遠くの人とはうまく付き合えるけど・・・。(心の距離と幼少期のトラウマの関係)



明るくてハキハキしていて信頼できる人。
フレンドリーで初対面でも笑顔で話ができる人。
紳士的な態度で物腰も柔らかく接してくれる人。

どの人もとても好感が持てる人物です。
きっと周りからの信頼も厚いでしょう。

しかし、そんな彼らが口を揃えて言うんです。
「人と親密になることが苦手」
「近い存在になるとついきついことばかり言ってしまう」
「距離が近づくと離れたくなる」
「近い人にはすごく依存的になってしまう」


え?そうなの?そんな風には見られないでしょう?と聞くと、「ええ、たぶん、周りの人は気付かないと思います」との答え。

とすると、お母さんやお父さんとの間に何かがあったのかな?などと勘繰ってしまうのです。

曰く、「母親に何でも否定された」「父親が家で暴れていてすごく怖かった」「家族全員がよそよそしい感じだった」などの答えが返ってきます。

私たちはお母さんから生まれるので、お母さんが一番近く、影響を受けます。
次いで、お父さん、きょうだいの順で心の距離は離れて行きます。
同僚や知人レベルになるとだいぶ離れますね。

ココロの距離感

近い距離で傷つき、痛みがあると、誰か別の人(典型的にはパートナー)と同じ距離になったときに、かつての痛みがぶり返してしまうのです。

お母さんに否定されて傷ついた経験があり、まだ、その傷が癒されずに残っていると、パートナーが出来て、心理的に距離が縮まると、なぜか「その人が私のことを否定するのではないか?」と感じて落ち着かなくなります。
そして、何かしら壁を作り、距離を空けようとしたりしますし、それでも近づかれたら、暴れてしまったりします。攻撃は最大の防御、を体現するかのように。

特にパートナーは最も近い距離に位置することができる関係性なので、夫婦や恋愛のカウンセリングでこの問題が出てくることが多いですね。
(あとは友達はできるけど、親密になれない、などのご相談も多いです)

「パートナーともっと親密になりたいけれど、なぜか、距離が近づくのが怖い」
「いつも関係が親密になると壊れてしまう」
「距離が近づくことが怖い」

パートナーにお母さんやお父さんを投影しているのです。
もちろん、無意識に、ですよ。

だから、パートナーと向き合うセッションをしていくと、なぜか、「お父さんとの間で感じていた感情」が出てきたり、「お母さんに対して感じていたのと同じ感情」が出てきたりするのです。

とすれば、パートナーに対する感情は実は幼少期に自分が両親との間で感じていた感情となるわけですから、その子ども時代の痛みを癒す、というのが王道です。
心の中で当時のお母さんやお父さんと向き合い、その頃感じていた感情(恐怖、不安、怒り、寂しさ、罪悪感、無力感、悲しみ、惨めさ等々)を手放して行きます。
よく話題に出てくるインナーチャイルドセラピーが典型的ですね。

もし、あなたも同じように「近い人は苦手」という意識があるとしたら、子ども時代の両親との関係を見つめ直してみると気付きがあるかもしれません。

セラピーを受けるまでも・・・と感じる方はこんな宿題をやってみてください。

◎お母さん(お父さん)のいいところを30個書き出す。
◎お母さん(お父さん)に感謝したいことを100個書き出す。
◎お母さん(お父さん)に感謝の手紙を書く。

いかがでしょうか?

もうすぐ母の日(来月は父の日)。
カーネーションに沿えて、感謝の手紙などを渡してみるのも素敵では?

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