過去の住人。



先日、別れて1年が過ぎたというある女性のお話を伺っていました。
どうして別れることになってしまったのか、その後、どんな風に過ごしていたのか、今、どんな思いなのか。
はたまた、どうして付き合ったのか、付き合ってた期間はどんなだったのか・・・。

彼女の話をお聴きしながら、私はある違和感を感じていました。
「1年前なんですよね?」と幾度となく確認したい衝動に駆られます。

そう、まるで先月、先々月別れたかのようにお話をされるのです。

皆さんも半年前の出来事なのに、まるで昨日のことのように覚えていることってありますよね。



時間って観念ですからよくそういうことが起こるんです。
そして、時にショックな出来事があると私たちはそこで時計の針を止めてしまい、そこに留まってしまいます。

そして、そのまま過去の住人として生き続けるのです。

彼女もそうでした。
すごく好きだった、大切だった、愛した彼だったのでしょう。
お話の端々からそんな思いが伝わってきました。
だから、別れたことが辛くて、苦しくて、あまりにショックで、それで時計の針を止めてしまいました。

それだけ彼女の思いが大きいことが分かるのです。

そこで、先週お話ししたことと同じく、その素直な気持ちを認めて行くことにしました。
過去に住みたくなるくらい情が深く、愛があったんですね。
大好きで、未だに彼との未来を諦めきれないんです。
その気持ちを自分で受け止められないくらいに。
その好きな気持ち、辛い気持ち、寂しさ、悲しみ、不安・・・。
ありのままにその気持ちを受け入れて行きます。

そして、その彼はもうここにいないことを改めて確認していきます。
頭では十分分かっているんですよ。
でも、なかなかそれを心が受け入れられないってこともあるんです。
だから、ゆっくりと、丁寧に。

ここで時には「もう一度振られてきてください」って宿題を出すこともあります。
また、友達を呼んで「失恋を労う会」を開いてもらうこともあります。

どちらも、ちゃんと別れを受け入れるために。

そうして少しずつ止まってしまった時計の針を動かしていくのです。

過去の住人からなぜ脱する方向に導いて行こうとするのか?というと、「今」にしか私たちは生きられないから、ということになります。

とはいえ、人間ですから、ショックなことがあればそこに留まってしまうのは世の常。
失恋に限らず、大事な人を失ったり、大きな災害が起きたりしたら、誰でもそうなります。

しかし、その結果「今」が死んだような毎日では楽しみや幸せはありません。
心からの笑顔も忘れてしまいます。

「今」を生きるために、過去を過去として受け入れること、をお勧めしているのです。
もちろん、その方のタイミングに合わせて。

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