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きょうだいの問題は親も絡んで複雑になるので読み解くには少々技術が必要です。
妹(弟)に親を取られたような感覚は自己肯定感を著しく下げ、無価値感を爆誕させ、どんなに優秀な成績をとっても自分自身に自信が持てない問題を作ります。
だから、本来の力を活かせず、社会の中でも生きにくさを覚えるようになるのです。
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3歳下の妹がいる長女です。
妹に劣っていると思って生きてきましたが、それは勘違いであり、親争奪戦に負けた敗北感だということに最近気が付きました。
妹が近くにいると自分の存在価値が危ぶまれる、というとてつもない恐怖を大人になってからも抱えてきました。
か、冷静に考えると学歴など諸々は私の方が優秀かつ、親からの評価も高かったのでなぜ劣等感を感じるのかずっと不思議に思っていました。
私→しっかり者、優等生、親の親役、ほっといても大丈夫、親から頼られる、助けてもらったことはほぼない、というか助けを求めても心配してもらえない拒絶される、ヒーラー的立ち位置
妹→病気や怪我が多い、甘え上手、大人になっても依存的で実家に寄生&未婚、体調を崩しがちで今もあまり働けない、妹のことは親も心配するし相談にも乗るし助ける
「妹の方が大事だから、私はいらない子なんだ
私の存在なんてなんの価値もないんだ
だからせめていい子でいて役に立たなくちゃ」
そんな風に思って成長したと思います。
いい子だったのになんで愛されなかったの?と泣いてるインナーチャイルドを見つけてから、劣等感というより敗北感が強くなりました。
きょうだい児と近いものがある気がします。
そしてこの認知の歪みが現在でも金銭面、仕事面、夫婦関係、友人関係に多大なる影響を与えています。
すぐ自分を後回しにして、自己犠牲的に振る舞い、いつも自分を苦しい状況に追い込んでいます。
この敗北感を癒し、自分を愛して大切にするにはどんな方法がおすすめでしょうか。
(Nさん)
こういう本も出ておりますので良かったらチェックしてみてくださーい!!(宣伝)
「兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか」(WAVE出版)
Youtube:
*「兄弟姉妹の心理学~きょうだいそれぞれの言い分を聞いてみようじゃないか!~」
*兄弟姉妹の心理学~長女の主張~
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よく第一子は第二子に親を取られる(特に母を取られる)という経験をして、そこで大きなハートブレイクを抱えることになるものです。
自分よりも妹(弟)の方がいいんだ、かわいいんだ、大事なんだ、あたしは大事じゃないんだ、という風に感じてしまうこともあります。
親としては「そりゃあ、〇歳児よりも乳幼児の方が物理的に手がかかるから」ということですし、最近はその辺も周知されていて「お姉ちゃんの日」を設けるなど、お姉ちゃんにもちゃんと目を向ける家庭も多いものです。
そして、肝心なことは「妹が生まれるまで可愛がられていた人ほど、妹が生まれた後のショックは大きい」ということです。
妹との年齢差によってはそんな記憶なんて全くないことも多いですけどね。
つまり、妹が生まれるまでは「お姫様」として手厚く愛されたにも関わらず、妹が生まれた瞬間から「一般庶民」に格下げされた上、突然現れた妹が自分がいた「お姫様」ポジションに収まるわけですから、そりゃあ、辛いです。
言ってみれば「お互い愛し合っていた彼氏が、ある人突然、今日からこいつと付き合うからお前と別れる」と若い女を連れてきたようなものですよね。
しかも、その新しい女と同居するんですよ!
許せます?
耐えれます?
おそらくその時点でNさんも多大なる敗北感、喪失感、劣等感、悲しみ、寂しさ、無価値感を覚えたのだろうと思いますし、「あたしが悪かったの?」と思えば罪悪感もてんこ盛りになるものです。
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さて、そうして親を妹に取られた姉は、そこで反逆して家出をするわけにもいきませんし、親のことがやっぱり大好きなわけで、愛されたいものですから、何とか親の愛を自分に向けようとするんです。
そこで取る作戦が「いい子」です。
いいお姉ちゃんになって妹の面倒を見る、お母さんのお手伝いをする、お母さんに迷惑をかけないようにおとなしく一人で遊ぶ、というやり方です。
つまり、妹が親の手を煩わせてるから、それに対抗して、姉は手のかからない子になろうとするのです。
第一子長女が「しっかり者の姉」になりやすいのは、そうした経緯を経ているわけです。
ところが、この「いい子作戦」というのは裏目に出ることも少なくありません。
手のかからないいい子になって親に褒めてもらおうという作戦は空回りし、むしろ「お姉ちゃんはしっかりしてるから大丈夫」という安心感を親に与えてしまい、ますます手のかかる妹の方に親の目が行ってしまうのです。
そうするとここで姉には2つの選択肢が与えられます。
1)これじゃあ、足りねえのか。そしたらもっといい子になって褒めてもらおう!
2)こんなにやってもダメなのか?え?それだったらグレてやるぜ!
ただ、多くの姉はやっぱり親のことが大好きです。
そして、何ならライバルである妹も可愛いと思ってます。
そうすると1)を選んでしまい、いい子から優等生という王道を歩むことになります。
だから勉強を頑張るし、いい成績を取るし、いい学校にも進もうとするわけでして、その作戦が成功すると「自慢の娘」ということで親の注目を集めることになります。
その姉を見ながらのほほんと育つ妹は、姉ほどのプレッシャーはありませんから、あんまり勉強も頑張らないですし、相変わらず末っ子として親に甘えまくるし、親もいつまでも妹を「小さい子」と認識しますから、容量が良くて甘えたなだらしない子になることも多いものです。(もちろんそうとは限りませんが)
そうして「しっかり者の姉と甘えん坊で頼りない妹」という関係が出来上がります。
そして、「ほんとに妹はだらしないんだから!お姉ちゃんを見習ってしっかりしなさい!」「お姉ちゃんは言われなくてもちゃんと宿題やってたわよ。なんであんたはお母さんが言わないと何もやらないの!」という比較論の中で姉は一応の勝利を収めることになります。
そういう風に妹が叱られてるのを見てほくそ笑んだことのある姉は多いと思います。
とはいえ、その妹はお母さんから怒られてもケロッとしてて「はーい」とかてきとーに返事をしながら相変わらず宿題はしないので、しっかり者の姉はそんな妹にイライラするものです。
でも、ここで姉は「優等生になっていい成績を取って親に褒めてもらおう!」という作戦に出ているのですが、そんな風に相変わらず手のかかる妹に親を取られたまんまなんですよね。
お姉ちゃんはしっかりしてるから大丈夫。
妹はちゃんと見てあげてないと心配。
つまり、親から愛されたくていい子になったのに、相変わらず愛されてるのは妹で、全然あたしは愛してもらえないじゃないか!!という思いを思春期くらいに抱くようになるのです。
そこで2)の作戦に切り替える姉もいらっしゃるのですが、それは数としては少ないはずです。
この「自慢のお姉ちゃん」という地位を捨てることはもったいないですし、ここまでの頑張りを捨てるのも嫌だし、と頑なに優等生ラインを走り続けることが多いのです。
そうして姉は「頑固」という称号を新たに得ていくことにもなり、その頑なさが後々影響することも多いものです。
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で、結局、親から愛されたくていろいろ頑張ったのに、愛されるのは妹ばかりで、自分は全然愛されないじゃないか!という大きな問題が生まれます。
これがNさんの言う「敗北感」なのではないかと思われるのです。
そして、「じゃあ、そんなあたしなんていなくてもいいんじゃね?」と無価値感を覚え、「妹の方がきっとかわいいんだ」と劣等感を強くし、「あたしって何者なんだろう?どうしたらいいんだろう?」とアイデンティティを失うわけです。
しっかり者で優等生の姉が実は自己喪失していて、自分が何になりたいのか?どうしたいのか?が分からず、自己肯定感が低く、成績は優秀で、周りから信頼されているのに自分に自信を持てないのはそうしたきょうだい間の葛藤が作り出すものなのです。
つまり「妹よりも親から愛されなかった」「欲しい愛情は親からもらえなくなった」という思いがものすごく強くなるんですよね。
そうすると、いい大学に行ったとしても、先生や友達から尊敬されていても、親から「自慢の娘」と呼ばれていても、全然価値も意味も感じないんです。
「そんな先生から褒められたり、友達からすごいって言われたって、お母さんから欲しい愛情は全然入ってこないじゃない!」と拗ねてしまってるようなものです。
Nさんも「拗ね」には自信があるんじゃないでしょうか?
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兄弟姉妹の問題が複雑なのは、妹が直接の対象だけど、そこに親も当然入ってくる、という三角関係、四角関係のもつれでございまして、長年、自分よりも妹の方が愛されている、と思い込んできた結果、何をしても妹に負けてるような、自分よりも妹の方がずっと価値あるし魅力があるよな気がしてしまい、一向に自己肯定感が上がらないんです。
だから、しっかり者の姉というのは劣等感が強い一方で、競争心も強く、他人と自分を比べてしまう癖がやめられず、かつ、アイデンティティも喪失しがち、という問題を抱えるのです。
優秀だから親や国の敷いた「レール」に乗って順調に人生を進んでいるのですが、それが自分自身の選択でもなく、自分が欲しいものでもないわけですから、常に「これでいいんかな?」という不安が付きまといます。
さらに、本当に欲しいもの(=親の愛)が手に入っていないものですから、ずっと心の真ん中に穴が開いているような感じになります。(無価値感)
そうするとライフワークを生きよう!と思っても、全然見つからないですよね。
しかも、頑なになってしまっているとすると、やりたいことがあっても踏み出せないし、変化することへの勇気も出ずに、身動きが取れなくなってしまいます。
その結果、「待つ女」になってしまう長女も多いわけですね。
そして、その妹の面倒を見たり、調整役(家族のバランサー)になったり、我慢や犠牲していい子をしてきたりした結果、他の人間関係でもやはり同じことをしてしまうのです。
自分のことはさておいて後輩ちゃんが気になって面倒を見てしまう。
上司から認められることを優先してしまい、自分の心身に負担をかけてしまう。
手のかかる彼氏を作って振り回されて、妹との関係と同じじゃん!と気づく。
自分を全面的に受け入れてくれる既婚者に親を求めてしまう。
仕事でも優秀な成績を収めるのだけど、自分がほんとうにしたいことが分からない。
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・・・とまあ、長女の切ない部分を書き連ねてきているので、長女のみなさまは悲しい気持ちんいなられているかもしれませんし、次女だけど長女みたいな生き方をされてきた方もまた「あれ?これってあたしじゃね?」という風に思われていると思います。
が、姉は姉で気づいてないけど大きなメリットがあり、妹は妹で「お姉ちゃんはそう言うけど、あたしだって辛いんだからね!」という問題を抱えてまして、この辺は「水と油」です。
以前、姉妹でカウンセリングに通ってくださってた方がいました。
基本は別々だけど、たまに一緒に来られるので仲良しな姉妹なんですけど、お互いにお互いを羨ましがっており、お互いにお互いを認めていて、「姉妹ってけっこうややこしいですよね」というのがお二人共通の認識でした。
(カウンセリングの主題は姉妹関係ではなく、恋愛、仕事面でしたけど)
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さて、長々とした一般論の講義はここまでにして、Nさんもきっと「なげーよ、そんなことは分かってっから、あたしの話してくれよ」と思っていらっしゃる頃だと思うのです。すまぬ。
まず、
>私→しっかり者、優等生、親の親役、ほっといても大丈夫、親から頼られる、助けてもらったことはほぼない、というか助けを求めても心配してもらえない拒絶される、ヒーラー的立ち位置
こられすべてがNさんの価値なのですが、それを素直に受け入れ、認められますか?
いらんもんと思ってしまうかもしれませんが、この価値を受け取れないと自己肯定感はなかなか上がらないものです。
どれも、親から愛されるために必死に身に着けたものだと思うんですけど、でも、それはNさんにとって大きな価値であり、魅力であり、武器です。
だから、主観は横に置いて、まずはそれを知っておいていただければと思います。
*
さて、ここで重要なのはNさんや同志の長女のみなさまが求めているのは「子どもとして愛されること」です。
つまり、妹が生まれるまでの間に親がしてくれたような愛し方であり、親が妹にしていた愛し方を求めているのです。
要するに「抱っこして!」だし、「あたしの言うことなんでも聞いて!」だし、「あたしをプリンセスとして扱え!」だし、何をしても「偉いねー」ってほめてほしいわけです。
でも、正直、大人になったNさんが親からそれを欲しいわけじゃないですよね?
さすがに今のお母さんではNさんを抱っこするのは難しそうですよね?
だから、永遠に手に入らないものだと思ってしまうのです。
そういうわけでインナーチャイルド・セラピーがよく使われていました。
大人の自分が子どもの自分を愛する、という方法です。
そして、インナーチャイルドを解放することで、今の自分に大きな恩恵が降ってきます。
だから、その泣いてるインナーチャイルドを笑顔にしてあげるのが大人であるNさんの仕事です。ぜひそのまま対話を続けてみてください。
*
ただ、ここで厄介なのはNさんの中にある「依存心」なんですよね。
全面的に親に依存したかったあの時代の欲求がまだ今も継続しているのです。
だから、インナーチャイルドと対話しても「あんたじゃない!お母さんがいい!」と泣き出しちゃったりするかもしれません。
まあ、そんなインナーチャイルドも受け入れていくことが大事なんですが。
Nさんと妹さんって3歳違いじゃないですか。
3歳児ってことはそろそろ自立を始めることです。
一人っ子であったとしても「そろそろ自分でやんなさい」と自立が促されるタイミングです。
そのときに妹が生まれてしまったとなると、自ら自立するタイミングを逸してしまった感があり、無理やり自立させられたような気がしてしまってるのかもしれません。
つまり、妹が生まれなくても自立しなきゃいけなかったし、また、自分も自立したかったんです。(自分でやる!って言い出す時期ですね)
でも、そこで妹が生まれてしまい、手のかかる妹を見て幼児返りが起こると、自立心が一回折れているので、無理やり自立させられたように感じてしまうのです。
いや、ほんとは自ら望んだ部分もあるんだぞ、ということに気づく必要があるわけです。
さらに、親からの愛情も「妹基準」になってしまいます。
妹がしてもらっているように、自分もしてほしい、と思っちゃうわけです。
実際のところ、5歳になれば五歳児向けの愛し方がありますし、10歳も同様。
いつまでも「抱っこ」で泣き止ませてくれないし、「あーん」とご飯を食べさせてくれるわけではありません。
しかし、3歳下の妹を基準にしてしまうと、10歳なのに7歳向けの愛情を求めるようなことが起きてしまいますし、10歳向けの愛情を受け取れないわけです。
まあ、正確に10歳向けの愛し方があるわけじゃないですけど、たとえ話ね?
そうすると親なりにNさんに与えられてた愛情がまったく受け取れなくなるんですね。
ここがカギです。
「自分の親は妹を育てながら、自分自身にはどんな愛情を与えてくれたのだろう?」
これについて数か月ほど考え込む必要があります。
なので、「母に感謝できること100個、父に感謝できること100個を何としてでも探し出してください」という課題が出ます。
また、「母はどんな風に人を愛する人ですか?父もどんな風に人を愛する人ですか?」という大人目線をレッスンしていく必要があります。
*
そして、妹との競争を手放す必要もありますね。
「あたしはあたし、妹は妹、親は親」
という風に明確な線引きを意識しましょう。
その言葉を1日100回ずつ唱えるのもアリです。
さらに、「妹がそういうキャラだったからこそ、自分が得られた価値、魅力、恩恵とは何か?」についてもやはり100個くらい探し出していただきたいところです。
それと同時に、妹に対する素直な感情を吐き出してみるのも意味があるでしょう。
子どもの頃に妹に対して感じていた気持ちを叫ぶ。
思春期の頃に妹に感じていた気持ちを叫ぶ。
大人になってから妹に感じている気持ちを叫ぶ。
セッションルームでは実際に叫んでもらいますけど、少なくとも声に出した方がいいですし、布団に顔を押し付けて叫んでいたのも効果的です。
いい子をしてると分かっていてもいい子になっちゃうでしょう?
だから、敢えて悪い子になって悪態をつくことも悪いことじゃありません。
*
このテーマは慢性的なものですから一朝一夕に何かが変わるとは限りません。
今は「子どもの目線」が心の中にまだまだ強く根付いているみたいですが、意識的に上記のレッスンをしたり、自己肯定感を上げるワークをしていったりするうちに、「大人の目線」をどんどん獲得していくようになります。
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