娘を産んだら母が子ども返り?~母になっても習慣化した「母の母役」はなくならない~



娘なんだけど母の精神的な面倒を見てきた方を「母の母役をやってきた」なんて表現するのですが、その役割は結婚しようが、出産しようが変わらないものでして、むしろ、状況によっては強化されてしまうこともあるくらいです。
この長年にわたる母との問題をどう解決していけばいいのか?大雑把かつ詳細に考えてみたいと思います。

根本先生、こんにちは。
いつもネタを送ってすみません。
先生のブログで母親ネタが続き、私にもホットな話題があるので送らせていただきます。

私は、野良猫、ロックマン、不倫を経て、万年反抗期だったおとん、そしてラスボスおかんと向き合い、今は優しい旦那さんと結婚し、可愛い娘と暮らしています。

両親と長女の私、弟、弟、妹という家族構成で育ち、母親は弟たちに「お姉ちゃんに怒ってもらうよ」と言い、親役割を私に投げていました。
また両親ともに叫び合う喧嘩をよくしており、私は母親父親役割をこなし、母親を守り(母親の代わりに父親に怒り続け反抗していた)、早く自立したい、感情的になりたくないといった思いを抱き、自武女かつ看護師として能力を発揮してきました。
向き合うことで今はこの家族で育ったから仕事で成功できたなぁと感謝できます。
そして、母親と距離を置くことができるようになっていました。(その節は根本先生、お弟子さんたちに大変お世話になりました!)

が、母親が父親に好きな人が出来たから離婚したいと騒ぎ出し(白黒不明)、最近は思春期の女友達か?という距離感で私に接してきてしんどいです。
毎日電話、そして「今、家の前の公園にいる。家に帰れない」といい大人が何言ってんの?高校生?というLINE、さらに未読だと追いLINEを送り続けるかまってちゃんぶり…ちょっと引いています。
私は兄弟たちにヘルプを求め、兄弟たちは姉ちゃんだけに負担があってはいけねぇと助けようとするムーブなのですが、相変わらず母親は私にだけに連絡を続けています。また母親は父親と喧嘩する時は私に電話しながらするし、3人のLINEにメッセージが入るしうんざりです。
永遠の5歳児の父は母親には怒鳴っていますが、私には何も言わないです。

私は、母親と父親に対してもう十分に役割を果たしたと思うし、離婚についても好きにしたらいいと思います。
だけど、やっぱり母親ですし、出産でもお世話になったし無下にも出来ず、どうしたらいいか頭を抱えています。(私の出産のときはめちゃくちゃ有難い完璧なサポートをかましてくれて感動していたのに…)
なんだか子ども返りしたような母に、娘の私ができることってなんでしょうか?
今後の介護のことも考えると恐怖で怯えています。
(Yさん)

まあ、なかなか難しいテーマなんですよね。
とても重要な話なのですけれど、手が広いというか、少し時間をかけて取り組む必要がある問題だと腹をくくる必要があるようです。

今までも両親と散々向き合ってこられたと思うので「ええー、またー?やだー」とか駄々をこねたくなるかもしれませんが、これぞ慢性的な問題であり、Yさんにとって中核のテーマだと思うので、「ライフワーク」なるものを意識しながら進めていくことになりそうです。

ちなみにYさんの娘ちゃんはおいくつになられたのでしょうか?
意外かもしれませんが、母の問題と向き合っていくために娘ちゃんがけっこう鍵になるものでして。

さて、「子どもがえりをしたような母」というネタなのですけれど、たぶん、母は昔から子どもだったと思うんですけどいかがでしょうか?

親の役割を子どもであるYさんに押し付けてきたわけですから、精神的には昔からお姉ちゃん(Yさん)に頼りっきりでしたよね。

そのおかげでYさん自身は精神的に早く自立し、自武女の巣窟と言われる看護師業界にてばりばり成功されてるのは素晴らしいの一言なのですが、その一方で、おいてけばおりになっている「Yさんのインナーチャイルド」の存在が気になるところです。

これは今までもある程度扱われてこられたのでしょうか?

つまり、早くに自立して大人にならなきゃいけなかったわけですし、弟妹を3人もそろえる状況ですから、子ども時代に子どもができなかったと思うのですよね。

それで、長女なのに父・母役もこなす獅子奮迅の活躍により、家族における心臓の役割を担ってきたわけですが、とりわけ母親のお姉ちゃん依存というのは相当強かったと思います。

つまり母からすれば「お姉ちゃんがしっかりしてるから大丈夫」という認識を強めたわけですし、いわゆるYさんは「母の母役」をやってこられましたよね。

だから、大人になってからも何かとお姉ちゃんに頼ってくるのがお母さんにとっては常識になってると思うのです。

「え?なんでその程度のことで連絡してくるん?」ということも多かったんじゃないでしょうか。

で、一般的に「第二子が生まれると第一子は子ども返りする」という法則により、今の母の状態も理解できるんじゃないでしょうか?

要するにYさんは「長女兼母」役をこなしてきたのと同時に、お母さんは「母兼長女」役をこなしてきたとみるわけです。

理屈ではにわかに信じられない現象ですけれど心理的には全然あり得る話でして、ちなみに子どもが生まれたことで「夫兼長男」だった夫が子ども返りするなんて現象もままあることです。

で、何かと幼少期から母の精神的なお世話をして守ってきた「母」であるYさんとしては、どうにもこうにも母を切り捨てることなんてできないわけです。

しかも、リアルに娘を産んでしまってリアルに母になってしまったわけですから、実娘を捨てられないのと似たような心境で母を捨てられなくなるんです。

つまり、いやいやながらも無下にできずに何かと相手をしてしまうのが実状だと思うんです。

で、カウンセリングでこうした話題をお伺いすると「他人から見ると母の面倒を見すぎだと思うけれど、本人としては母とかなり距離を置いてると思っている」という現象がよく起きています。

つまり、癒着といっていいほどの心理的に近い距離にあるために、周りからは「面倒見すぎ!」でも、本人からは「冷たくなった」と感じたりするんです。

こういうのって相対的なものですからね。なかなか自分では判断できないもんです。

例えば、以前、母子家庭で育ったがゆえにがっつり母親と癒着されてる方がいました。

海外に住んでいらっしゃるのですが、心理的にはゼロ距離と言っていいほど近いので、「時差を考慮せずに毎日電話をかけてくる母」と「現地時間は深夜なのにその母の愚痴を聞いてあげる娘」という関係がずっと続いていたんですね。

それでさすがに辛くなったので「寝るときは母からの着信音が鳴らないように設定し、朝起きてからかけなおす」ということをされたんです。

もちろん、朝起きたらストーカー並みに着信履歴が残っていてうんざりするんですが、ちゃんと折り返し電話をかけてちゃんと話を聞いてあげてたそうです。(もちろん時差を考慮してることは言うまでもありません。)

でも、ご本人は「ずいぶんと母に冷たいことをしているような気がする」と感じていたのです。

これが癒着の恐ろしいところです。

だから、彼女にはこういう話をしました。

「お母さんを子どもだと思い、子どものように扱っているのはあなた自身なんです。母が原因と思っちゃうかもしれないけれど、母を子どもにしてるのは自分自身だという自覚を持つ必要があります。」

それで、基本的に電話には出ずに、用件は留守電に残してもらうように母に伝えてもらい、自分からは電話をしないように頑張っていただきました。

そして「母もひとりの大人である」ということを強く意識し、その証拠探しも頑張っていただきました。

すると母親からの連絡がピタッとなくなったんです。
留守電に「あなたに甘えてばかりでごめんね。おなたにも仕事もあるし、お母さん、時差を考えずに電話ばかりしてごめんね。」というメッセージが残されていました。

そこで彼女はなぜか号泣してしまい、同時に、猛烈な寂しさと罪悪感を覚えて、母に電話をかけそうになったそうです。

その後も、何かと母のことがずっと気になるようになっていました。
毎日の電話がなくなることで、母のことが心配になり、母からの連絡がないことに不安を覚えるようになっていたんです。

「これが根本さんが言ってた『あたしが母を子どもにしている』という意味なのか」と実感し、「依存しているのは自分の方だった」と気づいたのです。

「母のことがウザくていい加減にしてほしいと思っていたのに、精神的に母に依存していたのは自分の方でした」とのちのち告白してくれました。

この「母に依存されていると思っていたけど、実は自分が母に依存していた」という報告は数多いわけでして、よくよく考えれば母は子どもを産んで育てるほどの大人であり、ひとりで生活ができるほどの大人なのです。

それを「母の面倒見役」を子どもの頃から担っていた娘側が、その役割が習慣化して現在に至る、という図式を作っていたのですね。

だから母からすれば、娘には甘えても良い、何を言っても良い、何を頼んでも良い、という風に思っていて「まあ、ひとりでもなんとかできるんだけど、お姉ちゃんに甘えたほうが楽だし、お姉ちゃんも言うこと聞いてくれるから」となってしまうのです。

「は?離婚?そんなの勝手にすりゃいいじゃん」と突き放すなんてことはできずに、「なになに?どうしたの?」って話を聞いちゃったりするのだろうと思います。

この「母の母役」というのはいわゆる自分が家族の中で生き残るための戦略であり、家族とつながるための役割であり、家族の中における自分の重要なポジションになるのです。

それがいやだと感じていても、それが自分が家族の一員でいるための役割なわけですからなかなか手放せません。

母に自立してほしい、大人になってほしいと思っているのだけど、そうなったら寂しいし、自分のポジションを失うことになります。

そしたら、家族の中で居場所を失い、「自分なんていなくてもいいじゃん」と感じてしまうから、それはそれでヤバいわけです。

だから、自分の意識とは全く別に、母にいつまでも子どもでいてもらおうと面倒を見続けるんです。

そんな話をされてもいきなりはピンとこないと思いますし、いろいろと反発したくなるかもしれません、

まあ、そこが一方通行のブログの良いところ(?)ですね。笑

そういうわけで、私が気になるのは娘ちゃんとの関係ですし、最重要人物として「夫氏」の存在を挙げることになるんです。

また、母との関係性においては弟妹達の振る舞いが参考になるのですが、それはもう少し先のことになるだろうと思います。

現実的には1人目ですが、心理的には2人目(5人目?)の子育てをされているYさんですが、子育てはどうでしょうか?

どんな風にお子さんに接していらっしゃるでしょうか?

母と接するときと似てる点はありますか?

一見、全然違うよー!と思えても、ん?感情レベルで見たら同じかもしれん!と思うことも見つかる可能性があるんです。

子どもって手がかかるじゃないですか。
そうすると、手をかけることが大義名分になりやすいのです。

例えば、仕事で疲れていても娘ちゃんが「遊んでー、だっこー、高い高いしてー」って言ってきたら頑張って相手してあげるのと、仕事で疲れていても母からの電話に出て頑張って相手してあげるのでは心理的には同じことが起きています。

そして、夫氏に対しては今は問題がなくても将来的には大問題を引き起こす火種が巻き散らかされてる可能性があります。

あくまで可能性ですので、そんな心配するほどのことはないのですが、後々「夫の女性問題」「離婚問題」「ダメンズ問題」「お金問題」「レス問題」等につながるかもしれないので、要チェックですし、最重要人物が夫というのもそういうことです。

傾向としては大きく3つあります。

1つ目は、その面倒見の良さを夫にも発揮してしまい、夫を砂糖漬けにした挙句、せっせとダメンズ教育をされているケース。

完全なるかかあ天下として、両親・弟妹に接してきたような権力を今の家族に対しても発揮するものです。

2つ目は、逆に優しくて温和な夫に甘えまくっていて「娘」になってしまっている場合。
インナーチャイルドは癒されますが、実の娘との競争が起きたり、夫を理想の母にしてしまっているので対等な関係じゃなくなったりするものです。

3つ目は、実家に片足を突っ込んでしまっているケースで、夫のことを結果的に放置してしまっている状態。
「夫」vs「自分+娘+実家」という図式で、夫氏を寂しくしちゃっています。

この3つのうち複数が同時に起こることもあるのですけれどね。

だから、ものすごく大雑把に「まあ、とりあえず夫氏とのセックスを充実させることを最優先することをお勧めするよ」なんて提案をしてしまい、クライアントさまの頭に大きな「?」を作ってしまうこともあるものです。(ひどい)(けど真実なの)

さて、そういうわけで、客観的に自分の状況を見てみると、自分が思ってたんと全然違う景色が広がってるってことがよくあるのですが、Yさんの状況もまたそんな感じかもしれません。

で、とりあえずのゴールは「母との心理的距離を適切なものにする」というところにあるのですが、どうやってそれを実現するかは様々なアプローチが考えられるものです。

思い切りスタンダードなアプローチでいけば「母と向き合って癒着を切る」というプロセスが考えられます。

これはインナーチャイルドを癒しながら、母を母のポジションに戻し、改めて自分が娘としての地位を確立していくことを狙います。

着実ですが、抵抗も強く出てくる可能性があって時間がかかることが想定されます。

二つ目は「パートナーシップはすべてを癒す」という格言に基づいて、夫婦関係をより強固なものにしていくアプローチです。

先ほどのセックスを充実させろ!というのはここに当てはまるんです。

そのために夫婦のヴィジョン、家族のヴィジョンを策定しながら、コミュニケーションをより深めていくことをたくらみます。

今の夫婦関係が良好であればあるほど手っ取り早く、実現しやすいプロセスです。

三つ目はライフワークを実現していくことでして、それだけ自武女として成功されているYさんの魅力や才能をもっと人生に活かしていくプロセスです。

再び大雑把に「まあ、カウンセラーかコーチをやんなよ」と言ってしまうことも多いのですが(うん、根本先生の提案って説明抜きで大雑把なことが多いね!だから、常連様からは「雑~」って言われるんだよね。)、その面倒見の良さや状況判断力、コミュ力、感受性、リーダーシップ、行動力などをより広く社会に還元していく流れをデザインしていきます。

ここでも結局パートナーシップが絡んできて、どのようにそのライフワークに夫氏を絡ませるか?もポイントになります。

これは基本的に楽しくて面白いものですし、早く問題が解決するんですけど、今までよりも世界が広がったり、チャレンジが必要だったりするので抵抗が出てくることもあります。

このあたりのどれをどういう割合で取り組んでいくかはそれこそYさんと打ち合わせを経て決めていくものですし、そのあたりを掘り下げていく段階で「案外、大人女子になることが最初の目標になるかな」と別のプロセスを挟むこともありますので、今はどれがお勧めとも言えないのですけれど、とりあえずいろんな手があるよー、だからそんな心配せんでもなんとかなると思っといてー、ということをお伝えしたい次第です。

似たような問題を抱えている方もうちの読者には多いと思いますし、「え?これの独身バージョンや娘がいないバージョン、娘じゃなくて息子バージョンって?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますので、その辺はまた個別にご相談いただくか、ネタを送っていただければ幸いかと思っております。

★そんな深堀りしまくって問題を解決していくセミナーはこれだ!

◎9/14(土)オンライン:1DAYリトリートセミナー~ライフワークやパートナーシップと向き合い、自分を深く知る1日を~
https://nemotohiroyuki.jp/schedule-cat/50757

◎10/12,13,14 ザ・リトリートセミナー in 神楽坂~生き方が、人生が、自分自身が変わる3日間~
https://nemotohiroyuki.jp/schedule-cat/51398

◎女性性とセクシャリティとサレンダーとコミットメント~実習メインのグループセッション~
https://nemotohiroyuki.jp/event-cat/43397

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「母の母役」とは?なぜその役を降りられないのか?


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この長年にわたる母との問題をどう解決していけばいいのか?大雑把かつ詳細に考えてみたいと思います。

根本先生、こんにちは。
いつもネタを送ってすみません。
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私は、野良猫、ロックマン、不倫を経て、万年反抗期だったおとん、そしてラスボスおかんと向き合い、今は優しい旦那さんと結婚し、可愛い娘と暮らしています。

両親と長女の私、弟、弟、妹という家族構成で育ち、母親は弟たちに「お姉ちゃんに怒ってもらうよ」と言い、親役割を私に投げていました。
また両親ともに叫び合う喧嘩をよくしており、私は母親父親役割をこなし、母親を守り(母親の代わりに父親に怒り続け反抗していた)、早く自立したい、感情的になりたくないといった思いを抱き、自武女かつ看護師として能力を発揮してきました。
向き合うことで今はこの家族で育ったから仕事で成功できたなぁと感謝できます。
そして、母親と距離を置くことができるようになっていました。(その節は根本先生、お弟子さんたちに大変お世話になりました!)

が、母親が父親に好きな人が出来たから離婚したいと騒ぎ出し(白黒不明)、最近は思春期の女友達か?という距離感で私に接してきてしんどいです。
毎日電話、そして「今、家の前の公園にいる。家に帰れない」といい大人が何言ってんの?高校生?というLINE、さらに未読だと追いLINEを送り続けるかまってちゃんぶり…ちょっと引いています。
私は兄弟たちにヘルプを求め、兄弟たちは姉ちゃんだけに負担があってはいけねぇと助けようとするムーブなのですが、相変わらず母親は私にだけに連絡を続けています。また母親は父親と喧嘩する時は私に電話しながらするし、3人のLINEにメッセージが入るしうんざりです。
永遠の5歳児の父は母親には怒鳴っていますが、私には何も言わないです。

私は、母親と父親に対してもう十分に役割を果たしたと思うし、離婚についても好きにしたらいいと思います。
だけど、やっぱり母親ですし、出産でもお世話になったし無下にも出来ず、どうしたらいいか頭を抱えています。(私の出産のときはめちゃくちゃ有難い完璧なサポートをかましてくれて感動していたのに…)
なんだか子ども返りしたような母に、娘の私ができることってなんでしょうか?
今後の介護のことも考えると恐怖で怯えています。
(Yさん)

まあ、なかなか難しいテーマなんですよね。
とても重要な話なのですけれど、手が広いというか、少し時間をかけて取り組む必要がある問題だと腹をくくる必要があるようです。

今までも両親と散々向き合ってこられたと思うので「ええー、またー?やだー」とか駄々をこねたくなるかもしれませんが、これぞ慢性的な問題であり、Yさんにとって中核のテーマだと思うので、「ライフワーク」なるものを意識しながら進めていくことになりそうです。

ちなみにYさんの娘ちゃんはおいくつになられたのでしょうか?
意外かもしれませんが、母の問題と向き合っていくために娘ちゃんがけっこう鍵になるものでして。

さて、「子どもがえりをしたような母」というネタなのですけれど、たぶん、母は昔から子どもだったと思うんですけどいかがでしょうか?

親の役割を子どもであるYさんに押し付けてきたわけですから、精神的には昔からお姉ちゃん(Yさん)に頼りっきりでしたよね。

そのおかげでYさん自身は精神的に早く自立し、自武女の巣窟と言われる看護師業界にてばりばり成功されてるのは素晴らしいの一言なのですが、その一方で、おいてけばおりになっている「Yさんのインナーチャイルド」の存在が気になるところです。

これは今までもある程度扱われてこられたのでしょうか?

つまり、早くに自立して大人にならなきゃいけなかったわけですし、弟妹を3人もそろえる状況ですから、子ども時代に子どもができなかったと思うのですよね。

それで、長女なのに父・母役もこなす獅子奮迅の活躍により、家族における心臓の役割を担ってきたわけですが、とりわけ母親のお姉ちゃん依存というのは相当強かったと思います。

つまり母からすれば「お姉ちゃんがしっかりしてるから大丈夫」という認識を強めたわけですし、いわゆるYさんは「母の母役」をやってこられましたよね。

だから、大人になってからも何かとお姉ちゃんに頼ってくるのがお母さんにとっては常識になってると思うのです。

「え?なんでその程度のことで連絡してくるん?」ということも多かったんじゃないでしょうか。

で、一般的に「第二子が生まれると第一子は子ども返りする」という法則により、今の母の状態も理解できるんじゃないでしょうか?

要するにYさんは「長女兼母」役をこなしてきたのと同時に、お母さんは「母兼長女」役をこなしてきたとみるわけです。

理屈ではにわかに信じられない現象ですけれど心理的には全然あり得る話でして、ちなみに子どもが生まれたことで「夫兼長男」だった夫が子ども返りするなんて現象もままあることです。

で、何かと幼少期から母の精神的なお世話をして守ってきた「母」であるYさんとしては、どうにもこうにも母を切り捨てることなんてできないわけです。

しかも、リアルに娘を産んでしまってリアルに母になってしまったわけですから、実娘を捨てられないのと似たような心境で母を捨てられなくなるんです。

つまり、いやいやながらも無下にできずに何かと相手をしてしまうのが実状だと思うんです。

で、カウンセリングでこうした話題をお伺いすると「他人から見ると母の面倒を見すぎだと思うけれど、本人としては母とかなり距離を置いてると思っている」という現象がよく起きています。

つまり、癒着といっていいほどの心理的に近い距離にあるために、周りからは「面倒見すぎ!」でも、本人からは「冷たくなった」と感じたりするんです。

こういうのって相対的なものですからね。なかなか自分では判断できないもんです。

例えば、以前、母子家庭で育ったがゆえにがっつり母親と癒着されてる方がいました。

海外に住んでいらっしゃるのですが、心理的にはゼロ距離と言っていいほど近いので、「時差を考慮せずに毎日電話をかけてくる母」と「現地時間は深夜なのにその母の愚痴を聞いてあげる娘」という関係がずっと続いていたんですね。

それでさすがに辛くなったので「寝るときは母からの着信音が鳴らないように設定し、朝起きてからかけなおす」ということをされたんです。

もちろん、朝起きたらストーカー並みに着信履歴が残っていてうんざりするんですが、ちゃんと折り返し電話をかけてちゃんと話を聞いてあげてたそうです。(もちろん時差を考慮してることは言うまでもありません。)

でも、ご本人は「ずいぶんと母に冷たいことをしているような気がする」と感じていたのです。

これが癒着の恐ろしいところです。

だから、彼女にはこういう話をしました。

「お母さんを子どもだと思い、子どものように扱っているのはあなた自身なんです。母が原因と思っちゃうかもしれないけれど、母を子どもにしてるのは自分自身だという自覚を持つ必要があります。」

それで、基本的に電話には出ずに、用件は留守電に残してもらうように母に伝えてもらい、自分からは電話をしないように頑張っていただきました。

そして「母もひとりの大人である」ということを強く意識し、その証拠探しも頑張っていただきました。

すると母親からの連絡がピタッとなくなったんです。
留守電に「あなたに甘えてばかりでごめんね。おなたにも仕事もあるし、お母さん、時差を考えずに電話ばかりしてごめんね。」というメッセージが残されていました。

そこで彼女はなぜか号泣してしまい、同時に、猛烈な寂しさと罪悪感を覚えて、母に電話をかけそうになったそうです。

その後も、何かと母のことがずっと気になるようになっていました。
毎日の電話がなくなることで、母のことが心配になり、母からの連絡がないことに不安を覚えるようになっていたんです。

「これが根本さんが言ってた『あたしが母を子どもにしている』という意味なのか」と実感し、「依存しているのは自分の方だった」と気づいたのです。

「母のことがウザくていい加減にしてほしいと思っていたのに、精神的に母に依存していたのは自分の方でした」とのちのち告白してくれました。

この「母に依存されていると思っていたけど、実は自分が母に依存していた」という報告は数多いわけでして、よくよく考えれば母は子どもを産んで育てるほどの大人であり、ひとりで生活ができるほどの大人なのです。

それを「母の面倒見役」を子どもの頃から担っていた娘側が、その役割が習慣化して現在に至る、という図式を作っていたのですね。

だから母からすれば、娘には甘えても良い、何を言っても良い、何を頼んでも良い、という風に思っていて「まあ、ひとりでもなんとかできるんだけど、お姉ちゃんに甘えたほうが楽だし、お姉ちゃんも言うこと聞いてくれるから」となってしまうのです。

「は?離婚?そんなの勝手にすりゃいいじゃん」と突き放すなんてことはできずに、「なになに?どうしたの?」って話を聞いちゃったりするのだろうと思います。

この「母の母役」というのはいわゆる自分が家族の中で生き残るための戦略であり、家族とつながるための役割であり、家族の中における自分の重要なポジションになるのです。

それがいやだと感じていても、それが自分が家族の一員でいるための役割なわけですからなかなか手放せません。

母に自立してほしい、大人になってほしいと思っているのだけど、そうなったら寂しいし、自分のポジションを失うことになります。

そしたら、家族の中で居場所を失い、「自分なんていなくてもいいじゃん」と感じてしまうから、それはそれでヤバいわけです。

だから、自分の意識とは全く別に、母にいつまでも子どもでいてもらおうと面倒を見続けるんです。

そんな話をされてもいきなりはピンとこないと思いますし、いろいろと反発したくなるかもしれません、

まあ、そこが一方通行のブログの良いところ(?)ですね。笑

そういうわけで、私が気になるのは娘ちゃんとの関係ですし、最重要人物として「夫氏」の存在を挙げることになるんです。

また、母との関係性においては弟妹達の振る舞いが参考になるのですが、それはもう少し先のことになるだろうと思います。

現実的には1人目ですが、心理的には2人目(5人目?)の子育てをされているYさんですが、子育てはどうでしょうか?

どんな風にお子さんに接していらっしゃるでしょうか?

母と接するときと似てる点はありますか?

一見、全然違うよー!と思えても、ん?感情レベルで見たら同じかもしれん!と思うことも見つかる可能性があるんです。

子どもって手がかかるじゃないですか。
そうすると、手をかけることが大義名分になりやすいのです。

例えば、仕事で疲れていても娘ちゃんが「遊んでー、だっこー、高い高いしてー」って言ってきたら頑張って相手してあげるのと、仕事で疲れていても母からの電話に出て頑張って相手してあげるのでは心理的には同じことが起きています。

そして、夫氏に対しては今は問題がなくても将来的には大問題を引き起こす火種が巻き散らかされてる可能性があります。

あくまで可能性ですので、そんな心配するほどのことはないのですが、後々「夫の女性問題」「離婚問題」「ダメンズ問題」「お金問題」「レス問題」等につながるかもしれないので、要チェックですし、最重要人物が夫というのもそういうことです。

傾向としては大きく3つあります。

1つ目は、その面倒見の良さを夫にも発揮してしまい、夫を砂糖漬けにした挙句、せっせとダメンズ教育をされているケース。

完全なるかかあ天下として、両親・弟妹に接してきたような権力を今の家族に対しても発揮するものです。

2つ目は、逆に優しくて温和な夫に甘えまくっていて「娘」になってしまっている場合。
インナーチャイルドは癒されますが、実の娘との競争が起きたり、夫を理想の母にしてしまっているので対等な関係じゃなくなったりするものです。

3つ目は、実家に片足を突っ込んでしまっているケースで、夫のことを結果的に放置してしまっている状態。
「夫」vs「自分+娘+実家」という図式で、夫氏を寂しくしちゃっています。

この3つのうち複数が同時に起こることもあるのですけれどね。

だから、ものすごく大雑把に「まあ、とりあえず夫氏とのセックスを充実させることを最優先することをお勧めするよ」なんて提案をしてしまい、クライアントさまの頭に大きな「?」を作ってしまうこともあるものです。(ひどい)(けど真実なの)

さて、そういうわけで、客観的に自分の状況を見てみると、自分が思ってたんと全然違う景色が広がってるってことがよくあるのですが、Yさんの状況もまたそんな感じかもしれません。

で、とりあえずのゴールは「母との心理的距離を適切なものにする」というところにあるのですが、どうやってそれを実現するかは様々なアプローチが考えられるものです。

思い切りスタンダードなアプローチでいけば「母と向き合って癒着を切る」というプロセスが考えられます。

これはインナーチャイルドを癒しながら、母を母のポジションに戻し、改めて自分が娘としての地位を確立していくことを狙います。

着実ですが、抵抗も強く出てくる可能性があって時間がかかることが想定されます。

二つ目は「パートナーシップはすべてを癒す」という格言に基づいて、夫婦関係をより強固なものにしていくアプローチです。

先ほどのセックスを充実させろ!というのはここに当てはまるんです。

そのために夫婦のヴィジョン、家族のヴィジョンを策定しながら、コミュニケーションをより深めていくことをたくらみます。

今の夫婦関係が良好であればあるほど手っ取り早く、実現しやすいプロセスです。

三つ目はライフワークを実現していくことでして、それだけ自武女として成功されているYさんの魅力や才能をもっと人生に活かしていくプロセスです。

再び大雑把に「まあ、カウンセラーかコーチをやんなよ」と言ってしまうことも多いのですが(うん、根本先生の提案って説明抜きで大雑把なことが多いね!だから、常連様からは「雑~」って言われるんだよね。)、その面倒見の良さや状況判断力、コミュ力、感受性、リーダーシップ、行動力などをより広く社会に還元していく流れをデザインしていきます。

ここでも結局パートナーシップが絡んできて、どのようにそのライフワークに夫氏を絡ませるか?もポイントになります。

これは基本的に楽しくて面白いものですし、早く問題が解決するんですけど、今までよりも世界が広がったり、チャレンジが必要だったりするので抵抗が出てくることもあります。

このあたりのどれをどういう割合で取り組んでいくかはそれこそYさんと打ち合わせを経て決めていくものですし、そのあたりを掘り下げていく段階で「案外、大人女子になることが最初の目標になるかな」と別のプロセスを挟むこともありますので、今はどれがお勧めとも言えないのですけれど、とりあえずいろんな手があるよー、だからそんな心配せんでもなんとかなると思っといてー、ということをお伝えしたい次第です。

似たような問題を抱えている方もうちの読者には多いと思いますし、「え?これの独身バージョンや娘がいないバージョン、娘じゃなくて息子バージョンって?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますので、その辺はまた個別にご相談いただくか、ネタを送っていただければ幸いかと思っております。

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