助けてあげたい気持ちは愛だけれど、そこに無力感が出てくると助けたい症候群となって関係がうまくいかなくなるもの。



助けてあげたいと思う気持ちは愛もあるけれど、多くの場合「助けたい症候群」であり、そこには無力感が出てきます。
この無力感というのがけっこうややこしく、関係性を壊してしまう力もありますから、そこはきちんと整理を付けておきたいものなのです。

元彼への気持ちは何なのか?私はカブト君に向かえるのか?

根本先生、先日はカウンセリングありがとうございました!想像以上に大きい方で驚きました(笑)。今、相談乗っていただいた、夢に向かって進んでいるところです♪
その際には緊張でなぜか恋愛の悩みが浮かばなかったのですが、これは自分では消化しきれない…ということがあるため筆を取りました。

先日素敵な男性と出会いがあり急激に惹かれており、もしやヘラクレスオオカブトくんなのではないかとときめいているのですが、3か月前に別れたばかりの元彼への気持ちがまだ切りきれなくてどうすればいいのか困惑している…という悩みです。

私はシングルマザーですが、アプリで彼と出会い2年交際、そして彼氏に別れを告げて3か月経ちます。
彼はいわゆるロックマンのような男性…。ここ1年は会う頻度・連絡頻度が極端に減らされてしまい、最終的には彼にデートをドタキャンされてからの既読無視2週間放置され、別れを決意しました。

付き合って半年はとても優しくてマメな連絡、幸せな日々だったので彼の変化がいまだに受け入れられていません。
また、彼は少し変わった過去の経験を持ち、傷のある人で、そんな彼を救えるのは自分しかいないんじゃないのか、彼の今後が心配だ、という、救えなかった無力感や、もっと私が素直になればうまくいったのではないか、という「まだやり直せる感」があり、かなり後ろ髪を引かれています。

でも、かと言って、元彼に連絡してみようと思いラインを開くと、既読無視されたままの私のメッセージが3つ並んでいて、「こんな扱いされたのに…」「また既読無視されたらもっと傷つくから怖い」と躊躇してしまいました。

離婚した元夫に対しても、「自分がいないと」と思って頑張りすぎてポキっと折れてしまった節があります。

これって元彼への未練なのか、ただの自分の消化不良な何かなのか…次に進んだら後悔するような気がして怖くてちょっと心にブレーキがかかっています。迷子なので根本先生のお話聞けるととてもありがたいです!
(Hさん)

そう、意外と「あ、おっきい・・・(照)」なんですよー。うふふ。ご満足いただけましたでしょうか?(何が?笑)

さて、昨日に引き続いて助けたい症候群的なお話なのですが(なぜか話題って続きますね)、

>そんな彼を救えるのは自分しかいないんじゃないのか、彼の今後が心配だ

という思いがあると、仮に別れたとしても思い切り引きずってしまうものですし、さらには、次の恋についても「彼の代わり」のような人を選びやすく、それで同じことを繰り返してしまうものなのです。

よくよく聞けば、

>離婚した元夫に対しても、「自分がいないと」と思って頑張りすぎてポキっと折れてしまった

ということでもあり、どうやらHさんは「助けが必要な人」に恋をする傾向があるのかもしれません。

先日出会った素敵な人にもその気があるのでしょうか?

さて、助けたい人は助けが必要な人を求め、その人に恋をして何とか助けようと頑張ることで「恋してる!」という充実感を得ることが癖になってしまいます。

だから、傷もない、影もない、とても健康的ですくすく育ってきた異性にはあまり惹かれず、仮に付き合ってみたとしても燃え上がらず、すぐに別れたくなってしまうんですね。

「なかなか好きな人ができなーい!」「彼氏ができんのじゃ!」というご相談を伺っている中でも、そのような傾向を持つ方もいらっしゃいまして、「助けが必要な人を探してるから婚活もうまく行かないんじゃないの?」という話をすることも多いものです。

そして、「助けたい人」を恋人にして、何とか助けようと思って全身全霊で取り組むのですが、当然ながらなかなか助けるところまではいきません。

それで燃え尽きたり、心が折れたりして別れを決意するのですが、かと言って「彼を救いたい」という気持ちはなくなっていませんから、大いなる無力感、罪悪感と共に、「彼、大丈夫だろうか?」と心配してしまい、それが「執着」になって残るんです。

だから、ある助けたい症候群に陥っていた武闘派女子は別れた後も何かと彼のことを心配し、ご飯を作りに行ったり、相談に乗ったり、体の関係を続けたりしてあいまいな関係になってしまってました。

まあ、いわば、手塩にかけた子どもが巣立って独り立ちした以降も何かと心配して関わってしまうお母さんみたいな心理ですよね。

だから、Hさんも母性がとても豊かなのかもしれません。

そうして「助けられたなかった無力感」を引きずるがゆえに未練が残るので、「今ならもっとうまくできるかも」「今ならやり直せるかも」などと妄想を抱くのですが、それはほとんどの場合「執着」なんですね。

常に恋をしていないと生きられない「恋に生きる女」は「味がなくなってもガムはガム」と次に好きな人が現れるまでは何かと元彼を引きずる傾向があるのですが、助けたい症候群の方も、助けたくなる相手が現れるまでは何かと元彼のことを思い出して「今ならこうしてあげるのに」「あんなこともこんなこともしてあげたい」などと引きずり倒してしまう癖があるものです。

こうした場合、「無力感」という感情がかなり自分を引っ張っています。

私はこの感情を罪悪感の一種として位置付けているのですが、無力感を覚えると人は自分を罰する一方で、無力じゃないことを証明したくなって何かできないか?ともがきます。

そこで犠牲したり、ハードワークしたりするのですが、なかなか無力感は払拭できないので、自分がどんどん疲弊していくのです。

それはビジネスにおいても言えることで、自分は無力だと思っている人は、それを補填するためにハードワークするんですよね。そんな方々があちこちにいらっしゃると思います。

だから、助けたい症候群と無力感はセット商品でして、Hさんのように元彼を何かと引きずってしまうのです。

となると、その助けたい症候群はどこから生まれてきたの?というお話になっていくのですね。

昨日のお話とかぶりますけれど、そこには大きく2つのルーツを見て取れます。

(1)助けたいのに助けられなかった誰かが家族の中にいる。
(2)ほんとうは自分が助けられたい。

昨日のネタですと「お母さん」が助けたい症候群のルーツになっていたかと思いますが、家族であれば親でもきょうだいでも同じです。

例えば、父を助けたかったけど助けられない思いを抱き、父への無力感を払拭するために助けが必要な彼氏を作り続ける、というパターンが生まれるのです。

また、その「助けたい」という思いが「投影」であるならば、その彼に見ている傷は自分自身の傷でもあるのです。

自分を助けるために彼を助けるわけです。

だから、こうした助けたい症候群があり、無力感が強い方の場合、助けたい人を恋人にするのですが、はてさて、ほんとうにその恋人を愛しているのかどうか?という点には少々疑問を挟みたくなるものです。

親代わりに助けたい相手であり、自分を助けるために助けたい相手であるからです。

もちろん、そこに愛がないわけじゃないのですが、100%愛を与えるってことはできませんよね。

だから、その恋人とはうまく行かなくなるわけです。

そして、その場合、真実のパートナーは「助けが必要じゃない人」になるんですけれど、先ほど申しましたように、助けたい思いで恋人を探していますから、助けが必要じゃない人は対象になりにくい現実があります。

それでなかなか恋がうまくいかなかったり、結婚できなかったり、結婚しても離婚してしまったり、離婚しなくてもつまらない結婚生活になったりするものです。

この辺がややこしいのは、好きな人を支えたい、癒したい、助けたい、と思うのもまた「愛」というところです。

こういうお話を書くと「あたしは彼の力になりたいと思って色々尽くしているけど、それは愛じゃなくて、助けたい症候群なのかしら?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるわけです。

その辺の見極めはものすごく難しいんです。

だから、「与えることが辛くなければ愛だと思っていていいよ」とか「純度100%の愛なんて難しいから、今まで通り与えてあげることを続けていて大丈夫よ」などとお伝えすることが多いです。

ただ、そこに無力感や罪悪感などが見て取れる場合は、それを癒していくことをお勧めしていきます。

この無力感から脱出するためには「あたしはベストを尽くした!」という思い込みを作ることです。

「その当時の自分はベストを尽くしてできることをした。だから、もうあの人に与えられるものは何もない。」という境地を目指すわけですね。

そして、「その相手に与えられなかったものは、次の恋への課題にしよう」という思いを持っておくことです。

これは現実的にはけっこう「思い込む」ということが必要だったりします。

好きな人だったわけですからどうしたって後悔なり未練なりが残りますし、助けたい気持ちが執着になっているならば、決して「ベストを尽くした」などとは思いたくないですからね。

でも、見方を変えれば、別れた彼に執着があるということは、自らの無力感をまだまだ受け入れていない、ということも言えます。

つまり、まだ何かできると思っているし、自分の力はこんなもんじゃない、と思っているということです。

そう思うことで元カレを忘れないようにしてる部分もあるでしょうけれど、ある種の傲慢さと言ってもいいのかもしれません。

某カウンセラーは「そうなんだー。彼を助けられると思ってるんだー」なんて嫌味を言うことがあるらしいのですが(え!ひどい!)、助けたい気持ちは確かに愛でもあるけれど、助けられると思っているならば、それはもしかしたら自分を過信しているのかも、と思うわけです。

無力感の裏にはこうした「自分が自分に期待する」「自己過信」という心理が隠れていることもよくあるものです。

だから、「自分の無力さを受け入れ、その上でベストを尽くす」という意識がものすごく大事なのです。

その謙虚さがないと今度はその無力感が「力の証明」をしようとさせてしまうんです。

「力の証明」というのは、自らの力を誇示し、相手に認めさせようとするコントロールの一種でして、「俺ってこんなにすごいんだぞ」という自己顕示欲の一つと言ってもいいです。

そういう方は人が聞いても楽しくない自慢話をいっぱいしがちですね。

力の証明をするときは、自らを認めてほしい、すごいと言われたい、と言ったエゴが主力ですから、相手への愛はありません。

つまり、「自らの無力さを謙虚に受け入れる」ということは恋愛に限らず、人間関係においてとても大切なあり方と言えますね。

Hさんのお話からずいぶんと逸れてしまいましたが、元彼に対して「自分ができることはすべてやった。だからもう与えられるものは何もない」という意識を持つことをまずはおススメしたいです。

そして、自分が助けたいと思ってしまう気持ちがどこから来ているのかを探って行きましょう。

家族との関係がルーツになっているのか?実は自分が助けられたいのか?その両方なのか?

そして、できればその助けたい気持ちは相手との間に線を引きやすい「仕事」にすることを目指してみてもいいでしょう。

そこで家族に対して無力感が強いのであれば、先ほど紹介したようなやり方で「自分にできることはすべてやった」と思い込むことで、その感情を手放していきましょう。

また、ほんとは自分が助かりたいのであれば、誰かに自分を助けさせてあげることを意識します。

自分をまずは助けさせる、プロにお願いしてもいいですし、パートナーにそれをしてもらってもいいのですが、いきなりは難しいですね。

助けたい気持ちが強いと「与える」ということに意識が向くのは良いのですが、逆に「受け取る」ということが苦手になるものです。

彼を愛するに意識を取られるあまり、彼に自分を愛させてあげることが苦手になるのです。
それもまたうまくいかなくなる傾向にあるものです。

だから、日常的には「受け取る」ということに目を向けてみるのも効果的ですね。

まずはその辺から取り組んでみられるといいのではないでしょうか。

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