[31]相手の気持ちばかりを考えてしまうのはなぜ?



31回目を迎える「男女関係のなぜ?」。
今回を持ちまして、心理学ワークショップから頂いたネタは全て終了です。

やはり見やすくするためにカテゴリ分けをしてみました

あと少し、ご質問や「こんなテーマはどう?」というメールを頂いてますので、まだちょっとネタはあるんですけどね。
今後どうしていこうか?は、ちょっと考え中です。

継続希望の方が多ければ、またテーマを募集するなりして続けていこうかと思います。
こういう双方向的なコミュニケーションはやっぱりいいんですよねー。
僕もお題(質問)を頂いた方がありがたいんです。


* * *

ということで、記念すべき31回目(これはかつては掛布、今は濱中選手の背番号・・・(笑))は
「相手の気持ちばかり考えてしまうのはなぜ?(自分の気持ちも分からないけど)」
です。

昨日の「依存してしまうのはなぜ?」と似てくるところもあるかもしれませんね。
合わせて読んでみると良いかもしれません・・・(^^)

相手の気持ちを考えてしまうとしたら、どういう状況だと思われますか?
自信満々に生きてるときなのか、不安なときなのか?
おそらく、何らかの怖れや不安を感じてるときだと思うんですよね。

よくカウンセリングでも
「彼がどう思ってるのかが分からないです」
「彼の気持ちが分からないんです」
というご相談を頂きます。

そういうとき、僕はちょっと意地悪な顔をして、こうお聞きするんです。
「あなたは彼に対してどんなお気持ちでしょうか?」
って。

「好きですよ、もちろん!」って自信満々に答えられる方・・・実はあまり多くないようです。

相手の気持ちが分からない時ってのは、実は自分自身も自分の気持ちを見失ってしまっているときが多いんですね。

でも、そういう時は「自分の気持ちよりも、相手の気持ち」に目がいってしまうようです。
その状況は「相手の気持ちばかりを考えてしまう」状況なのではないでしょうか?

昨日、関係性は必ず「自立」と「依存」のどちらかの立場をとる、というお話をさせていただきました。
この「依存」の状態になると、相手に依存する、頼る状態になりますから、自分よりも相手の方に意識が偏ってしまいます。

依存状態というのは、いわば、相手にもたれかかってしまっている状態なわけですから、相手が倒れたら自分も倒れてしまうし、そもそも不安定な姿勢ですから、心も安定せずに、いつも不安や怖れを感じてしまうんですね。
その代表的なものが「嫌われるんじゃないか?」という恐れです。

そうすると、嫌われないように相手の気持ちや行動を細かくチェックするようになりますね。
そして、相手の気持ちに合わせて自分の行動を決めるようになってしまいます。

例えば、デートの日に「ああ、今日はちょっとお腹の調子が良くないし、ヘルシーなものが食べたいな」と思ってたとしましょう。

でも、そういう時に限って、彼は
「今日はなんか焼肉って気分やねん。ええやろ?」
ってあなたに言ってきたりします。

内心「えっ!?うそ。まずい・・・」と思うんですけど、断ったら嫌われると思ったら、できるだけ笑顔を作って
「焼肉?いいよねー。ちょうどあたしも食べたいと思ってたんだー」
なんて言ってしまったりします。

そこで焼肉屋さんに行くんですけど、あなたはお腹をさすりさすりビールで乾杯して、運ばれてくる焼肉を美味しそうに頬張らなければいけなくなります。

そのときも、彼に自分の体調不良がばれてないか?彼が気分を害してないか?というのは仔細にチェックしています。
彼を怒らせないように、彼に気を使わせないように、彼がご機嫌よくいられるように・・・。
そうして、いつも彼のことばかりを考えてしまうようになるんですね。。。

まあ、これはちょっと大げさな話に聞こえるかもしれませんが、依存的な立場になると色々なことを気遣ってしまうものです。

「今、電話したら機嫌悪くなるかな?」
「寂しいからメール打ちたいんだけど、ちょっと多すぎてウザがられるかな?」
なんてのもそんな依存心の表れです。

そういうときは私の中の寂しい気持ちは優先順位が低くなります。
「この前読んだ雑誌の“こんな女は嫌われる”って特集で、メールを頻繁に送ってくる女ってのはイヤだって書いてあったな・・・」
なんてことに気付いてしまったら、ますます私の寂しさは後回しです。

ここでは「嫌われる恐れ」を紹介しましたけれど、何らかの「恐れ」を抱いているとき、自分の気持ちは放っておいて、相手の気持ちばかりを考えるようになってしまうものです。

でも、こういう経験は誰しもが少なからずしているものなんですね。
それが子ども時代の親との関係なんです。

子どもは親がいなければ生きていけないように感じますよね。
だから、お母さんがちょっとでも視界から離れると子どもは大声で泣き出したりします。

大人になればそんな記憶は飛んでしまっているんですけど、少なくても思春期に入って親から自立しようとするまでは、そんな体験をみんながしているものなんですね。

でも、完璧な親がいないように、不安になって泣けばいつでも傍にお母さんが来てくれるわけじゃありませんよね。
そうすると、まるで自分が嫌われたように、見捨てられたように子ども達は感じます。
もちろん、その後でお母さんからフォローがあれば癒されるものも多いんですけど、お母さんが忙しかったり、お父さんとケンカしていたりすると、いつも自分の存在に不安を抱えるようになるんですね。

それが恋愛になると如実に出てくることが多いんです。
まあ、それくらい恋愛というのは心理的に近い距離を作り出すものなんですよね。

だから、自分が不安になったり、依存心が強くなってしまうな・・・という方は、子ども時代を振り返ってみて、親との関係がどうだったのかを見つめなおしてみるといいでしょう。

※多くの子供達にとって、親は二人しか知りませんから、それが標準値になります。だから、親とはどんな関係だったんでしょう?ってお聞きすると「いや、普通ですけど・・・」て答えられる方も多いんですけどね。

振り返ってみてもよく分からない場合は、子ども時代の家庭環境や親の性格などから予想(想像)することも可能です。

例えば、お父さんが仕事人間で家庭をあまり顧みない方だったとすると、お母さんはきっと寂しい思いを抱えます。
そうするとどうしても子どもに意識が向かい勝ちになりますから、過干渉・過保護な関係を作りやすいようです。

また、お母さんがとても感情的でヒステリックですと、子どもはそのお母さんに振り回される経験が多かったと思いますから、見た目はクールになりがちです。
自分の感情がよく分からなくなったりするようになることも多いです。

そんな風に「相手の気持ちばかり考えてしまう」背景には、不安や恐れの感情が隠れていることが多いですし、そのルーツは子ども時代(依存時代)まで遡ることが可能なケースが多いですね。

だから、カウンセラーとしては、そうした子ども時代の満たされない気持ちや我慢していたこと(寂しいけど寂しいと言えなかったら我慢せざるをえないですね)にフォーカスを当てて、その気持ちを解放していったり、あるいは、その頃のご両親を改めて見つめて許していったり、ということをよくします。
(その方法が様々なセラピーということになるんですね)

そうして、過去の痛みを解放、癒していってあげると、現在感じている不安や怖れを緩和していってあげることができます。

ま、実際は親との関係だけでなく、過去の恋愛が影響している場合も多いので、そうした面にも光を当てていきますけどね。

でも、最終的な目標としては、彼(女)との関係がうまく行けばいいわけですから、僕の場合は彼との現状を基本線に、必要ならば過去の恋愛や親子関係に踏み込む、って感じでアプローチを組み立ててます。

だから、親との関係を何とかしなきゃいけないんだ・・・なんて深く思い詰める必要もないと思います。

今のパートナーシップに重点を置くことは間違いないですし、親子関係を触らなくてもきちんと自分やパートナーと向き合うアプローチが取れたら問題解決に至るケースは多いものです。

相手の気持ちを考えられること自体は素晴らしいことなんです。
でも、それがあまりに強すぎて自分を見失ってしまうと、とてもしんどくなってしまいますね。
要はバランスなんですけど、そのバランス感覚はある程度試行錯誤していく必要もあるので、すぐにうまくいくのは難しいと思っています。

だから、まずは過去を振り返りつつ、そして、今の自分を見つめつつ、進めていけるのがベストではないかと思います。

相手の気持ちばかり考えてるよなあ・・・って気付いたときは、「まずは自分」という意識で、自分自身の気持ちを見つめてみましょう。
すぐに分からなくてもいいですから、続けることが大事ですよ。

それでは多少なりともお役に立てば嬉しいです。


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