彼に裏切られたんです(3)



ラブ・カウンセリング

奪うしかなかった、殺すしかなかった、裏切るしかなかった・・・。

人がほんとうに追い詰められたときに犯す罪がこの3つだと聞いたことがあります。

裏切りと言うのは、それくらい古来から大罪の一つだったわけですが、だからといって、彼らを裁く権利は私たちにはありません。


カウンセラーは裁判官でも、哲学者でもないので、善悪や正誤を議論したりはしません。

自分の心を癒すために、そして、もっと幸せになるために「彼がそうせざるを得なかった感情的事情」にフォーカスしていきます。

だから、「彼って悪いですよね?」と聞かれたら、「そう感じてしまいますよね」などと、あなたに共感することはあっても、「そうそう、彼ってほんと最悪ですよね」と同調することは、まずしません。

だから、こう見ていくんです。「彼はなぜ、裏切ったのでしょうか?」と。

もっと言えば「なぜ、裏切らざるを得なかったのでしょうか?」と。

本当に幸せなら、本当に満たし、満たされている関係であれば、裏切りの余地は生まれません。

でも、それが起こってしまった。

だとしたら、なぜだろう?どんな心理的な変化が起きたんだろう?

そう考えていくんです。

(専門的にはこれを「理解」と言います。問題解決のプロセスでは「受容」(今起きていることを受け入れること)の次に来る、大切なプロセスです。)

私達は本当は「傷つけたくて人を傷つける」ということはほとんどしません。

「そのつもりはないが傷つけてしまった・・・」あるいは、「いっぱいいっぱいで傷つけるしかなかった・・・」というケースがほとんどなのです。

彼は元々罪悪感が強く、自分を最悪な奴だと思いたいのかもしれません。だとすれば、大好きな彼女を裏切ることは、その格好の証明となりますね。

つまり「おれはこんな悪い奴なんだ」ということを彼女に突きつけるような感じです。

無意識的には「おれを分かってくれよ」という無茶なニーズ(欲求、要求)なのですが、逆にそれくらい罪悪感が強いと言えるでしょう。

彼は心の痛みが強すぎて感覚が麻痺してしまったのかもしれません。よほど、辛いことが彼の人生ではあったのでしょう。特に裏切られた経験だってあるかもしれません。

だから、裏切ることに、つまり、彼女を傷つけることに抵抗を感じないのかもしれません。

彼は自分のことで精一杯で周りを見る余裕が無かったのかもしれません。

いっぱいいっぱいで余裕がなければ、私達は相手を知らないうちに傷つけてしまいます。

皆さんも、そういう経験ないでしょうか?

失恋のショックでいっぱいいっぱいで、友達の好意を素直に受け取れなかった・・・とか。

彼の中にもそういう状態が続いていたのかもしれません。

彼はもう我慢の限界に来ていたのかもしれません。

いい人を演じたり、いい彼氏を頑張ることに。

そうすると、どうしようもなくなって“逃亡”してしまったのが、今の状態なのかもしれません。

だとすれば、心優しい彼はきっと今、相当な自己嫌悪に襲われているでしょう。

彼の心はとても弱いのかもしれません。

誰もが彼に“やさしさ”に見える“甘え”を与えてしまっていた可能性もあります。

そうすると、裸の王様となって周りの人を傷つけてしまうでしょう。

彼は始めからあなたを傷つける目的を持っていたのかもしれません。

それは、彼の心が余りにも痛みすぎているから。

自己攻撃が激しい人は、自分の近くの人にも攻撃を及ぼします。

だから、彼は、ものすごく強い自己攻撃と痛みを持っていたのかもしれません。

これを見て、何を感じるでしょうか?

怒りが湧いてくることもあれば、同情してしまうこともあるでしょう。

そうだったのか・・・と彼の気持ちの理解が一気に進むこともあるでしょう。

そうしたあなたの反応も大切なサインの一つ。

もちろん、ふーんと何も感じ無いことにも意味があります。

そして、その中から、何かしら学んでいただけたら幸いです。

ありがとうございました!


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