「きっとあなたを傷つけるから・・・」という罪悪感ストーリー。



ラブ・カウンセリング

「うまく行きそうになって、ようやく、と思ったところで音信不通になっちゃうんです」という相談も数多く頂くのですが、その逆に、
「うまく行きそうになったところで、なぜか、その人のことを切ってしまうんです」というご相談も頂きます。

友だちに紹介しても「いいじゃん、あの人」って必ず言ってくれるような、そんな人とは釣り合わないような気がしてしまったり、あるいは、気に入ってもらうことそのものが申し訳ないような気がして、「ごめんなさい」って関係を終わらせてしまったり。それで、友だちから「なんで???」って尋問を受けるのです。

「きっとあなたを傷つけるから」「きっとあなたを不幸にしてしまうから」そんな感覚が常にあって、彼からの愛情を受け取れなくなってしまうし、自らの愛も遮断してしまうのです。

そうすると、愛される程に逃げたくなり、そして、相手を拒絶します。

これは「罪悪感」という感情がもたらすもの。
今回はそんなお話をさせて頂きたいと思います。


ただ、似たような感じで「愛されることが怖い」「傷つけられるんじゃないかと不安」という“受身”の感情を抱かせるものもありますが、それは“無価値感”と呼ばれるものです。罪悪感は能動的じなので、反対の感情ですね。

さて、罪悪感という感情は、常に自分を傷つけられる場所に置きたがります。

平和な場所と、危険な場所では、もちろん、後者。
優しい人と、傷つける人ならば、もちろん、後者。
素敵な男性と、ダメンズだったら、もちろん、後者。

誰かのことを愛し始めると、それが相手を苦しめるような、傷つけるような、毒するような感じがしてきて、距離を置きたくなるんです。

(罪悪感という感情は、まるで自分が「毒」のような気分にさせてくれます)

だから、もしあなたが罪悪感が強い女の子だとすれば、誰かのことを好きになればなるほど、愛せば愛するほどに、その人から距離を置きたくなります。
だって、愛する人を毒したくないから、愛するが故に、距離を取ろうとしてしまうんです。

自分でもどうしてそんなことをしてしまうのか分かりません。

二人のうまく行き始めた頃に、その関係を壊したくなりますし、「幸せ」を感じた瞬間に、そんな自分に嫌気を覚えます。
彼とのエッチの最中に「自分は一人の娼婦で、彼に買われてる」そんな感覚を持つ人もいますし、彼と結婚が決まって周りから祝福されると、なぜか浮気をしてしまう人もいます。

やはり、自分ではどうしてなのか分かりません。

自分は幸せになってはいけないような、そんな資格はないような、常にそんな気がしています。

だから、恋がうまく行かなくなったときに「ま、私にはその方がお似合いよね」な気分がしたり、なぜかホッとしたり、「私は1人になるべきよ」と強く感じていたりします。

無意識の世界にはこんな観念が眠っていることも多いです。
「過去に自分はとてもひどいことをして愛する人を傷つけてしまった、だから、自分は幸せになってはいけないし、その資格も無い。一生、その罪を背負っていかなければならない」という感覚です。

そのルーツはほんの些細なことの積み重ねかもしれません。
「愛する人を傷つけた」というのが、過去の彼氏達なことも否めませんが、でも、本当はもっと深いところにあるんです。

多くの場合、両親に対して、です。

「私はお母さんを助けたくて生まれてきたのに、お母さんは全然笑ってくれなくて、まるで助けにならなかった。大事な人も愛せない私はダメな存在だ。だから、うまくいかなくて当然よ」

もちろん、これは誤解なのですが、でも、この感覚が心の奥深くにあると、あなたは自分が幸せになることを許せなくなるんです。

・・・と、ここまで書いてきまして、「じゃあ、どうしたらいいの?」というところで、しばらく頭を抱えていました。さて、この短い文章で、どう纏めたらいいのだろうと。

感覚的な表現を使うのならば「浄化が必要」という言い方をします。
罪悪感が毒であるならば、その感覚を浄化しましょう、と。
美しい、綺麗なものを自分の中に取り入れて、結果的にその毒を薄めていきましょう、と。

また、その誤解の数々を感覚的に解いていくこと、すなわち、愛に気付くことも本質的な癒しにつながります。
自分が本当は愛したかった、助けたかっただけなんだ、ということを受け入れていくのです。

もちろん、なかなかすんなりとはできません。
そもそも「自分が悪い」とか「自分は罰せられるべきだ」という感情と正面きって向き合うのはなかなか難しいものです。だから、私も初期のカウンセリングでは、象徴的なセラピーにて罪悪感を徐々に薄めていこうと考えるものです。

そうして、自分自身と向き合い、過去の痛みと向き合っていくと、“自分が幸せになることを許せるようになる”んですね。

「あ、私、幸せになってもいいんだ」

という感覚がすーっと湧いて来たときは凄く感動するものです。

そうすると、「私はあなたを傷つけるから」と立ち去るのではなく、「あなたの傷を癒してあげたい」とより近づけるようになるのです。

多くの場合、「毒」は癒されると「薬」になります。

もし、あなたが罪悪感が強いタイプだとしたら、あなたは人の痛みをよく知る人となるでしょう。
そして、罪を知った分だけ許しを知り、自分を責めた分だけ、人に優しく出来るでしょう。

罪悪感を抜ける秘訣は、「私の事を愛してくれる誰かのために」です。
家族、パートナー、友人。私のことを大切に思ってくれている人の、その愛をもっと受け取ろうとすることです。
そうすると、自分を罰することが、その人を傷つけていることに気付けます。
だとしたら、その人のために、自分を罰することをやめようと思えるのです。

参考になりましたら幸いです。

※罪悪感についてはこちらの心理学講座が詳しいです。(パソコンで見られます)
Lecture.4 罪悪感の心理学1~罪悪感とは?~
Lecture.104 罪悪感の心理学2~その影響力と許しへの第一歩~
Lecture.142 罪悪感の心理学3~“自分は毒である”という観念~
Lecture.156.罪悪感の心理学4~何もしていない、という罪悪感~
Lecture.190.罪悪感の心理学5~誰かのせいにしてしまうのはなぜ?~


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