親の束縛~行動からは逃げられても考え方を取り去るのが難しい~



行動に対しては反発、反論できても、その背景にある考え方や感じ方には影響が強く残っていて、今度はそれに縛られて続けることが良くあります。
「自分」に意識を向けることがまずは第一歩です。

親子間の癒着(共依存)の問題を良く扱います。
親が干渉してくると子供は自分の選択範囲を狭めるようになり、やがては自分で物事を決められなくなることもあります。
自分に自信が持てず、自己肯定感もとても低い状態になります。

そういう環境にいるととても苦しいので、例えば思春期くらいには家を早く出たい、独立したい、と思うようになり、手に職を付けようかと考えたり、はたまたできるだけ家から遠い大学に進学して親の束縛から離れようとしたりします。


高校くらいになると親が「ああしなさい、こうしなさい」と言って来てもある程度無視できるようになりますし、反発だって可能になっていきます。

そんなテーマのお話を私のブログではちょくちょくさせて頂いてると思います。
今回はある方をカウンセリングしていたときに気付いたことをシェアさせて頂こうかと。

親の「ああしなさい」に「嫌だ」と反発したり、「それは違うと思う」と反論したり、あるいはスルーしたり、行動を示すことはできるようになります。

しかし、その背景にある考え方まで変えるのはなかなか難しいようです。

例えば、Aさんにはそんな過干渉の親御さんがいました。あれこれ行動は支配して来るし、思い通りにならないとすごく怒られます。
Aさんの親は常々「きちんとしなさい、真面目に生きなさい、何事も頑張りなさい、人様に迷惑をかけてはいけない、恥をかくような行動はいけない」などの考えを押し付けて来ました。
宿題を怠けているとすごく怒られます。「なんで勉強しないの!そんなことじゃ周りの人に笑われるでしょ?そんな頑張らない子はダメになっちゃうよ」という風に。

そうすると例えば、「勉強しなさい」と言われても反発はできます。「後からやるよ」「今、やろうと思ってたのに!」とか。

でも、その背景にある考え方、「勉強しないと周りの人に笑われる。頑張らない自分は幸せになれない」という思いまで「反発」できるでしょうか?

そうした考え方はある意味「正論」とも言えるので、「確かにそうだ」と納得して受け入れてしまうのです。

そう言えば、あるお母さんが自分の親に散々反発していたのに、自分の子どもを叱るときは親とまったく同じ言い方をしてることに気付いてすごくショックだった、という話をしてくれました。

無意識的にたくさん刷り込まれてしまっているんですね。

過干渉な親子関係(癒着関係)はその行動的支配だけでなく、感情的、思考的支配も当然起こります。
そうすると、目に見える行動は変えることができても、刷り込まれている感情や思考には気付かないことの方が多いんですね。

だから、Aさんは“無意識的に”次のようなセルフイメージや問題を持つようになるんです。

・きちんとしなきゃいけない→自分はだらしない
・真面目に生きなければならない→この年で独身って何か問題があるんじゃないか?
・何事も頑張らなければならない→自分は怠け者で全然頑張っていない。
・人様に迷惑をかけてはいけない、恥をかくような行動はいけない→枠をはみ出せない生き方になってしまっている

もちろん、全員が親の影響を受けるわけですが、過干渉な親のもとで育つと、知らず知らずのうちにそんな価値観に縛られてしまうのです。

子ども時代って親の言うことって絶対だったでしょう?
だから、「真面目に生きなきゃ」という親の思いを引き継ぐので「真面目に生きられていない私で申し訳ない」という罪悪感を持ってしまうのです。

また、「人様に迷惑をかけてはいけない」という思いに縛られて、何かと自由を奪われてしまうことも少なくないですよね。大人になって自分らしく生きるには多少の迷惑をかけるつもりの方がいい、と頭で理解しても長年染み付いたその習慣からなかなか抜け出せず、窮屈な思いはするわ、自己嫌悪するわでしんどいのです。

そうすると、改めて自分自身の中に息づく親の影響を見て行くわけですが、その際、大事なのは「自分」。

自分はどうしたいのか?

まずはそれを取り戻していきましょう。
この質問を投げかけるくらいですから「分からない」という答えは想定済みです。
分からない、と思うと思考を切ってしまいますよね。
だから、「どうしたいのか?」て自分に問いかけ続けてください。

 自分が好きなものは何だろう?
 子どもの頃、ワクワクしたことって何だろう?
 夢中になったことって何だっただろう?
 将来どんな自分になりたいだろうか?

 もし、羽目を外したら自分はどうなってしまうのだろうか?
 もし、自由になるとしたら何をしたいだろうか?
 もし、好きに生きられるとしたら何をしたいだろうか?
 もし、今の仕事を手放せたら何がしたいだろうか?

そういう視点で自分に問いかけをしていくと、自分自身のワクワクの源泉が見つかるようになります。
ポイントはすぐに答えを求めずに、むしろ1,2か月ずーっと頭の隅に入れて「何だろうなあ~」って問い続けるのがいいでしょう。

もちろん、本質的には親子関係を改めて見つめ直すことをいつもお勧めしています。
先日あるクライアントさんが嬉しい報告をしてくれたんです。

「自分のことを見つめて行くうちに、お母さんの気持ちや考え方がすーっと腑に落ちたんです。ああいう時代にああいう環境で育ったお母さんはそういう風になるしかなかったんだな、と。そしたら、今まであったわだかまりが溶けてすごく体が楽になったんです。」

親子関係を見つめ直すポイントは次のような感じです。
・親に対して今自分が持っている感情は何か?
・親に言いたいこと、伝えたいこと、分かって欲しいことは何か?
・親はどうしてそのような考え方をするようになったのか?
・親はどうして自分にその考え方を押し付けようとしたのか?
・親にとっての幸せや愛はどのようなものなのか?

そんな視点を持つと、そのクライアントさんのような「スーッと腑に落ちる」体験がきっとできると思います。

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