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「親の老い」というのは30代以降になれば気になり始めるテーマで、そこではいろいろな心理が動くものです。
元々距離が近い親子の場合は不安になったり、イライラしたり、コントロールしたり、様々な感情が出てきます。
そんな親との関係をどうしていけばいいのか?を考えてみたいと思います。
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以前ついに先生の個別カウンセリングを受けてから、更に先生のファンになったRと言います。
母について、もしアドバイスを頂けたら嬉しいです。
母は70代、父は20年ほど前に病死しており、40代姉と30代の私の3人家族+猫です。
私はずっと一人暮らしでしたが、訳あって昨年から実家暮らしをしています。
元々母は感情的で場当たり的な行動が目立つタイプでしたが、ここ数年、そのような気質がより目立ち、自分でできることも大声で子供を呼んでやってもらおうとしたり、止めても収入に見合わない買い物をしたり、人の話を聞かずに自分の話ばかりするようになりました。
少し子供帰りのようなこともみられ、食事のマナーが悪くなり、箸でお皿をカンカンと叩いたりします。注意すると怒ります。
母は今も働いていて、自宅での電話対応を聞いているとしっかりしており、ボケている感じはしません。
姉は無職ですが、罪悪感からなのか、母を注意することもせずひたすら素直に対応していて、私が箸でお皿をたたくのはマナーが悪い、とか注意すると、言い方がキツいとか、疲れてるから仕方ないと庇っています。
母が相変わらず過干渉で姉がずっと家にいて、私は居心地が悪いこともあり、近々再び一人暮らしをするのですが、何故こうなってしまったんだろう?と悲しいです。
ただ、実家に戻った意味があるとすれば、自分軸をより強固にすることができ、自分だけに集中するための修行であったかもしれません。
色々あった中で、わたしと母は癒着していて、ある時ふと「最近は私と母はまるで別の人間同士だ」と当たり前のことに腹落ちした瞬間があったからです。
私は仕事も忙しく、自分のことで精一杯ですし、母と姉のことをケアすることは難しいです。
でも、このままで良いのか?2人とも苦しくないのか?心配です。
パリッとした質問がなく申し訳ないのですが、私は物理的に離れることしかできないのか?何かアドバイスをいただけたら嬉しいです。
宜しくお願いします。
(Rさん)
その節(カウンセリング)ではこちらこそお世話になりました!ファンになってくださってうれしいです~♪
猫に救われる実家生活という感じでしょうか?
似たような状況の方も多いのかもしれませんね。
ちなみに経済的にはお母さんがまだ仕事されていて、お父さんが残してくれたものがあってやりくりされてるという状況でしょうか?Rさんもなんぼか入れられてると思うのですが。
年齢と共に元々の性格が強化されるってのはよくある話で、わがままだった母がよりわがままになる、頑固な父はますます頑固になり、という感じで、年齢を重ねるとともに周りに気を使わなくなっていくので、家族(子どもたち)からすれば大変になることも多いですね。
外に出るとシャキッとするのに、家にいたら「あれ?」と思うことが多くなるのが初期の現象ですから、Rさんのお母さんもやはりお年なりの変化が訪れてるのかもしれません。
いわゆる「子ども返り」したり、物忘れが激しくなったり、言葉がきつくなったりするもので、ついこちら側もきつく当たってしまうこともあろうかと思います。
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こういう問題が起きたときに「分かってるつもりだけど意外とできてない」のことがあります。
それは「親の老いを受け入れられない」ということです。
同居していれば徐々にその変化が現れるので心の準備も自然とできるものですが、離れて暮らしていると久々にあった親の老いに頭が付いて行かないことも少なくないと思います。
「まあ、年齢も年齢だしね。そりゃそうなるよね」と頭で理解できても心が受け入れられないのです。
そうすると私たちは「今の親」に「昔の親」を期待してしまうものです。
親の老いを受け入れるのに抵抗があるから「そんなわけない!」と「今の親」を否定し、「昔みたいにやってよ」と「昔の親」を期待するのです。
つまり、老いた親を見て自分が思う以上に大きなショックを受けたのでしょう。
頭では分かっているだけに、ショックを受けてる自分にもショックを受け、自分がショックを受けえてることすら認められないこともあります。
そうすると母親が子供返りしたような態度を取ったときに、「え?なんで母がそんな子どもっぽい態度を取るの??」とすぐには理解ができません。
「いつもの母はそんなことしないでしょ?なんでそんなことするの?」と昔の母を今の母に求めてしまい、そこでイラっときて「そんなことしちゃダメでしょ!」と怒ってしまうのです。
いわば「期待が裏切られた」と表現してもいいでしょう。
考え直せば、「ああ、母はそんなことをするくらい老いてしまったのだな」と分かるのですが、脳裏には昔の母が存在してるので頭でわかっても心が受け入れられないのです。
だから「ああ、これが今の母の姿なんだ」という風に受け入れていくことが大事になります。
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また、Rさんのお母さんのように仕事をしているときはシャキッとしてるのですが、仕事から離れると別人みたいになっちゃう場合、「仕事中の母がほんとうの姿だ」という風に思いがちじゃないでしょうか。
「外ではちゃんとできるじゃない!家でもそうしてよ!」と思っちゃいませんか?
ほんとはそれ逆のことで、家での姿が「素」で、外では頑張ってるのです。
だから、やっぱり「ああ、母や昔とは変わってしまったんだな。これが今の母の姿なんだな」ということを受け入れていくことが大切なのです。
この辺りは感情的な抵抗もあるので、頭では分かっているんだけど・・・という思いが出やすいものです。
それくらい母が近い存在で、大切な人で、愛しているのだと思うんですけどね。
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さて、母がそういう風になってしまったらイライラが止まらなくなり、そんな母とはずっと一緒にいたくない!と思うのが人ってものですし、そんな母とは距離を取るしかない!と思いますし、それがあながち間違ってるとも思いません。
自分軸強化年間だったと前向きに捉えて一人暮らしを再び始められることを私もお勧めすると思います。
「自分を大事にしましょう!」ってことで。
しかし、私の場合、ちょっとした火種があれば風を読み、息を吹きかけ、うちわであおって焚火を起こすことが得意なものですから(先週も公園でやってきましたっ!)、カウンセリングでもちょっとしたきっかけを大きく膨らまて問題にしちゃうのも得意なのです。え?笑
今、母と姉を置いて一人暮らしするってことに罪悪感ってどれくらいありますか?
母と姉を心配している気持ち、そこから将来の家族に対する不安はどのくらいあるでしょうか?
家族だからあるのが普通だとおもいますけど、その強さに興味があります。
>色々あった中で、わたしと母は癒着していて、ある時ふと「最近は私と母はまるで別の人間同士だ」と当たり前のことに腹落ちした瞬間があったからです。
この気づきはたいへん素晴らしいですね!!
そう、まさにそこに着目したいのです!!
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母と癒着したのっていつくらいからだと思いますか?
過干渉で感情的なのは昔からですよね?
その「当たり前のことに腑落ちした」のって比較的最近ですよね?
ということは、それまでは「自分」と「母」をどこか同一視してきたのですよね?
それが「癒着」なんですけど、今もまだ完全に癒着が切れてないとしたらどんな気分になるでしょうか?
そこで、まず母との癒着がもたらした影響について歴史を振り返ってみませんか?
例えば、
>このままで良いのか?2人とも苦しくないのか?心配です。
家族だから心配するのは当然なのですが、どれくらいその心配がRさんを窮屈にしているでしょうか?
完全に自由だとしたら、どこに暮らします?
母や姉のことを考えたら、どこに家を借りますか?
そんなところから癒着度を測ることもできます。
癒着が強いと一人暮らしになかなか踏み出せないかもしれません。
まだ癒着が残ってると「車で10分圏内」とか「電車で1,2駅離れたところまで」なんて風に考えてしまいます。
また前者の質問に「せめてアムステルダムかリオデジャネイロ」とはるか遠くを希望するのも癒着が強い証になり得ます。(必ずしもそうだとは言い切れませんが)
また、Rさんの人生を振り返り、母との癒着がどれくらい影響しているかを振り返ってみるのもいいでしょう。
仕事選びはどうでしょうか?
過去のパートナーシップはどうでしょう?
過去の家選びはどうしてきたでしょうか?
また、進学先はどれくらい自分の意志で選べたでしょうか?
母との癒着があると、そうした自分の行動に様々な制限がかかってしまいますし、そもそも制限がかかっていることも気づけないものです。
だから、癒着が少し剥がれた今なら、これについても客観的に見れるんじゃないかな?と思います。
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また、母との癒着は「癒着体質」を作り出すことも珍しくありません。
「母の代わりに何かと癒着する」というわけで、
・パートナーと癒着する
・仕事と癒着する(ハードワーカーになる)
・お金と癒着する
・趣味と癒着する(一度ハマると沼る)
・刺激物と癒着する(依存症)
みたいに癒着がクセになってしまうのです。
癒着するとどうなるか?というと、そのことが頭にこびりついて離れなくなります。
「お金と癒着する」ならば、ちゃんと仕事をしてお金をもらっているにもかかわらず、お金のことをいつも考えてしまい、あるときは必要なものを買うお金も渋ったり、ある時は逆にだーっと使ってしまって後悔したり、財布の中身や預金残高、電子マネーの残額まで細かく気にしたり、「お金がない」という呪いを自分にかけて苦しんだり、実際にお金でいつも苦労するパターンを作り出したりするんです。
もちろん、パートナーシップはけっこうドロドロしやすいものですが(過去記事にその事例はいっぱいでてきますね)、逆に母との癒着が強いと恋愛や結婚を思い切り遠ざけることも珍しくありません。
Rさんの姉は癒着が強すぎて仕事も恋愛も遠ざけちゃった方かもしれませんね。
そうした「母との癒着」の影響を見ていくと愕然としちゃうものですけれど、でも、逆んい言えば、自分にはまだ伸びしろがあり、未開拓な世界があり、可能性がいっぱいある!とも言えますので、未来の自分を楽しみにしていただいて良いものです。
※私のブログ内検索に「癒着」と入れてみるととんでもない数の記事がでてきますね!こわい
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そうした影響を振り返りながらショックを受けたり、幻滅したり、怒りを覚えたりしたところで「もう癒着を切る!!!」という強い意志を持つことができるでしょう。
癒着を切るってけっこう覚悟がいるんです。
甘く見てはいけません。
しかも、それが母との場合、たんまりと歴史がありますから、何度も何度も癒着を手放し続けることになります。
でも、その分、リターンもすさまじくデカいのでチャレンジする価値はあると思います。
私が「母と癒着を切りましょうねー」という場合、まずはその覚悟から入ることが多いものです。
つまり「もう絶対嫌だ!無理!こんなのヤダ!幸せになりたい!もう母にとらわれるのはほんとにいやっ!!!」という気持ちを作っていくのです。
だから「怒り」がとても大事です。
その怒りのエネルギーを使って「切る」と思っていただいてもいいでしょう。
ただ、癒着がある場合、不安、怖れ、罪悪感、寂しさ、などの感情が強く、怒りももちろんあってイライラするのですが、癒着が切れるほどの強さはないんです。
だから、その怒りをうちわであおいで大きくする必要があります。
それでお恨み帳を書いてもらうこともありますし、セッション中に母に対して言いたいことを言いまくっていただくこともあります。(なんなら昨日もそんなセッションしました。)
もちろん、なかなかひとりでは怒りを大きくすることなんてできませんので(癒着してると怒りを持つことも罪悪感になる)、カウンセリングやリトリートセミナーなどを使われるのがいいでしょう。
その怒りを大きく膨らませて「もういやっ!ほんとにいやっ!」って気持ちにまで到達すると「癒着を切る準備ができた」ということになります。
そこからは様々な「手放しワーク」に取り組みます。
最近の私はロールプレイセッション的なやり方を個人セッションでもすることが多いのですが、イメージワークでももちろんかまいません。
感情を出しまくりながら、母との距離を取っていくんです。
このときが一番重要で、癒着があると「母と距離を取る」というのが感情的な抵抗が生まれるんです。
母が心配、、、かわいそう、、、申し訳ない、、、自分が悪い子になった気がする、、、なんて気持ちが出てくるんですね。
だから、一緒にその思いもまた手放してくことをしていきます。
このときカギとなるのは「男性性」です。
「お母さんのことが心配!」と思いながらも、一歩、母を手放す方向に踏み出す、わけで。
だから、女性性が豊かなクライアントさんの場合は私がすぐ横について男性性を援助します。
「おら!そんなこと言ってねーで、さっさと一歩出んかい!!」と竹刀でべちべちやるわけです。(んなわけない笑)
逆に、思考的になりすぎてしまっているクライアントさんの場合は、女性性の方をサポートしなきゃいけないので「感情」をフォローします。
そうして、自分の選択によって母との距離を取れるようにしていくんです。
そうすると「すっきりした」「軽くなった」「自由な感じがする」「なんだ、簡単なことじゃないかと今なら思う」「あんまり心配とか不安とかない」等々の気分になります。
そうすると「母を信頼」ができるようになるのです。
「母も老いてきてるとはいえ、ひとりの大人だから自分の人生、自分で考えられるよね?自分がいたら母はこっちに甘えてしまうよね?だから、母は放っておいてもある程度は大丈夫だよね。あ、自分は自分で好きなことしよう!」
そんな気持ちになっていけるのです。
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