仕事が忙しいからできないと言われたら専業主婦は何も言い返せません。



なぜ、相手に自分の考えや思いを理解してもらいたいと思うのか?
そこには余裕のなさが潜んでいます。
自分がいっぱいいっぱいだから、相手を変えようとしたくなるんです。

***
こんにちは。毎日、よいブログをありがとうございます。毎日これだけの質のものをお書きになるのは大変なことだと思います。ただ、毎朝、根本さんのブログを楽しみにして起きますので、これからも、どうか、続けてくださいね。

今日お聞きしたいのは、夫婦関係のことです。
夫婦関係を良くするには、まず、感謝、と言われますが、それにも限度がある!と悩んでいます。
小学校4年生の娘が一人いる、専業主婦です。
夫と、父親としての役割のことで、喧嘩になります。
夫に、父親の役割を聞くと、お金を稼ぐこと、という答え。それ以外は思いつかないそうです。父親の役割はATMだけじゃない、もっと子どもと関わることができるよね、(夫は、土日はゴルフと趣味に費やしています)と言ったところ、仕事で疲れてるのにこれ以上どうしろと言うんだ、と言われました。
出た!夫の伝家の宝刀、「仕事で忙しい!」
それって、退職するまでそうなんだよね、そうやってるうちに、娘はお嫁に行くよ、父親としてそれでいいの?と、長年の積もったものをぶつけてしまい、夫の機嫌が悪くなってしまいました。
仕事が忙しい父親はたくさんいます。でも、子どもと、短い時間でも関わりを持とうと努力されている方もたくさんいますよね。根本さんみたいに。

仕事が忙しいからできない。
それを言われたら、専業主婦は何も言い返せません。
我慢するしかないのでしょうか。

これまで夫婦関係を良くするために、カウンセリングを受けました。まずは夫に感謝すること、夫の全てを受け入れること、というので、心がけてきました。が、私の考えや、こうしていきたいっていう話をすると、押し付けてるとか、めんどくさいと言われて険悪になります。
私にも自分の考えや感情があります。それを自分の考えを抑えて、まず、夫に感謝する、ということに、疲れました。
こういう夫には、どうしたらいいのか、
こういう人は、もう諦めるしかないのか、落ち込んでいます。長文乱文おゆるしください。
根本さんの読者はレベルが高いので、これが役立つのかわかりません。が、友達と話していても、どうして男はいつまでも自分のことばかりで、父親として成長しないのだろう、ということが多いので、送らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
(Yさん)
***

Yさんのおっしゃることはおそらく主婦の皆さんの79%は思っていることではないでしょうか?
ちなみにその中におそらくうちの奥様も含まれることと思いますが(笑)

>私にも自分の考えや感情があります。それを自分の考えを抑えて、まず、夫に感謝する、ということに、疲れました。

そもそも「不満ありき」なんじゃないかと思うんです。
ご主人に対して不満があって、それを何とかしようと思ってブログ読んだり、カウンセリング受けたりされて、それで感謝しろって言われたのでやってみたけどうまく行かない・・・ということじゃないかなあ?と思うんです。

初めから旦那さんを変えようとしていませんか?
つまり、旦那さんに家事や育児にもっと協力してもらうために「感謝」「受け入れる」ということをしようとしてきませんでしたか?

「夫を変えるため」という目的で「感謝」をしたとしてもきっとうまく行かないと思いますよ。
だってそれは感謝ではなく「お前が悪い、お前が間違ってる」って心で、否定しまくってるでしょう?
旦那さんが変わらないのは「感謝」してるつもりで「否定」しちゃってるからかもしれませんよ。

例えばYさんがあるお店に買い物に行ったとしましょう。
そのお店ではマニュアルに「必ずお客様に感謝の言葉を伝えること」という項目があって徹底されてるとします。
だから、とにかく何かと「ありがとうございました!」「ありがとうございます!」って満面の笑みで伝えてくれるんです。
その感謝の言葉を聞いて、心が震えますか?感動しますか?
そうしたマニュアル通りの感謝の言葉を伝えられて、その店員さんからまた商品を買おうと思うでしょうか?

人を動かすのって「形」ではないですよね?
なぜ、そのカウンセラーさんは「感謝しましょう」って言ったと思います?
それってテクニックじゃないんです。
人を動かすのって「感情(心)」です。
感動するから人は動くんです。(感じて、動く、わけですね)

もし、その店員さんがマニュアル通りでなく、本当に親切にYさんの欲求に応えようとし、一生懸命話を聞いてくれ、その上、心からの「ありがとうございました」を伝えてくれたとしたら、「次もあの店で、あの人に選んでもらおう」と思うでしょう。

「感謝」「受け入れる」って言葉で言うのは簡単ですが、実践するのはものすごく難しいんです。

だから、今のYさんには無理かもしれません。
だって心に全然、余裕ないでしょう?
いっぱいいっぱいでしょう?

Yさんの本音ってこうだと思うんです。
「専業主婦として家事に子育てに毎日頑張ってきたつもりなんだけど、なかなか思い通りにいかないし、休みもなく働き続けるのは疲れてしまった。全然気持ちに余裕ができないからついついイライラしてしまう。
そんな時に優しい言葉があれば少しでも癒されるんだけど、主人はずっと仕事と趣味ばかりで全然家庭を見てくれない。
それってすごく空しいし、寂しい。なんか私は全然愛されてないし、必要とされてないように思える。
でも、それって専業主婦だから文句を言っちゃいけないんだよね?我慢しなきゃいけないんだよね?そうかもしれないけれど、もう辛いし、しんどいし、もう頑張りたくない」

Yさん、すごく寂しいんじゃないでしょうか。
1人で全部頑張ってて、虚しさでいっぱいなんじゃないでしょうか?
Yさん、全然愛されてるって実感ないでしょう?
必要とされてるって実感ないでしょう?

まず、解決しなきゃいけないのはその心なんです。

「コップにいっぱいいっぱい水が入っていたらそれ以上水は入れられない」ですよね?
感謝も受け入れるも、余裕がなきゃできないわけです。

だから、相手を変えようとするんです。
「私は全然余裕がない。だから、相手に変わってもらうしかない」というわけです。

まず、いっぱいいっぱいになってるYさんの心のコップに少しでも隙間を作る必要があるんですね。
もし、仕事ばかりしている旦那さんだとしても、毎晩耳元で優しく「Y、ありがとう。愛してるよ。君のおかげで今日も僕は仕事を頑張れた。君が家を守ってくれているお陰で僕は安心して仕事ができる。本当にありがとう」って言い続けてくれてたら、同じ状況でも全然文句は出なかったかもしれません。
(とはいえ、人は慣れるもので、同じセリフは2、3か月しか持ちませんけれど(当社調べ 笑)

>夫に、父親の役割を聞くと、お金を稼ぐこと、という答え。それ以外は思いつかないそうです。

そう言われると否定したくなりますよね?
そうじゃないでしょう?もっと子育てに参加しなさいよって。
Yさんのお父さん、あるいは、ご主人のお父さんってどうでした?
家事に育児に参加される人でした?

実はご主人が「仕事が忙しい」と伝家の宝刀を使うとき、内心、Yさんは「私だって忙しいのよ!専業主婦は年中無休24時間営業なのよ!」って言いたくなってると思います。
でも、「お金」という基準で見ると、全然稼いでないし、食わせてもらってるんだから忙しいなんて言っちゃいけないって思っちゃうかもしれません。
もし主婦の仕事を外注に出したら、人件費だけで最低でも月に80~100万はかかると知ったとしてもね(笑)

それに、ご主人が「仕事が忙しい」とか「お金を稼いでくることが夫の役割」っておっしゃる真意って何かっていうと『僕にはお金を稼ぐ以外に家族にしてやれることが何もないんだ』てことなんです。

できないこと、期待しちゃいけないと思いませんか?
Yさんは「なんでお肉を売ってないんですか?」ってクリーニング屋さんに文句言ったりしないでしょう?
もしかしたら彼、どう家族と関わっていいのか分からないのかもしれないですよ。
人とどう付き合っていいのか分からないのかもしれないですよ。
あるいは、お父さんとの関係から、家庭のことにかかわってはいけないと思ってるのかもしれないですよ。

「お腹いっぱいの人に、ご飯を食べさせようとしても無理」ですよね?
相手に自分の考えや思いを受け入れてもらうためには受け入れ態勢を作らなきゃいけないんです。
いわゆる「信頼関係」ですね。
でも、そこでも余裕がないととても相手のことを信頼しようなんて思えないんです。
彼自身、余裕がない状態で、私も余裕がない状態だからこそ、お互い気まずくなっちゃうんです。

そうするとお互いに孤軍奮闘状態になり、相手のしてることが見えなくなり、理解できなくなり不満や文句ばかりが出てきます。
ご主人もおそらく同じ思いだろうと思うんですよ。

そうするとお互いに自分に役割に没頭しつつ、相手に不満を持つようになるんです。
相手に何とかしてもらいたくなるからね。

そこに「コントロール」が生まれます。
相手を自分の意のままに動かしたくなるんです。
すなわち「分かってほしい」と思うし「自分の考えを受け入れてほしい」と思うし「自分が思うように相手に動いてほしい」と思うんです。

繰り返しになりますが、心に余裕を持つ必要があるんです。
感謝だのなんだのはそのあとじゃなきゃ無理です。

とりあえずは「お恨み帳」作りましょうか。
あれがむかつく、これがむかつく、あれが嫌だ、これが嫌だ、というのを書き付けるノートを一冊作ってください。
「旦那さんへの恨みつらみを伝える手紙を書いてください」という宿題も良く出します。
だけど、それほんとに出しちゃだめですよ!余計にこじれますから!(笑)

それと可能な範囲になっちゃうんですけど一つ何かオシャレしましょう。
メイクやアクセサリ、インナー、アウター。
自分が「女」に戻れる時間、作りましょう。
娘さんが学校に行ってる間にでもね。

自分のこと、あまり好きじゃないでしょう?
少なくても、今の自分は。
元々Yさんの自己肯定感はあまり高くないんじゃないかとも思います。

だから、自分を愛すること、をまずしてみたいんですね。
自分を喜ばせること、を。

自分を愛せないと人を愛することも難しいし、人の愛も受け取れません。

自分が笑顔になれることをしてみるんです。
こっそりおいしいチョコレートを食べてもいいですよ。
友達とちょっといいランチを食べに行くのもいいですよ。

4年生だったら少し手が離れているでしょう?
可能であれば、習い事をしたり、ジムに行ったりして「自分の時間」を作ってみてください。

子育てって「自分」に戻れる時間を喪失させます。
主婦って家族のことばかり考えているから、自分のことを後回しにしやすいんです。
それが愛であるうちは喜びなんだけど、やがては犠牲に変わりますよね。

だから、自分を喜ばせることも大事なんですよね。
ね?そしたらさ、お師匠さんが目の前にいるって気付きますか?
そう、旦那さんね(笑)

彼を習って自分も好きなことをできる範囲でやってみるんですね。

そうして心に余裕を作っていきましょう。
そうすると見えてくるんです。
「あの人なりに頑張ってるんだよなあ」
「不器用な人だよなあ。」
「悪い人じゃないんだよね」
なんてところが。

そういうわけで大きな流れとしては
1.自分の心に余裕を持つ
2.そうするとご主人の気持ちが理解できるようになる(受け入れられるようになる)
3.感謝できるようになる
4.お互いの心が通い始める
5.お互いの主張に理解をし、行動が変わる。
的な感じですね。

セラピーでもよくこのテーマを扱うんですね。
ロールプレイのセッションがパワフルなのは心に余裕を作るところから愛を感じてつながるところまで一気に進められるところなんです。

旦那さん役の人を選んで向き合って立ってみると、その人に旦那さんをバンバン投影するんですね。
そうして、本音をいろいろ言っていくんです。
文句もいいんだけど、その奥の寂しさとか虚しさとか愛情とかを。
そうして泣いたり怒ったりして感情を吐き出していくと、だんだん心の奥から愛が沸いてくるんです。

「なぜ、Yさん、そんな旦那さんのために一生懸命頑張ってきたの?」
「なぜ、Yさん、そんな仕事人間のために今もあれこれしてあげてるの?」
「それって単に義務感だけ?それともほかに理由があるの?」

そんないやらしい質問をいっぱいしていくとね、気付いちゃうんです。

ああ、全部、あの人のためにやってるんだなあ、って。
あの人のことが好きだからなんだなあって。

怒りや不満のふたを外して寂しさや虚しさを解放していくと、どうしたってそこに行っちゃうんです。

だから、最後は「愛してる」ってところに行くんです。
それで「ああ、なんだかんだ言ってあたしはこの男のことを愛してるんだな」という悟りに至ったとき、彼の態度なんてどうでもよくなります。
ゴルフに行こうが、仕事に行こうが、女を作ろうが、借金を作ろうが。

それが「自分の愛に自信を持つ」ということなんですね。

男と女の心理学
子育ての心理学
○根本のセミナー情報
○根本のカウンセリング・スケジュール
☆根本本。
根本の著作


あわせて読みたい