基本的に私は「欠点は直さなくてもいい」という立ち位置でして、以前も5回に渡って連載したこともありました。
短所(欠点)は直してはいけない(1)~長所/短所は○○で決まる~
https://nemotohiroyuki.jp/everyday-psychology/11494
短所(欠点)は直してはいけない(2)~短所と長所は表裏一体~
https://nemotohiroyuki.jp/everyday-psychology/11497
短所(欠点)は直してはいけない(3)~短所は人と人とを結び付ける大切な架け橋~
https://nemotohiroyuki.jp/everyday-psychology/11524
短所(欠点)は直してはいけない(4)~短所は個性~
https://nemotohiroyuki.jp/everyday-psychology/11526
短所(欠点)は直してはいけない(5)~短所は誰かの役に立つ~
https://nemotohiroyuki.jp/everyday-psychology/11555
短所・欠点と自分が思うところは案外気分屋なもので、好きな人にそこを褒められると、全然気にならなくなったりする代物です。
例えば、皆さんが欠点だと思うものについても、いろんなレベルがあろうかと思います。
例えば、「方向音痴」。
私のセミナー調べでは、「方向音痴だと思う人???」って聞くと、皆さん、胸を張って堂々と手を挙げられます。
「自分がいい女だと思う人???」って聞いたらシュンとなる癖に、方向音痴であることは胸を張れることらしいのです(笑)
他にも男性で料理ができないとか、女性で高速の運転が苦手とか、高所恐怖症とか、閉所恐怖症などという“欠点”については許容できてる人が多いんじゃないでしょうか。
なぜだと思います?「方向音痴な自分は許せるけれど、お片付けがちゃんとできない自分は許せない」のは・・・。
はい。他人軸、登場!!(笑)
「同じ人、いっぱいいるから」とか「それは笑って許されるものだから」とか、「他人が許してくれている」ということが“大義名分”になりますね。
でも、「それは自分ができなくても困らない」という理由で車を運転しない人もいるわけですが、それは他の要素にも当てはまる理由だと思いませんか?
料理ができないのは許せない・・・でも、それだって自分ができなくても困らないですよね?そういうあなたのためにお惣菜やさんもレストランもあるわけだし、「料理が得意なパートナー」をゲットすることも可能です。
自分が欠点だと思っているところは、必ず、そこに「これが正しい。これは良い」という判断基準があります。
それを自分ルールと言ったり、観念(ビリーフ)と言ったり、正しさと言ったりするのです。
そして、その自分ルールから外れたときに自分を責め、当然、他人も責めたりするわけです。
例えば、「細かい計算が苦手」「遅刻癖がある」「人前でしゃべるのが苦手」「歌が下手」「運動神経がない」などではどうでしょうか?
チクッと来るものがありましたか?
この辺はまだ寛容な人も多いレベルじゃないかなあ、と思います。
じゃ、もう少し、厳しいレベルへ。
「英語が話せない」「料理が下手」「部屋の片付けができない」「勤続○年なのに○○ができない」「仕事が長続きしない」「気分のアップダウンが激しい」「怒りっぽい」などはどう??
この辺になると、カウンセリングのテーマになってくる問題も出てきます。
さらには、「彼氏(彼女)がずっとできない」「処女(童貞)である」「友達がいない」「肉体的コンプレックスがある」「コミュ障である」あたりになると、これはそのままカウンセリングの問題になってきます。
何が言いたいか?というと、自分の中で自分が勝手に決めた“ルール”というのがあって、ここに列挙したものでも、「これは全然気にならない」とか「けっこうダメージある」とか皆さんの心の反応は様々だと思うんです。
で、カウンセラーはこう思うんですね。
「なぜ?」と。
こうした欠点というのは、自分ルールがベースになっているのですが、その自分ルールは大抵は人との「比較」から生まれるものが多いんですね。
周りの人がみんな優秀で東大ばかりに行ってるとすると、ハイレベル私学と言われる学校に行ってもコンプレックスを感じます。
ちなみに、この「周りの人」というのも曲者で、実際は「家族、友達、同僚、ネット上の友達、仲間など」に限られることが多いのです。
それから、親からの押し付け、というのもあります。
押し付けられなくても、親を見て学ぶところも当然ながらすごく多いです。
ある上場企業でバリバリ働いている自立系武闘派女子のAさんは、家事が苦手。仕事から帰るとへとへとで旦那様のためのご飯も作れないし、洗濯も掃除もできません。
「でも、それって当たり前なんじゃないの?」って私が言うと、彼女は「うちの母は、フルタイムで仕事をしても家事はちゃんとやってましたし、子育ても頑張ってました」と。
これも「比較」から生まれたルールなわけです。
また、いい子、賢い子、真面目な子は、思考がよく働くので、周りの人を見て自分ルールを堅固に作り上げる傾向があります。
「人から挨拶されたら笑顔で感じのよい答えを返さなければならぬ!」みたいに。
この自分ルールを手放すことでより自由度が上がっていくものです。
*
だから、基本的なやり方としては、その自分が欠点だと思っているルールを見つけて、それを緩和させていく方法です。
例えば、「女性たるもの家事はきちんとできなければならぬ」というルールを掲げているのならば、それができない自分を猛然と責める癖が付いています。
そこでそのルールを「女性たるもの家事をきちんとできた方がよい」と緩め、さらに「家事はできるときにやればいい」としていくのもアリです。
もちろん、「家事は旦那に手伝ってもらえばいいし、自分は自分ができることをすればよい」というのも私は賛成です。
さらには、「家事ができない私だって愛されるもーん!」というのは最高ですな。
こうした意識の書き換えはアファメーションと言って、何度も何度も自分に問いかけていく方法が簡単かつ効果的ですね。
ただ、アファメーションというのはそれこそ1日に何百回も呟く必要があります。
潜在意識に染み込ませる方法だから、時間も少々かかります。
でも、何百回も!って驚くのはまだ早いです。
「家事ができない私だって愛されるもーん」って言うの何秒かかると思います?
今、手元の時計で計算したところ約3秒でした。
ということは1分間に20回言える計算になります。
もし、あなたが自宅から駅まで10分かかるのであれば片道だけで200回、往復で400回も言えることになります。
それだけでOKなんですね。
以前、私は徒歩通勤をしていたときは30分「嬉しい、楽しい、幸せ、愛してる、大好き、ありがとう、ツイてる!」という言葉をずっとブツブツ言いながら歩いてました。
これは4秒くらいかかりますから、1分間で15回。30分歩くなら450回も言うてることになります。
そのアファメーションを続けていたら、周りから明るくなっただの、表情が柔らかくなっただの言われましたし、自分でも気分が軽く、前向きになっていったのを覚えています。
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欠点を見るのではなく、その分、長所を探すという方法もよく見かけます。
でも、それは時には慰みにしかならないかもしれませんね。
欠点だと思う気持ちはそのまま残るから。
ただ、長所をたくさん知ることによって自信を持つことができ、それによって欠点が気にならなくなることも多いので、悪い方法ではありません。
「料理はできないけれど、アイロンがけは得意だもーん!!」って長所を認めてあげることで、料理ができない欠点が薄まって行きます。
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「方向音痴」の話のときに出て来た他人軸という問題。
私たちには誰しも承認欲求があり、「その欠点を誰かが許してくれるのであれば、自分もそれを許してもいい」という暗黙のルールを持っています。
それでも大丈夫。と思うためには承認欲求を何度も満たしてあげる必要があるわけで、それこそ、料理ができない、という自分が決めた欠点を、周りの人が100人「それでいいんじゃないの?」って言ってくれたら手放せるかもしれません。
けど、けど、、、やっぱり、それって自分が決めてるものですよね。
周りの人が認めてくれたって、自分が認められなきゃ手放せません。
他人軸でいると、他の人が認めてくれるのを待つだけでなく、「仮に周りの人が認めてくれたとしても、自分が自分を認められないので、やっぱり欠点がなくならない」ということにもなるんです。(ややこしいでしょ?(笑))
結局は、自分ということになっちゃうわけでして・・・
だから、その意識を変えるためには、まずは「それでいいんだ」とか「それが私だから」とか「そんな私も愛される」という言葉をアファメーションのようにつぶやき続けるってことが大事になってきます。
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欠点を自己攻撃してしまう理由についても考えてみると突破口が開かれることもあります。
「なぜ、料理ができない自分を許せないのだろう?」
それは過去に好きだった彼が呟いた一言が原因かもしれないし、お母さんとの関係性、あるいは、「理想の母親像」との葛藤が背景にあるのかもしれません。
今あるものはすべて必要があってのことですから、その自己攻撃がある、ということも必然なわけです。
それを掘り下げてみると「昔大好きだった人が『料理ができない女は嫌い』って言ってて、それを今も大事に思い続けているんだ」なんてものが出て来たりするのです。
だとすれば、料理ができない、という問題は、昔大好きだった人の手放し問題に変化するのです。
その彼を手放すことができれば、その欠点も不思議と解消されていくんですね。
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自分が欠点だと思っている要素。案外、あなたの大切な人が持っているとしたら、私たちはあっさり許せることも多いです。
本にも書いてますが、「もし、あなたの親友が料理が苦手と言ってたら何て言ってあげる?」「あなたの可愛がってる後輩がその欠点を持っていたらどう言ってあげる?」と。
それを自分自身に言ってあげるんですね。
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伝統的な手法に、欠点を長所に置き換える、という方法もあります。
そもそも欠点と長所は表裏一体なので、だから、直さなくてもいいのですが、それを知ることで改善されることも多いですね。
じゃあ、「料理ができない」とか「彼氏ができない」って欠点を長所に置き換えることなんてできるの???って胸倉をつかまれそうなのですが、皆さん、分かります?
こじつけのように聞こえて暴動が起きるかもしれませんが、私なら、前者を「誰かの料理をおいしいと言ってあげられるし、料理が作れる人のことを心から尊敬してあげられる」という長所に置き換えます。
また、後者なら「人を愛する、好きになることの大切さをよく知っている」という長所として見られると思います。
どう、むかついた?納得できない?(笑)
これに「違うもん!そんなんじゃないもん!」と言いたくなる人は、その欠点を手放す気はまだないのかもしれません(笑)
すなわち、欠点にしがみつく、ということを私たちはよくやるわけです。
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他人との比較で欠点が生まれるならば、自分軸というものにもう一度意識を向けましょう。
「私は私、人は人」
この意識をきちんと持つことで、自然と自分が決めた欠点に対しても「ま、それでもいいか」と肯定できるようになるでしょう。
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さて、セラピー的な方法を一つご紹介しましょう。
「自分を愛する」ということが何事においても軸になるセラピーの世界です。
ちょっと想像してくださいね。
『目の前に○○という欠点を持った自分自身が立っていると思ってください。
当然、笑ってませんよね。落ち込んでるし、怯えた表情をしているかもしれないし、あるいは、仏頂面で立ってるのかもしれません。
そこで思い出してみてください。
目の前の○○という欠点を持った自分に対して、自分自身がどんな仕打ちをしてきたのか?
今までどれだけひどい言葉をかけてきましたか?
何回くらい殴る蹴るの暴行を加えましたか?
どれくらいそいつを直そうと力づくでコントロールしてきましたか?
どれくらいそいつを無視してきましたか?
そんな自分の態度を振り返ってみてください。
そして、そんな自分を見つめながら今日、ひとつ決断してください。
「私はこの子を許す」と。
そして、まずは自分自身に謝ってみましょう。
「今まで散々傷つけて来てごめん。ひどいことしてごめんなさい。」
そして、イメージの力を使って抱きしめてあげます。
その時、その子の体温を感じてみてください。
その子の様子を肌で感じ取ってみてください。
どんな気分になるでしょうか?
その子をよしよししながら「あなたは悪くない。あなたはそのままでいいの。あなたはそのままで大丈夫なのよ」と優しく声をかけてあげます。
何度も何度も。
その子が安らぐまで、何度も何度も優しい言葉をかけてあげましょう。』
許しがたい欠点を持っているとするならば、ぜひ、これ、やってみてください。
意外とすーっと心が軽くなるのが感じられるかもしれません。
*
自分軸と自己肯定感を身に着ける本。
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