まえがき|「兄弟姉妹の心理学~弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか~」(WAVE出版)




「兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか」(WAVE出版)

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はじめに

私は心理カウンセラーとして、日々さまざまな方からお話をお聴きしています。
内容は、仕事、恋愛、お金、子育てなど多岐にわたりますが、やはり圧倒的に多いのは、上司や同僚、パートナー、家族といった、身近な人間関係にまつわる問題です。 
 
心理学やカウンセリングの知識のある方なら、そうした問題の原因の多くが、「親」との関係に行きつくことはよくご存知でしょう。
とくに子どもたちは、価値観や考え方、さらには感情の受け止め方まで両親のそれをマネして成長していきます。

思春期の頃の人間関係も無視できません。
思春期というのは意識が親(家庭)を離れて社会に向き始める時期なので、自立した人間になるために、主に学校で他人との関わり方を学んでいきます。そのため、この時期の友達関係は、その後の人生に大きな影響を与えるのです。

私はカウンセリングの中で、この「親子関係」と「思春期の頃の人間関係」に注目することがほとんどでした。 
ところがあるときから、この2つだけでは説明しきれない〝第3の要素〟があるのではないか、と考えるようになったのです。

それが「兄弟姉妹」の関係です。

私は3人きょうだいの第一子長男で、妹が2人います。
上の妹とは1歳差、下の妹とは3歳差です。
上の妹とは年齢が近かったのですが、言葉を話すのも、精神的に大人になるのも、彼女の方が先でした。そんな妹とは、内心、競争していたようなところがあります。
だから、かつての私は相当な負けず嫌いでした。
また、他の人と違うことをしたがる傾向もありました。
「みんなが右に行くなら、自分は左に行く」というように。
 れも、妹を意識する中で、自分が特別な存在であることを示そうとした結果なのかもしれません。
いずれにせよ、私の性格がつくられた背景を考えるとき、「妹」は無視できないほど大きな要素になっているのです。
実際、クライアントさんの問題を傾聴していく中で、兄弟姉妹との関係性は、その人の人生に大きな影響を与えていることがわかってきました。
ただし、そのしくみは単純ではありません。
生まれた順番、男女の組み合わせ、年齢差などに加え、親との距離などさまざまな要素が絡み合います。私と同じ3人きょうだいの方でも、必ずしも我が家と同じパターンにならないのはそのせいです。

本書ではできるだけ多くの事例を紹介しながら、複雑かつ人生に大きな影響を与える「兄弟姉妹の関係」について解説していきたいと思います。
今、みなさんが何らかの人間関係に問題を抱えているなら、ぜひ、本書を解決のヒントとしてお使いください。
                         
                                根本裕幸 


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