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自分の子どもには自分の子ども時代を投影するもので、子育てをしていると「過去のこと」と思っていた親との問題が再燃することがよくあります。
でも、それは自然現象なので改めて自分と向き合っていくことで、自分自身も成長しますし、子育てにも好影響を与えるものなのです。
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子育てをしていて、すぐ怒鳴り暴力をふるっていた父親への嫌悪感に苦しむようになりました。父の暴力は、思春期ごろから、母と私に対して始まったと記憶しているのですが、小さい頃も、躾と称して、頭を叩かれたり、ゲンコツをされていたりはしていました。
父の父も、すぐ怒鳴り暴力を振るう人だったようで、父はそのやり方しか知らないんだ、、、母も喧嘩して父を煽っているし、、、最近は年老いてあまりなくなったし、、、と許したつもりでいたのですが、また許せない気持ちが再燃しています。
夫が子供を可愛がっている姿をみて、私も甘えさせて欲しかったと悲しくなったり、暴力は最低なことだと怒りが蘇ってきたり、今では父と目を合わせることも、返事をすることもできません。子供に触れられるのも嫌悪感でいっぱいになります。
父親をとっちめて、警察につきだしてやりたい衝動にかられる気持ちと、このままの関係で父が亡くなったら後悔するんじゃないかと、気持ちの落とし所がわかりません。
暴力を許せない気持ちと父を許す気持ちは共存できるのでしょうか?
どうぞ、よろしくお願いします。
(ころころさん)
おぉー!おひさしぶりですー!!!覚えてますよー!もちろん!!!
それに気が付けば2児の母っすかー!!!すごーい!!!おめでとうございますー!!!(いまさら!笑)
さて、子育てをしていく上でころころさんのような思いを抱かれる人、めっちゃ多いっす。めちゃくちゃ多いっす。
「子育ては自分育て」と言われるくらい、成長の機会ですが、そのとき、かつての思いがふんだんによみがえってくることが多いんですよ。
ころころさんはもう理解されてるかもしれませんが、読者向けに改めて解説させてもらいますねー。
子どもができると親はその子にかつての自分を投影します。
これがすべての基本となります。
パパもママも自分を投影しますが、特にお腹の中から付き合っている上に、過去の記憶がちゃんと残っている女性であるママにとっては、よりその投影の濃度は濃くなります。
そうすると、ころころさんのように「子育てをしている夫」と「自分の父親」を重ね合わせ、父親にしてもらえなかったことを自分の子が夫からしてもらっていると容赦なく「嫉妬」がやってきます。
その逆もまたありまして、自分の父親がしてくれたことを夫がしてくれなかったら即座に「不満」を覚え、子どもに対しては「不憫」に思ったりもします。
今は優しいパパが多いですから、前者の思いを抱く方も少なくないかと思います。
(ちなみにうちの奥さんも似たような感情を抱いていました。)
そして、子どもが3歳のときには自分が3歳のときの記憶を何となく曖昧に思い出します。
父親が自分に暴力をふるっていたとしたら、その当時の自分が感じていた恐怖心や怒りを思い出してしまうんですね。
そして、改めて父親のことが許せなくなり、場合によっては仕返しをしたくなったり、殺意に似たものも思い出したりします。
でも、それは「自然現象」で、何も悪いことではありません。
だから、ころころさんが感じている父親への怒りというのはまったくもって正当なもので、自然なものです。ただ、その感情は今のころころさんが感じているというよりも、内なる子どもがずーっと心の中に溜め込んでいた感情が今出てきていると捉えたほうが良いのです。
その当時に感じていた感情を今解放していることになるので、むしろ、癒しでもあるんです。
だから、「子育ては自分育て」と言われるわけです。
同じようなことは母親に対しても起こります。
自分が母親ですから、基準は自分の母親です。
自分の母親がしてくれなかったことで、寂しく感じていたり、不満に思っていたりすることは自分の子どもにはしてやろうと思います。
ところが、自分がしてもらってないのでやり方が分からなくて葛藤したり、十分に子どもにしてやれないと思えばそこにやはり自己嫌悪が生まれます。
さらに母親がしてくれなかったことを自分もしていなければ、それは強烈な自己否定につながると同時に、子どもに対して罪悪感を抱く原因にもなります。
一方、母親がしてくれたのに自分ができないことは自己嫌悪の元になります。
時代が大きく変わり、共働き家庭が増えている今、かつて専業主婦だった母親が自分に与えてくれたようなサービスを自分の子どもにすることは不可能に近い家庭も多いかと思います。
そうすると自分の子どもに対して即座に罪悪感を覚えてしまうものです。
また、子どもに対しても「3歳のときの自分はたくさん我慢してたのに、こいつはなんで我慢ができないんだ!」と不満を持ったり、「子どもの頃の自分は父親に殴られていたのにこの子は愛されて狡い」と思ったりもするものです。
そうして「子どもの頃の自分を自分の子どもに投影して感情を感じまくる」という事象がそこに起こるわけですね。
そして、そこでの捉え方はここまでも触れてきたように、
「大人の私が感じている感情ではなく、子どもの頃の感情が今蘇ってきた」
という風に解釈するのがおすすめです。
私たちの心の中には「大人の私」と「子どもの私」が共存しています。
いわゆる「インナーアダルト」と「インナーチャイルド」です。
そして、カウンセリングやセミナーや本やブログや動画などでインナーチャイルドをある程度癒してきたとしても、やっぱりその燃えカスのようなものが子育ての中で再燃することはよくあることなんですね。
それでころころさんの中に葛藤が生まれることになるんです。
インナーアダルト・・・お父さんを理解している。父もその父から暴力を受けてきたのだから、そういう子育ての方法しか知らないから仕方がない。父を責めても何も始まらない。もう許してあげよう。
インナーチャイルド・・・私だってこの子みたいにパパに甘えたいし、優しくしてほしかった。そこで暴力をふるうなんてひどい、信じられない、許せない、死ねばいいのに!訴えてやる!!
そして子育て中は子どもの影響で感情に敏感になりますから、インナーチャイルドの方が力を持つことが多いですし、幼少期に抑圧した感情が多ければ多いほど父親を許せない気持ちになるのは無理なきことなのです。
じゃあ、どうしたらいいのか?
そこで父親にかつての話を持ち出して謝罪を求める方もいます。
それで実際に父親が謝罪してくれることもありますし、逆切れされることもありますし、「そんなことは知らん」とシラを切られることもありますし、「その当時は仕方がなかったんじゃ」と言い訳に終始されることもあります。
スッキリする部分もありますが、意外ともやもやが残ることが多いようです。
とはいえ、感情は解放してあげなければすっきりしないのも事実です。
溜め込んだままでは夫婦関係にもヒビが入りますね。
そこで提案したいことが2つあります。
ひとつめは、インナーアダルトがインナーチャイルドを受け止めてあげる王道のプロセス。
そして、もうひとつは、旦那さんに手伝ってもらいながらその時の思いを満たしてあげるプロセス。
まず、ひとつめ。
大人の自分(インナーアダルト)が子どもの自分(インナーチャイルド)を受け止めていきます。
ニーズとしては「お父さん」だったり、「誰か」を求めたりするものですが、そうするとその人に「依存」してしまい、その人に振り回されることになりますし、キリがなくなります。
だから、自分自身としっかり向き合うわけです。
インナーチャイルドの声をインナーアダルトが聞いてあげます。
もちろん、お父さんがしたように否定したり、攻撃したりしません。
ふんふん話を聞いてあげるんです。
それだけっちゃそれだけなんですけど、ついインナーアダルトが説得しようとしたり、抑え込もうとしたり、一緒になってお父さんを批判したり、葛藤も様々起きてきます。
それを気長に受け止めていきます。
イメージの中でやってもらってもいいですし、ノートに書き出しながら対話形式で進めてみても良いでしょう。
もちろん、怒りが強いようであれば御恨み帳の登場です。
ただ、ここで「インナーチャイルドを自分の子どもに投影する」という話を思い出していただけると、違うアプローチも取れます。
つまり、自分の子どもを受け入れ、愛し、対話していくことによって、インナーチャイルドをインナーアダルトが受け止める、ということが実現できます。
さらに、自分の子どもと向き合うことによって、かつての親の気持ちとつながることも可能になってきます。「お母さん、こんな気持ちだったんかな?お父さんもこんな感情感じていたのかな?」という風に。
そうするとインナーアダルトもさらに成長できるメリットが付いてきます。
ふたつめ。
ここで「親の代わりに夫に自分を愛させる」ということをするわけではありません。
多少はそういう面も出てきますが、それを続けてしまうと夫婦関係が「父・娘関係」に転じてしまい、その関係性が崩壊していきます。
パートナーシップはすべての傷を癒す、という格言があるんですけど、旦那さんとの関係をさらに良くしていくように意識を向けていきます。
そして、こんなに素晴らしいパートナーと愛し合える幸せを受け入れていきます。
人間って不思議なもので、今、幸福感を享受してしまうと過去のことをすべて許せてしまう魔法が使えます。
だから、パートナーとの関係をよりよくしようとあれこれチャレンジしていくうちに、気が付けばインナーチャイルドも笑顔になり、そして、お父さんのこともどうでもよくなっていく(許せていく)のです。
少し壮大な物語のように見えますが、子どもや夫は今日もその辺にいるわけですから、今すぐにできることもたくさんありますよね?
そうすることでこの問題も解消に向かっていきます。
焦らず、無理せず、早くなんとかしようと思わず、気長にやっていくのがポイントです。
★根本の子育て本。親が見本になる、という一冊です。
*「子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる」(実務教育出版)
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