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なぜそこまで競争心が強くなったのか?何を目指していたのか?
そこで出てくるきょうだいや両親との葛藤。
そして、それを手放して自分らしさを取り戻していくためにどうしたらいいのか?
自立しすぎなみなさまに「自分を知る」きっかけにしてもらえれば幸いです。
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武闘派中の武闘派女子はやはり本書には必要だろう、ということでかなりデフォルメしたキャラを描かせていただきました。
典型的な突撃部隊の登場です。
・なんせ負けず嫌い。一番じゃなきゃ気に入らない。(競争心強し)
・エネルギッシュでパワフル。
・勉強でも仕事でもとにかく上を目指す。
・実力が伴っているので競争を勝ち抜いてしまう。
・とはいえ「女」という壁にぶち当たって「女」であることを否定している。
・マウントの取り合いになるので恋愛下手。
・「寂しさ」を内に秘めている。
・しかし、女性性も豊かに持っているのでコミュ力が高い。
・男性性と女性性が高いレベルでバランスが取れている。(ほんとうは)
うちのブログの読者様はちょくちょくそんなキャラが登場することをよくご存じだと思います。
だから紅緒さんは頭の回転が早いのでマスターの話もサクッと理解する上に、誰に対しても対抗心をあらわにするのでマスターにも反抗するし、周りの先輩同僚後輩からも一目置かれて「女帝」として扱われる存在になっているわけです。
そして、たいへんエネルギー(セクシャリティ)が強く、自分自身もそれに振り回されてしまうところがある(つまりは暴走してしまうリスクがある)んです。
そうすると周りから見ると、そのエネルギーにやられて「どう接していいか分からない」「付き合いづらい」と感じるタイプと、逆にそのコミュ力や能力を支持して「めちゃくちゃ面白い奴」「憧れの先輩」「よきライバル」と映るタイプとにくっきり別れるかと思います。
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こうしたエネルギー強すぎる問題は紅緒さんのように「仕事」が軸で展開される場合と、「恋愛」に出る場合がありまして(もちろん、両方に出るケースもある)、うちのブログでもいろいろなケースをご紹介してきてると思います。
その総まとめみたいな存在が紅緒さんなので、エネルギーが強すぎて自分でも振り回されちゃうタイプの方はそういう目でお読みいただけると自分の扱い方がひとつ分かるかと思います。
大きな方向性としては、自分にとって軸となるメンターを見つけ、その人に自分が自由に動ける柵を設定してもらい、その中で思い切り草を食んで、走り回る、というところを初手とします。そして、その能力の開花と共に柵の範囲を広げていってもらいます。
本書で言えば、マスターが紅緒さんにとってのメンターとなるわけですが、それだけ競争心の強い紅緒さんですからすぐにマスターの軍門に下るようなことはありません。
抵抗・反抗しながらも「この人は自分のことを深く理解してくれる」ということを確信していくのです。
(本音を言えばこの辺のやり取りについてはもっと詳細に描きたかったのですが、本ってのは文字数が定められておりまして。)
そうして、メンターが見つかれば意外と素直になるのが紅緒さん擁する突撃部隊のみなさまの特徴でして、メンターに見守られながらどんどん自由を謳歌していくことになるのです。
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さて、そんな競争心の塊のような紅緒さんなのですが、なぜそんな人格が出来上がってしまうのか?について考えてみましょう。
自立がもたらす競争心というのは「トーナメント方式」のマインドを作ります。
つまり、負けたら終わり、というプレッシャーの中、とにかく勝利にこだわって生きるようになります。
たいていの人はどこかで敗北し、「あ、人生ってリーグ戦なんだ」ということに気づくのですが、そこで勝ち続けた方は何に対しても「勝負!」というマインドを持つようになるのです。
その結果として「エリート・コンプレックス」という問題を生むことになります。
では、そのルーツはどこにあるか?というとやはり家庭なわけですが、そこでは様々なパターンが存在するのも確かです。
一口に「突撃部隊」と言ってもみんなが同じではなく、まさに群雄割拠なんですな。
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まず、それは「きょうだいとの親の愛を取り合う競争」に端を発するものです。
すべてのきょうだいは「親(特に母親)」からの愛情を独り占めしたくて競争を始めます。
そこで「母」からの愛情を取り損ねた場合に「父」に向かうのですが、もちろん、子どもとしては母だけでなく父の愛も欲しいので、ここでも競争が生まれるものです。
で、ほんとうはそこで母や父の性格や父母の関係性などがかかわってきてキャラが決まって行くのですけれど、今日お伝えしたいことはそもそものきょうだい構成についてです。
「兄・弟」が相手なのか、「姉・妹」が相手なのかによってその生育がちょっと変わってくるのですね。
ちなみに今回の紅緒さんは「兄」でしたが、1章の芽依さんは「妹」でした。
また、紅緒さんは「厳格な、しごでき父ちゃんとの葛藤」を持ちましたが、芽依さんは「スーパーおかんとの葛藤」を抱えていました。(しごでき=仕事できる)
それによって同じ自立系武闘派女子の突撃部隊でも性格が異なるわけですし、それぞれが見つけていく「自分らしい生き方」にも違いが生じてくるわけです。
つまり、「姉・妹」と競争する場合、それは「女同士の競争」ということになります。
だからこの場合、「どちらの女子力が高いか?」という争いになり、潜在的に女性性をガンガン伸ばしていくようになります。
そこでスーパーおかんの後を続くべく、男性性も伸ばして言ったのが姉の芽依さんであり、「は?そんな生き方しんどいわ」とさっさと“自由”を選択したのが彼女の妹というわけです。
こうした傾向が顕著に表れるのが「女子校」なのかもしれませんね。
男性性を伸ばした側は「男役」になり、女性性を前面に出す側が「娘役」になるんです。
一方、紅緒さんのように「兄・弟」と競争する場合、「男性性の競争」になるかというと、案外、そうとも限らないのが複雑なところです。
一般的に「母」は異性の子どもを無意識にかわいがってしまうものです。
「兄・妹」となれば、母は兄の方をかわいがり、妹はむしろ「ライバル」として意識してしまうところがあるのです。
だから、妹は初手で兄に敗北するという体験をします。
それで「無価値感」が強く根付いてしまう「姉・妹」も多いんです。
しかし、紅緒さんはそこで「は?そんなん許せんわ!」という強い競争心を持ち出しました。
しごでき父ちゃんをお持ちなわけですから、その血が目覚めたと言ってもいいかもしれません。
それで、彼女は「兄」を倒しに行くわけですね。
これは年齢差もけっこう重要で、今回、紅緒さんは兄との年齢差が2つですので、これは格好の競争相手になります。
分かりやすい例を挙げれば、競走馬はレース前の追い切りの際、最終コーナーで2馬身ほど相手を先行させて追い抜きをかけることが多いわけで、それと似ているかもしれません。
これが兄が5歳上とか弟が5歳下とかになりますと、競争相手にはなりにくいものです。
そして、たいていそんな「父の血を引いた妹」というのは兄をあっさり倒しちゃうことが多いものでして(たぶん、その兄はおだやかな母の血が良く出ている)、その勢いで、同級生に刃を向けるようになり、同時に、父と対峙するようになります。
その父が最近多い「娘大好きパパ」であれば、父・娘はいちゃラブな関係となり、すなわち、エレクトラの完全勝者となります。
※エレクトラの勝者=母に打ち勝って父を手に入れた娘。そのため、罪悪感を強く持つ。一方で、世界の男はすべてあたしのもの、という感覚を手に入れるので男性に対する苦手意識はなく、ゆえに、男友達もたくさんできやすい。ただ、母から父を奪った経験から既婚男性をターゲットに定めたり、また、自分自身が浮気性になってしまったりする問題も生まれやすくなる。
一方で、父が厳格な人だったり、男尊女卑の思想を持っていたりすると、今度は父が相手となり「敵にとって不足なし」という状態になるわけです。
とはいえ、ここで父を倒すと言ったって子どもにはたいへん難しいことですし、その父に愛されたい気持ちも当然強いわけで、ここで非常に強い自立心が養われることになります。
「父に認められたい」というよりも「父に自分を認めさせたい」という思いの方が強くなるでしょうか。
つまり、ここで男性性がものすごく成長することになるんですな。
父に認められることが目標ですから、同級生に負けてる場合ではありません。
それが先輩や先生、コーチといった人たちに競争が向けられることとなり、やがて職場で「女帝」と恐れ戦かれる存在になっていくのです。
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このプロセスにおいて重要なことがあって、それは「女で損した」という思いをどれくらい持つか?という点にあります。
紅緒さんは自分を認めない父に反抗し、「女の子なんだから」という母に反発をしましたから、「女であることはネガティブなこと」という思いを強く持っています。
だから、職場で飲みに行くのも男性性が強い先輩たちばかりであり、合コンでは男子たちにマウントを取りまくり、元カレたちもあっさり倒してしまうようになるのです。
つまり「女を捨てる」ということをしてしまうわけですね。
一方で、姉妹と競争したタイプは女子力の争いですから女性性が伸びますし、父に愛されたり、母と仲が良かったりするとそない男性性ばかりが伸びるわけではありません。
そうすると「女で損した」という体験をあまり多くしないばかりか、「女は得だ」という思いを持つようになり、あざとさを持つようになります。
だから、この辺は微妙なバランスが人生に影響を及ぼすのです。
「兄弟姉妹の心理学 弟がいる姉はなぜ幸せになれないのか」(WAVE出版)
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さて、そうした環境で「武闘派中の武闘派女子」として競争に打ち勝っていくことは、裏を返せば、弱さを封印し、心を閉じて生きることと引き換えになります。
つまり「寂しさ」や「孤独感」を内に持っているのです。
そうした自立の競争(主導権争い)において「弱さ」は隠さねばなりませんし、常に強く自分を見せなければいけません。
そうして相手に勝って一番になることを目指し続けるのもまた疲れてくるものです。
そう、そもそも「一番になる」というのは「他人軸」ですよね。
誰かとの比較・競争における順位付けなわけですから。
だから、こうした生き方というのは「自分らしさ」という点からは離れていきやすいのです。
エネルギーが強いからこそ、こうした生き方に耐えられるのですけれど、それがほんとうにやりたいことなのか、自分らしい生き方なのかについては疑問符が付くのです。
だから、自分の生き方を教えてくれる/示してくれる/見せてくれる「メンター」ってとても大切なんですよね。
ちなみに本書では「マスター」が紅緒さんのメンターであり、父代わりになっていきます。
そうしてメンターを見つけた自立系武闘派女子は不思議なことに「素直に」「かわいらしく」なっていくものです。
もちろん、それがパートナーという場合もあるんですけど・・・ね、それは競争相手になっちまうものですから・・・、できれば、その競争を手放した後の方が・・・まあ、良いのではないかと思う次第でして・・・。
一生の芽依さんもやっぱりそこは似ていて、夫氏のことを完全に下に見ていましたし、マスターとの出会いによって夫氏を見直したわけです。
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紅緒さんのプロセスはすべて女性性を取り戻していくものです。
自分が持っているエネルギーを競争に使うのではなく、リーダーシップに用いるように変えていきます。
でも、そこで男性性を否定しているわけではありません。
男性性は十分成長しているから、今度は女性性に目を向けましょ!という意識です。
高いレベルで男性性と女性性の調和を取ることが目的です。
そうすることで、路線変更をすることなく、より高いモチベーションを持って活躍していくことができるようになります。
つまり、今の仕事やパートナーシップに新しいやりがいを見つけたり、モチベーションが高くなったり、新たな目的が見つかったりしていくのです。
だから、紅緒さんはさらに高いステップにチャレンジすることになったわけです。
それとまあ、一応、恋心が目覚めるというストーリーも入れてみましたが、これもまたリアルい起こりやすい現象です。
さて、みなさんの場合はどうでしょうか?
そして、どれくらい「自分らしさ」を生きられているでしょうか?
●「ひとりで生きちゃう武闘派女子が頼って甘えて幸せになる50のトレーニング: 「頑張らないこと」を頑張りたいあなたへ」(小学館)
◎ザ・リトリートセミナー in 神楽坂~生き方が、人生が、自分自身が変わる3日間~
https://nemotohiroyuki.jp/schedule-cat/51398
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『武闘派中の武闘派女子になってしまった理由と隠れた問題、そしてそこから抜け出す方法』
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