忘れられない“あの子”



ラブ・カウンセリング

失恋のご相談。なかなか元彼への執着が切れないケースにも色々あるのですが、今日はそのひとつのパターンをご紹介したいと思います。

私たちカウンセラーは、クライアントの言葉の使い方、言い回しなどにも注意を払ってみてるんですね。
例えば、「一応、付き合ってる人はいるんですけど」とおっしゃったら、『“一応”ってことは何か引っ掛かりがある関係なんだな・・・』とか、「ちょっと今うまく行ってなくて」とおっしゃったら、『女の子の“ちょっと”はそのままの意味じゃないよな。相当行き詰ってるってことなのかな』とか。

話し言葉ってその人の癖が出ちゃうんですよね。だから、話の内容とは別に「人の顔色伺ってんだな」とか「いつも頑張って突っ張って生きてきたんだな」とか、何となく分かるものでもあるんです。

ええ、何となくいやらしい仕事でしょ?(笑)
そうやって友だちがどんどんいなくなっていくんですっ!(涙) ←これは冗談。


さて、本題。女性の中に、彼やご主人のことを「あの子」と呼んじゃう人がいます。

年下の彼に特に多いわけですが、お互いの精神的なものから出てくる言葉なので、年齢はあまり関係ありません。年上の彼氏のことを「あの子」って言っちゃう人もいましたから。

「あの子」って敢えて強調すると分かり易いですよね。
なんか上から目線?恋人じゃなくて親子っぽくね?みたいに。

でも、お互いの関係性の中から自然と出てくるものなので、意外と本人って自覚してないんですよね。

だから、「彼のこと、“あの子”って呼んじゃってるんですか?」なんて指摘すると、「あっ!それって、なんか偉そうですよね」って改めて発見される方もいらっしゃいます。

要は、頼りなかったり、甘えん坊だったり、私がしっかりしなきゃだったり、あれこれ手がかかったりする彼であり、面倒見がよく、情が深く、ついつい放って置けないタイプの彼女なわけです。

そうすると、いわゆる“母性本能”で彼を見るようになります。
彼氏、なんだけど、息子(あるいは年の離れた弟)、のように見えてきます。

もし、母親的な目で彼を見ていたとしたら・・・親子なわけですから、離れることってありませんよね。仮に息子が独立したって息子は息子、母は母。
そうすると、彼が別れを切り出したときに「え?なんで?そんなことあるわけないじゃないの」と思ってしまうわけです。(これは“あの子”と明確に言ってなくても、心の中でそう思ってたら同じことですよね)

もちろん、頭では理解できます。二人は他人同士であって親子でも家族でもない、と。
でも、私たちの感情は、感じたことがすべてですから、「母と息子」のように感じてしまった時点で、心にとっては「二人は親子」が真実になってしまってるわけです。

だから、この失恋は、自分が思っている以上にダメージが多く、そして、後を引きます。
まるで親子の関係を引き裂かれるくらいの痛みもあれば、「そんなことあるはずがない」という理不尽さもあります。

何度も何度も彼を呼び出して“話し合い”という名の事情聴取及び説得工作を続ける方もいます。そんなことしていても、どんどん彼の心が離れていくだけって分かっているんだけど、止められないんですね。

さて、こういうケースの場合、頭と心を一致させるところから始める必要があります。
自分でも自分の心が分からなくなってしまってると思いますから。
そういうとき、つい私たちは、心を頭に合わせさせようとするんですが、なかなかむつかしいんですね。心の強大な力で反発されます。私たちの心は思っている以上にコントロール不能なものなんです。

だから、心に頭を合わせるんです。どういう風に彼を見てきたのか?彼をどう感じてきたのか?どうして彼が息子なのか?を感情的に見ていくんですね。ちょっと辛いけれど。
いわば、改めて、息子としての彼を受け入れるんです。

そうして心と頭がつながると、心にも「あれれ?」という違和感が芽生えます。「そっか、彼は彼氏であって、息子じゃないよな」と心も気付いてくれるわけですね。

そうすると、とてもスムーズに手放しの作業が進められます。
これはセカンドチャンスを狙う上でもとても大切なことですよね。

それに、彼を息子としてみてしまう方は、彼を応援したい気持ちってすごく強いんですね。それは「彼が幸せになるんだったら、他の女のところに行ってもいい!」と思ってしまうくらい強いものなんです。

そうすると、彼を応援する側に立っての手放しのプロセスは意外と早く進み、思ったよりも早く気持ちをすっきりさせていくことができるのです。

もちろん、言うのは簡単で行うはむつかしいのですが、頭も心もすっきり彼を手放せると、次の恋に向かう準備(それは彼との復縁も含めて)ができたといえるわけです。

母性が強いが故に招いた“あの子”との失恋。
次の恋では、より対等な関係を築いていきたいですね。


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