とある休日のできごと~温泉と焚き火と温泉の一日~



ふと今日は休息の日にしよう、と思い立った。昨夜寝る前に、ふとそう思った。そして、頭の中でいろいろと戦略を立て、そして、知らないうちに寝ていたようで気が付けば朝になっていた。
私のような仕事をしていると、休日というのは基本的に自分でそうと決めて実践しないと作ることができない。誰かが決めてくれるわけではないし、やることは常にあるので、休む!と決めたら朝から気合を入れて休むことにしないとついついパソコンの前に座って仕事を作り出している。
昨今の在宅勤務中心の方は共感していただけると思うが、家が仕事場ということは、常に仕事が側にあり、何かと仕事をするチャンスがあり、そして、時間などお構いなしに仕事をしているものである。
そんな生活をかれこれ20年近く続けているのに飽きないということは、よほど今の仕事が気に入っている上に、性に合っているのだろう。

しかし、私は正直、休み方があまりうまくない。
複数の編集者から「次は『休息の仕方』をテーマにした本を書いてみませんか?」というアイデアをいただいたのだが、「実はそれ、私の最も苦手とするジャンルでして。私、仕事と休みの区別が付いていない人間なので」と反応すると、私のことをよく知っている彼らは「ですよねー。やっぱりそうですよねー」と、いや、もう少し粘ってくれてもいいんじゃないかと思うくらいのスピードでその案を引っ込められるのである。

公使の区別が付いていない、とは、例えば、ブログの執筆中に洗濯機が私を呼べば即座に駆け付けて干したりもする。料理をしている途中にアイデアが浮かべば、そのまま自室に戻り記事を書いたりする。私がどれだけ仕事に集中していようとも、うちの子どもたちは「パパー、これ見てー」とノックもせずに部屋に入ってくる。と言ったところが代表的か。
きちんと休みを取ろうと思えば、大好きな沖縄などに逃避することであるが、最近では沖縄に旅をするときに限って締め切り原稿が発生し、海で遊び、庭でBBQなどをしたのちに、部屋で執筆作業に打ち込んだりしている。
でも、そんな生活が正直言えば好きなので、全然イヤではない。

さて、そんな私もたまに「今日は休むぞ!」と決めてかかる日がある。今日がまさにそうであった。
休むためには、まず、パソコンを持たずに家を出る必要があり、休むにふさわしい好きなことで一日を埋め尽くす必要がある。
もちろん、多くのフリーランスや経営者の方がそうであるように、そんな日であっても頭の中には仕事のことが流れてくるのだが、それはもうしょうがない。仕事のことを考えても、それに流されなければよいのである。

そんなわけで、毎度通っている交野にある鍼灸師の元に出向く。車で約40分。
車に乗っているときは当たり前だがそのほかの作業ができないので、案外、リラックスできる時間ではある。それがために最近は大阪市内であっても「飲み」の約束がない限り、車で出かけることが増えている。
そして、その鍼灸師に脈を診てもらい、鍼を打ってもらうのだが、その時間はスマホも見れないし、ただボーっとベッドに寝ているだけである。その時間、約1時間~1時間半。
これもまた休息の時間であるが、鍼を打たれると何かが通るのか様々なアイデアが浮かぶことが多い。仕事のアイデアやデキの悪い弟子の売り出し方や間もなく始まるお弟子4期のことなどのアイデアを受け止めつつ、ふと、ある記憶がよみがえってきた。

ライフワーク仲間であるS氏(絶賛発情中)が、この近くにいい温泉があると先日のセミナーで言っていたのである。
私の休日も、旅も、基本は行き当たりばったりなので、当初の「鍼のあとに近くで適当にランチを喰らって緑地公園で焚き火」は吹っ飛んで、「鍼のあとはS氏が教えてくれた温泉に出向き、めちゃくちゃ美味いらしい魚料理を喰らう」に変更になった。

焚き火は同じく同志である岩橋君との約束であったが、我々の常として何時スタートなのかは打ち合わせしておらず、その辺はとても融通が利く(つまり、お互いに都合の良い時間に公園で出会うことになっている)。

そこで、鍼で緩んだのちは、一路、奈良にある「音の花温泉」に向かうことにした。
奈良に入った途端のどかな田園風景が展開され、気持ちが緩む。
168号線を南下しながら、大阪とは明らかに違う空気感をひしひしと感じながらローカルな幹線道路に非日常を感じている。
30分強でその温泉に到着した。

アルカリ性のぬるぬるなお湯が私を出迎えてくれた。きれいな設えで居心地が良いのはもちろんだが、この田舎の空気の中で味わう露天風呂はごく控えめに言って最高である。冬の青い空を少しぬるめのお湯に漬かりながら眺めていると、それだけで雑念が零れ落ちていく。それにしても気持ちが良い。空気がいい。阪神間のよく行く温泉では味わえない空気感である。思った以上に癒された上に、その後入ったサウナと水風呂で軽く仕上がったのだが、そのお陰で昼時というのに腹は減っていない。

ここは何でも市場直送の魚が名物とのことで、お食事処はけっこうにぎわっていた。そして、お魚メニューも大量にあり、まるで漁港近くの定食屋の雰囲気を醸し出している。SNSにここの写真をアップしたら、行ったことがある方々が「刺身が最高!」などと書き込みをしてくれていたのであるが、そもそも私はちゃんとした昼飯はあまり採らない生活をしている(基本的に1日1.5食といったところ)ので、あまり食指は動かない。

けれど、入り口あたりに「マグロのカマ塩焼き800円」「鯛のカマ塩焼き300円」というパッケージが売られていたので反射的に購入してしまった。お陰で私の車の中は、しばし、焼き魚の匂いで充満することとなったのである。

さて、件の温泉は高速の出口のほど近いところにあり、とても便利なのである。
それゆえ、次の目的地である緑地公園まで阪神高速~近畿道を経てものの40分くらいで到着してしまった。近い。距離にしても40kmほどらしい。やはり近い。

同志である岩橋君には「今から行くー」とだけ伝え、彼からも「じゃあ、行きますー」と適当な返事が来ていた。
その間に、新しい焚き火台を設置し、八ヶ岳から取り寄せている薪をセットしたのであるが、今日はかなりの強風であった。ゆえに、なかなか火が着かない。そして、着いたら着いたで、強風にあおられて火の勢いが強い。しかし、やはり火はいい。最高である。

顔をあげれば目の前には原っぱが広がり、空はどこまでも青く、そして、風はとても強い。防寒着をちゃんと着込んできてよかった。
そして、平日なのでわずかではあるが、点々と同志たちがいて、BBQなどに興じている。最近はこの公園で見かけるグループは装備がガチ中のガチであることが多い。
ステイホームの影響でアウトドアに目覚め、様々な道具を買いそろえているツワモノが多いと聞いているが、その現実をこの公園では目にすることができる。
休日などはかなり本格的なタープやテントがあちこちに張り巡らされているものである。

さて、焚火を純粋に楽しみつつもようやく小腹が空いてきたのでコンビニで購入した「火にかけるだけで食べられる鍋焼きうどん」をセットする。しかし、風が強いせいか、あるいは、そのポジションが高くて熱が届かないのか、全然温まらないので、最終的には直火になった。
そして、岩橋君が少し遅れて登場したので、音の花温泉で購入したカマを焼くことにした。

周囲には焼き魚の芳香が広がり、そして、その身は信じられないくらいに美味かった。それにしてもなぜ屋外で食べるものは何でも美味いのだろう?
この鯛カマも元々かなり美味いと思うのだが、さらに自然の力が加わって史上最高クラスの美味になっていた。

最近、キャンプ芸人(?)のヒロシ氏の影響をモロに受け、キャンプ道具の収集にハマっている岩橋君は真昼間だというのにオイルランタンを自慢げに掲げている。お気に入りの品が手に入り、よほどうれしいのだろう。逆の立場であれば、私も当然同じことをするので何もツッコミは入れられなかった。

さて、これまた絶品に美味いコーヒーを岩橋君に入れてもらい、日も暮れ始めた頃、我々は次なる目的地「温泉」に向かうことにした。

この近くには車で30~40分圏内にいくつかの名湯があり、毎回、その時の気分によって目的地を選ぶ。今日は「ガツンと食塩泉ですっきりしようぜ!」ということで、尼崎にある「湯の華廊」に向かうこととした。その熱湯に期待を膨らませ、車を走らせること30分。いつものように駐車場に入ろうとしたら、あろうことか休館日であった。愕然とする我々。そして、繰り返される悲劇。

実は、我々が温泉に向かうと幾度となく「本日休館日」という憂き目に遭う。特に、宝塚にある宝の湯との相性が悪く、過去数度、せっかくたどり着いたと思えば中に入れない!という悲劇が繰り返されていた(そのため、宝の湯に行く際は必ず営業しているかを事前に確認することが我々のルールとなった)。
しかし、どんな時も裏切らなかったのが湯の華廊であったのだが、何ということだろう・・・。しばし、茫然としつつ、とりあえず車をコンビニの駐車場に入れて次なる作戦を立てることとした。
我々は何度もこういう目に遭っているということは、免疫が十分できており、「くそっ!じゃあ、次!」と気持ちを切り替えることができる体質になっていた。それは同時に、「次!」と言えるだけの名湯がこの付近に多く湧き出ている証でもあり、この阪神間に住まう喜びの一つであることは間違いない。

意外と知られていないことだが、大阪から神戸にかけての「阪神間」は様々な泉質のお湯が湧き出る温泉ゴールデンエリアなのである。しかも、そのほとんどが銭湯価格で入れるのである。ゆえに、異なる泉質を求めて温泉をいくつもハシゴできたりするのである。

車の向きが南を向いていることから、我々は次なる目的地として「クア武庫川」を指定することとした。
ここは武庫川女子大学(通称:ムコ女)のすぐ裏手にあり、閑静な住宅街のど真ん中に突如姿を現したレトロな温泉銭湯である。甲子園球場のすぐ近くでもある。
何年も前に、何かのついでに寄ったことはあったが、その時は夜だったので周りの景色にはほとんど記憶はなかったのだが、ほんとうに住宅街の真ん中にポツンとあるふつうの銭湯である。

しかし、ここがまた非常に濃厚かつ良質な食塩泉で、非常にインパクトが強い名湯なのである。
源泉と水風呂を往復する「温冷入浴」も、わずか2,3度で仕上がるほどに素晴らしかった。(逆に言えば、それだけ湯あたりしやすい、とも言える)
そこでものの30分もかからずに仕上がった我々は超ご機嫌で家路を急いだのである。
帰りは西宮ICから名神に乗ればやはり40分ほどで家に着いた。ずいぶん日が延びたもので、18時を少し過ぎた空はまだ少し明るかった。

そういうわけで今日は完全なる休日を過ごしてみたのだが、家に帰ってあれこれしているうちになんか記事にしてみたくなってパソコンの前に座ってしまった。
そして、不思議なことに、この休日による恩恵なのか、ありがたい仕事の話が届いており、ああ、こういうことってほんとよくあるよね、と独り言ちたのであった。

ちなみに岩橋君も早速今日の話をブログに書きながら、お気に入りのランタンの動画を上げてます。しかし、あのあと動画2本も撮ったんだ。すごい。
https://ameblo.jp/takataka245/entry-12657141754.html

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