ココロのアンダーグラウンド(1/3)~表社会では処理し切れない、行き場のない思いがたどり着く場所~

表社会でいい人をしていたり、我慢・抑圧を重ねたりすると処理し切れない感情が出口を求めて人には言いにくい場所を求めるようになります。
それをココロのアンダーグラウンドと呼んでいます。

裏社会っていうといわゆるやくざな世界だったり、法律の届かない世界の話になりますけれど、心の世界でも比喩として裏社会、すなわち、アンダーグラウンドって表現を私はよくするんですね。

例えば、ずっと優等生で生きて来たある女性。
職場でも家庭でも実績を残し、人としても信頼に足る方がセミナーやカウンセリングに来られます。
一見、何の問題もなさそうな人。悩みなんてなさそうな笑顔の持ち主。
でも、彼女は一人苦悩しているんです。
「実は・・・、ずっと不倫を繰り返していて・・・」
とか
「私、ちゃんとしてそうに見えるんだけど、実は借金がたくさんあって・・・」
とか
「私、模範的な母親に見られるんですけど、セックス依存症なのかもしれなくて、浮気を繰り返してしまうんです。」
とか。

そういう問題があっても表社会(=日常の世界)でいい人をしていたり、我慢や抑圧をしてる人ほど、それを吐き出すための“裏の社会”が必要になり、人には言えない秘密を持つようになります。

そうすると、隠している分だけそれがものすごく大きなものに思えてしまい、行き場のない苦しみを抱えるようにもなります。
「まさか私がこんなことしてるなんて・・・。とても言えないし、信じてもらえない」という風に。
それで最終手段として私のところにいらっしゃる方も少なくありません。
事実、「このことを誰かに話してますか?相談されてます?」ってお聞きすると、首を振られることの方が多いんです。

そんな裏社会を「ココロのアンダーグラウンド」って私は名付けてます。

ちょくちょくこのブログでもお話してますよね。
しっかりものの長女が不倫にハマりやすい理由。
親が過干渉だったためか恋愛がうまくいきません。
夫に愛されてる私がプレイボーイにハマる理由。

表の社会では出せない自分が登場するのが、このアンダーグラウンドの世界です。

カウンセラーという仕事上、私にとってはとても身近な世界です。
だってカウンセリングそのものも、ある角度ではアンダーグラウンドです。
カウンセリングに行ってることを人に言えない方も少なくないですから。
そして、そこではそんな「秘密」をお聞きすることも少なくありません。

最近はすっかり免疫ができてしまい、ちょっとやそっとでは驚かなくなりました。
「根本さん、私の話を聞いても引かないでくださいね」って言われたとしても・・・。

例えば、Aさん(女性)はとても責任のある職務に就いていました。
収入も平均以上あり、かつ、後輩の女子からは憧れの存在であり、異性からも理想の女性として崇め奉られる存在でした。
しかし、彼女は体だけの関係を持つ男性が片手の数だけ常に存在していました。
そして、ノーマルなセックスでは満足できなくなり、いわゆるSM的な世界に没頭するようになっていきました。

また、Bさんのご主人はギャンブルにすっかり依存して、借金まで重ねていました。
しかし、職場ではものすごく評価が高く、批判的なことしか言わない上司が唯一褒めたたえるのがその彼でした。
ふだんはとてもいいご主人で家事も手伝ってくれるし、子育てだって協力的。若いのに地域の活動にも精を出し、彼女のご両親・親族にも信じられないくらい模範的なふるまいをしていました。

あるいは、Cさんは妻として、母として、また、社会人としても周りから「憧れ」「見本」となる存在でした。
仕事も家事も完璧にこなし、妻としても夫をきちんと支えていました。
しかし、彼女には切っても切れない存在の男性が複数いました。
月に1回くらいですが、彼らと関係を持つことで精神を保っている様子でした。

またDさんのご主人は人を導く仕事をし多くのファンを持つ指導者的な存在です。
人間的にもとても尊敬できる存在で、多くの友人を持つ魅力的な男性でした。
しかし、Dさんはふとした時に彼に複数の、尋常ではない遊び相手の女性の存在に気付きます。
地元はもちろん、出張先にもかなりの数の女性の存在が見えてきたのです。

さらにはEさんはアルコール依存気味で、かつ、精神的な病を持つご主人を献身的に支えていました。
そんな生活が10年ほど過ぎたとき、“糸が切れたように”浮気を重ね、今では風俗店で働くようになりました。
もちろん、店の外でも関係を持つ男性が複数いる状態になりました。

※A~Eさんがすべて女性なのは私のクライアントさんが圧倒的に女性が多いからです。

かつてのクライアントさんにとある風俗店で働く女性Fさんがいます。
高級店に勤めてるせいもありますが、社会的に地位のある男性が数多く訪れます。
彼らはふだんのバシッと決めたスーツ姿とは正反対のあられもない姿を彼女の前に晒し、一時の快楽に身を委ねたのち、日常生活に戻っていきます。

その彼女とあるとき「なぜ、そんな社会的にも地位があり、経済的にも困っていない男性が私のようなところに来るのか?」と疑問を呈されました。

そのとき、“ココロのアンダーグラウンド”の存在に気付かされたのでした。

「表社会でいい役割を演じているほど、あるいは、我慢したり抑圧したりしている感情が多ければ多いほど、表社会で処理し切れない感情が行き場を失って苦しくなる。それを解放するためにFさんの元に通うのだ」と。

人間ってそんなにきれいな部分だけじゃないですよね?
表では立派な存在も、その心の内には汚い、苦しい、見苦しい、恥ずかしい、嫌悪すべきものを持つものです。
それが表社会で処理できればいいんです。

例えば、多くの聴衆の前で立派にものを教え、人としての在り方を説く“先生”が、実はお酒には飲まれやすく、夜ごと酒場に繰り出しては泥酔してる、とか。
あるいは、真面目に仕事に取り組んで多くの社員と見本となっている一方で、家に帰れば、奥さんに頭が上がらず、すっかり依存している、とか。
重圧のかかる仕事をこなし、多くの部下を抱えている経営者が、実はアイドルおたくで、週末ごとにアキバに通い、推しメンのアイドルに向かって歓声を上げてる、とか。
猛烈に稼ぐ社長さんが、美味しいものに目がなくて、日々、都内の三ツ星レストランを巡って大枚をはたいてる、とか。

また、銀座や北新地のホステスさんに貢ぐ、であったり、週末ごとにJRAに多額の寄付をしてる、であったりするうちはまだいいと思うんです。
まだギリギリ表社会と言えるでしょう。

それが、プライド、とか、世間体、とか、見栄、とかが邪魔すると、そうした“恥ずかしい部分”を表社会では晒せなくなっていきます。

「こんな立場のある自分がそんな思いを持つなんてとても人には言えない」という部分です。

繰り返しますが、人ってそんなきれいごとだけではやっていけない存在だと思うんです。
誰しもが弱さを持ち、寂しさや、行き場のない怒りや、理不尽さや、やるせなさを持っているものです。
それを素直に表現することが“許されない”“できない”と思った人たちが、そういうアンダーグラウンドの世界に足を踏み入れることになります。

ところが、それが表社会と隔絶されたアンダーグラウンドな世界である分、ハマります。(すなわち、抜け出しにくくなります)
そこでしか処理できない感情があり、それ以外ではとても満たされないと感じてしまうからです。

表社会で「いい人」をしている分だけ、悪い部分は出せませんから、抑圧されることになります。
しかし、抑圧したところでなくなるわけではなく、何かの方法を持ってそれを解放しなければ済まなくなります。

不倫の恋ってあまり表には言えないですよね?男女ともども。
だから、不倫ってメジャーなアンダーグラウンドの一つです。
「妻には言えないロマンチックな言葉も、不倫相手の彼女になら言える」とか、「ふだんは真面目にいい人をしているけれど、彼の前だけならわがままになれる」とか。
だから、ものすごくハマりやすくなるし、また、抜け出しにくくなります。
そこでしか「素直な気持ちを伝えられない」「わがままを言えない」からです。

それが表社会で実現することができるようになれば、アンダーグラウンドを手放すこともできるのです。

ココロのアンダーグラウンド(2/3)~そうせざるを得ない人の心に理解と許しを~へ続く

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