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ここを直したいな!と思ってもなかなかできないことってありますよね。
変化までのプロセスは最初「無意識的にやってしまう」ということに気付くことから始まり、「意識するけどやってしまう」「意識してやらなくなる」を経て、「無意識的にやらなくなる」へと至るのです。
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そもそも直さなければいけないのか?という点はさておいて、
「ついきついことを言ってしまうので、そんな癖を直したい」
「いざとなるとビビッてしまって逃げてしまうので、ちゃんと向き合えるようになりたい」
「好きな人にはつい冷たくしてしまうので、そんなんじゃ恋ができないから変わりたい」
「時間を守れずに遅刻ばかりしてしまうので、そこを修正したい」
カウンセラーとしてそんな依頼をよく頂きます。
そうしたお話に対し、私は「どうしたらきついことを言わなくても済むか?」というやり方を伝えることはまずありません。
それは表面的な対症療法になってしまうからで、効果は長続きしないからです。
(だから、「今週末を何とか乗り切るための方法を教えて」と言われたら、なんぞ提案しますけど)
まずは「どうしてきついことを言ってしまうのだろう?」というところから、その大元を探していきます。
だって「きついことを言いたくないのに言ってしまう」ということは、潜在意識の中に
そのヒントが隠れてるはずですからね。
(この潜在意識については、5/29より始まる心理学講座4回シリーズを楽しみになさってください。)
その時、私の経験が「可能性として一番高いのは、人に対する潜在的な怖れがあり、その怖れを防衛するために人に対してきつい言葉を選ぶのだろう。その怖れは心の傷がもたらすものだから、きっと幼少期からの親子関係、特に、お母さんとの関係の中で色々と葛藤があったんじゃないだろうか?」と囁いて来るのですが、そうした可能性を鑑みつつ、実際どうだったのか?を質問していきます。
過去の人間関係は?
子ども時代の家族の状態は?
お父さん、お母さんとの関係は?
そして、心の傷のありかを見付けて、それを癒すべくセラピーを作っていきます。
もちろん、私の予想が当たることもあれば、「お母さんじゃなくて、お姉ちゃんだったか!」というケースもたくさんありますけれど。
そう書くと、なんか、かっこいいことをしているように見えるでしょう?(笑)
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さて、そんな風に表面的ではなく、その背景を探っていって問題の根っこにある心を解放することが目的なのですが、では、そうしたアプローチの中で現実はどう変わっていくのでしょう?
「半ば無意識にきついことを言ってしまう」人が「気が付けばきついことを言わなくなった」という風に急に変わることってあまりありません。(無いとも言い切れないんですけどね)
「無意識にきついこと言う」の次、それは、
→「分かってるんだけど、きついことを言ってしまう」
という段階です。
ここは葛藤します。めっちゃします。だって分かってるのにやめられないわけですから。
言っちゃったあとに「あちゃー、またやってしまった!」って自己嫌悪します。
だから、そこでは「ただまたやってしまった!」って気付くだけで100点満点です、とお伝えします。
それでも変わりたい気持ちが強い分だけ嫌悪感を持ってしまうんですけどね。
さて、そういう段階において、時々、
→「きついことを言いそうになったけど、踏みとどまれた」
という経験ができるようになります。
これはすごい喜びであり、自信になります。しかし、
→「でも、またついきついことを言ってしまった。前は踏みとどまっただけにショックでかい!」
という経験も出てきます。
これはまたまた葛藤です。
一度できたことができないって、また自己嫌悪の餌食です。
でも、それもOKです。そんな自分を責めないでね、という風に言います。
ただ、こうして意識してストップできるようになれば、だいぶ、心はほぐれてるので、少しずつ
→「きついことを言いそうになったけど、言い方を変えられた」
という体験ができるようになります。
ゼロを1にするのは時間かかるけど、1を2にするのは比較的易しいんですよね。
そうして自信を積み重ねていくと、だんだん気にならなくなり、
→「きついことを言いたくなるんだろうな、という雰囲気が分かるようになった」
となっていきます。
この時点でほぼ当初の願いは叶っています。
そして、やがては
→「最近きついこと言わなくなったね、って人にも言われるようになった」
となり、最終的には
→「そういえば、前はけっこうきついこと人に言ってたな。最近も時々出ちゃうことはあるけど、だいぶ楽になったな」
と気付けるようになります。
これは無意識的に「きついことを言わない」という行動ができるようになった証拠です。
そんな風に私たちの癖が直っていくには
1.無意識的にやってしまう。
2.意識するけどやってしまう。
3.意識してやらなくなる。
4.無意識的にやらなくなる。
という段階を経るのです。
焦らず気長に行きましょうね、というのはそんな風な段階を見ているからなのです。
参考になりましたら幸いです。