食べられない心理~拒食の奥にあるものは?~(1/2)



「痩せ信仰」の場合もあれば、愛情の受け取りを拒否する場合、何らかの感情でいっぱいいっぱいで食べることを忘れることもあれば、期待に応えられない罪悪感から自己攻撃の一種として拒食を選ぶこともあります。今回も2回に渡り、お届けしたいと思います。

「食べ過ぎてしまう心理。」という記事を6/20に書いたら「食べられない心理」「拒食→過食→拒食を繰り返してしまう心理」を教えてくれ!という書き込みをFBで頂きました。
お笑い芸人同様、常にネタに飢えている私としてはこうしてすぐに飛びついてしまうわけですね。

さて、過食と違って拒食は少し複雑な心理が絡むんですね。
だから、敢えて前回は「過食」にのみフォーカスしたんですけど・・・(笑)逃げられませんでした(汗)

今回は2回に分けて「食べられない心理」についてお届けしたいと思います。
つまり、お話ししたいことがたくさんあるってことです!(笑)

先日、私、念願の断食セミナーに行って来ました。丸二日何も食べなかったんですね。
また、仕事のある日などはなるべく1日1食の生活をしています。
その効果もこの間ブログに書きました。

数年前から食にとても興味を持ち、また、断食・不食についても少し勉強しています。
先日もとある俳優さんが30日間不食で過ごして話題になっていましたね。
私が尊敬する鍼灸師さんは20年間一日一杯の青汁でずっと生活されてます。
食べなくても人は死なないんです、本当は。
「食べないと死ぬ」と思ってるから死んじゃうんですね。不思議でしょ?

野生の動物は怪我をするとじっと動かずに絶食をして体を治すんだそうです。
「食べないこと」で「傷を癒す」のです。
実は人間も同じで、怪我したり、病気をしたら、案外断食すると早く良くなる可能性が高くなるのかもしれません。
だから断食セミナーに行くと病気や怪我を治す目的で訪れる方がたくさんいます。

体調を崩すと「早く良くなるために栄養を摂りなさい」って言われますが、体調が悪くて内臓の働きが落ちてる時に栄養のあるものを摂ってもそれがちゃんと吸収されるのか?なんて疑問も生まれますね。

今日のテーマは「食べない」んじゃなくて「食べられない」なのですが、食べないことが決して悪いことじゃない、ということをまずは知って頂けたらと思います。

さて、日本に限りませんが、「痩せ信仰」とも言える「痩せている=美しい」「太っている=醜い」という観念がありますよね。
これは女性の方はすごく強いと思います。
「食べたら太る」という怖れが「食べられない」という状況を作りやすくなっています。

思春期になると性の発達とともに外見(人の目)を気にするようになり、他者との比較が始まります。その時、どうしても「自分の悪いところと相手のいいところ」を比べるので「あの子に比べて目が小さい」「あの人に比べてあごに肉が付いている」という風に自分の醜さを探すようになるんですね。
そして、それをコンプレックスに感じることも少なくありません。

また、思春期には完璧主義になるので、完璧な美しさ、可愛さを求めるようになるんですね。そうするとスーパーモデルのように自分が完璧だと思う女性と自分とを比べて劣等感を持つようになるんです。

もちろん、マスコミや周り人たちの風潮も大いにあります。
「痩せている」ことがさぞ「美しい」ことであるかのようにかき立てられますから、少しでもお肉が付いていたら「醜い」と感じてしまうんです。

「自分が太っているんじゃないか?」と思い始めたら、それはものすごくストレスですよね。
「太ってる→醜い→みんなにバカにされる→彼氏ができない→友達も去って行く→仕事もできない→孤独→自分はいらない人間・・・」などの思いが駆け巡ります。
特に10代は経済的にも「エステに行って痩身プログラムを受ける」というやり方は採用しにくいので、必然的に「食べない」という選択肢を取るようになります。

そうして、「自分は太っているんじゃないか?」という怖れから「食べられなくなる」んです。
それに多少食べなくて痩せたとしても、「太っているんじゃないか?」という目で鏡を見れば、どうしたって脳は太っているように自分を見せます。
周りから見ればガリガリに痩せていても自分は太っていると感じるのは、「そういう風に見ているから」なんですね。

そういう方にお会いすると、その「痩せなきゃいけない目的」を掘り下げていくんです。
「痩せなければどうして困るんだろう?何を怖れているんだろう?」ってね。
「痩せる」ってことは本当は手段のはずですから、その向こう側にある気持ちを知りたいんです。

もし、それが「バカにされること」を怖れているのならば、もうすでに自分で自分をバカにしていることに気付きましょう。
もし、「モテなくなること」や「彼ができないこと」を怖れているのならば、自分には体以外に大した魅力がないと思っていることに気付きましょう。

そうして痩せる目的を理解し、受け入れていくと、この状態を少しずつ抜け出すことができます。

さて、二つ目のパターン。
ショックなことがあると食べられなくなりますね。
「胃」って食べ物だけじゃなく感情も処理しようとしますから、怖れや不安などの大きな感情が襲ってくると、その感情の処理で手いっぱいになって食べ物を受け付けられなくなります。
また理不尽なことがあったり、納得できなかったり、混乱するできごとがあると、「腑に落ちない」って言葉があるように、胃はその処理に追われます。

もちろん、これはネガティブな感情だけでなく、「大好きな人から告白された」とか「仕事で大きな賞を取った」などの嬉しすぎる感情の時も胸がいっぱいになって食べられられなりますね。
胃が喜び、感動でいっぱいになっているのでしょう。

これが一時的なものならばいいけれど、ある程度慢性化すると食が細ってしまいます。
ずっと不安や怖れを処理し続けているので、食べ物が入るスペースが少なくなってしまうわけですね。

食べたいのに食べられない、という背景には、何かずっと慢性的に抱えている感情があるのかもしれません。
もちろん、仕事上のストレス、もその一つですし、上司への絶え間ない不満、とか、彼氏へのふつふつと湧き続ける怒り、などもそうかもしれません

でも、感情って麻痺するんです。
いや、正確に言うならば、同じ感情を感じ続けると「意識」(思考)がそれを麻痺させて感じていることを忘れさせます。苦痛だからです。

そうすると仮に不満を抱えていても、ストレスがあったとしても、自分ではそれを感じていることに気付けなくなるんです。
だから、意識的には大丈夫だと思っていても食べられない状況が続くんです。
感情的にはいっぱいいっぱいですからね。

だから、この場合にはけっこう体に出てきます。
痩せることはもちろんなのですが、意味不明な倦怠感、だるさ、体の重さ、やる気のなさ、抑うつ的な感覚、モチベーションの低下等々ですし、気が付けばしばらく笑っていない、泣いていないという感情活動が止まっていることも多いですね。

体に症状が出るということは感情レベル(潜在意識レベル)から無意識層に抑圧が進んでるということなので、一度、日常をリセットして今の自分と向き合っていく時間を作りたいものです。

もし、この状態だとするならば、カウンセリングでその感情を解放していくのも手ですが、鍼灸や整体などの体からのアプローチもとても効果的です。
体(胃腸)を緩め、緊張をほぐすことでリラックスでき、その慢性的なストレスの原因と向き合える状態になります。

食べられなくなる原因を作っている人間関係を癒していきましょう、というわけです。

では、続きは明日!
いよいよ本格的な「拒食」の話をさせて頂きます。

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