「自分だけが頑張ってると思えたとき」



*「こんなとき、どうしたらいいの?」にお答えする心の処方箋シリーズ*

遥かにオーバーペースになり、心に余裕もなくなり、そして、息が上がってくる頃、私達は「自分ひとりが頑張っている」ように感じます。
頭では自分ひとりじゃないと分かっていても、心はなかなかそれを受け入れられません。

そうすると「なんでお前らはもっと頑張らないんだ!」と周りを攻撃したくなることもあります。
自分ばかりが頑張って損をしているように感じて不平や不満が漏れてしまうことがあります。
詳細なデータや実績を示して、どれくらい頑張っているのかを正当化してしまうこともあります。


でも、そうした行動の全てが裏目に出て、ますます孤立し、寂しさや虚しさが募ることもあるでしょう。
一人で空回りをしているような感覚や、憤りが心を支配するようになるかもしれません。

自分だけが頑張っていると思えたとき、私達がまず向き合わなければいけないのは、その分離感、孤独感です。
どれくらい自分が頑張っているか、どれくらいそれがしんどいことなのかを誰かに理解してもらおうとする前に、今、自分が周りとのつながりが切れてしまっていることに気付くことが大切なのです。
こう感じるとき、きっと暴走したり、一人よがりになってしまっているのでしょう。

だから、まずはとても基本に立ち返ることが大切です。
あなたは何故、そんなに頑張っているのでしょうか?
誰のために、そんなに頑張っているのでしょうか?

あなたの怒りや虚しさはその思いが通じていないことから生まれてきます。

自分ひとりが頑張っているとき、私達はつい「誰のために頑張ってると思っているんだ!」と声を荒げることがあります。
そうです。
そのとき、あなたは誰かのために頑張っているんです。
家族のために、パートナーのために、従業員のために、社会のために。

それを今一度思い出しましょう。
そして、その目的をもう一度胸に抱いたとき、再び、あなたの心は繋がりを感じ始めます。
繋がりを感じているとき、自分は一人で頑張っているようには思えません。
自分を突き動かす目的があるからです。

また、自分一人が頑張っていると感じたとき、実は、相手や周りの人の頑張りが見えなくなってしまうくらいあなたは頑張りすぎています。
だから、周りの人の頑張りが見えるまで、ペースを落とし、力を抜く事が求められているのです。
そこで「自分が頑張らなきゃ」とか「自分がやらなきゃ」とか更に頑張ろうとしないで下さい。
それよりも休む事、一呼吸入れること、視野が広がるまで心を癒すことが大切なのです。

※カウンセリングの現場から※

夫婦やカップルの問題を扱うとき、あるいは社長さんや部長さんなど権威ある立場の方のお話を伺うとき、よく「自分ひとりが頑張っているように感じる」という話が出てきます。
自立してる人は、相手のために、二人のために、社員や部下のために頑張ることができるのですが、気がつけば、孤立して虚しさや寂しさを感じます。

お互いに頑張っているのに、その頑張りが見えなくなってしまうんですね。

だから、自分一人が頑張ってるように感じたとき、パートナーや従業員一人一人を思い出しながら、彼らの頑張りや才能を“承認する”ことを実践したりします。
これは難しく、ちょっと屈辱的に感じるセッションになることもあるんですが、自立を手放し、相互依存のステージに進むための良いセラピーになることが多いのです。

心の処方箋

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