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お互いに境目のないのが癒着の状態。
くっついているので相手に支配されたり、自己喪失したり、振り回されたり、窮屈だったりする一方で、寂しくない、というメリットがあるんです。
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根本さん、こんにちは。
先日癒着と分離の心理学講座に参加させていただきました。
お話しを聞きながら当てはまることが多くて胸が痛いやら、アファメーションの言葉に涙が出るやら・・
けれど最後は笑いながら心の勉強ができ、とても楽しい時間でした!
講座で教えていただいたアファメーションの言葉を毎日つぶやくようにしているのですが、自分でもあれ?という反応が出てきたので、質問させていただきます。
過干渉気味の母親と遠距離の彼氏へ癒着してしまっていて、2人との関係に線を引く言葉を口にすると、自分が孤独な人間になってしまうような感覚がありひどく動揺してしまいます。
くっついてしまった関係を剥がしているのでそういった反応が出るのかとも思いますが・・。
0か100かの狭く深い友人関係しか築いてこれなかったこともあり、彼からも母からも離れてしまったら本当に一人ぼっちになってしまうような気がしてしまい、とても不安になります。
この感覚から自分を守るために、今まで癒着し続けてたのかなとも感じます。
お子さんに癒着していたお母さんの例のように、言葉を唱え続けていくことでこのような孤独感も薄れていくものなのでしょうか?
好きな人との距離が遠くて寂しい、近すぎると嫌われるような気がして恐ろしい、そのループから抜け出していきたいです。
お時間のある際にでも、お答えいただければ幸いです。
これからもブログや講座、楽しみにしています!
(Kさん)
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実はこのリクエスト、ずいぶん前にいただいたものですが、Kさん、その後はいかがでしょうか?
Kさんがとてもよく解説してくださってるのですが、癒着を手放すとまさにそんな世界が広がっているんですよ~。
※癒着とは?※
*癒着の問題。その苦しみと問題の切り離しの大切さについて。
*相手の問題を必要以上に背負い込むのは癒着ですか?
他、多数。私のブログで「癒着」を検索してみてください。
>2人との関係に線を引く言葉を口にすると、自分が孤独な人間になってしまうような感覚がありひどく動揺してしまいます。
>くっついてしまった関係を剥がしているのでそういった反応が出るのかとも思いますが・・。
Yes!まさにその通りなんです。
ちなみに「2人の関係に線を引く言葉」というのは・・
『私は私、母は母。私は私の人生があり、母には母の人生がある』といった言葉です。
癒着を切る場合はもう少し強めに。
『私は私。母は母。私の人生に母は関係ない。母の人生に自分も関係ない』くらいの言葉を使うこともあります。
はっきりお互いの間に線を引くことを目標としてるんですね。
それを「癒着を切る」という風に言います。
この図の通り、癒着してるってお互いの境目がないくらいくっついてるっていうか、むしろ重なってる?っ状態なんですよね。
それって窮屈だし、コントロールされてる状態で自由がないし、苦しいし、離れられなくてしんどいし、相手の感情に振り回される/支配されるし、自分がなくなるし、大変なんだけど、その一方でメリットもあるんです。
その一つは相手の言うことに従っていればいいから「楽」というもの。
自分の意志や欲求を持たないと癒着関係ってのは相手の指示通りに動けばいいから自分で考えなくてもいいし、責任もないんですよね。
そして、最大のメリットは心理的にずっとくっついているから「寂しくない」「孤独感を感じなくていい」という点なんですね。
だから、癒着を切ると寂しくなったり、孤独になったりして、再びくっつきたくなります。
逆に、寂しさを回避するために誰かと癒着する場合もあるんです。
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実際、癒着の一つの「○○依存症」というのは寂しさや孤独感を紛らわせるために「○○」にハマっているとも言えます。
○○にはアルコール、仕事、セックス、恋愛、ドラッグ、ギャンブル、買い物、甘いもの等が入りますが、寂しい気持ちを紛らわせるためにアルコールと癒着するんです。
そして、お酒を飲んでる時だけはその寂しさを忘れられるから手放せなくなり、ますます癒着していきます。
女性に多い、恋愛依存症・セックス依存症というのもまさに「寂しさ」「孤独感」を紛らわせる効果がありますね。
だから、分かっていてもやめられない、のです。
先日ご紹介したココロのアンダーグラウンドの世界ではこの癒着がよく見られます。
そこにしか依存できない状態を作り出すので、まさにその傾向が強まるのです。
>0か100かの狭く深い友人関係しか築いてこれなかったこともあり、彼からも母からも離れてしまったら本当に一人ぼっちになってしまうような気がしてしまい、とても不安になります。
>この感覚から自分を守るために、今まで癒着し続けてたのかなとも感じます。
癒着の傾向がある方はどうしたってオールオアナッシングの関係を作りやすくなるんです。
すなわち「癒着している」or「離れる」という二元性になってしまうんですね。
癒着の癖ができてしまうと、図のように「適切な距離」ですら、寂しく、離れているように、遠く相手を感じてしまうんです。
だから、0か100かの関係性しか築けなくなります。
すごく近いか、めっちゃ遠いか、です。
でも、その「めっちゃ遠い」がほんとうに遠いのかは分からないんですね。
>お子さんに癒着していたお母さんの例のように、言葉を唱え続けていくことでこのような孤独感も薄れていくものなのでしょうか?
>好きな人との距離が遠くて寂しい、近すぎると嫌われるような気がして恐ろしい、そのループから抜け出していきたいです。
癒着している状態がなぜしんどいかというと、先ほど紹介した苦しい感情を散々感じて「自己喪失」してしまうからなんですね。
自分がしたいことが分からない。
将来が不安で仕方がない。
自分に全然自信が持てない。
そんな不安や怖れを抱いて生きることになるんです。
いわば、奴隷状態になってしまうんですね。
で、どうしたらいいのかというと・・・「慣れ」です(笑)
その孤独や寂しさに「慣れ」ていくことなんです。
癒着を切ろうとするとエゴの声がいっぱい聞こえてきます。
「そんなことしても無理だって。また何かに癒着するだけだって」
「今の方が寂しくないじゃん。どうして切ろうとするんだ?」
「一生一人になってもいいの?今の方が楽だし、寂しくないでしょ?」
だから、そのエゴの声を受け入れ、なだめ、そして、その声を聴きながらも手放す方に意識を向けていくことが大事なんですね。
まさにそれが「自立」そのものと言えるんです。
癒着状態は共依存でもありますから、自立することがとっても大切。
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そこで、まずは「私は私」という意識を持ち始めたら、「私が好きなもの」「私が笑顔になれるもの」を日常的に、意識的に取り込む必要があります。
そして、自分の気持ち(それがたとえ孤独感であったとしても)ときちんと向き合いましょう。
だから日記を付けるのをお勧めすることが多いですね。
自分の気持ちを書いていくんです。
カウンセリングやセミナーに来てくださった方に「今度根本さんに会ったら聞いてみたいことを書くノート」を作ってもらってます。
実際にいつ会うのかは別として、こんなこと聞いてみたい、こんなこと話そう、こういう話を聞いてほしいと思ったことを書いていくと、それだけで少し気が紛れたりします。
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その一方で、カウンセリング的な見方をすると「なぜ、癒着してしまうのか?」がとてもポイントだったりするんですね。
Kさんはなぜ、お母さんと癒着してしまったのか?
その理由を手放し、癒していくと、癒着も切れやすく、手放しやすくなります。
どこかでお母さんを不憫に思ってたことがあるのか?
お母さんにすごく迷惑をかけてしまったと罪悪感が強いのか?
お母さんを守りたいと思っているのか?
そうした思いを解放していくのも癒着を手放す方法になります。
ロールプレイ的には「一度近づき、そして、離れる」というアプローチをよく使います。
また、罪悪感が出てきた場合には「自分を誰かに愛させる」というアプローチで罪悪感を浄化させたりします。
ロールプレイの手法を使うと、実際に癒着を切ったときの状態が味わえます。
「寂しい」とか「孤独」「不安」を感じると思うかもしれませんが、その一方で「解放感」「自由」「楽さ」を感じて、すごく心が軽くなります。
そうして「体感的に」癒着を手放した状態を知ると、実生活でも希望を持って癒着を切ることができますね~!
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☆根本本。