押し付けにならずに相手に自分の思いを伝える方法~信頼と自分軸~



身近な人が苦しんでいたら何とか助けてあげたいと思うものですが、もし、それを相手が望んでいないのであれば「有難迷惑」になるどころか、その関係性にヒビが入ってしまうことだって少なくないものです。
そんな時はどうしたらいいのか?というお話をしています。
「信頼」と「自分軸」が大きなカギになります。

こんにちは。ブログ、Voicyいつもお世話になってます!
なにか聞きたいことがあるとすぐ質問するので、なんか見たことあるなこの名前的な感じになっているかもしれません。今後も続けます笑

両働きで特に母親が僕の小さい頃から帰りが遅く、ずっと寂しさを抱えて生きてきました。母の帰りが遅いと父が酒飲んですごく機嫌が悪くなるので、寂しさを出せず、いつもの温厚な父親に戻ってもらうために、父親の顔色を窺ってずっと「いい子」をしていました。
また、優等生だったので、周りからの期待に応えるようにも生きてきました。結果、心のドーナツ化現象と自己嫌悪がすごく辛かったです。
今は、周りのために自分を我慢させて生きてきたと気付いて、本当の気持ちを出して自分のためにわがままになろうと励んでいて、まだ辛いけど確実に楽になってます、嬉しいマジで。

で、今回は僕の双子の兄についてで…。兄も僕と全く同じことで苦しんでるいるのですが、兄は、「自分が今まで人のことを見ないで生きてきたからコミュ力や主体性がないんだ」って真逆のことを言ってるんです。
それが兄をもっと苦しめているようにしか見えなくて、逆だよ逆!そっちじゃねーよ気づけよ!ってすごく言いたくなるんです。
けど、全部兄のことなのに自分がイライラムキになっているのが他人軸っぽいなと思って言い出せません。兄に言ったらまた考えさせて辛くさせやしないかとも考えて、これも他人軸じゃんって感じです。
「アドバイス」と「人を変えようとしている」の差が分かりません。
兄とは一緒に楽になりたいし、自分もどれだけ辛いか分かるから、自ら辛くしているように見える兄に余計にムキになりそうです。けど言うのを今我慢してるのも自分的に辛いです。
どうすれば自分軸を保ちつつ相手に自分の思いを伝えられるのでしょう。
(Gさん)

心のドーナツ化現象ってこんな感じね。

「親密感への怖れが「心のドーナツ化現象」を作り出す。」

>今は、周りのために自分を我慢させて生きてきたと気付いて、本当の気持ちを出して自分のためにわがままになろうと励んでいて、まだ辛いけど確実に楽になってます、嬉しいマジで。

おおおお!!すごいねえー!やるねえ!!!素晴らしい!!!

自分が楽になってくると身近な誰かが苦しんでるのが以前よりもっと鮮明に見えてくるので、何とかしてあげたい気持ちが出てきますよね。

でも、Gさんが危惧してるように「押し付け」になっちゃうこともあるんです。

「このブログ、絶対いいから読んだ方がいいよ!」とお勧めするくらいならまだギリギリ大丈夫ですけど、「あんたの悩み、ここに書いてるから読んだ方がいい」と伝えて、しばらくした後に「読んだ?良かったでしょ?」なんて確認しちゃうのは、完全に境界線越えちゃってるので相手は不快にしかなりません。

自分が楽になったから、良かったから、相手にも楽になって欲しいから、という思いは「愛」なんですけれど、そこから生まれる行為が「押し付け」になっていたら、その「愛」は「迷惑行為」に瞬間的に変わります。

「何とかしてあげたい!」という思いが強制になったり、相手をコントロールしたりしちゃうのはとても残念ですね。

同じようなことで「正しさの押し付け」というのもよくある話ですね。
最近は、正しさを振りかざして相手をバッシングする行為がネット上などでは盛んになってますけれど、それって「正しい」かもしれないけれど、関係性を思い切り壊そうとしちゃう行為なので、注意したいところですよね。

もちろん、夫婦、親子、職場の人間関係どこでも言えることです。

「正しいからってそれが幸せにつながるとは限らない」ですし、「自分が良かったからと言って相手がいいか分からない」ということですね。

しかも、「双子の兄」という、これまた同じ境遇でずっと一緒に育ってきた相手だなおさらですね。

とはいえ、「そうじゃねーよ!!」と言いたいながらも、それを我慢してるGさんは素晴らしいですねー。
「これって他人軸じゃねーか!コントロールしようとしてるじゃねーか!」と気付くところはよく勉強されてると思います。これもすばらしいですね。

>「アドバイス」と「人を変えようとしている」の差が分かりません。

>どうすれば自分軸を保ちつつ相手に自分の思いを伝えられるのでしょう。

いいご質問ですねえ。とっても難しいけれど、とても大切なことなので順を追ってお話ししたいと思います。
きっと本にした方がいいレベルのお話です。それくらいお伝えするのも難しいことではありますけれど。

まず、基本原則として「アドバイスなんて誰も求めていない」という意識を持つことをお勧めしています。アドバイスが欲しければきっとそう言いますし、そういうニュアンスの行動を見せてくれるものですから。

(1)自分軸で自分の体験を見る。

Gさんは「本当の気持ちを出して自分のためにわがままになろうと励んでいて、まだ辛いけど確実に楽になってます」という成功体験をされましたよね。
それはとても素晴らしいことで、すごく偉大なことで、ぜひともその成果をみんなに伝えて頂きたいんですけど、自分軸と言う観点で言えば「これは僕の個人的の体験だ」ということを忘れちゃいけないわけです。

通販などのCMでよくある「※これは個人の感想です。」という奴です。
自分には効果あったけど、みんなに効果があるかは分からないよ、という視点です。

まず、これがものすごく重要です。

(2)相手を信頼する。

そして、次に、それは双子の兄であったとしても同じことが言えるという点です。
双子であっても視点・感じ方・価値観・見方は違っています。
もちろん、同じところもいっぱいあるけれど、違うところもいっぱいあるんです。

そこで次に出てくるのが「信頼」です。
これがまあ、ものすごく難しいわけです。

Gさんの例で言えば「兄は兄なりに考えいて、自分なりの答えを出そうとしている」という信頼であり、「兄が苦しんでいるのも意味があることで、今はそれが必要なのだ」という信頼であり、「きっと兄は兄なりにその苦しみを脱する方法を見つけるだろう」という信頼です。

また、「兄がその気になったらきっと僕に色々と相談してくれるだろう」という信頼もあります。

お兄ちゃんもGさんと同じ考え方・方法にたどり着くかもしれないし、別の方法でそうなるかもしれません。

要はお兄ちゃんが楽になって、幸せになったらいいわけですよね。

そして、その方法は双子であったとしても「違う」可能性があるんです。

じゃあ、どうやって信頼するのか?というと、お兄ちゃんの価値を見るんです。

人はよくここで「問題に注目して価値から目を逸らす」ということをやっちゃいます。
「こうすれば苦しみから抜け出せるのに、なんで気付かないかな?」という風に思っちゃうわけです。

でも、「兄もバカじゃないし、色々と考えているし、学んでいるし、きっと何らかの方法を見つけ出すだろう」と価値を見ていくと、自然と信頼ができます。

「相手を信頼できない」という状態は「相手の価値を見ていない」という状態です。

相手の価値を見ずに信頼していないから、「私が言わなきゃダメ。私が教えてあげなきゃダメ」という風に思い込んで、押し売りやらコントロールやらしちゃうわけです。

そして、この「信頼」というのは、他人軸(兄軸)を脱して、自分軸を確立する上でもとっても大切なものです。

(3)信頼して待つ。

お兄ちゃんはお兄ちゃんなりに考えているわけです。
で、必要なら弟や周りの人に意見を求めるでしょうね。

で、物事はその人のペースがあり、タイミングがあるもんです。
お腹が空いてカップラーメンにお湯を注いでもすぐに食べられないように。

つまり、もしかするとまだお兄ちゃんはその問題を自分で解きたいタイミングで、人に相談したり、違う考え方をしたりするにはまだ早いのかもしれません。

とすれば、しかるべきタイミングが来るだろう、と気長に待っておくことが大事なんですな。

早く食べたい!と思っても、カップラーメンはやっぱり3分待った方がおいしいわけです。

(4)リーダーシップを発揮する。

だから、今Gさんにとって大切なのは、より「本当の気持ちを出して自分のためにわがままになろうと励」むことを継続して、もっと楽に、もっと幸せに、もっとニヤニヤできるように、日々ヨダレを垂らしながら生きられるように(←ああ、これはちょっとキモいですけど)、自分を成長させていくことです。

リーダーシップというのは、一言で言えば「見本」になることです。「モデル」になることです。

ヴィジョンは「なあ、なんでお前最近そんな元気そうなん?なんかお前幸せそうだよな?何したん?何があったん?」とお兄ちゃんに質問されることです。

つまり、Gさんがより楽に幸せになる、ということが、お兄ちゃんを救う道になるわけです。

もし、そういう風にお兄ちゃんが質問して来ないってことは「まだ、自分の輝きが足りないんだな。自分の変化が兄まで届いていないんだな」と解釈することなんです。

(5)自分軸で提案する。

だから、基本的に命の危機がない限りは、意見を求めてない相手に干渉するのはよくないと思っています。

>それが兄をもっと苦しめているようにしか見えなくて、逆だよ逆!そっちじゃねーよ気づけよ!ってすごく言いたくなるんです。

って思いはお兄ちゃんへの愛情からに違いはないのですが、タイミングが違ったり、彼がまだ受け取る準備ができていなかったりするならば、何かを言っても通じないんじゃないかと思うんです。

だから、「聞かれるまでは何も言わない」というのが基本原則かなあ、と思います。
彼のことは信頼しながらタイミングを待ち、自分をより高めるために意識を向けていたら、案外、その間はイライラもしないものです。

私のセッションでは基本的に何か質問されるまではあまり話をしません。
ブログなどでも「で、どうしたいの?」とか「何をお答えすればいいんでしょう?」って聞いてるんですけどね。

でも、お節介な人や過干渉な人は何か言ってあげたくなるかもしれませんが、もしかするとそこに「力の証明」みたいなことが働いていて、相手をコントロールしたい、尊敬されたい、なんて下心があるのかもしれません。

とはいえ、何か言ってあげた方がいいなあ、という場合もあるだろうと思います。

そんなときは「自分軸」ってことがやはり大事です。
それは何かというと「主語を明確にする」ということです。

「私は、こう思う」「私なら、こうする」ということです。

相手を信頼していると自然とリスペクトする気持ちが芽生えるものですから、

「僕ならこういう風に考えるけど、兄貴はどう思うん?」

なんて聞き方もできます。相手が何も知らない、なんて思わずに、相手も考えている、分かっている、という前提で話をするわけです。

カウンセラーとしても、この言い方はすごく重要で、お弟子さんたちにもちょくちょくお話しているテーマです。

あくまで「私が」そう思うんであって、「私なら」こうするんであって、というニュアンスです。

とはいえ、「本当は相手に自分が思う通りにしてほしいんだけど、そうしちゃいけないって根本さんが言ってたから頑張って、そういう言い方をしてる」と、その空気感が出ちゃいますから要注意です。

(5)と銘打っているように、これは最終手段ですので、(1)~(4)のマインドがきちんと構成されてからの方がお勧めなんですなー。

そして、「僕ならこういう風に考える」というのも、お兄ちゃんを否定するような言葉は含まないことに注意します。
誰でも否定されて嬉しい人っていないでしょ?悩んでいる時ならなおさらね。

「僕は今まで周りの人に合わせて来て苦しかったんだけど、本当の気持ちを出して自分のためにわがままになろうと励んでいるんだよね。そしたらまだ辛いけど確実に楽になってきたんだよ。」

これだけで十分です。

そこで「お兄ちゃんもそうしてみない?」とか「お兄ちゃんもそうした方がいいと思う」とか「お兄ちゃんの判断は間違ってるよ」みたいなニュアンスがあったら、途端にシャッター下ろされると思います(笑)

あくまで「商品(提案)を陳列するだけで、それを相手が手に取るかどうかは相手に任せる」というスタンスがお勧めです。

自分軸を確立する、ということは、相手をきちんと尊重する、お互いの間に線を引く、ということですから、お互いに「安全」なんですよねー。

そんなコミュニケーションができるように、あれこれ自分の心を整えてみてくださいな。

今日の話を無料アプリのvoicyで音声でラジオみたいに聴けます!

「押し付けにならずに自分の思いを伝えるには?」
https://voicy.jp/channel/962/62710

★自分軸をベースに人間関係を築く方法を書いた本。

「敏感すぎるあなたが人付き合いで疲れない方法」(フォレスト出版)

『人のために頑張りすぎて疲れたときに読む本』(大和書房)

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