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自分が苦手な人というのは実は自分の中にもその要素があり、それを自分が嫌い、禁止し、抑圧しているからなのです。
これを認めるには大きな勇気が要るんですけど、その報酬もまた大きくて、その要素を自分に中に認めることができると、その裏にある新たな長所や魅力と出会うことができるのです。
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昨日、ふと言葉が下りてきまして(←こう言うとなんかかっこいい。笑)、こんなツイートをしました。
苦手な人、嫌いな人(いわゆるシャドウ)と向き合い、受け入れていくには「自分とその相手の共通点」を探していくといい。認めたくないけど自分が禁止してることを相手がしていたり、自己嫌悪してる部分を相手が持ってることに気付くはずだ。それを受け入れ、許しなさい、とその人は教えてくれている。
— 根本裕幸|カウンセラー・作家・講師 (@nemotohiroyuki) December 28, 2021
苦手な人、嫌いな人のことを「シャドウ(影)」と言います。
シャドウとは「生きられなかったもう一人の自分」を言い表し、その名の通り「影」の存在です。
例えば、すごく躾の厳しい家で育った場合、はしゃいだり、暴れたり、大声でしゃべったりすることはタブーになるので、そうした要素は抑圧され、物静かで、穏やかで、きちんとした子に育ちます。
そうすると「表」のキャラは「きちんとしたいい子」になり、自分でも自分のことをそのように認識しますし、周りの人は「ちゃんとしてる子」というイメージであなたを見るようになります。
「○○ちゃんはほんといい子ね。走り回ったり、大声出したりせずに、きちんとお母さんの言うことを聞いて偉いわね」と近所のおばちゃんから褒められるようになるんです。
しかし、その子の中には、走り回ったり、大声出したり、お母さんに反抗したりしたい自分が抑圧されています。
「そういうことをしてはダメだ!」と自分に禁止しているわけです。
そして、そんな自分を出したらお母さんに迷惑をかけるし、お父さんに怒られるし、周りの人から愛されなくなるので、そんなはしゃぎたい自分を“嫌う”んです。
だから、同級生たちが教室の中で走り回っているのを見て「あんなことしたらダメなのに。先生に怒られるのに」と思い、自分は静かに本を読んだりして過ごします。
お母さんの言うことをよく聞く子なので、先生の言うこともよく聞く子となって、クラス委員に選ばれたり、内申点も著しく高くなったりします。
それが思春期を迎え、それまで抑えていた元気な部分が解放されると「人が変わったように」反抗的になり、親や先生をびっくりさせたり、がっかりさせたりします。
しかし、それによって「いやいや、ほんまのあたしはそない大人しいいい子ちゃうねん」という自分が解放できればいいんですけど、そんな暴れん坊な自分とか、無邪気に走り回る自分とか、友達ときゃーきゃー騒ぐ自分を長年嫌い、禁止、抑圧してきたので、反抗期に入っても、その要素を出しきれない場合もあります。
そうすると大人になっても「ちゃんとしたいい子」で居続けるようになる一方で、心の中には、表に出せない暴れん坊な自分が存在しています。
こうして「シャドウ」が出来上がっていくんです。
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そして、そのシャドウは他人に投影されます。
潜在意識に抑圧された部分を私たちはよく他人に投影するのですが、そうすると、そんなあなたの前には、そのシャドウを体現している奴らが次々登場するようになります。
先生の言うことを聞かずに反抗的な子がすぐ近くに現れたり、
はしゃぎまわってうるさい人と同じグループになったり、
言いたいことをはっきり言う友達ができたり、
自分勝手で相手の気持ちを考えない人と恋人になったり、
和を乱すような言動をする同僚と一緒のチームになったり。
そうして、苦手な人や嫌いな人(好きになれない人)が自分の前に現れるようになるのです。
つまり、あなたの苦手な人や嫌いな人というのは、自分が抑圧しているシャドウを見せてくれる存在なんです。
すなわち、自分が相手の気持ちを考えて言いたいことを我慢している分だけ、あなたは自己主張をする人が苦手になるってわけです。
「自分のその要素を嫌っているから、その要素を見せてくる人を嫌う」のです。
まあ、もっと分かりやすい例を出せば、ダイエット中でケーキを我慢していたら、目の前でケーキをガツガツ食う奴が現れたら、そいつのこと嫌いになるよね?という話です。
ただ、ここまでの話はまだ分かりやすいのですけれど、実際はこのシャドウ、もっと複雑化します。
長年抑圧されてきたもう一人の自分はその存在すら忘れられていて、仮にシャドウが現れたとしてもそれが自分の一部だとは気づけません。
ただただ「こいつ嫌い」とか「こいつとはうまくやっていけん」とか思うわけで、まさからその要素が自分の中にあるなんて意地でも認められません。
なんならその人のその要素を激しく否定し、攻撃します。
「言いたいことを言えばいいってもんじゃないでしょ?相手の気持ちも考えなさい!」とね。
もちろん、それは自分が自分にずっと言い聞かせてきた言葉であり、自分が自分に禁止している分だけ、相手にもその禁止を押し付けようとしてしまうんです。
また、特に「いい人」や「相手の気持ちを考える人」や「優しい人」というのは、「人を嫌う」とか「この人、苦手」と思うこと自体に抵抗があります。
だから、一生懸命その人と仲良くなろうとしたり、その人を嫌う自分を嫌ったり、苦手と思ってる自分を責めたりしてしまいます。
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「その人が嫌いなのはあなたの中にその人が持つ要素があって、それを自分が嫌っているから。」
という大原則があるんです。
そして、その要素があなたの中にあり続ける以上、あなたの前には次々と嫌いな人、苦手な人が現れるわけです。
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そこで登場するのが毎度おなじみ自己肯定感で、自分のイヤなところもダメなところも否定せずに受け入れられるようになると、やはりそれも投影されるので、相手のイヤなところもダメなところも否定せずに受け入れられるようになります。
相手を許す、ということは、自分を許す、ということとイコールなわけですね。
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そんなさりげない(?)ステマを挟みつつ、話はシャドウに舞い戻ります。
さて、カウンセリングの現場では当然ながら「許せない人がいる」とか「職場にすごく苦手な人がいる」とか「上司と全然馬が合わない」とか「パートナーのこういう部分がイヤだ」と言った相談事として持ち込まれます。
で、投影の法則を学んだ方は「上司に誰を投影しているんだろう?親かな?」とか「パートナーに元カレを投影しているのかしら?」などと考えるかもしれません。
もちろん、それもアリなんですけれど、「自分自身を投影している」という視点を持つこともまたとても意味のあることです。
しかし、そこからは非常に屈辱的かつ惨めさ満載かつ抵抗しかないプロセスが待ってることも多いものです。
例えば「お姉ちゃんとどうしても仲良くできない。あんな人の気持ちを考えずに他人を傷つける発言をする人はどうも苦手だ」という相談がありました。
そこでカウンセラーとしては被害状況を聞いて共感したり、「あんたはそんなお姉ちゃんと向き合って偉いなあ。よう頑張ってきたなあ」などと言って承認したり、お姉ちゃんから心理的距離を取るために「自分軸やで」と提案したり、時には「お姉ちゃんとの癒着を切りましょう」と手放しワークをしたりしていきます。
もちろん、それも重要なアプローチなのですが、そして、そうしたアプローチを踏んだ上で取り組むのがいいのですが、本質的な問題を見ていくとするならば、次のステップはこれなんです。
【姉は私自身である。】
「えーっ!!あたしは人の気持ちをちゃんと考えて行動するし、人が傷つくようなことを言ったりしないし、あんな人と一緒になんてされたくない!!」と思うでしょう。
お姉ちゃんと私は全然違う人!性格だって違うし、考え方だって価値観だって真逆くらい違う人!と思うのも無理はないでしょう。
そんなことを指摘されたらカウンセラーに殺意を覚えることもあるかもしれませんっ!
ちなみに私もかつてはそれでクライアントさんを失ったこともありました。(苦笑)
でも、もしかしたら「お姉ちゃんが人の気持ちを考えずに行動して両親を困らせている姿を見て、自分はそういう風にしないようにしてきた」なんて背景があるんじゃないかと思うのです。
そんなお姉ちゃんを見て「人の気持ちを考えないで行動するのは悪だ!」と思い、自分自身の「自由奔放さ」や「ストレートな性格」を嫌悪し、封印してしまったとするならば???
きっとあなたは今、不自由さ、窮屈さ、うまく自分の気持ちを伝えられないまどろっこしさ、相手の気持ちばかりを考えて自分を後回しにしてしまう問題、場の空気を読んでばかりで自分を出せない問題、いい人になりすぎて人から都合よく扱われてしまう問題等をお持ちではないでしょうか?
だから、【嫌っている姉の要素が実は自分の中にもある】ということを受け入れ、認めていくことがすごく大事なのです。
長年嫌ってきた要素が自分の中にあると認めることはものすごくイヤです。
しかも、姉のイヤな一面を散々攻撃してきたのですから、それが自分にあると認めたら、激しく自己攻撃してしまいそうです。
だから、【姉は私自身である。】を認めるってことは、超偉大なチャレンジであり、勇気ある行動であり、そして、自分の人生を大きく変えるきっかけになるでしょう。
でも、先ほどチラッと書きましたけど、「長所と短所は表裏一体」なんですな。
「人の気持ちを考えずに行動する」というのは短所に見えるんですけど、その裏側には「自由さ、奔放さ、行動力、我が道を行く」みたいな長所があるわけです。
短所を封印すると当然長所も封印されてしまうわけで、姉を嫌って姉と違う生き方をしようとすればするほど、それは自らの自由を奪うことになってしまってるわけです。
だから、姉を許す、ということは、自分を許す、ということになり、このケースで言えば「自分に自由を与える」ということでもあるんですね。
だから、このチャレンジの報酬はめちゃくちゃ大きな宝物になるんです。
まあ、ものすごく抵抗が出てくるし、めちゃくちゃエネルギーを使う行為なので、カウンセリングにおいても「よほどの重要人物」が対象でなければ、こんなしんどいことは提案しません。
職場でたまに会うだけの苦手な人に対して、「あの人は私だ」なんてやる必要はないわけです。むしろ、たまにしか会わないんだったら、そのときだけビジネスライクに付き合えばいいよ、って思います。
しかし、より距離の近い、家族だとかパートナーだとか子どもだとかビジネスパートナーだとかであれば話は別ですね。
今後も付き合いが続くわけですから、その抵抗の中に飛び込んだ方が早く楽になれると思います。
また、人は変われど似たような人ばかりが現れるとする場合も、そろそろ向き合った方がええんちゃう?というサインですね。
(1)「自分の苦手な人は私が禁止している要素を見せてくれる人」として向き合い、苦手に感じさせる要素を見つけ出します。
(2)その要素が自分の中にもあることただ認めます。
(3)その要素が持つポジティブな部分を考えます。(短所→長所変換)
(4)そのポジティブな部分が自分の中にあることを認めます。
このプロセスをできれば淡々と他人事のように行ってみてください。
そして、(4)で得られた部分は「自分の隠れた長所」なんですよね。それを認めましょう。
そうすると今抱えている別の問題があっさり解決したりもするんです。
ちょっと勇気あるチャレンジですが、苦手な人、嫌いな人があちこちに現れるなら、一度がっつり向き合ってみてもいいんじゃないでしょうか?
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