「焦ってしまうとき」



*「こんなとき、どうしたらいいの?」にお答えする心の処方箋シリーズ*

焦りというのは不安や怖れの感情が作り出すものです。
何かしなければ、早く何とかしなければ、という自分を急き立てるもので、皆さんも経験されるように、焦れば焦るほどうまくいかなくなるものです。
でも、とはいってもすぐにやめられるわけでもなく、焦りが焦りを呼んで、さらに空転、さらに悪循環、という目にあってしまった方も少なくないのではないでしょうか。


失敗を取り戻そうと焦って事を進めたために、かえって傷口に塩を塗りこめる結果になってしまった・・・ということもあるでしょう。
不安から逃れたい・・・と結果が早く欲しくて焦ってしまい、かえってどんどん悪い状況に物事が進んでしまっている・・・という状態にある方もいるかもしれません。
はたまた、寝坊して遅刻しそうで、焦って家を飛び出したら大事な書類を忘れてきてしまった・・・という日常的なトラブルもあるでしょう。

焦ってしまうとき、私達はまずそのことに気付いてないケースも多いんです。
だから、自分が今どんな状態にあるのかをチェックしてあげることってすごく大事なんですよね。

そうして焦っている事に気付けるだけでも私達は随分と楽になるものです。
なぜなら、不安や怖れというのは、私達の心が「ちゃんとこっちを見て!」というサインだからなんです。
焦っていることに気付き、その背景にある怖れや不安を見つめ、きちんと自分自身の心に目が向けられるとホッとした温かい感覚を取り戻せることも少なくないでしょう。
また、そんな不安や怖れを誰かに分かってもらえたり、受け入れてもらえると、肩の力がすーっと抜けて地に足が着くこともしばしばあるものです。

特に初めてカウンセリングに来られる場合、こうした焦燥感に駆られている方も少なくありません。
でも、2時間ほどでもお話を伺っていると、はっきり分かるくらい表情が緩み、ホッとされる方が多いんですね。
何でも「気の持ちよう」と言いますが、私達にとって現実の状況が変わることよりも、そうした心の状態を変える方がより効果的なのかも・・・と思わされる瞬間です。

そうして、焦りの感情から解き放たれ、きちんと地に足が着いてくると、いよいよ本格的な問題と向き合う準備が整います。

焦っているとき、まずは自分のその不安な気持ちに目を向けてあげましょう。
そして、それでも足りない場合は、その不安を思い切って誰かに打ち明けてみましょう。
どんなに焦っても状況がすぐに変わるわけではありません。
焦りに駆られて突っ走るよりも、まずはその焦りの気持ちそのものを見つめてみる・・・。
「急がば回れ」とは、こういうシーンで是非思い出して欲しい言葉です。

心の処方箋

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