「自分には影響力がない」と思ってしまう心理と、影響力を持つメリットについて考える。



みなさんは自分にどれくらいの影響力があると感じているでしょうか?
実はそれがない人ってのはいないわけでして、どれくらい自覚しているか?というテーマになります。
そして、その自覚がないのは人間関係において大変危険でもあるのです。

根本先生こんにちは!
以前「罪悪感を使ってコントロール~」でお世話になったMです。
1年経ちましたが夫のシャットダウンは継続中。引き籠りが板についたようで、同居してても姿を見かけなくなりました。
私自身はバリバリ仕事し自分軸に集中してきました。すると速攻昇進昇給。出来る女すぎて驚いてる昨今です。

自分に意識を向けることが増え、自分をもっと知りたい気持ちが出てきて最近人生の掘り下げをしているのですが、先生にこれどうなん?とお聞きしたい気付きがあり、再び質問です。

気付きは「自分には影響力がない」と心のどこかで思っていることです。私が何かしても相手は左右されない。私の言動や気持ちは何も影響しない。前提として無力であるという感覚です。

原因として思い浮かんだのが、自身にある生まれつきの病気でした。進行性で完治しないけど、生活に支障はなく治療も必要ない、悪さしないあるだけの病気です。

病気は私にとって当たり前すぎて気にするものではありませんでしたが、もしかしたら、病気があっても治らないからどうすることも出来ないと、何かする前から諦めないといけない絶望感や力及ばない無力感を無意識に感じてたのかなと思いました。

「影響力がない」は病気から生まれた無力感なのでしょうか?無価値感は何だかしっくりこず。自分と向き合うためのヒントをいただけたら嬉しいです!
(Mさん)

順調に来てるみたいで良かったですー。
デキすぎる女と自覚できてるところもまた素晴らしい!

ところでその「影響力がない」というのは仕事でも感じるんでしょうか?
昇進したということはその分権力も多少なりとも得てるはずで、そうすると影響力は自覚せざるを得なくなると思うんですけど。

さて、影響力というのは少なからず皆さん持っているものですが、それがなかなか自覚できないことも多いものです。

何気ない一言で相手を傷つけちゃったときに「え?それで傷ついちゃったの?マジ?」と驚くなんてのはその典型的なバージョンでして、職場なんかだと自分の立場をわきまえずに部下や後輩に影響力を行使しちゃって「パワハラ」とか言われることもあるんですよね。

特にうちの読者様は自立系な方々がほとんどなわけで、そういう方ほど影響力は自覚された方がいいと思います。

なぜか自分の言動には影響力があるらしい。

そう思っておくのがこれ以上被害を広げないためにも重要だと考えております。

分かった?
自覚せえよ?

ただ、Mさんの場合、その病気があることと影響力がないと思うことについてつながりがあるかどうかはもう少し繊細に見ていきたいところです。

例えば、その病気は悪さしないそうですけれど、それによってどんな制限を受けて来られたかを思い出してみるといいでしょう。

体育の授業に参加できず見学ばかりだった。
食事制限が微妙にあってみんなと同じものを食べられないことも多かった。
ほんとは○○になりたかったけれど辞めといた方がいいだろうとのことで諦めた。

悪さはしない病気でも何らかの制限がかかることはあると思うので、その影響を見るとMさんの内面に与えた影響を推し測れると思います。

一般的に難病を持つとあまり生活に支障が出なくても「分離感」からの「孤独感」を覚えやすいものですね。

私は人と違う、私はみんなと同じことができない、という思いは同調圧力の強い日本においてはかなり「孤独感」を強めるものです。

また、それが人とつながることを怖れさせたり、誰かと一緒にいると気を使い過ぎたり、そんな自分と付き合わなきゃいけない周りの人に罪悪感を覚えたりします。

罪悪感と言えばそもそもその病気を持っていることに対して家族や周りの人にその感情を持つことも珍しくないものです。(もちろん母親も相当な罪悪感を抱えてますけど)

そういう心理的な動きを見ていけば、人とつながれない感覚=孤独や罪悪感から無意識に周りを拒絶することとなり、結果的にそれが「あたしにゃ影響力なんてものはないのよ」という風に思うようになったのかもしれません。

影響力がないと思ってしまう心理にはMさんもご指摘のように「無価値感」がメジャーですよね。

自分には価値なんてないんだから他人に影響を及ぼすことなんてありえへん!と思うわけです。

だから、無価値な自分が何かしようとも相手は何とも思わないなんて思っちゃうこともあるんですけどね。それはすごく危険ですよね。

一方、先ほど話に出た罪悪感もまたそういう思いを作る感情です。

罪悪感によって自分の力を封じるようになります。

罪悪感の力によって敢えて無力であろうとする感じですね。

でも、その裏には影響力をちゃんと知ってるんです。

ほんとは全然無力じゃなくて影響力もあることを知っているからこそ、罪悪感を使って自分を無力だと思い込もうとするわけです。

とはいえ、こういう部分ってけっこう自分でも認めづらいものがありますよね。

ほんとは力がある=影響力がある
 ↓
その力を行使したことで罪悪感を覚えた
 ↓
じゃあ、その力は封印することにしよう
 ↓
長らく封印しちゃったから力があることも忘れちまったぜ!
 ↓
は?俺に影響力なんてどこにあるんだよ?出して見ろや!

みたいな感じ。

ま、これは「影響力」に限らず、セクシャリティでも、情熱でも、親密感でも、愛情でも、何に対しても起こることなんですけどね。

極論を言えば、私たちは罪悪感によって自らの才能を封印してるんですから。

Mさんの思いも病気による罪悪感という風に見れば、自分が影響力がないと思ってしまうのも理解しやすいんじゃないでしょうか。

さて、影響力については多くの方が無頓着になりやすいので改めてお話してみたいと思います。

影響力と言えば例えばこんな日常会話から見て取ることができますね。

「Mちゃん、最近お肌ピカピカじゃない?化粧品変えたのー?」
「えー!やっぱり分かる?そうなのよ。最近、若い男のエキスを搾り取って毎晩煮詰めた奴をお肌に塗ってるのー。すごく効果的よ」
「えー、すごーい!いいなあ、あたしも欲しいなー。若い男のエキス搾り取るのってたいへんそう」
「でも、案外そんなこともないよ。簡単だよ。こんどKちゃんの分の若い男も拾ってこようか?」
「えー、ほんとー?いいのー?ありがとう!ぜひそうするわー。じゃあ、早めに大きな釜を買っておくねー。」

この場合、MちゃんはKちゃんに影響力を行使した、のは分かりやすいと思いますが、Mちゃんに行動を起こさせたKちゃんもまた自分の影響力を行使したと言えますね。

つまり、この会話の中ではお互いに影響力を行使し合っているわけです。

で、最近だと「影響力」というとバズったの、フォロワーが何人だの、リツイート数がいくつだのって影響力が数値化されているかのように思われるのですが、確かに数字持っている人は影響力が強いとも言えますが、それは単純に数字で表されるものでもありません。

例えば、少し前はフォロワーが10万人いるインスタグラマーは立派なインフルエンサーとして認知されて企業案件がたくさん舞い込んでいましたが、最近では「フォロワーが10万人でもあいつ全然商品が売れないな」という部分がバレてきまして、フォロワーが1万人だけど濃厚なフォロワーさんを持つ人に依頼した方が効果が高いなんてケースが増えてきました。

つまり影響力が必ずしも数字に表れるわけではないんですよね。

そもそも人間関係においては自分と接する人には必ず自分の影響を与えているものです。

つまり、自分と接する人に対しては少なからぬ影響を及ぼしているのが私たちってことです。

お子さんを育てられている方ならば自分が子どもに対して甚大な影響力を持っていることをよくご存知でしょうし、夫を支配している武闘派妻なら自分の一言で夫の小遣いを半減させることができるわけで、それも甚大なる影響力です。

だからこそ「力の使い方」というを学ぶ必要があるんです。

逆に言えば「自分には力がない」なんて思い込みは非常に危険なのです。

実際「あたしなんて大したことないんだから!」とほざく自立系武闘派女子が男どもを次々と撃沈させていく姿は目に余るものがありますよね。

そういう意味でMさんが「自分が影響力がない」と思っていることによる被害総額を計算してみるのもアリかと思います。自覚がないから難しいとは思いますがけっこうな金額がはじき出されるかもしれません。
(そして、そこでは無意識に罪悪感を積み上げているのかも。)

ただ、影響力を持つってめんどくさいように思うじゃないですか。

例えばカウンセラーはクライアントさんに影響力を持つので「えー、あんたには今の彼とは無理だと思うよー」とか「来世にしません?来世に」とか言われたらショックがおっきいでしょ?だから、カウンセラーってそう思ったとしても言わないと思うんですよね。相手の気持ちを考えれば。(え?言われたことがある?え?誰に?気のせいじゃない??)

でも、めんどくさいってことは、それ以上のメリットを有してるということにもなるんです。

影響力を持つことで得られるいいことって何だと思います?

たくさんあるんですよね。

それが仕事になれば経済的豊かさがもたらされることもあるでしょう。
影響力がある人が紹介する商品って売れますからね。

でも、「経済的」という部分を除いても成り立つんです。「豊かさ」。
つまり、人とのつながりを作るのもまた影響力なんです。

それからその自覚は「自分らしさ」をより明確にしてくれるものでもあります。

自分が良いと思うもの、あかんと思うものがはっきりしてきますし、また、自らをいい意味で律することもできるようになります。

健康であることへの意識や質の高いものを提供したい意識も高まるでしょう。

また、立ち居振る舞いなども気持ちよいものになっていくんだろうと思います。

つまり、影響力を意識することで自分を成熟させ、成長させることができるんです。

なので時にこの影響力は「責任」という言葉に置き換えられます。

だから、一般的には職位が上がるほど人として尊敬できる存在になっていくでしょう?一般的に、ですけど。笑

でも、そこで「人目を気にする」という他人軸バリバリの生き方をしていたら、とてもそんな影響力を持つことが怖いし、認めたくないので、自分をちっぽけに扱うでしょう。

そしたら、成長・成熟の逆に向かっていくのも想像に難くないと思います。

だから、自分軸バリバリで生きられるようになったMさんにおかれましては、即座に影響力を持っていることを自覚し、より高見を目指していっていただけたらと思う次第です。

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