「気を使う」は優しさではないが、優しい人が「気を使う」



人に気を使ってしまう、というお話を良くお伺いします。
「人」が具体的になり、パートナーや会社の同僚、“友達にさえ”という表現もよく耳にします。

「気を使う」というのは、それだけで神経をすり減らしますし、疲れます。
なぜかというと、シンプルに見れば「自分がしたいことをしてるわけではない」からですよね。

例えば、「こういうこと言ったら傷つけるかな?」と思って言わない言葉があるとします。
本音は「言いたい!」です。言いたいけど、傷つけることを慮って「言わない」ようにするからしんどいんですね。

じゃあ、言えばいいのか?というと必ずしもそうではないですよね。
人間関係が崩れてしまったり、喧嘩になったりします。

傷つけるかもしれないけれど、その人のためには伝えた方がいいと思った時は、言い方を工夫するようにしたらいいのかな、と最近は考えてます。

すなわち、それが相手のためではなく、自分の欲求だったり、感情のはけ口だったりするなら、自分自身の問題として捉えた方がいいんですよね。


気を使う、ということ、実は、その行動のほとんどは自己防衛だと思うんです。
「~にならないように」と怖れから気を使うからです。

嫌われないように、
ケンカにならないように、
もめ事を起こさないように、
迷惑をかけないように、
見下されないように、
偉そうに思われないように、
調子に乗ってると思われないように、
場馴れしてないと思われないように、
相手に失礼のないように、
いい人だと思われるように、気を使うのではないでしょうか。

相手のためにすることは、与えることなので、それ自体が喜びとなります。
だから、本来はストレスにはなりないんですね。
それが本当の「気遣い」なのですが、実際は、何らかの「怖れ」が付いて回ると思うんです。

だから、気を使って何かをすることは、「~にならないように」と怖れているために、本当の優しさではないと思うんですが、いかがでしょうか。

だから、気を使っている関係はいずれ歪が溜まって問題を起こすようになります。
怒りが出てきたり、嫌いになったりするかもしれません。
「これだけやってるのに、なんで分かってくれない、変わってくれない」と不満を溜めこむようになるかもしれません。

優しさって、それが目的ではないですよね。
愛の行為で、相手のことを思ってすることだと思うんです。

だから、相手のことを思ってする気遣いでなければ、それはやめてもいいと思うんです。
お互いのためになりません。

それで嫌われるならば、そもそもその関係は対等ではなかったのかもしれません。
だとしたら、気を使うよりも大切なことは、対等な関係性を築くためにアイデアを練ることではないでしょうか。

#どうしても気を使わなければいけない関係だとしたら、どんどんそんな自分を褒めてあげることが大事です。「偉いな、俺って。こんなに気を使って。天才ちゃうかな」と“思い込む”のも大事です。そうすると、気を使った自分が報われますし、好きになれます。

ところが、「気を使ってしまってしんどいです」というご相談をしてくださる方のほとんどは、私から見ると、とても優しい方です。
相手のことを思い、考えて行動される方ばかりだと思います。
(もちろん、そう伝えると否定なさいますけど(笑))

ただ、その度合いが行き過ぎてるんだろうと思うんですよね。
分かりすぎたり、考えすぎたり、気をまわしすぎたりします。
気付かなきゃいいのに、気付いてしまったが故に、気をまわしてしまう、という葛藤を常にしてる方も少なくないのではないでしょうか。

優しいが故に気を遣ったり、我慢したりして、それで苦しくなってしまうのでは、せっかく素晴らしいことをしているのに勿体ないと思うのです。

そんな方に最近はこういう話をお伝えするようにしています。

#カウンセラーという「権威」をちょこっと使っています。1万人以上をカウンセリングしてきたって「実績」を意識しながら伝えてます。(これはテクニックですね(笑))

まずは、自分のことを知ることだと思います。
「私は優しい」と理解できなくてもいいから、知っといてくださいね。
覚えてください。記憶でいいんです。
何なら、「私・は・優・し・い」と左手の指先に一文字ずつ書いて常に見ていてください(笑)

その上で、感情込めなくてもいいから「私、頑張ってるよな」とか「私、偉いな」って声に出して言ってあげてください。1日に何度も何度も。
気を使って疲れる人って、たいてい、自己評価が低すぎるんです。
だから、自己評価を上げるためのレッスンだと思って、自分を褒める癖を付けてください。
鏡を見たら「私、偉いな」って思う、とか、飲み物を飲んだら「私、頑張ったな」って意識的に言うんです。心の中じゃなくてできるだけ声に出してね。
あるいは通勤の時、駅まで行く道すがら「私は偉い、私は頑張ってる」ってぶつぶつ言いながら歩くのもいいですよ。(主婦の方なら買い物や子供の送り迎えの際に)

そうして、自分の存在意義を高めてあげることで、本当の優しさにエネルギーを投資することができますね。

それだけの優しさを持っているんだから、いい使い方をしたいと思いませんか?

私、気を使ってるな、とお感じの皆さん全員に当てはまることだと思います。
心が優しい方で自分に厳しい方は、特に後半を読み流しやすいので、ぜひ、熟読ください(笑)

お役にたちましたら幸いです。

 ★好評発売中!根本裕幸の近著。
こじれたココロのほぐし方 


あわせて読みたい