「自立の依存」から出てくる彼への期待やニーズ(欲求)を手放して対等な関係性を築くには?



私たちは幼少期より期待に応えたり、我慢したりしてきているので、パートナーシップでもまた相手に期待したり、ニーズを持ったりしてしまいやすいものです。
そして、その結果、相手に対して不満を覚えるようになり、自分も相手をコントロールしようとして喧嘩になったりしやすいものなのです。

こんにちは。いつも楽しくYouTubeなど拝見させて頂いています。こちらの説では男性への隠れた依存と期待のご指摘ありがとうございました。全然気づいてませんでした。今また新たにそれを浮かび上がらせるような?出来事があるのでまたご相談させてください。

新しく付き合った彼は育ちがよく、そもそも備わった人柄が本当にいいと感じるのですが、現実的に将来を考えリードする感じが今のところ見られません。
多分嫌だとは思ってなさそうだけど私の方が稼ぎが多そう、という発言をしてきたり、もう少し時間が欲しいと言ってきたり、あー、ちょっと育ててあげなきゃいけないんだな、という登らなければいけない小さな山を感じています。
私も彼も30代後半です。
いい男は女性が育てる、とよく言われることなのかも知れませんがどうしてもその山が見えてくると「面倒くせぇな」という気持ちが出てきてしまいます。 
ちなみに恐らく彼の方がマイペースなお坊ちゃんタイプで、私はストリートファイトでなんとかしてきた切り開きタイプです。
本来わたしは小学校でも先生を好きになるような大人のおじさまが好きでした。出来上がった大人たちに良くされてきた歴史は深い方です。
過去、プロポーズされた事がありましたがその時も慎重に考えすぎている彼を包容することができず、やっと言われた頃にはもう自分が待ってる間にイライラしてしまっていてエンスト事故でうまくいかなった事もあります。私は物事を決めるのもとても早い方です。
それとは別で父親にあまり甘えられなかった幼少期を自覚しているのですが、アメリカンファーザー的な包容力のある父親を求めていた私にとって育ててくれた感謝とは別に、歳をとってきてさみしさや弱さやすぐ焦ったりする父の様子を見て、失礼な言い方すぎますが「思ったより器が小さいな…」と思うこともあります。幼い頃は自立するよう厳しめに父に言われていた長女です。
そんな風に男の人の自信の無さや弱さ、育ててあげなきゃいけない感じが面倒くさい!まだ忠誠を誓ってくれた旦那でもないのに、、と感じます。
自分が自立するよう常に言われていたからでしょうか、、でもこの気持ちを手放し、脱皮して大人の女になりたいです。
書いてて「偉そうだなあ自分」って本当に思うのですが、ある意味幼い自分の脱皮の心構えをご教授お願いします。
大変わがままな質問ですが、根本先生に頼れた感じで書けてスッキリしました。笑
どうぞよろしくお願いいたします。
(Hさん)

そもそも「自立」というのは「依存心」を押し殺してしていくものですから、自立の裏には依存心が隠れていると解釈するのが一般的です。

そして、自立の中にも「自立の依存」「自立の自立」という段階がありまして、要するに前者が野良猫、後者がロックマンという風に呼びならわしておりますので、みなさまも馴染のあるところかと思われます。

したがって「ふだんは自立してるけど恋をすると重たい依存的な女になってしまう」とか「自立的な彼との関係が深まってきたらなんかめっちゃ甘えてくるようになってキモい」と言った問題もこの自立と依存の関係を理解されると分かりやすいかと思います。

で、自立の自立になりますと依存心を徹底的に嫌って強く抑圧しているのでストレートに依存心は出てこないんですけど、自立の依存の状態だと野良猫君たちを観察してみれば分かるように、ちょっと頼りないような、すぐに依存的になるような素振りがあるののです。

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さて、そういう目線で見るとHさんは自分は少なくとも恋愛においては野良猫?ロックウーマン?どっちに所属されてると思います?あるいは両方ってこともありますよ。笑

文面を通してみると依存的な部分が見え隠れしていますから「自立の依存」という風にお見受けするわけですね。野良猫女子ってことですかな。

とはいえ、「面倒くせぇな」という思いが出てくるってことは多少のロックウーマン要素もありそうですけどね。

で、この「自立の依存」には「期待のステージ」と呼ばれる時代があるんです。

「何かと期待してしまう。そしてその通りにならずに裏切られてハートブレイクする」という時代です。

「彼ならきっと分かってくれるはずだ」とか「きっと彼なら私のことを大事にしてくれるはず」と言った表現で表される「期待」ですが、これは「欲求(ニーズ)」の表現のひとつなので、たいていその通りにはならないものです。

だから「期待は裏切られる」という格言が誕生するんですね。

で、Hさんはだいぶ男性への期待が強いようですね。

また、「自立の依存」から「自立の自立」への移り変わりの時代には「パワーストラグル(主導権争い)」というステージも現れるものでして、ここでは「どっちが強いか、正しいか、偉いか、上か」を巡って争いが起こるものです。

そうすると「まだまだあんたは甘いのぉ。未熟だのぉ」と相手を見下ろすような発言をしたり、相手の言葉にいちいちムッときて食って掛かったり、何かと張り合ってみたりすることが増えるわけです。

Hさんも彼を下に見るような発言をされてますので、この状況にもあるようですね。

だから、ご自身でも

>書いてて「偉そうだなあ自分」って本当に思うのですが、

と思われるのでしょう。

例えば、文面からHさんが男性に対していただいている「期待」「欲求」をピックアップしてみましょう。

・彼には現実的に将来を考えリードしてほしい。
・出来上がった大人たちに良くされたい。
・アメリカンファーザー的な包容力のある父親を求めていた
・育ててあげなきゃいけない感じが面倒くさい!(自ら大人の男になってほしい)

例えば、

>そんな風に男の人の自信の無さや弱さ、育ててあげなきゃいけない感じが面倒くさい!

という部分も「自分のことは自分でちゃんとやってよ!」という期待とニーズが見えますよね。

で、こうした期待やニーズってのはHさんが望まない自立を果たしてきたこともまた示唆しています。

>幼い頃は自立するよう厳しめに父に言われていた長女です。

ということですから、ほんとは甘えたいのに、ほんとはもっと頼りたいのに自立しなきゃいけなかった、ほんまはいややってんけど自立するほかなかった、という背景が見えてくるわけです。

つまり、察するに甘えようと思えば甘えられた環境にあったのに、でも、それを禁じられたから渋々自立するようになった、ということかもしれません。

この「自立するように言われたから自立した」という思いがまさに自立の依存を表しています。

これが「自立の自立」に達する人たちはどうかというと「母を守るために自ら剣を持って立ち上がった」「親に頼るなんて発想は元々なく、幼少期から自分のことは自分でしなきゃいけない環境にあった」「虎の穴で鍛えに鍛えられたので誰かに甘えるなんて言葉は辞書にない」みたいな感じになります。

つまり、そもそも周りの人に期待することもなく、欲求などとうの昔に諦め、自分のことは自分でするしかない人生を歩むと立派なロックウーマンとなるわけです。

とはいえそれは環境や時期の問題だけであって、依存心を抑え込んで自立してきたことは間違いなく、Hさんもおっしゃる通りストリートファイトで自らを鍛え上げられてきたと思います。

しかし、それをほんとうは望んでない自分がいるので、一方では自立しまくっているものの、人間関係においてはちょいちょい依存心が顔を覗かせるのだろうと思います。

「ほんとは一人で頑張りたくなんかないんだよ。でも、そうするしかないから一人で頑張ってんだよ」という感じですね。

そうすると彼との関係においても「あたしがしっかりしなきゃ」という思いがある一方で、彼に対して「こうしてほしい」とか「もっとこうなってほしい」というニーズが出てくるものでして、しかし、自立している自分としてはそんな彼を「育てなきゃいけない」と思うところもあり、しかし、「なんであたしが育てなきゃいけないのよ」というニーズもやっぱりあるので「めんどくせぇ」という気持ちになるんだろうと思います。

ま、人の心は複雑な動きをするものですね。

でも、今でこの調子だと結婚してからどんどんニーズがあふれ出てきちゃうと思いません?

常に旦那様に要求を突き付けちゃう妻になっちゃいそうじゃありません?

また、育てるのはめんどくさいと思ってらっしゃるんですけどHさんにとっての「育てる」どういう方法を指すんでしょうか?

育て方にもいろいろあるんですけど、実はその方法って「親」が基準になってることが多いのですね。

例えば、親が「勉強しなさい!」ってよく言ってたとするでしょう?
それが結果的に良かったと思えば、自分の子どもにも同じことを言うようになります。
一方、それが苦しくてイヤだったと思えば、自分の子どもにはそれを言わないようにするでしょう。

親があれこれコントロールしてくるタイプだとすれば、自分も“無意識に”相手をコントロールすることが育てることだと思い込んでしまうものです。

で、仕事でも何でもそうですけどそう簡単に誰かを育てるってことはできないものですね。

だから、あんまり育てようとか思わない方がいいのかもしれません。

>いい男は女性が育てる、とよく言われること

っていうのも、じゃあ、その女性は育てようと思って育てたのか?というと案外そうでもなく、「自分らしく振舞っていたら勝手に男が育った」ということじゃないかと思います。

カウンセリングでもよくあるんですけど、育てる=自分の思い通りに相手をコントロールする、という風になっちゃってる方も多いのですよね。

それってコントロールだから相手も反発するし、相手も大人なら自我がありますから喧嘩が絶えなくなったりするんですよね。

だから「浮気」「離婚」という問題の裏にはこのコントロール癖が原因になってることも少なくないんですよ。

ということで、

>自分が自立するよう常に言われていたからでしょうか、、でもこの気持ちを手放し、脱皮して大人の女になりたいです。

Hさんにとって「大人の女」というのが何を指すのかもまた改めて伺いたいのですけれど、今日の話の流れから考えると大きく2,3のポイントを押さえてみると良いでしょう。

1つ目は「自分軸」を確立すること。

期待やニーズがあるってことは「他人軸(彼軸)」になっているものですね。

だから「私は私、彼は彼」という意識を強く持つと同時に「私はどうしたいのか?」と自分に問いかけることが役立つでしょう。

ここは意識しないとつい「もう彼は~」という風に彼に思考を持っていかれますから要注意ですね。

カウンセリングでも「あ、また、彼への期待が出ちゃってるねー」とか「お!それって得意のコントロールじゃね?」とか指摘するところなのですが、自分軸が確立できれば、そうした期待やニーズはだいぶ減っていくものです。

2つ目はもっと自分の魅力に自信を持つことですね。

最近のカウンセリングの傾向として「じゃあ『あたしが奥さんで良かったでしょ?』ってニコニコしながら言ってみよう!」とか「目標は『あたし以外の体で満足できるのかしら?』って堂々と言えることですね!」という提案が多いのですけれど、女として彼女として妻としての「根拠なき自信」を獲得していくことが目標ってことです。

期待もそうですし、コントロールもそうですが、ありのままの自分に自信が持てないからそれをやってしまうんですよね。

自分の魅力に自信を持ち、もちろん、それを発揮していれば、相手は勝手にあなたのために頑張ってくれようとします。

コントロールする必要などなくなるわけですね。

そして、それが結果的に彼を育てることにもなるでしょう。

Hさんのように自立的な生き方をしてきた方はこの「女」という部分を見落としがちになっておりまして、たしか最近も「男らしさには自信があるけど、女の部分は恥ずかしい」ってネタを書いた記憶があるのですが、まさにそんな状況になりがちです。

特に自立系武闘派女子の方々にあるあるな傾向ですので、思い当たる方は「女の自分」をちゃんと見つめる時間を作ろうと思ってみてください。

よくカウンセリングや女性性のGSでは「彼(理想の彼)にまっすぐ見つめられて愛情を伝えられる」というイメージワークをやったりしますし、「あたしのすべてを見せてあげる、と言ってハートを開くイメージをする」ワークをやったりしてます。

頑張る自分。
行動する自分。
考える自分。
与える自分。

そういう男性性よりの自分は承認できてるんですけど、なかなか女性性側の価値を認められないんですよね。

だから、受け取るのが苦手、素直になれない、気持ちを表現するのが苦手、サレンダーができない、という問題も出てくるわけですね。

Hさんにとっても「大人の女」を目指すというのは彼との関係をより良くするためにもすっごく役立つと思います。

そして、3つ目のポイントですけれど、ファザコンを卒業しましょうかねえ?というテーマです。

彼に対して持ってる期待やニーズの出どころはお父ちゃんみたいでして、

>歳をとってきてさみしさや弱さやすぐ焦ったりする父の様子を見て、失礼な言い方すぎますが「思ったより器が小さいな…」と思うこともあります。

という風に思うくらい、お父ちゃんに期待していたし、お父ちゃんに求めてきたものが多いのだろうと思います。

つまり、パパ大好きっ子だったわけですね。

だから、今ももしかすると「彼氏」よりも「理想のパパ」を探し求めてしまってるのかもしれません。

だから、ここでは本格的にお父さんを手放すことを意識してみるといいでしょう。

そして、お父ちゃんを手放せるほどに彼との関係が対等になっていきますから、今よりずっと楽に、自然にお付き合いができるようになると思うのです。

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