を送り、ナニクソ!と思って日ごろから体を動かすようにして急激にダンスが上達しているらしいです。
でも、やっぱ20代の子の体力には敵わなくて「自分より若い子に負けるのって悪くないし、彼女たちに教えてもらうのもすごく新鮮だし、そんな彼女たちと仲良くできるのもすごくうれしい」とニコニコしながら嬉しそうに語ってくれました。
ということは、「俺がいなきゃどうにもならねーなコイツは!」と夫氏に思ってもらうには、「ここはあなたには敵わないわー。ここはすごいわー」と素直に認められる要素を量産したらいいってことになります。
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ここで出てくるのが「隠れた競争心」という奴です。
幼少期から「強くならなければ死ぬ」という瀬戸際を生きてきたIさんや同志の皆様にとって、常に目の前のライバルを蹴散らかしながら今の地位を築いて来られたと思います。(え?違う?そんな自覚ない?)
9歳で母を守ると決心し、自立モードに突入していく中で、「諦めたこと」というのもたくさんあろうかと思います。
「ママととても仲良くしている可愛らしい女子」もクラスにはいたと思います。
そんな子に対してIさんはどんな感情を頂いていたのでしょう?
「えー、あたしできなーい。わかんなーい。」と言ってるメンヘラな女子もいたはず。
そんな子にIさんはどんな思いを持っていたのでしょう?
「ねえ、これやってー。これ、教えてー」と男子たちにすり寄っていく女子に対してIさんは何を感じていたのでしょう?
たぶん、そこで「強くなる代わりに捨てたもの」を見ていたと思うのです。
だから、Iさんや同志の皆様にとっての最大の敵は「弱い女子」なんです。
「守ってもらえるような弱い女子」に憧れを持つ一方で、強烈な嫌悪感も持っているんじゃないでしょうか?
だから、そんな風になりたいと思ったとしても脊髄反射的に「無理!」と思ってしまうはず。
そうした反応を作り出すのが「競争心」という奴なのです。
そう、競争心にもいろいろとあるんですね。
そして、多くの場合、最も身近な人である夫や子どもに対してもその競争心を持ってしまうものです。
夫や娘に嫉妬することって正直ありませんか?
>そんな自分には弱いけど、周りにいつも助けてもらえる娘がいます。
>そんな娘をみて「いいな…」と思います。かたや娘は私に「ママは何でも出来るしいいな…」と言います。変な親子ですね(笑)
この箇所が典型的ですよね。「ないものねだり」の。
そして、これもよくある話なんですけど母と娘でバランスの法則が成り立ち、
ママ:「娘は周りに助けてもらっていいな」
娘:「ママは何でも一人でできていいな」
という風に思うようになってます。(だから、娘との絆から「あたしの代わりに娘がやってくれている」と思うのも解決方法の一つです。)
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だから、まったく意外な角度からの提案に聞こえるかもしれませんが、Iさんの問題を解決するには「夫の強さを見る」ということにあります。
この「強さ」というのは価値や魅力、長所、才能と置き換えて良いものです。
これは隠れた競争心を手放して、夫のすばらしさを認め、感謝することを目標にします。
これ、頭ではよく分かると思うんですが、実際やろうとすると子ども時代に感じた屈辱感が蘇ってくるのでけっこう難しく感じることが多いんです。
夫のすばらしさを認め、その要素においては「夫を信頼して任せる」ということをやっていきます。
そうすると今よりずっと「夫に守られている」という感覚を持つことができるでしょう。
だから、夫氏のことを「尊敬してやまない」と思えるほどに価値・魅力を見てあげて欲しいものですし、それを伝えてあげて欲しいと思います。
そうするとたぶん今よりもっとIさんは夫氏の前で素直になれると思います。
強がらず、いい子ぶらず、頑張り過ぎず、自然体でいられるようになります。
そうすると夫氏も「自分の存在価値」を実感できるようになります。
あ、忘れてましたっ!!
「君は何があっても1人でも生きていけるから」の意味。
それは「ねえ、僕は君の側にいたいんだけど君もそう思ってくれてる?僕って役に立ってるのかな?僕って君と一緒にいていいのかな?全然自信ないの」というメンヘラ的な思いを意味します。
でも、競争心があるとどうしても99勝1分くらいの成績で夫氏を圧倒してしまうので、彼はどんどん自分の存在価値が分からなくなるんです。
だから、彼の長所や魅力や価値をたくさん見つけることで、「負ける」のではなく、「ここは任せて大丈夫」という安心感をIさんが得ることを目標にしたいのですね。
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そして、さらに言えば、そのプロセスは夫氏とのより深い「つながり」を築いていくものになります。
「夫婦はニコイチ」という見方をします。
バランスを取り合い、二人三脚で生きていくイメージですが、この意識を持つことができれば、「あたしの成功はふたりの成功」と思えるようになります。
つまり、別に自分が弱くならなくても、夫が周りの人から助けてもらっていれば(何なら自分が夫を助けていれば)、それは2人が助けられてることになるのでOKになるのです。
競争心があると「夫は今、32ポイント持ってるけど、あたしはわずか7ポイントしかない!」と思ってしまいますが、ニコイチなんだから「それって夫婦で39ポイントも持ってるってことだよね!神様、サンキュー!」と思えるわけです。
この意識のことを「相互依存」と呼びますが、win-winの関係性を築いていこうとすると得られるものです。
夫の恩恵も、自分の恩恵も、そして、娘の恩恵も「わたしたち家族の恩恵」として実感できると、別に弱くならなくても今以上に強くならなくても、今のままでいいってことに気付けるでしょう。
それって夫婦や家族の絆がより深まるってことでもありますから、「あたしも守られたーい」とかキモいことは思わなくなると思います。
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