年々高まる性欲をどうしようかと悶々としています。~セクシャリティに関する心的成長について~



親から否定されたがゆえに親の愛を求めるのは自然なことですし、だからこそ、親代わりになる夫を選んでしまうのもよくあることでしょう。
ただ、そうして夫に親をやってもらううちに心的成長を果たしまして思春期にたどり着きますと、新たに性的な問題が出てくるというわけです。

根本先生こんにちは。
性生活について悩んでいるので良かったらネタにして下さい!
私には5個年上の夫がいます。優しく誠実な夫は、私を肯定してくれる貴重な存在です。
私は親からは否定されて育ったので夫の存在に感謝しています。彼には親代わりにして振る舞っている部分もあるかと思いその為か夜の生活はなく、物足りなさを日々感じています。
元々淡白で、セックスは子作りのための行為という感じで、妊娠したらなくなりました。
最初は私もそれで良かったのですが、年々私の性欲が強まり、もうどうすることもできず私からお誘いし無事に2年のレスを乗り越えて致しました。正直夜の相性は…あまり…という感じです。
最近、子供の主治医でどタイプな方に出会いました。夫と同じ年齢の男性です。
診察中は私の目をしっかり見て爽やかにお話し、胸や足も結構見る人で少しドキドキしてしまいます。
本来ならキモ!となるところが、なんだか可愛いとなってしまい、女性として見られているのかなという新鮮な気持ちになってしまいます(変態?)。
甘いルックスで素敵な人だけれど、診察でパーソナルスペースに入ってこられた時は何故か強力な嫌悪感が出てしまいました。これは一体なんなのでしょう。この先生に何か投影しているのでしょうか?
私は自分のことは草食系だと思っています。でも楽しいことや快に流されやすい気がして、男性のいる環境や関わりに極力入らないようにしています。
入ってしまったら適当に身近な人とそういう関係になりそうで、抜け出せなくなりそうだからです。
年々高まる性欲をどうしようかと悶々として、かといって夫と楽しい性生活を送れる気もせず…セルフは全然気持ちよくなくて、人肌を求めてしまいます。
性について、親からも厳しく否定的に教えられ、かなり封印して過ごしていたので爆発しそうで怖いです。このモヤモヤをどう解消すれば私は満たされた人生を送れるでしょうか。分析頂ければ幸いです!
(Aさん)

「主治医の先生」というのは恋するハート(もしくは性的欲求)に火をつけるにはちょうど頃合いの距離感のようで、今までもちょくちょくそんなお話を伺ってきました。

ぶっちゃけていえば、アイドルや俳優さんほど遠くないし、かといって、職場の同僚やご近所さんよりも遠く、医師と患者という壁も存在するので子どもの習い事の先生よりも安全な、絶妙な距離感なんですよね。

だから「草食系」と自覚されてるAさんにとってはちょうどいい相手なのかもしれません。

なんて話をしちゃうといきなり興ざめですよねー。すいません。笑

>診察でパーソナルスペースに入ってこられた時は何故か強力な嫌悪感が出てしまいました。これは一体なんなのでしょう。この先生に何か投影しているのでしょうか?

おそらく、この嫌悪感というのはまさに「親密感への恐れ」と呼ぶものだろうと推測されるのですよね。

気になる人がパーソナルスペースに入ってきたら嫌悪感を覚えるって逆じゃね?と思われがちなのですが、とてもよくある事例なのでまずはその話からさせていただこうと思うわけです。

ご指摘の「投影」を使うのであれば、こういう解釈ができるんです。

「自己否定の投影」
「性的嫌悪感の投影」

どちらも同じものと考えてもいいんですけど(根っこでつながってる)、そもそも「異性に好かれるとその人のことを気持ち悪いと思っちゃう」という伝統的かつプリミティブな問題があるんです。

シンプルな図式で言えば、

「自分のことが嫌い」
 ↓
「だから自分のことが好きな人が気持ち悪い」

というわけです。

例えば、Aさんが虫が苦手で嫌いで撲滅したいと思っているとします。
虫を見かけるだけできゃー!!です。

そのとき、虫が大好きな人が目の前に現れるわけです。
自分の嫌いな虫を心から愛でている人です。

キモいと思いませんか?

そういう人がいる、という知識はあったとしても、その人と仲良くなれそうな気はあんまりしないんじゃないかと思うのです。

それと同じ理屈ですね。

人と距離が近づくと、その人に自分自身を投影しやすくなり、それで自己否定(自己嫌悪)を投影しちゃう、というわけです。

もう一つの性的嫌悪感の投影については少々説明が複雑になります。

まず、

>性について、親からも厳しく否定的に教えられ、かなり封印して過ごしていた

という前提があるんですね。

これは日本人あるあるの一つですけれど、そうすると「性的なもの」に関しては、親からインストールされたその思いによって自動的に「嫌悪感」が生まれるんです。

のちに触れるんですけど、性に嫌悪感を持っている自分が性欲を持つ、ってものすごくタブーなんですよね。

「良くないものに興味を持っている」ということで罪悪感もついてきます。

そうすると「性的なものは良くないもの」という思いを持っていながらも、「その先生に性欲を感じている」って自己矛盾を起こします。

そして、同時に「性的なものは良くないもの」という性的嫌悪感を先生に投影しちゃうんです。

例えば、諸般の事情によりAさんが「ケーキ禁止令」を自分に出してると思ってください。
もちろん、もともとAさんはケーキが大好きです。
でも、「ケーキは食べちゃダメだー!」と神様に誓っているわけです。

そんなとき友達とお茶しながらだらだらだらだらとしゃべりこんでると「お腹すいたー」と友達が言い出し、あろうことかケーキを注文するんです。

「おいおい、あっしの前でケーキを食うなんていい根性してやがるじゃねえか」となりますよね?
そして、その友達のことを嫌いになりそうになりますよね?

この件に関しては他にも説明が成り立ちまして、そうして性的な嫌悪感を植え付けられてきたAさんですから、その先生が性的対象となった時点で「うわ、ヤバい」と思ってすごく意識してしまうと思います。

もし、この先生とどうにかなっちゃったらどうしよう?とか妄想するわけですし、「ダメダメあたしは結婚してるんだし!」という思いなんかもあったりすると、これ以上、先生と距離を詰めるのが怖くなるわけです。

もっとお近づきになりたいけれど、お近づきになっちゃダメ、という葛藤が生まれるんですよね。

それが先生への嫌悪感という形で出たんだと考えられます。

また、ここから少し深い話になるのですが、Aさん自身がもともと女性として自信がなく、異性との親密な距離が苦手(恥ずかしい)としましょう。

そうすると先生であったとしても距離が近くなったとしたら、その苦手意識が出ちゃうんですね。

裏を返すと「男性嫌悪」みたいなものがそこにあるのかもしれません。

これは今後、とても重要なキーワードになってくる可能性があります。

Aさんの

>彼には親代わりにして振る舞っている部分もあるかと思い

という文章にあるように、「夫氏は男というよりも理想の親に近いイメージを持っていたために距離が近くなっても大丈夫だった」という推測が成り立つわけです。

そうすると「男」を意識してしまう先生に対しては、もとよりあった男性嫌悪が出てきてしまったのかもしれないのです。

そうなるとAさんのこれまでの恋愛歴、そして、家族との関係・距離感などがカギになってくると思われます。

ということで、おそらくここからがAさんの本題だと思うのですが、心理的なプロセスからすれば、とても順調なんですよね。意外に感じられるかもしれませんが。

流れを簡単に整理します。

親から否定されて育つ。(ついでに性的なものも否定されてきた)
 ↓
心理的に親を求める気持ちが強くなる。
 ↓
ちょうど親代わりをしてくれる男性(夫)をゲットする。
 ↓
夫のおかげで子ども時代を満喫できている。
 ↓
心理的に思春期に突入する。(性的な芽生えが起こる)
 ↓
夫は家族だから距離を取りたくなり、恋をしたくなる。
 ↓
思春期らしく性欲が強くなっていく。
 ↓
家族になってる夫といたしてみるんだけどいまいち。
 ↓
思春期らしく距離のある人が気になるようになる。(主治医の先生)
 ↓
好きな人ができて、性的欲求も高まるけどどうしていいのか分からない←今ここ

だから、今のAさんはセクシャリティについては絶賛思春期ってことになるんですね。

子どもから大人になりつつあるってことですから、性欲が高まるのも自然なことですよね。

これはとっても多い事例なので「え?いい年して、今が思春期?恥ず」とか思わなくて大丈夫です。親から否定されたり、過干渉だったりすればそうなるもんですから。

もし思春期だとすれば、主治医の先生のことが気になるのも無理はないですし、シングルプレイに励むのもあまり気持ちよくないのも分かりやすいでしょう。

でも、確かに今まで抑えてきただけに性欲が爆発しちゃうんじゃないかと恐れるのも無理はないと思います。

実際、それで不倫しちゃう方だって多いですし、そこから沼にハマってしまうことも珍しくないものです。

とりあえず、その気持ちをこうして告白されたことは大きな一歩ですね。

Aさんのようなケースって、人に話すだけでもずいぶんと気持ちが変わります。

「ダメーっ!!!」って禁止すればするほど欲しくなるじゃないですか。

だから、それを「まあ、そういうこともあるよねー」と言ってくれる人に話すことでガス抜きができるようになります。

だから、とりあえずカウンセラーにでもいいのでそうしたご事情を話せる相手を見つけることが第一です。

また、そうしたセクシャリティを扱うカウンセリングもあります。
お弟子でもありますし、私も個人セッションとかグループセッションをやってます。

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性欲が暴走してしまうのって、やはり「禁止」が大きいんです。

親から性的なものを否定されてきたものですからなおさらです。

本命としてはその否定を拭い去りたいところです。

そもそも「否定」があると「表」には出せませんから「アンダーグラウンド」に行きやすくなります。そして、そこで「否定」を強めてしまうものですから、今度はアンダーグラウンドから抜け出せなくなります。

そうして夫氏を「親」から「夫」に戻してあげることを目標とします。

そのためには「親」と向き合うことも大事です。
遠回りな感じがしますけど、一番近道かもしれません。

思春期ってことは反抗期を迎えたということでもありますから、親に対する反抗心も心の内側で渦巻いていることと思います。

それを夫に投影してしまうと、夫からすればものすごいトバッチリでございまして、夫婦仲も乱れますし、あんまりよいことにはなりません。

だから、きちんと親に対して言いたいことを言う、という意識を持ちたいものです。

とはいえ、何も本人たちに直接言わずとも、お恨み帳等に書き殴るだけでも効果はあります。

そうして「親から精神的に自立する」という思春期を完了させていきましょう。

そうすると夫に対する見方も変わっていくものです。

また、そうして親から自立を果たしていくと、親に対しても自分軸を確立することができます。

そうすると「親は性を否定してたけどさー、あたしは別にいいことだと思うのー」と思えるようになります。

つまり、性に対する嫌悪感も減っていくわけです。

それと同時並行して、自らの性を受け入れていく、ということも大事です。

実はこれが一番の山場かもしれないんですよね。

「欲」なものですから「満たしたい」と思うものです。
そして、多くの場合、それは「外から調達したい」と思うんです。

Aさんが人肌が恋しくなるのは性欲だけじゃなくて、親とのスキンシップ不足が原因なのかな?と思うのですが、それでもやはり自分ひとりじゃ満足できないと思っちゃうものです。

これが隠れた依存心なるものでして、沼にハマってしまう原因になります。

だから、ご自身の性、セクシャリティを受け入れていくことが何よりも大事なんですね。

カウンセリングの場では「女の自分を受け入れ、愛する」ということを徹底します。

「わたしは大人の女です」というアファメーションをすることもあれば、イメージを使って女の自分を抱きしめたり、愛したりすることもあります。

女で良かったことをあれこれ探してもらう宿題を出したりしますし、自分の性欲を言葉にして日記のように書いてきてもらうこともあります。

そうして今まで封印してきた性欲を受け入れられ、許可し、愛せるようになっていくことを目指すのです。

そうするとどんな変化が起こるか?というと、自分という女がとても大切で、いとおしい存在として感じられるようになるんです。

大切な存在だから大切に扱いたいと思うし、傷つけたくないと思えます。

自己肯定感がぐいーんと上がったわけですね。

そうするとこれからの人生の選択も主体的に行えるようになるってわけですね。

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