「自分が分からない時(2)」


*「こんなとき、どうしたらいいの?」にお答えする心の処方箋シリーズ*

自分のことが分からなくなることって私達は意外に多いのかも知れません。
今回は(1)に続く、第二段。
自分が分からなくなるときの2つ目のパターンを紹介します。
(1)が依存のパターンとすると、(2)は自立的な方のパターンと言えるかもしれません。


もう一つの「自分が分からない時」は、感情に振り回されるのが嫌で、心に蓋をしてしまったときに起こります。
蓋をしてしまっているので、自分の気持ちが分からなくなりますし、何をしているのか?どこに向かいたいのか?どんな気分なのか?もよく分からなくなってしまいます。

つまり、「自分が分からない時」というのは往々にして「自分の(気持ちが)分からない時」であるんですね。

こうした状態が“無感覚”として自覚できる場合(つまり「ああ、自分の気持ちがよく分からないなあ・・・あたしって何考えているんだろう?」という時)はまだ良くて、ほんとうにしんどい状態になると、自分が無感覚になってしまっていることすら気付けなくなります。

そういうときは人生をとても自立的に、頑張って生きてきたり、自分に厳しく、感情を抑えて生きている場合が多いんですね。
そして、ふっと何かの瞬間に「自分って何だろう?」と疑問に感じるようになり、今まで抑圧してきた分だけ、その疑問は大きく人生そのものが対象になることもあるんです。
つまり、生きている意味や目的を問いたくなります。
そして、今まで自分が何をしてきたのか?とても無駄な時間を過ごしてしまったような焦りに捉われることもあるでしょう。

そういう時は、じっくり自分のための時間を作ってみます。
それが難しいので、ちょっとがんばってみないと作れないかもしれません。
自立的に生きてきた方は忙しくて時間が作れない場合が多いですからね。
だから、マッサージとか、エステとか、温泉旅行とか、半ば強制的に自分を見つめる時間を作る方が早いかもしれません。

そして、そういう時間の中で、
「自分は何がしたいんだろう?」
「自分は何を我慢してきたんだろう?」
「自分は誰に何を言い忘れているんだろう?」
などと心に問い掛けてみます。
答えが返ってこなくても構いません。

もし、もう少し先に進めたい方はもっと具体的に次のようにしてみてもいいでしょう。
・「寂しいなあ」と声に出して言ってみる。
・「疲れたなあ」と自分をよしよししてあげる。
・「どんな人に甘えたいだろう?」と心の中の依存心を解いてあげる。
・「誰に怒ってるんだろう?」と怒りの矛先を探す。
 (もし、見つかったら、その人を思い浮かべて怒りを伝えてみる。)
・「ありがとう」「愛してる」を言い忘れている相手を見つける。
 (そして、見つかったら心の中でもいいので実際にその相手に伝えてみる)

そうして心の蓋を開けていくと、今まで押さえ込んできた気持ちがどっとあふれ出してきて呆然としてしまうこともあります。
でも、自分の感覚が戻っていくのは、慣れない正座をしていた後にじーんと痺れていた足に血が通い始めるような感覚かもしれません。
答えが返ってこなくても、余計自分が分からなくなっても、好転反応と思ってみるくらいでちょうどいいのです。
徐々にイキイキとした自分、そして、今ここに生きている実感、が得られるようになるでしょう。

でも、自立的に生きてきた分だけ、きっと、早く結果を出そうと、早く何とかしようと焦ってしまい勝ちです。
そうすると、せっかく開けた蓋をまた閉じようとしてしまいたくなります。
きっとそういう場面では、たくさん思考が動き、論理的になってしまうでしょう。

だから、そういうときこそ、誰か、傍に人の気配を置いておくことが大切なのです。
あなたをちゃんと見てくれる人、信頼して話ができる人、ちゃんと受け止めてくれる人。
そうした存在があれば、自立を手放し、その次のステップである相互依存の世界に入っていけるのです。

こうして自分の心との繋がりを取り戻していくプロセスを進めて行くと、徐々に自分が目指す方向がはっきりしてきます。
「ああ、やっぱり私は彼のことが好きだったんだな」と再確認することもあれば、「私はこっちの方向に進みたかったんだな」と方向性を見つけることができたりします。

そして、今まで自立的に生きてきた分、自分で頑張ることにかけてはみっちり訓練してきたわけですから、自分を取り戻せば取り戻すほど、充実感も満足感も強く溢れ出てきて、自分に自信を持つことができるようになります。

ふと立ち止まって、自分に「私は今、何を望んでいるんだろう?」と聞いてみてください。
どんな小さなことでもいいので、すぐに答えが返ってこなかったら、ここで紹介したアプローチを試されてみるといいかもしれません。

心の処方箋


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