[172]夫がモラハラ気味で困っています。



<リクエスト>

こんにちは。
いつも拝見しています。

夫がモラハラ気味で困っています。
結婚前からそういう態度はあったのですが、最近怒鳴られたりするのがこわくてドキドキしてしまいます。怒鳴ったあとは夫も反省?しているように見えるのですが・・・。
私の失敗やのんびりしたところがイライラさせてしまうようです。
ちなみに怒鳴ったり馬鹿にしたりされるのは私だけです。

気分の落ち込みも激しくなり、自信がなくなりました。
今後うまくやっていくことはできるのでしょうか?

(nanaさん)


<根本からの回答>

ちょっと距離を置いたほうがお互いのためになるかも。

それは辛いことですよね・・・。モラハラって、本人には自覚がないことが多くて、奥さんとしてはしんどい思いばかりを溜め込み易いのかもしれません。

ちょっと怖い話かもしれませんが、DVの多くは「やさしい」→「暴力」→「やさしい」→・・・を繰り返すんです。そして、彼には「罪悪感」が芽生えますから、たいていはエスカレートしていきます。

その優しい部分を見たり、彼の辛さが分かると、奥さんの方も「この人は本当は優しい人だから」と我慢したり、理解しようとしたりして、気がつけばどんどん深刻化してしまうのです。

だから、こうしてご相談してくださることはとても大切で、周りの人やカウンセリングはもちろん、役所などにも相談されるといいと思います。きっとそういう窓口があるはずですので。

気の落ち込みが激しいとのこと。ちょっと体に出始めてるかもしれませんよね。
あまりにしんどいときには、実家、友だちの家、ホテルなど、物理的に距離を取ることも大切なことです。

「まだ、大丈夫だろう・・・」と思うのは危険なことが多いと思うんです。

さて、その上で、ちょっとこの問題を心理的な面から見ていきたいと思います。

ご主人がnanaさんに対して、そういう態度を取る裏側には「甘え」の心理が隠れていること、お気づきでしょうか。(ご主人の甘え、ですね)
それはご主人の「助けてくれ、しんどい」という助けを求める声であることが多いのですが、素直に言えずに「攻撃」になってしまうんですね。

彼は、他の人に対してもモラハラ的言動を繰り返すのでしょうか?
本文にも書いてくださってますが、「私だけ」というところがポイントで、彼は他の人にはそうした発言をしないばかりか、むしろ、いい人でいることが多いんじゃないかと思うのです。

だから、妻であるnanaさんにだけ、そういう態度を表すと言うことは、彼にとってnanaさんが特別な人で、他には出せない感情を出せる相手として甘えている、と考えていいと思うんです。

つまり「外では人に気を使ってすごくいい人をしている。そのストレスが内側に向かって、私に出てるんだ」という風に。

だから、まずはそのことに気付いてあげることも大切なことですよね。
(でも、だからって「耐え忍ぶ、我慢する」というのは体にも心にもとても悪いことですけど)

つまり、nanaさんにしか、弱みを見せられないのかもしれません。

だから、ご主人の態度は「甘えてるんだ。素直じゃないなあ」と受け止めてあげることもできます。

でも、繰り返しになりますが、それで解決するわけではなく、時には毅然とした態度が求められます。
彼を受容してあげることは大切なことですが、それでnanaさんが倒れてしまっては意味が無いですよね(共倒れということですね)。

こういう問題が起こる背景には「癒着」という問題が潜んでいることが多いのです。

※癒着については次が詳しいです。
17.癒着の心理学1~接着剤付き人間関係~
213.人との距離感を見つめなおしてみよう~癒着の心理学2~
310-1.過保護・過干渉がもたらすもの(1)~ヒロユキコさんの告白~

癒着した関係はお互いの感情の境目がなくなるので、モラハラもエスカレートしやすいですし、また、
ということは、心理的な意味でご主人から距離を取る必要があります。

安全を確保する、という意味でもありますが、客観性をもてる距離からご主人や二人の関係を見つめなおして見るんですね。

この人の本当の姿。
この人の本当の魅力、価値、才能、可能性。
私達の今の状態。
ほんとうの二人の姿。

心理的な距離が近すぎると、彼の本当の姿が見えずに、思い込みや空想が強くなります。それは、目のすぐ前で雑誌を読もうとするようなもの。見えないですよね。
少し目から話さないと何が書いてあるのかも分からないと思います。

「あなたは本当は人の痛みがよく分かる優しい人でしょう?だから、そとで辛いことがいっぱいあっても我慢するしかなかったんだよね」

と分かってあげる(共感)と同時に、

「でも、そういうやり方は良くないの。あなたらしくないし、優しいあなたはもっと傷ついてしまうでしょう?それに、お互い辛くなると思わない?」

と叱ってあげることも大事なんです。「叱る」のは難しいのですが、価値を見て、才能を見て伝える勇気が「叱る」ということになります。

また、それでも難しい場合は「それは絶対にダメ!」と強くNoの反応を示すことが大切です。遠まわしなNoではなく、はっきりと「いや!」と伝えることです。

そして、また繰り返しになりますが、こういう問題は一人で抱えるのは絶対にしんどいので、色んな人に相談し、助けを請いながら、夫婦関係をいい方向に向かわせていただきたいな、と思うんです。

参考になりましたら幸いです。
ありがとうございました。

=今日のミニレッスン=

はっきりと「No」と言ってみる。

男と女の心理学

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