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自分が良かれと思うことをつい人に言ってしまい、それが自分の価値観の押し付けになってしまってることってありませんか?
まずは「理解」することから始めないと、相手のためにはならないんですよね。
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デキる人の落とし穴の一つに知らないうちに自分の価値観を押し付けて、相手の領域を犯してしまってる、なんてことが良くあります。
「良かれ」と思っているし、「正しい」ことだし、「今のうちに」「早いうちに」学んでおいた方がいいと思って・・・みたいな“正当化”がそこに入ります。
子育てや部下の教育、人間関係にも当てはまります。
「今のうちにちゃんと英語を習っておいた方がいいと思うんですよ。でも、うちの子は全然身が入らないみたいで」
「ちゃんと若いうちにこういうことを経験しておいた方がいいと思うんです。彼の将来のために」
そういう大義名分に則った“押し付け”になってしまいます。
私たちカウンセラーもよくハマりやすい罠の一つです。
「執着、手放した方が絶対いいですよ」
「今の彼、どうかな・・。あまりお勧めはできないかな」
とかね。
「なぜ、そうなのか?」が理解できないと、自分の価値観を押し付けることになるんです。
相手には相手の価値観や計画や考えや予定があります。
また、準備も必要です。
そこを「良かれ」と思ってやっていると、まるで自分は正義の見方、いい上司、いい親、素晴らしいカウンセラーのような気がしてしまうんです。
だから、この際の押しは強いです。
有無を言わせません。
また、正論なので、相手も反論できないことが多いです。
でも、それが相手の無力感、自己嫌悪、罪悪感、自信のなさ、無価値感を助長してしまっていることに気付かないのです。
以前、とてもよく仕事のできる方がこんな相談をしてくれました。
「私、上司からの評価はSランクなんです。でも、部下からの評価は最低のEランクで、上司がそれを見てびっくりしてました。『君、これはまずいよ。でも、そんな風には私からは全然見えないんだけど、思い当たるところはあるのかい?』って言われました。」
仕事ができるが故に、その思いを部下に押し付けていたみたいです。
実際、彼は部下に対する態度はとても厳しく、高いノルマを設定していたのです。
もちろんそれは「部下のためを思って」のことです。
「若いときは少々でも苦労をしておいた方がいいと思って、厳しい現場を担当させたんですが、それで彼はすっかり自信を無くしてしまったようです」
「自分は、同じ頃、もっと厳しい現場にいたんですが、そこでもがいて何とか這い上がって来たので、その部下にも有効だと思ったのですが。」
そんな話もしてくれました。
特にデキる人は「自分なりの成功法則」を持っています。
それをちゃんと承認していればいいのですが、そうでない分だけ、それが成長のためのいい方法と思って相手に押し付けてしまうんですね。
それがその人に合うかどうかは分からないのだけど。
また、「○○はこうあるべき」というルールを持っている人にも同じことが言えます。
「あの社長、2代目だから苦労が足りないんだよね。もっと現場に出て、従業員と同じ目線で仕事をしたことがないから、あんな無茶をするんだよ」
という愚痴もまた、同じことが言えます。
2代目社長の背景をどれくらい知ってか知らずかで。
私、基本、自宅では玄米菜食主義です。
それがいいと思ってやっているので、つい、それを人に勧めたくなったことがあります。
肉は良くないよ・・・
牛乳も良くないよ・・・
砂糖だって・・・
そんな話を押し付けちゃうときもあるんですよね。
でも、それは私の勝手な都合なわけです。
辛い恋をしている人にはそれなりの事情があり、
仕事がうまく行かない人にもそれなりの背景があり、
怒りっぽい人にも、自信が無い人にも、それなりの理由があります。
できないならばできない事情があってそれを理解した上でなければ、アドバイスなんてほんと逆効果になってしまうんです。
つまり、そこを理解せずに自分の価値観を押し付けてしまうと、それは有難迷惑にはなれど、全然相手のためにならないのですね。
長年そういう体験をしてきたので、いつしか、聞かれたこと以外はあまり答えないようにしています。
「どうしたらいいんですか?」という質問が来て初めて自分の思いを伝えるようにしています。
もちろん、つい、言っちゃうこともあるんですね。特に酒が入った時などは!(汗)
まだまだ修行が足りません(笑)
ついつい、自己顕示欲が顔を覗かせます。
そういう風になったのは、私が尊敬するお医者さんや治療師、コンサル、コーチ、占い師、友人、仲間・・・皆さんがそうだったから、というのもあります。
・・・いや、正しくは、そういう方々に出会い、彼らの素晴らしさ、奥深さに触れて、ハタと気付き、それで尊敬するようになったのです。
「私はこうだと思うんですけどね」
「私ならこうしますけど」
「こういう考え方もありますよね」
「こんな方法もありますよ」
できるだけ「提案」と分かって頂けるように伝えたいなと思っています。
・・・などと書いてきて、これもまた「押し付け」になってしまうのかもな、と苦笑いしながら「公開」ボタンを押してしまうわけですけれど(笑)