「勇気が出せないとき」



*「こんなとき、どうしたらいいの?」にお答えする心の処方箋シリーズ*

何かを始めるとき、誰かに近付くとき、離れるとき、何かを選択して実行しようとするとき、「勇気」が必要ですよね。
勇気というのは、「怖れを乗り越えるための気持ち」と言えるかもしれません。


例えば、恋に慣れて自信がある人は好きな人に近付く時には怖れを感じません。
だから、そこでは勇気はあまり必要ないように思えます。
でも、自分に自信が持てず、「振られるかもしれない」という不安が強いと、好きな人に近付くということを想像するだけで足がすくんでしまうくらい怖いものです。
だから、そこでは「彼に告白する勇気が欲しい」と切に願うようになります。

でも、怖れが強すぎると「どうせ、やっても無駄だし・・・」などのネガティブな呪文を自分に投げかけて諦めようとします。(そして、諦めた分だけ自己嫌悪し、後悔することになります)。

勇気が欲しいのに出せないとき、次のような心がけを持ってみてはいかがでしょうか。
一つ目は、怖がっている自分をきちんと見てあげること。
震えている子どもを守るように、自分に優しくしてあげることです。
ついそんな自分を卑下し、否定し、厳しく扱ってしまうので、余計に怖れが強くなるし、諦めるしかないように思ってしまうんです。

二つ目は、なかなか出てこない勇気を出してまで手に入れたいその目的をしっかり見つめること。
好きな人に近付くためには「それくらい彼のことが好きなんだ!」ときちんと承認してあげるんです。
怖かったり、諦めモードに入ると、その目的を消そうとしてしまいます。
(「彼のこと、あんまり好きじゃないかも」とか)
だから、その欲しいもの、近付きたい対象をきちんと見つめることが大切なのです。

三つ目は、再選択。
怖れと向き合い、目的を見つめなおしたら、素直になって、その目的に向かって踏み出すかどうかを改めて選択します。
「選択する」ということも「勇気」が必要ですよね。
そして、このプロセスはもう一度腹を括る、覚悟を決める段階でもあります。

四つ目は、踏み出すこと。
その方向に向かって自分なりにまっすぐ一歩を踏み出します。
これはカウンセリングなどではイメージワーク(瞑想)を使い、グループセラピーでは人を使って練習します(イメージトレーニング)。
この一歩踏み出す感覚を心と体に教えてあげるのが大切なんですね。
その怖れや不安を十分感じ、目標を改めて見定め、そして、一歩踏み出す。
その意識を高めると、だんだん怖れを乗り越えられる自信がついてきます。

とは言え本番ではやはり怖いもの。
五つ目としては誰か協力者、援助者の存在が必要になることも多いでしょう。
応援してくれる人、励ましてくれる人、そして、失敗しても受け入れ慰めてくれる人の存在は非常に心強いものがあります。

これらのプロセスを繰り返せばきっと自信が付いてきます。
強がらず、自分の気持ちに素直になって目的に向き合えば、自然と沸いて出てくるものが「勇気」だと思います。
私達は忘れてますが、私達は皆、あの狭い狭い産道を通って生まれようと選択してきたのですから。

心の処方箋

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