バツイチ彼氏の「娘」に嫉妬する問題



離婚歴のある彼氏が残してきた娘を溺愛しており、その娘を優先するからムカつく(嫉妬する)、というテーマは該当される方にとってはかなりややこしい問題になるものですよね。
愛情と罪悪感からなる娘への思いと喧嘩しちゃうと自分が負けるだけですから、そこは切り分けることが必要なのですが様々な事情からそれが難しくなっちゃうのです。

根本先生、ブログのネタでもたくさん取り上げていただきいつもありがとうございます。
身につまされるお言葉や傷に塩を擦り込まれるお言葉、全て愛と受け取っています。
相変わらずエネルギー過多の自立系武闘派女子ではありますが、最近嬉しい出来事が立て続けにあった反面、新たな悩みも出てきたので、ご報告と悩み相談をさせてください。
自身で経営してる会社では、8年ほど悩みの種だったお金に杜撰なパワハラクズクライアントとの縁を切り、ハードワークと無縁になったと同時に売り上げもアップ、そしてスタッフにもたくさん甘えられるようになりました!
時間も気持ちも経済的にも余裕ができたと同時に素敵な異性との出会いがあり、とんとん拍子で出会って1週間でお付き合いが決まりました!彼の実家にも遊びに行く間柄になったり、私の家族にも会ってくれたり、あまりのBPMの速さに自分が驚いています。
自分も彼もバツイチですが、彼には親権が元奥さんの娘さんがいて、養育費もたらふく払って毎月娘さんとの面会を生き甲斐に生きています。
そんな彼の父親としての優しさにも惹かれていますが、以前から「今は結婚願望もないし、子供も欲しいと思ってない」と言っていて「娘に、父親に彼女ができたと知られて悲しませるのが辛い」(自惚れすぎじゃね?と突っ込みそうになりますがそこは我慢)と言い出すことがあり、不倫をしてるわけじゃないのにまるで不倫しているような罪悪感に駆られます、、
私自身も結婚という形式にこだわっていなくて、年齢的にも出産は難しいと考えていますが(周囲で40歳オーバーでの初産が多く、うっすら希望も湧いてしまうのも悩み、、)
いずれは彼と一緒に暮らしたいという願望があります。彼の一連の発言からすると、一緒に暮らすことすらこの先無理なのかなと悲しくなり、いつか同棲したいなんてとても自分から言えません。。
子供を持ちたいと考えたことが今まで一度もない私ですが、彼との間に子供ができたら、結婚できていたら幸せだったのかなーと想像することすらあり、元奥さんや娘さんに嫉妬心が湧いてしまうこともあり、そんな自分が辛いです、、
読者の皆さまでも子持ち彼氏とお付き合いをされて悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。どうか先生、ご一喝お願いいたします、、!!!
(Sさん)

例によってツッコミどころが満載のネタをありがとうございます。

「娘を最優先する彼氏問題」というのはお察しの通りけっこうあるあるな問題であり、「そりゃ娘なんだから当然なんだし、その娘に嫉妬している自分も情けないと思うのだけど、けど、やっぱりイヤなんすよね」というご相談も多く、本日はネタにさせていただこうと思う次第です。

その前に、

>自身で経営してる会社では、8年ほど悩みの種だったお金に杜撰なパワハラクズクライアントとの縁を切り、ハードワークと無縁になったと同時に売り上げもアップ、そしてスタッフにもたくさん甘えられるようになりました!

まずはおめでとうございます!素晴らしい!

「ハードワークを手放せたら売上アップした。なんで?」というご報告も各方面から頂いておりまして、まことに不思議な世界でございますよね。

しかも、スタッフとの関係も良好になるなんて最高じゃないですかー!

さらに、

>時間も気持ちも経済的にも余裕ができたと同時に素敵な異性との出会いがあり、とんとん拍子で出会って1週間でお付き合いが決まりました!

おめでとうございますー!!
素晴らしい!

しかし、特に突撃部隊に所属されてる自武女のみなさまは展開が非常に早いものですね・・・いつも驚かされます。

やはり経営判断で鍛えられた者同士だからでしょうか?
会って1週間でお付き合いが決まる/出会って1か月で婚約する、という話もたいへん多いものでして、前月のカウンセリングでは「男なんてどこにおるねん。もうあたしはひとりで老後を迎えるしかないの?やだー」と机に突っ伏していた彼女がニコニコしながらセッションルームに現れ、「見つけましたよー!捕まえましたよー!うふふふふ」と惚気話を展開することにも慣れっこになってきました。

まずは、おめでとうございます。

とはいえ、そこは叩けば埃しか出ない自武女のみなさまですから、すんなりそれで収まればいいのですけどやっぱり「問題」というのが出てくるんですよねー。

ということで本題に入りたいと思います。(姿勢を正して)

さて、3,40代以上の恋愛ともなりますと相手にバツの1つや2つが付いていても何ら不思議ではなく、かつ、相手に「娘」という最大級のライバルがすでに存在していることも珍しいことではありません。

「元妻のことはいいけれど、娘は宝物だ」と豪語する彼も多いと思いますし、その娘を人質に取られているかのように養育費、教育費、生活費、お小遣いを身代金かの如く支払っている彼に「は?」と感じる彼女も多いと聞いております。

ちなみに筆者もハタチになる娘がおりますが、読者のみなさまから巻き上げたカウンセリング料・セミナー受講料等を請求されるがままに娘に渡しており、立派なATMとしての職務を果たしておりますので、Sさんの彼氏の気持ちが分からなくもありません。(なお、娘のみならず息子、妻への支払いにも躊躇はございませんので、その点にもご留意いただければ幸いです。)

さて、

>自分も彼もバツイチですが、彼には親権が元奥さんの娘さんがいて、養育費もたらふく払って毎月娘さんとの面会を生き甲斐に生きています。

この「娘との面会を生きがいにしている」という話もカウンセリングのみならず、飲み屋のカウンター席でも耳するほどのメジャーなネタでございまして、やはり父の娘に対する思いの深さ、そして、重さ、ウザさに感動される方も多いのではないでしょうか。

彼らからしますとまさに「面会」でして、愛情のみならず、離婚してしまったことへの膨大なる罪悪感から自らを牢屋に入れてしまっている状態と見て間違いはないのですよね。

つまり、彼がたらふく支払っている養育費は愛情に、罪悪感分を上乗せした額となるわけで、中にはその支払いがゆえに「お前は新入社員か!」とツッコミたくなるような額で生活している彼氏もいるくらいです。

そうなりますと、

>「娘に、父親に彼女ができたと知られて悲しませるのが辛い」(自惚れすぎじゃね?と突っ込みそうになりますがそこは我慢)と言い出すことがあり、不倫をしてるわけじゃないのにまるで不倫しているような罪悪感に駆られます、、

という風に、彼女であるSさんも罪悪感を抱いてしまうようになるわけでして、罪悪感って怖いね!そんな風に伝染していくんだね!という話なのです。

形式上は不倫ではないのですけれど、ここで起きていることは「大好きな彼氏には大好きな娘がいる」ということで、そう、まるで「妻から彼を奪っている」不倫同様、「娘から彼を奪っている」かのように思えてしまうものです。

そして、ここが最大の問題なのですが、「あたしより娘さんの方が圧倒的に愛されてる!」という理不尽極まりない状況が葛藤を呼ぶのですよね。

つまり「あたしはあなたの一番じゃない!なんであたしを一番にしてくれないの!!」という不満なのです。

ここでは「娘」が「恋敵」になるわけですが、薄々「決して勝てない相手」と分かっているだけにその葛藤はいや増すのです。

しかも、それを彼に言えば「は?娘と彼女とは別もんだろ?比較する方がおかしいだろ?」と一蹴されるに決まっていますし、そんなことは自分だって百も承知なわけで、娘に対して嫉妬している自分が情けなくもあり、頭では十分理解しているものの、彼氏の気持ちを独り占めしたい自分からすれば、彼の心の大半を占めている娘という存在が許せなくなるのも正直なところですよね。

で、さらに問題は複雑化します。

なぜならば自分自身も娘だからです。

彼氏の娘に、かつての自分を投影するのです。

「いいなあ、あんなにもパパに愛されて。あたしのパパはあんなにもあたしを愛してくれなかった。」

「あたしのパパもあんな風にあたしを愛してくれてたのかなあ?かわいがってくれてはいたけど、あんなストレートな愛情じゃなかったんだよな。」

さらには、こんな心理も生まれてきます。

「何もせずに娘というだけでこんなにも愛されるなんて羨ましい。あたしなんて苦労に苦労を重ねてようやく彼の愛を手に入れたのに。」

つまり、「彼女として娘に嫉妬し、娘として娘に嫉妬し、女として娘に嫉妬する」という何層にも重なった感情で彼の娘が見えてしまうのです。

理屈ではおかしいって分かってます。
自分と娘は別物ってのもそりゃ理解しています。

でも、感情が納得しないわけですね。

また、Sさんのケースからは少しそれますが「あたしにも娘や息子がいたら彼の気持ちがもっと理解できるのかなあ?」なんて考える人もいます。

が、まあ、実際のところはそこは父としての愛情と母としての愛情の違いもあるものですから、親としての彼の気持ちは多少理解できるものの、結局女としての自分から見ればさほど違いはありません。

逆に、親としての気持ちが分かる分だけ「ちょっと娘を甘やかしすぎじゃない?」なんて意見も出てきたりするものです。

とはいえ、「まあ、あたしにも娘がいて、元夫の態度を見れば彼の態度も理解できんことはない。あたしだって娘をダシに元夫からお金もらってるしね」という意味で納得はしやすいですけどね。

また、こうしたケースでは「娘のいる彼(と元妻)と、子どものいない自分」との間で劣等感なり葛藤なりが生まれてくることもあります。

「子どもがいる親の気持ちが分からない」という点で自己嫌悪してみたり、「もし自分が子どもを産んでいたら違う気持ちなのかな?」と妄想してみたりして、さらに問題が迷宮入りしていく可能性もあります。

中には「女として彼の元妻より劣っているような気がする」という理由で自分を責める方もいらっしゃいまして、ここはほんと繊細な問題なのですけれど、心理学的には「子どもを産む必要がなかったから産まなかっただけなんじゃない?あんまり深く考えなくてもいいよ。他にやってきたこともあるもんだしね」という見方をするものです。

彼にとって娘が一番で、あたしが二番、というのが不倫しているような感覚にさせるわけですが、これを深掘りすると「エレクトラ・コンプレックス」という問題にぶち当たることがあります。

そもそも私たちは生まれた瞬間から「三角関係」を体験します。

父と母とあたし、という三角関係ですね。

父のことが大好きなんだけど、そこには母というライバルがいて、母と競争して父を取り合う心理が生まれるのです。

息子の場合はエディプス・コンプレックスと名を変えますが、父と争って母を奪い合う心理です。

その三角関係が強く影響していると大人になってからも三角関係にハマりやすくなるもので、それゆえ、このパターンを持っている方には「父、母との関係はどうだった?」という点を詳しく掘り下げてお話を伺うものです。

母との競争の結果、敗北して父を母に取られている状況だと、それは「エレクトラの敗者」というふうに言いまして無価値感が強くなります。

一方、母との競争に勝利して父を手に入れますと「エレクトラの勝者」となり、母から父を奪ってしまった罪悪感が強くなるものです。

日本ではこのエディプス/エレクトラ・コンプレックスの影響はあまり強くないと筆者は考えているのですが、とはいえ、「圧倒的勝利」「圧倒的敗北」を喫した方がこの三角関係の罠にハマりやすくなるのは事実です。

となると、Sさんと、そのご両親との関係はどうだったっけ?という話になっていくのですね。

カウンセラーとしては今の恋愛も、その影響を強く受けている可能性があるから、まずは根っこを断とう!という戦略を考えるのです。

まあ、それは具体的にあれこれ聞いてみなきゃわかんないのでさておくとして、これからのSさんはどういう心持ちでやっていけばいいのかを考えてみましょう。

結論から言えば「自分軸」ってやつですな。

あたしはあたし、娘は娘、彼は彼、元妻は元妻。

そこにきっちり線引きをしたいものです。

ここに「娘として」「元妻として」という葛藤が入ってくるのであれば、それは別個に扱うべき問題でして、カウンセリングを受けるなどして「やはり父との関係を癒しておきたいと思いまして」と神妙にしておくのが良いと思います。

まあ、私の経験から言いますと、彼の娘への嫉妬というのは、自分が娘時代に愛されてないと感じた分だけ大きくなるものですので、実父との関係を見つめ直すってことは改めてテーマになると思います。

また、もうひとつは「女として」という部分がやはり重要でして、「娘と自分を同格に扱ってしまうということは、自分の中にまだ“娘心”があるってこと?」という視点を持つことです。

つまり、自分の意識していないところで「彼の娘になろうとしている」という心理が隠れているのかもしれないのです。

つまり、「彼の娘が彼からこんなにも愛されてるんだから、あたしも彼の娘になりたい」という“競争心”が生まれてきているわけです。

でも、それって自分を大人の女子として扱ってないってことよね?自分を子ども返りさせようとしてるってことだよね?というのがポイントなのです。

つまり、無意識に彼の娘になろうとするから、娘と競争してしまう(嫉妬してしまう)わけですから、ここはやはり「大人女子としての自信を深めようぜ!」というテーマを持つのがふさわしいのです。

とはいえ、これらの心理は誰もが多少なりとも持っているものです。

娘として完璧に愛されたなんて経験を持つ人はいないですし、彼の娘になって彼に思い切り甘えたい/面倒見られたいという欲求だって自然なものでしょう。

ただ、それだと彼との関係が「パートナー」ではなく「父娘」になってしまうわけですから、今後の彼との関係には暗雲を漂わせることになりますね。

対等性を自ら崩してるってことになりますから。

だから自分の娘時代を振り返って気持ちを整理すると同時に、大人女子として彼と対等に向き合える自分になっておくことが目指す先ってことになるのです。

大雑把に言ってしまえば、自分の中にある娘の部分を彼に満たしてもらおうと思わないこと。それは自分の問題として、カウンセリングなどを使いながら自分で癒していく、自分で満たしていく、ということ。

具体的には父からの愛情を受け取っておくことであり、また、父代わりになってくれた方々(先生とか上司とか親戚のおじさんとか)からの愛情もちゃんと受け取っておくことであり、自分が娘として十分父を助けたし、父に与えてきたということを受け入れることです。

そして、彼氏との関係においては「大人同士の対等な関係性」を意識すべく、大人の女を与え、彼の愛を受け取る、というプロセスを大事にしていきます。

つまり、別々に問題を捉えて扱う意識が大事だぞ、つい一緒くたにしてしまうからな!という話です。

典型的自立系武闘派女子であられるSさんはたぶん女を与えるという点においてはぬかりなく遂行されているかと思いますが、どれくらい彼からの愛を受け取れているか?という点においてはどうでしょうか。

娘という邪魔な存在がある以上、素直にその愛を受け取れるでしょうか?

さて、少し掘り下げるというか、SさんだけどドMでしょうからドキッとするような質問を投げてみましょうか。

「娘にライバル心を燃やして嫉妬することで、しなくても良いことって何?」
「娘にライバル心を燃やして嫉妬することで、逆に、できることって何?」

つまり、そこに何か目的があるんじゃないかな?という見方です。

例えば「彼との幸せにコミットしなくてもいい!」という大きなものもあれば、「自分も娘みたいに愛してもらえる」という戦略もあるかもしれないし、「彼とうまくいかなくなっても言い訳ができる」と防衛的な心理もあるかもしれないし、「嫉妬することで愛させないようにしている」とか「娘の存在を使って逆に自分を優位なポジションに置こうとしている」みたいな心理もあるでしょう。

Sさん、そして同志のみなさんはいかがでしょうか?

もし、その質問に何らかの答えが見つかったならば、そこにチャレンジしたり、それを手放したりすることが今できることかもしれません。

娘をダシにすれば「思い切り愛さなくていい」ですもんね?笑

てことは「もっと思い切り愛せ!」ということですよね。

いやー、怖いですよねー、そんなこと。笑

ということで、まとめるなら「自分軸」で「娘としての自分を改めて見つめ直しつつ、彼からの愛情を受け取る」という方向性じゃねえかな?と思う次第です。

ちなみに、

>いずれは彼と一緒に暮らしたいという願望があります。彼の一連の発言からすると、一緒に暮らすことすらこの先無理なのかなと悲しくなり、いつか同棲したいなんてとても自分から言えません。。

という風に彼の発言に振り回されてしまう女子からの相談も多いのですが、「自立男は言葉半分で聞け!」という鉄則を思い出していただければ幸いです。

まあ、そういう風に言うてるけどいつ変わるか分からんしねー、という感じで受け止めておかれるのが正しいマナーです。

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