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簡単に言えば「思考と感情の分離」から言動の不一致は生まれます。
自立すればするほど感情が抑圧され、思考的な人格と、感情的な人格の2つの分離しちゃうと考えると分かりやすいかと思います。
そして、もしそういう人が嫌いだったらさっさと距離を取るのがお勧めなのですが・・・。
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いつも先生のコラムで「大丈夫、ひとりじゃない」と励まされている自武女の一読者です。いつもありがとうございます。気になったことを質問させていただきます。
知り合いの学者で、「差別を無くそう」とか「社会的弱者の救済を」という高邁なことを書いたり言ったりしているのに、裏では自分の保身や野心のためにライバルを陥れる嘘を平気でつき、悪口を言いふらしている人がいます。
この人のように表ではものすごく人道主義的なのに、陰では自己中で冷酷というタイプは、世に尊敬される存在、例えば政治家にも多いように思います。(政治家の知り合いはいないので、イメージだけです。トランプみたいな感じです。)
またこういう人は、憎まれっ子世に憚るという感じで出世していることが多い気がします。
周囲は見抜けないものなのか、とっても不思議です。また、本人は自分のやってることが自分の主張の正反対であることに気がつかないものなのでしょうか。
このように、言動が矛盾しまくりの人の心理状態はどうなっているのでしょうか。またこのような人に出会ったら、どう対処するのがいいのかを教えてください。よろしくお願いいたします。
(Mさん)
なんか最近似たような話を書いた記憶があるなあ、と思ったらほんの10日前のネタでして、今はこういう流れなのかもしれん!と思って今日も書き下ろす次第です。
まず、その心理を解説する前に疑問点にお答えしときたいと思います。
ただ、私が話す内容が「正解」だとは思わないで頂きたいです。
そのご本人にインタビューしたわけではないので、あくまで「一般論」であり、「想像の範囲」ですので、ご了承ください。
>またこういう人は、憎まれっ子世に憚るという感じで出世していることが多い気がします。
ま、そうとも限らないのですけどね。
そう思うとそういう風に見えちゃうよね!という一例だと思います。
逆に言えば、それくらい多いんだろうと思います。
それも後ほどの説明を読むとなるほどなあ、と思うはずです。
>周囲は見抜けないものなのか、とっても不思議です。また、本人は自分のやってることが自分の主張の正反対であることに気がつかないものなのでしょうか。
周囲の人は気づいていることが多いと思いますが、権威とかなんとやらで言えないのでしょうね。本人も言われてもピンと来ないでしょうし。
本人は自分のやってることは立派なことだ!素晴らしいことだ!と思ってるんじゃないでしょうか?
だから、まったく気づいていないと思います。
その辺は最近は芸能人やら有名人がSNSなどで暴露される時代になりましたよね。
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さて、言動の不一致はなぜ起きるのか?という点について、まず予備知識が必要です。
まず、「男性性は思考的であり、女性性は感情的である」という点。そして、「男性性は結果主義であり、女性性はプロセス主義である」という点。
厳密に言うと「男性性が強い人は~、女性性が強い人は~」となるんですけど、冗長になるので省きました。
まあ、10年くらい前までは「男女の違い」と言ってたんですけど、うちの読者さまから「あたしは男の心理によく当てはまる」という声を大量に頂きまして、分かりにくくはなるんですけど「男性性は~」という表現に改めました。
ま、読者の93%が自武女のみなさまですからそう思われる方が多いのも無理はないものと理解しております。
で、その2つの点から言えることは「女性性が優位な人はウソが嫌い」「男性性が優位な人は体面を飾る」ということです。
学者の世界もそうですし、たぶん政治家とか企業のトップなんかもそうですけれど、「論理的な発言」とか「正論」とか要するに「論」が重要です。
「建設的な議論」というものを好むというか仕事にしていますし、学者ともなれば、感情を排除して理論を積み重ねることが仕事なわけですから、結果的に感情は抑圧されるものです。
つまり、「言っていること」が大事であって、その人の人格とか性格とか価値観とかはあまり関係ない世界と言えます。
例えば、ある経営者が「うちの弁護士、仕事はめちゃくちゃできるんだけど、性格がねじまがってるから友達には絶対なれない」と愚痴をこぼしてたことがありました。
つまり弁護士として優秀であることと、人間として尊敬できるかというのは別の話だということですね。
そして、男性性が優位の社会においては、そうした表向きの結果で評価されるわけですから、人格がねじ曲がっていたとしても、いい論文を書く人は教授になれるのです。
でも、「あなたのすべてを知りたい」と思う女性性においては「えー、それはどうなのー?」という疑問を持つわけです。
ウソが嫌いですから、言動の不一致は即刻打ち首獄門級の罪ですし、もう信用できません。
だから「仕事はできるけど性格が悪い奴」とは付き合いたくないと思うわけです。
すなわち「あの先生、パワハラばっかりするけど、パワハラ撲滅運動のリーダーとしては業績残してるんだよね」ということを男性性が強い人は受け入れられるけど、女性性が強い人は受け入れられないのです。
※もう一つ、男性性が強い人は権威に弱いということもあります。
ということで、Mさんがお怒りなのもごもっともですし、てことは、Mさんもけっこう女性性が強い人なのね?ということが分かるわけです。
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さて、言動の不一致がなぜ起きるのかもここまでの文章ですでに理解されたかもしれませんが、改めて説明したいと思います。
実はこちらのセミナー動画がこの部分を理解するのに大変役立つので良かったらご視聴ください。タイトルは遊んでますけど「思考と感情」の分離に関するお話です。
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自立していくと「思考」が強くなり、「感情」が抑圧されるようになります。
そうすると「思考」と「感情」がどんどん分離していきます。
それはそれでストレスになるので大変なんですけれど、その分離によって「2人の人格」が生まれると思ってください。
「思考的な自分」と「感情的な自分」です。
そして、前者は表社会に、後者はアンダーグラウンドに生息するようになるものです。
思考的な自分は立派なことを言い、さも、自分はその通りに生きているように表現します。
しかし、そうして抑圧された感情はどんどん溜まっていきますから、それを解消するために感情的な自分をどこかで処理しなければいけません。
だから、外では愛を語って癒しを作っているカウンセラーが、身内のスタッフに対しては暴言を吐き、夜な夜な浴びるほど酒を飲んでる、なんてこともあり得るわけです。
Mさんが題材に挙げてくれた学者先生は
表→「差別を無くそう」とか「社会的弱者の救済を」
アンダーグラウンド→自分の保身や野心のために~
ということが起きてるわけです。
まあ、そんな例はいっぱいあって「会社やご近所さんからすごくいい人と思われてる父が家では暴れまわってる」とか「出会い系サイトで知り合った既婚者のSNSを見てみたら、家族大好き!奥さん大好き!って書いてて引いた」とか「会社の再建のために全力を出します!と宣言してた社長が、裏金作って逮捕された」とか「夫婦円満カウンセラーの夫婦仲が最悪」とか「医者の不養生」とかとかとかとか。
まあ、ミイラ取りがミイラになっちまうケースもあると思いますが、自立を強めていくとそうして思考と感情が分離してしまうので言動の不一致が起こるわけです。
ですから、ふだんからロックマン氏に突撃を繰り返している自武女のみなさんなんかは、彼のそうした態度には慣れっこだと思います。
だから、その学者先生は自分が表で言ってることと、裏でやっていることがつながっていないので、その自覚もないということになります。
そういう心理を知ってしまうと、その学者先生だったり、ロックマン氏たちに対しては「しんどいだろうなあ。大変だなあ。」としか思えなくなります。
まあ、私が直接かかわるわけじゃないですから、そんなのんきなことを言えるわけですけれどね。
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>またこのような人に出会ったら、どう対処するのがいいのかを教えてください。
ふつうに距離を置いたらどうでしょうか?
イヤでしょ?嫌いでしょ?その先生。
だからそんな先生と無理して付き合う必要なんてないと思うのですよね。
知り合いとのことで、どれくらいの関係性なのかが分からないのですが。
でも、そういうわけにはいかない事情があるんでしょうか?
それとも「ただそういう人の心理を知りたい」ということが主訴だったんでしょうか?
自分の夢を実現するためにはその先生とどうしても関わらなきゃいけない、とか、自分がほんとうにやりたいことがその先生がおっしゃってることなのでどうしたって関りが出てきてしまう、とか、その先生、実はあたしのパパなんです、とか、うちのお店の太客なんで出禁にするのは惜しいんです、とか。
もし、それ以外の理由であれば距離を取れるはずなので、さっさと離れるのがお勧めです。
でも、そこが気になってしまうということは「これは自分自身の問題」だと思ってください。
ここでその先生を攻撃してるヒマがあったら自分を見つめ直した方がめちゃくちゃ恩恵があります。
なぜ、その先生のことがこんなにも気になってしまうのか?
なぜ、その先生のことを批判的に見てしまうのか?
自分はその先生に誰を投影しているのか?
自分はいつから「正しさ」を振りかざすようになったのか?
自分とその先生の似ているところはどこなのか?
どれも痛いテーマですから目を逸らしたくなるかもしれませんけれど。
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どうしても関わらなきゃいけないってことであれば、自分を見つめた上で、そんな先生の心理を思い切り理解するのもひとつの手です。
裏でライバルを蹴落とすことをしなきゃいけないくらい自分に自信がないのはなぜなのか?なぜ、そんな怖がりなのか?
そうしてストレスを発散しなきゃいけないくらい追いつめられてるのはなぜなのか?
まだまだ理解すべきテーマはあるものですから、先生を教材にして心理学を学ぶのもお勧めです。
そうするとその先生に対する見方・意識が変わりますから、そういう態度を取ることも理解できますし、何ならその態度を諫めたりすることも可能になります。
また、「何のためにその先生と関わるのか?」をより明確化していくことも大事です。
目的があって関わらなければいけないのであれば難しい調整が迫られますが、何とかその目的のためにやりくりしていくことはできます。
でも、そこでも見つめ直すのは自分自身であって、先生を変えようとするのは意味がないのですけれど。
例えば、かつて指導教官との関係がうまく行かない研究者をカウンセリングしていたのですが、「うまくやろうとしないこと」をベースに、彼の父親との関係を見つめ直したり、権威との葛藤を扱ったり、男性性をより強めたりすることで関係が少しずつマシになっていき、無事その先生から地方の大学にポストを紹介してもらうことができたケースもありました。
まあ、上司と部下という関係であればよくある話でもありますね・・・。
なので、Mさんから直接ご相談いただいた場合は必ず「どうしたいのでしょうか?」「どうなりたいんですか?」という質問を投げることになるでしょう。
・・・ということで、やっぱり「自分軸」というところが基本になることは変わらないと思います。
◎ワークショップ「自分軸とは何?なぜ自分軸が大切なのか?どうしたら自分軸が確立できるのか?」
東京・神楽坂:2023/7/16(日)14:00-16:30
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*文庫版『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』 (だいわ文庫)
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