鳥かごの鳥になってしまう心理と、飼い主にならざるを得ない心理。



自分に自信が持てず、何もできないから相手に従わざるを得ない鳥と、見捨てられたり、自分は必要とされていないんじゃないかという不安を持つ飼い主。
恋愛や職場の人間関係の裏側にそういう心理が隠れているのです。

昔、失恋クリニック(月曜日に連載中)でこんな記事を書きました。

『飼い犬に腕を噛まれた振られ方』

彼の愛情に胡坐をかいて「彼は私のことが大好き。嫌いになるわけがない」とわがままし放題、女王様として君臨していたところに、突如「別れ」を告げられるケースのことです。


『まるで飼い犬に腕を噛まれたような気持ちになりませんか?』とよくカウンセリングでお伝えしているのでブログでも紹介したんです。(5年前ですけどね(笑))

実はこの心理と昨日の記事『「鳥かごの鳥」にしておく理由、なっておく理由。』と繋がりがありまして。

鳥かごに入れてしまう心理と、飼い犬にしてしまう心理はほぼ同じもの。
いわば「飼い犬に腕を噛まれる」というのは「鳥かごの鳥に隙を見て逃げられる」というのと同じ状況なのです。

この場合の「鳥」「犬」は従順で、自信のない、大人しいタイプの人が収まります。
(もちろんこれは恋愛のみならず、職場でも家庭内でも起こり得ることです)
自信が無いから相手の言うとおりにしてしまうし、反抗もできません。嫌だと思っていても従うしかないし、いつも見上げるような目線で相手を見てしまいます。
自己主張ができないので、自分の意見を言うのにもすごく勇気が要りますし、1言うと10返って来ることが多いので、やがて何も言えなくなってしまいます。
そうして不満ばかりが心の中に溜まって行き、やがて“ゲリラ戦”のような形で反抗せざるを得なくなります。
すなわち、ご主人様の腕を噛んでしますのです。

さらに忠誠心の強い「犬」と言われる場合は「ご主人様(飼い主)のことが大好き」なんですね。
好きだから言えない、嫌われるのが怖くて従うしかない、という心理がさらに加わりますから、そのストレスは相当なものです。

さて、一方の飼い主さまはその愛情を“素直に受け取れない”んですね。
だから天狗になり、あぐらをかいてしまうんですね。
受け取れないのはどこかに自信のなさ、不安、怖れが隠れているからです。
見た目からは全くそうは見えないでしょう?
どちらかと言うと自信満々に見えたりします。
しかし、その内側にはそんな不安、怖れが強く渦巻いているんですね。

あるクライアントさん。とてもおモテになるのですが、いつも恋は短命で長続きしません。
常に「飼い主」になってしまうようで、わがままを言ったり、相手を振り回したり、いろいろとやっちゃってるようです。
そんな彼女の心には幼少期から「親にあまり愛されてこなかった」という痛みがありました。
大切にされたのは間違いはなさそうなのですが、いつも心のどこかで「私のこと、本当に愛してるのかな?本当は嫌いなんじゃないのかな?」と感じていたそうです。

だから、彼女の中には「いつか必ず自分は見捨てられるんじゃないか?」という不安や怖れがいつもありました。恋愛だけでなく、友達の間でもその思いがあったので、なかなか人を心に入れることが苦手で、親友と呼べる人はほとんどいませんでした。

そう、彼女の女王様キャラや飼い主キャラは実は“補償行為”なんですよね。
一言で言えば“強がり”なのです。
見捨てられる、自分は必要とされてない、そんな不安や怖れを隠すためのキャラなのです。

だから彼女はどうしても見捨てられないように、相手が逃げないように鳥かごに入れたり、鎖でつないでいないといけなくなるのです。

だから、彼女には恋愛のご相談なのに、いつも「お母さんやお父さんの愛情を受け取る。ちゃんと愛されてることを実感する」ということを話していました。
それで少しずつ改善されていきましたね。

そうすると、素直に愛情が受け取れるので「ありがとう」となり、偽の女王様キャラから一旦お姫様キャラに変わります。(この状態は本人としても気持ち悪いものですが)
その後、真実の女王様キャラとなり、愛情も受け取れる一方で、相手を愛することもできる大人の女性へと成長するのです。

飼い犬に腕を噛まれた方。
鳥かごから鳥を逃がしてしまった方。

ちょっと勇気を出して素直になってみませんか?
あなたの心の内に、見捨てられる不安、自分は必要とされていない感覚、バカにされるんじゃないかという不安、自分には何もないことがいずれバレるのが怖い等々の思い、ありませんか?
その思いを癒して行くともっと肩の力を抜いた、対等な関係が築けるようになると思います。

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