彼氏じゃない彼氏。



ラブ・カウンセリング

あなたと出会う人、それぞれに色々な役割があります。
お姉さんのように慕える職場の先輩、弟のように面倒を見たくなる友達、まるでやさしいおばあちゃんみたいな上司。

パートナーシップにもそうした役割が自然と生まれてくることもあります。
彼女なんだけど、お母さんみたいに思える場合もあれば、彼氏なんだけど上司のように感じることもあります。


あるケースでは、自分の彼氏に「理想のお母さん」を見ていた方がいました。
自分のことで精一杯で全然受け止めてもらえず、むしろ、私が面倒を見ていた幼少期を過ごしてきて、いつも心のどこかで理想のお母さんを探していた彼女。
出会ってお付き合いしている間に、年上でやさしい彼は彼女の話をちゃんと聞いてくれて、時には厳しく、時には温かくサポートしてくれて、いろいろと面倒を見てくれたんですね。
そうすると、いつしか、「彼氏なんだけど、お母さんに接する娘のような態度」を取るようになっていったんです。

不思議に思いませんか?彼氏なのに、女性であるお母さんを投影するなんて。
でも、最近やさしい男性が多いせいか、このパターン、けっこうあるんですよね。

ところが、頭では「彼氏」と思っていても、心理的には「お母さん」だとすれば、当然、性的な面で彼を受け入れられなくなっていきます。
頭では分かっているから、求められたらなるべく応えるようにするのだけど、でも、どんどん苦痛になっていきました。
やさしい彼にもそれが伝わって、自然とレスになってしまっていました。

そして、やがて別れが訪れます。
彼の方から、「他に好きな人ができた」と。
とても苦しそうに、罪悪感でいっぱいの顔で告げられました。
原因はもちろんレスだけじゃありません。彼はまるでお母さんのように彼女の面倒を見ることに疲れてしまったようです。

でも、彼女としては信じられないし、受け入れられません。
「だってあなたはずっと私と一緒でしょ?別れることなんてありえない!」と思ってしまいます。
だって、彼は「お母さん」なのだから、肉親である以上、縁が切れるなんてことはないわけです。
だから、感情的に全然受け入れることができません。

でも、彼の態度は頑なで、「君は僕を男としては受け入れていないよね。むしろ、自分の親のように僕のことを思ってるよね」と痛いところを突かれてしまえば何も言えません。
しぶしぶ同意したものの、感情的には「お母さんに振られた???」ということになりますから、なかなか受け入れられないわけです。

人ですから、彼氏を彼氏とだけ扱うこと、見ることって難しいんです。
また、恋愛って親からもらえなかったものを求めるところがありますから、彼女が彼に理想のお母さんを見たことも責められません。

ただ、知らず知らずのうちに「それだけ」になってしまうと、やはり彼はさびしいわけです。

彼は彼女に「女性」を求めてたのに、彼女は彼に「女性」を与えることができなくなってしまったとしたら、やはりそれが別れの原因・理由になってしまいます。

じゃあ、どうすればよかったのでしょうか?

「ちゃんと彼の気持ちを考えてあげること」

彼がどう感じているのか、どう思っているのか?を見てあげることなんですよね。
「お母さんに見たから振られた」わけではないんです。
「お母さんに見た結果、彼が寂しくなってしまった」、すなわち「寂しさ」が理由です。

だから、その寂しさを理解し、ケアしてあげることも大事なんです。

でも、それが当時の彼女には難しかったことも事実です。
彼女にとっては「お母さんからの愛情」は喉から手が出るほど欲しいものだったわけです。それを与えてくれる人がいたら、夢中になってしまうのも無理のないことです。
子供時代からの思いを満たそうと行動することも不自然なことではないですね。
だから、彼女が悪いわけではありません。
もちろん、彼が悪いわけでもありません。

今回の恋愛から失恋は、彼女にとってはその学びのためのステージだったのでしょう。
お母さんから欲しかった愛情をもらうことも大切なこの恋の目的でした。
だから、「卒業」の時期が来たのかもしれません。

とはいえ、一度「お母さん」に見てしまった思いを断ち切ることなんてできるのでしょうか?お母さんに捨てられたような傷を負っているのに。

まずは「彼をお母さんのように見ている」ということに気付くことですね。
それだけですーっと少し軽くなることが多いようです。

そして、カウンセリングでは、彼を手放すことは目標にしますが、やはり、その要因となったお母さんとの関係を見つめ直すことが大事ですね。
お母さんの愛情を求めているインナーチャイルドを癒すことも効果的ですし、自分が十分にお母さんを助けてきたことを受け取ることも大切なことです。

そうして、心のバランスを整えていくと、彼氏に「理想のお母さん」を求めることは少なくなっていきます。
そうすると、次なる恋ではこの経験を十分に生かして、より対等性の高い恋愛ができると思うのです。

参考になりましたら幸いです。


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