父にダメ出しされ、コントロールされてきた私は、なぜ、同じことを夫にされてしまうのか?



親とは正反対の人を選んだのに、結局同じことになってしまった、という話をよく耳にします。
その心理学的な解釈、すなわち、潜在意識で何が起きてるのかを今日は解説します。
今日も長いですよ~!

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こんにちは。いつも、ブログを拝見しております。
この度は、ネタとして使用して頂ければ嬉しい悩みがあり、投稿させていただきました。
 私は結婚5年目、子どもは4歳男児。現在妊娠8ヶ月です。
子どもを出産してから、夫のモラハラが激しくなり、カウンセリングの門をたたきました。
その後、私自身が、心理学に興味が出て来て、セミナーに行ってみたり、資格を取ったりしました。費用は自分の給与から支払いしていました。
最近、私の収入から、全く貯金ができていない事に気づいた夫が、色々と詮索したようで、資格取得のために支払った10万円程の領収書を発見しました。
 以前、夫に「カウンセラーになりたい」という事を伝えた時、夫は「詐欺だ。宗教だ。騙されている。そんな人を騙して儲けるような仕事は、絶対に許さん」と罵倒されたため、カウンセリングの勉強をしている事は、伝えていませんでした。
 また、セミナー等に行く時は、「仕事に行く」と伝えて、行っていました。
先日、「仕事に行く」と伝えた日に、職場にいなかった事が判明してしまい、かなり夫がキレています。
 私に対しては、「もうお前の事は信用できない」の一点張りで、何を行っても「嘘だ」と聞く耳をもちません。「お腹の子どもも、俺の子どもじゃないだろう」と言われます。
 「本当の事を言え」「謝れ」と言われるのですが、さすがにこれまで出費したのが200万円程だとは言えていません。謝罪も自分が悪い事をしたとは思っていないため、心が入りません。
 また、自分と向き合ってみた所、私には、やはり自己価値の低さがあったり、「私のやりたい事は必ず反対される」というビリーフがあり、私は自分の事を信頼できていないようです。
 私の父は厳しく、将来の夢や、やりたい事を伝えても、「ダメだ」「お前には無理だ」「そんな事できる訳がない」「親の言う事をきけ」というような事を言われました。
 現在の夫を選んだのは、この人なら自由にさせてくれる、と思ったからですが、結局、父と同じような事を言われている状況です。
 正直な所、私は夫に対して愛情は全く残っていません。どちらかというと、嫌悪感の方が強く、一緒にいる時間が苦痛です。さすがに疲れてきました。
 今回の件も、私にとっての試練なのでしょうか?どう向き合っていけばよいのでしょうか?
どうぞよろしくお願いします。
(Mさん)
***

>現在の夫を選んだのは、この人なら自由にさせてくれる、と思ったからですが、結局、父と同じような事を言われている状況です。

よく「アルコール依存症の父親の元で育つと、アルコール依存症の夫を持ちやすい」なんて言います。アダルトチルドレンなどの本を読むとそんなことが書いてありますね。

「アルコール依存症」が「暴力」「ギャンブル」「浮気症」などに変わっても文章が成立することも多いです。
Mさんもさすがは心理学を学ばれてるだけあっていろいろなことに気付いてらっしゃいますね。

なぜ、そうなってしまうのか?というのはいろいろなレベルで説明できます。
1つは「習慣」という潜在意識の癖を原因とする見方。
Mさんの例でいえば「ダメだ」「お前には無理だ」と否定されることに“慣れている”のです。それが嫌だとしても「家とはそういうもの」「男性とはそういうもの」という感覚が潜在意識にインプットされてるんですね。
それはこのブログを読んでくださっているほとんどの方が意識せずにふつうに日本語を話されてるのと同じ感覚です。
勝手知ったる環境を選んでしまうんです。

「やっぱり我が家が一番よね~」とか「それほど住みやすいとは思わないけれど今から新しい街に住むよりはましよね」とか「なんだかんだ乗り慣れたこの車が一番」という感覚のようなものですね。

しかも、そうやってやりたいことを否定されるのが「すごく嫌だ」という感情も含めて正確に再現してしまうんです。だから、今旦那さんに嫌悪感を持つように、お父さんにも強い嫌悪感があったでしょう?
「人がしたいことを否定するなんて許せない!」という思う気持ちも、実家と今の家とで同じでしょう?

ちなみに今、離婚考えてます?
実はあまり考えられないって人が多いんです。表面的には経済的な理由ですけど、ほんとうのところはここで「習慣」なんです。
お父さんのところをずっと離れられなかったでしょ?(家を出たのは大学に行くとき?社会人のとき?結婚のとき?)
だから、「自分のことを否定されて嫌なんだけど、でも出ていくわけにはいかないし」という状況も今、再現しちゃうんです。

心の習慣ってすごいでしょう?ってか、怖いでしょう?

私がよくブログで「子ども時代のこと」についてよく書いたりお聞きしてるのはそういうことなんです。
潜在意識に刷り込まれたプログラムが今の状況に大きな影響を与えてるんです。
こういう場合、「家庭=自分を否定されるもの」みたいな心の定義を断ち切っていく必要があるんですね。

2つめの解釈としては無力感と罪悪感説。
これは少し深いレベルの話になるんですけど、お父さんはなぜそんなに否定し、ダメ出しする人なのでしょう?
彼もまたそんな風に扱われてきたのでしょうか?
あるいは、彼自身が挫折と失敗を繰り返してきたのでしょうか?
それとも、彼は周りが見えていない盲目な人なのでしょうか?

もし、お父さんが自分が好きなことをして、やりたいことをやりたいようにやって自由に生きて来たタイプであれば、自分の子どもが好きなことを否定すると思いますか?
たぶん、そうはならないんです。
むしろ、応援するようになります。

でも、Mさんのお父さんがそうじゃないってことは、お父さん自身が幸せでないし、お父さん自身が「夢破れし物語」を持っていることを表しているのかもしれません。
つまり、お父さんも散々傷ついてしまったんですね。

さて、ここからは潜在意識のもう一つの難しい話になります。
なぜかというと記憶にはほとんどない時代の話だからです。

子どもの頃、私たちはお父さんのことが大好きだったんですね。
どんなお父さんでも嫌いじゃなかったんです。
否定するお父さんでも、笑ってるお父さんでも、そんなお父さんを愛してしまったんですね。
赤ちゃんは純度100%の愛を持っていますから。

ところが、お父さんはMさんが愛しても愛しても幸せになってくれないんです。
それどころかどんどんひどくなっていったかもしれません。

そうするとMさんはお父さんを助けられなかった、という無力感を持ち、愛する人を助けられないなんて自分はひどい奴だ、という罪悪感を持つようになります。

とはいえ、全然ピンと来ないと思うんで、一般論として読み流してくださいね(笑)

話を続けましょう。
そうして、お父さんを助けられない無力で、罪な私は、そのまま自立していくのですが、その思いはやがて「同じようなタイプの人を選んで、お父さんの代わりにその人を助ける」という思いに変わり、パートナーとしてお父さんと似たタイプを選びます。
このとき表面的な意識では「お父さんと逆」の人を選ぶはずです。
なぜかというと表の意識は「お父さん嫌い」ですから、見た感じが同じタイプだったら絶対近づきたいとは思わないんですね。
だから、潜在意識は「表面的にはお父さんと逆で、内面はお父さんと一緒」という人を選ばせます。
潜在意識はものすごく巧みなんです。

もちろん、これもまた全然ピンと来ない話だと思うので「ふーん」と読み流してください(笑)

そうして、かつての無力感、罪悪感を癒すために同じ環境を作り出して再チャレンジします。
すなわち、自分を否定する夫と向き合わざるを得なくなるんです。

よく「乗り越えられなかった問題は形を変えてまたやってくる」って言います。
恋愛でも「今の彼とやり残した課題は次の彼との間でまた再現されるから」なんて言います。

心は傷があるとそれを癒し、解消しようとする「自然治癒力」を持っています。
無力感、罪悪感という傷があれば、それを修復するための状況を心は作り出すんです。

お父さんを助けられずに傷ついた、ということであれば、それと同じ環境を作り出して今度はその傷を癒そう、というわけです。

このレベルでは、Mさんにとって嫌悪感いっぱいの旦那さんをどう愛するか?というのがテーマになります。Mさんの言う「試練」ですね。

3つめは2つめと潜在意識の作用が異なる解釈です。
無力感と罪悪感を持つところまでは一緒。

でも、なぜ、お父さんと似たタイプの人を旦那さんにしてしまったのか?という見方が違います。

それは「お父さんと似たタイプを選んだ、のではなく、旦那さんをお父さんに似せるように努力してきた」ということ。

よくセミナーなどで「ダメンズ・コレクターだと思ったら、ダメンズ・メーカーさんだったんですね~」って話をよくします。
例えば、初めはちゃんとしてた男性も女性があれこれと世話を焼き、甘やかし、また一方で怖れを使ってコントロールすれば誰でもダメンズくんになります。

同じように、全然お父さんとは違う旦那さんを選んだのだけど、あれこれとMさんが手を尽くしてお父さんと似せた人に仕上げていったんです。
目的は先ほどと同じ。
助けられなかったお父さんを助けるため、そして、その無力感・罪悪感を癒すため、です。

これまたピンと来ないと思うので、他人事だと思って読んでください(笑)

どうやってお父さんみたいにしちゃうのか?
それは実際にご夫婦の関係を伺ってみないと分からないのですが、実はふだんの自分の行動にあります。

「いじめられっ子っていじめられやすい雰囲気を醸し出している」って言いますよね。
「いじめないでね、いじめないでね」という臆病な空気が、逆にそれを引き寄せちゃうんです。
なぜかというと「いじめられる自分」を完璧にイメトレしてるからです。

「いじめられるのが怖い」と思っているとき、私たちは何をイメージしてるか?っていうと、「いじめられてる自分」ですよね?
毎日「いじめられませんよに」って祈るってことは、毎日「いじめられる自分をイメージしている」のと同じなんです。

「アルコールにハマる人なんて最低!あなたは絶対そんな人にならないでね!」という思いを旦那さんに伝え続けてると、二人の間で何をイメトレしてるのか、分かりますよね?
そう、「アルコールにおぼれる夫と、それに振り回される妻」を必死にイメトレしてるんです。

Mさんがお父さんのことを許せずに、その葛藤を引きずったままだと、「自分のやりたいことを否定されるなんて絶対嫌だ!そんなことをする人を私は許さない!」と毎日何百回もアファメーションしてるのと同じなんですね。
そう、そのアファメーションは「私のやりたいことを否定して!思い切りダメ出しして!それで私を嫌な思いにさせて!ああ!!!」ってのと同じなんです。

まさにどMの世界ですね~。それでこそ、Mさん、私のブログ・メルマガの読者です!(笑)

でも、これ、衝撃的でしょ?(笑)

そんな風に「偶然、たまたま同じことが起こっている」と思いたいのですが、実は潜在意識のレベルで見れば、「引き寄せの法則」だったりするんです。
つまり「偶然なんて何もない。すべては必然」だし、「起きてることはすべて正しい」ですし、「問題はすべて自作自演」なのです。

そう信じたくないのはやまやまだと思いますが・・・、でも心理学を学ばれてるなら、うすうす気づいてたでしょう?

ただ、心理学を学んでるとどこかで「私は正しい」とか「心理学が正しい」とか「私はもう癒された」なんて見解を持ちやすいんですね。
ある種の宗教戦争みたいなことが起きやすいんです。

そうすると「対立」して「正しさの争い」になります。
つまりは「旦那の言ってることは間違ってる」と言いたくなるんです。

でも、心理学ってそんなことは教えてないはずなんですよね。
理解しなさい、愛しなさいってことを結局は伝えてると思うんですよ。

だから、「そんなところ(心理学)は宗教だ!詐欺だ!騙されてる!」ってご主人が言ったときにカチンとなってしまうんです。

私もまあこの20年近く、何人もの方にそういう言葉を言われてるんですけど、旦那さんの言うこと、あながち間違ってないなあ、と思うんです。
だから、そう言われたら「確かにそうですよね~。そう思いますよね~」って同意しちゃうんです(笑)

だって目に見えないからね。心って。数値で示せたり、論理的に解説できたらきっと納得されるんでしょうけど、ね。
今日のここまでの話も「はっ?」って思うところいっぱいあるでしょ?

私からすれば常識なんですけど、でも、心理学を知らない方には「潜在意識がお父さんと同じアルコール依存症の旦那さんを引き寄せてる」なんて言われても信じられないですよ。
詐欺だ!騙されてる!って思うのがふつうですよ。

あと私たちの業界の人(?)が好きな解釈は、そういう心の世界を見るのが怖いから否定するんだ、という見方。
これもあると思います。
特に男性は感情を抑圧して生きてる人が多いですから、心理学は苦手です。
テクニックは欲しいと思うけど、でも、その内面を掘り下げられるのは嫌いな人がほとんどです。
だから、心理学って聞いただけでもう拒絶反応を起こすんです。

だから、旦那さんが否定されるのも変なことではなく、むしろふつうなんです。

でも、Mさんもそれが分かってるから隠し事をして、嘘をついて追いつめられてしまったんでしょう?
ほんと、かなり気を使いながら、プレッシャー感じながら頑張ってこられたと思うんですよね。
ほんとに偉かったと思いますし、頑張りました!
会う機会があったらぎゅっとハグしてあげますね!(←えーっ、いいです、いいです、って露骨な嫌悪感を示したらあきませんぜ(笑))

先日書いたアンダーグラウンドの話、読んでくださいました?
Mさんにとっては心理学の世界がアンダーグラウンドだったみたいですね。

Mさんに与えられた試練は大きく2つ。

1.お父さん(=夫)を許すこと。それはすなわち自分を許すこと。
2.好きなもの、やりたいことを堂々と好きだの、やりたいだのって宣言すること。

1でやるセッションはおなじみの向き合うセッションね。
お父さん役の人を選んで、本音を伝えていくの。
昨日のブログにもう少し詳しく書いたので読んでみてください。

2はいきなり旦那さんには難しいから、心理学の仲間やネットや海に向かって叫びましょう。
アファメーションとしては「私はもう好きなことを好きと宣言してそれをやっていきます」はどうでしょう?

これ、グループセラピーではすごく効果的なセッションがいくつもあるんです。
まさに、この怖れを飛び越えていくところなんてグループでなきゃ難しい!と思うくらいで。
一つ紹介しましょう。
参加される方の前に出て皆さんを見てもらうんです。
そこで見えるのは社会のシンボルです。
もし、社会から攻撃されてると思うと、人前に立つのにも怖れを感じ、防衛的になります。

そして、社会に向かって宣言してもらうんです。
「私は今までずっとやりたいことを我慢して生きてきました。もうそれを辞めて好きなことをして生きていきます。」って。

たぶん、まばらに拍手が起こります。まばらに、ね(笑)
でも、これは宣言することが目的なのでそれでいいんです。
でも、そこからまた先があります。

「私、もう、幸せになってもいいですか?」ってみんなに聞いてもらいます。

そう、これがMさんの一番のテーマですから。
そのとき私は参加者の皆さんにこうお願いします。

「Mさん、もう幸せになってもいいよって思う人は席を立ち、Mさんの前に来て、彼女を抱きしめてあげてもらえますか?」

そして、Mさんは一人ひとりに抱きしめられ、言葉を感じながら、潜在意識レベルで「私はもう幸せになっていいんだ。もう苦しまなくていいんだ。好きなことやっていいんだ」というメッセージを受け取っていくんです。

意識レベル(思考、考え、ルールなど)が強いと、アファメーションをしても、イメトレをしても潜在意識にメッセージが届きません。
思考がブロックしてしまうからです。

そういうときは意外かもしれませんが「体」からのアプローチの方が効果的だったりするんです。
体ってのは潜在意識でもより深いところ、または無意識の層にアプローチすることができますし、何よりも分かりやすいです。

だから、こうしてつべこべ言わずにみんなから抱きしめられた方が早く許可が出て、許しも進みやすいんです。

今日も超長文になってしまいましたが、お読みくださってありがとうございます。
読むだけでも疲れたでしょ?(笑)
でも、私はまだまだ話したりないくらいでして・・・(笑)

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