イップスを乗り越えるための心理的なアプローチとは?~感情の問題なので頭で考えてもなかなか難しいものです~



何らかのきっかけで今まで当たり前にできていたことができなくなる現象(イップス)についてのお話です。
また失敗したらどうしよう、という怖れが強く出てきているのですが、それに対処するアプローチを考えてみたいと思います。

こんにちは。
イップスを乗り越える手段をお伺いしたいです。

私は声楽を学んでいるのですが、ここ2.3年ほど、試験やオーディション、授業で歌う際時や、突然声が出なくなってしまいます。自分の意志に反して、声が出なくなります。
音声外来にも行きましたが、喉に異常はなく、大学院受験のために厳しいレッスンを受けたことによる精神的なものと、技術面の問題だと思われます。

ちょうどこの後にあった出来事です!

恋に生きる女なのだから、本気の恋も夢も両方手に入れちゃいましょう。


(余談ですが、その後、そやつと再会、「忘れられなかった」と告白され付き合いましたが、半年で音信不通。根本さんとアフタヌーンティーを楽しみ、お弟子さんも認める素敵な彼と落ち着いた恋愛をしています!笑 )

症状に理解があり安心できる人、安心できる空間ではそのような症状はほとんどなく、のびのび自分らしく歌うことができます。

歌も、演じることも大好きで、感情表現が豊かな方なので、こうしたい!ああしたい!という気持ちは湧き上がってきますが、歌う日が近づくと「ちゃんと声が出るのだろうか」という怖さを感じます。

声が出ない度に、周りの評価や目が気になり、恥ずかしさ、惨めさを感じてしまいます。
どんどん自信もなくなっていきます。

彼氏がいないときは、自分の中に理想の彼氏を召喚し、よしよししてもらいながら、成長を認めながらやってきましたが、それでもつらいのが現状です。

なんとか乗り越えたくて、挑戦は続けています。12月と3月には成功させたい本番があり、少しでも現状を変えたい気持ちです。
向いてないで片付けたくなくて、できることはしたいです。

もしよければ取り上げて下さい!
よろしくお願いします。
(Sさん)

※本来イップスとはスポーツの世界で言われる言葉だそうですが、分かりやすい表現なのでそのまま使わせていただきます!

実はこうしたお話はかねてからちょくちょく伺うことがありまして、芸術系の方はもちろんですが、ビジネスではプレゼン、婚活ではお見合い、研究者の学会発表等々いろいろあります。
まあ、それをイップスと呼んでいいのか分からないのですが。

お察しのように体にはまったく異常がないので「精神的なものですね」という診断が下されるのですが、その精神的なものを克服するのってどうしたらいいの?と思いますよね。

今日は心理面を考慮しながらのテクニカルなお話になると思いますが、お付き合いくださいませ。

まず1つ目はシンプルな方法で、これでクリアできたらめっちゃラッキー!というものです。

>症状に理解があり安心できる人、安心できる空間ではそのような症状はほとんどなく

という状態であれば、あとはいかに「自分の脳やマインドを騙すか?」ということをテーマにしてみます。

つまり、試験官や審査員や教授を「自分を理解して受け入れてくれる人」に見立てることです。

これは想像力・妄想力を駆使して仕立てるのですが、私たちの脳は現実と想像の区別が付かないという大変便利な特徴がありまして、おそらくSさんも想像力はたいへん豊かだと思いますから、目の前の試験官を「彼氏」だと思い込ませることも可能だと思います。

もちろん、普段から練習のときなどに「目の前の彼氏に向けて歌う」というイメージを刷り込ませておく必要がありますし、実際、そういう場面を作って見るのもアリです。

すなわち、試験会場に見立てた場所を準備して、試験官の場所に彼氏や安心できる仲間を座らせてシミュレーションすることも効果的です。

この方法は企業のトップが大事な商品を発表する際などに用いられる方法でもありまして、本番の数日前から何回もこのシミュレーションをすることも珍しくないそうです。

また、似て非なる方法としましてよく提案しているのは「観客の中で自分の味方になってくれる人を見つけて、その人だけに向けて歌う/演奏する」という方法ですが、コンサートならまだしも試験やオーディションではちょっと難しいでしょうか。

二つ目はセラピストとしての王道的な見方になるのですが、その恐怖心と徹底的に向き合って乗り越えることです。

ただ、これは1人でやってはいけません。
必ずセラピスト(カウンセラー)と一緒に行ってください。

私たちには「怖れを怖れる」という心理がありまして、Sさんの場合も「試験の際に恐怖心で声が出なくなる」というのは、「声が出なくなるんじゃないか?という怖れから、声が出なくなる」というのが真実だと思われます。

だとすれば、早い話がイメトレということになるのですが、セラピストの誘導の元、リアルに試験やオーディションなどの会場をイメージし、その怖れと向き合います。

例えば、とある合唱団のソリストの方にできるだけリアルにステージをイメージしてもらい、実際に声を出してもらうようにしました。

その際、恐怖心が湧き上がってくるわけですが、その恐怖心を全部言葉にして吐き出すことをしたんですね。

「怖い、怖い、怖い、怖い、、、」「声が出なかったらどうしよう」「みんなに笑われる」「仲間に迷惑をかける」「次はもうチャンスがない」「恥ずかしい」等々、その場で出てくる感情をまんま吐き出してもらうんです。

言葉にならない感情は体で表現していただきます。

そうして「怖れに慣れる」「怖れから逃げない」という体験をしていくんです。

これも私たちの脳/マインドが「現実と想像の区別が付かない」という特徴を利用した方法でして、結果的にその方は16小節のソロを「80点くらいの出来」で歌うことができたそうです。

このソリストの方はこのセッションを数回受けただけでそこまでできましたけど、たぶんそれは早い方でして、5回、10回と怖れと向き合う体験をしていくと、「怖れを感じることに慣れてしまうので、怖れを自覚しなくなる」という経験ができます。

ただ、繰り返しになりますが、これを一人でやろうとしますとリスクが伴いますので、必ずセラピスト(カウンセラー)と一緒にやってみてください。

三つ目の方法は「2,3年前に何があったの?」ということで、いわゆるトラウマ・セラピーというアプローチです。

何かしらきっかけとなるできごとがあったんじゃないかと思うのですが、思い当たることはありますか?

また、人によってはその2,3年前のできごとが、さらにその過去のできごとに結び付いてトラウマが強化されていることがあります。

「数年前にプレゼンで失敗して、そこから恐怖症になってしまったみたいで、人前に出るだけで震えが出るようになっちゃったんです。そこで思い返してみたら、中学生の頃に自分から手を挙げて発表したのに、それが間違えてて、みんなに笑われるし、先生からは怒られたし、しかも、しばらくそのことを周りからイジられるようになった経験を思い出したんです。」

という風に。

そうすると、根っこはその中学生の体験ですから、その思いともう一度向き合い、乗り越えていく経験が必要なのかもしれません。

もちろん、そうした過去に似た経験をしてない場合は2,3年前のできごとと向き合えばいいのですが。

もちろんこれもやはりセラピストと一緒に進めるプロセスです。

四つ目の方法はそもそも論に帰するのですが、「声楽に対する思いがあまりに強すぎて完璧主義になってることはない?」という部分です。

よく「本番では練習の半分の力くらいしか出せない」と言われるものです。
だからこそ、練習が大事なんですけれど、芸術家気質の方は常に完璧を自分に求めやすい傾向にあると思うんですね。

「練習で100点取れたから、本番も100点を取らなければ」という思考になりやすいのです。

そうした完璧主義にハマると「楽しむ」「喜ぶ」「面白い」ということよりも「完璧であること」が優先されやすくなります。

本来、好きで、面白くて、楽しくて声楽を志したはずが、いつしか、評価されることが重要になり、完璧さを求めるようになることも少なからずあるのかもしれません。

完璧に表現しようとしたり、完璧な自分を披露しようしたりすると、かえって楽しめなくなりますよね。

「声楽が大好きだったのに、最近はそうでもなくなってきた」なんてことにならないように、完璧主義を手放しておくことは大切な試みだと思います。

五つ目はその続きみたいなものですが「楽しんでる?」というテーマです。

最終的にここにたどり着くのかもしれませんが、歌うことも演じることも大好きな自分が、自分が評価される場所に立つと出なくなっちゃうのは、いわゆる「他人軸」になってしまうからだと思うのですね。

楽しむことよりも、評価の方を気にしちゃうのかもしれません。

「好きなことを楽しむ」のは純粋な自分軸なのですが、そこに「他社からの評価」を気にし出すと途端に他人軸になってしまうものです。

「オーディションには落ちたけど、楽しかったから良かった」と言える境地になれたらイップスも忘れられるでしょう。
(そうそう、イップスのような症状は“治る”というよりも“忘れる”がゴールになると思います。)

もちろん、プロとして活動していく上では「他人からの評価」も重要な要素なのですが、それは自分にはどうしようもない結果であって、ぶっちゃけて言えば「知ったこっちゃねえ」わけです。

それよりも「自分が楽しめたか?面白かったか?」の方が重要だし、「どれくらい自分を出せたか?」の方が価値があると思うのですね。

そうすると評価はあくまでひとつの指標に過ぎず、仮に試験に落ちたとしても、それが自分を否定することにはつながらないのです。

だから、改めて「何がしたいのか?自分は何を求めているのか?」を見つめ直すと同時に、「好きなことを思い切り楽しむ」ということに意識を向けてみるといいでしょう。

さて、この辺までプロセスが進んでくるとけっこう自分に自信が付いてきてるものです。

そうすると「評価される」のではなく「評価させてあげる」という意識になり、また、試験などは「自分がどこまで通じるか?を試す機会」であり、オーディションは「相手の求めてるものに自分が合致するかどうかをチェックする場所」に過ぎなくなります。

つまり、自分軸が確立されてますから結果云々にこだわらなくなるんです。

そうすると声楽家としての「自分」を確立したとも言えるので、まだまだ先の話かもしれませんが、「私はこうです!」というものをただ表現するだけで、それをどう評価しようが人の勝手だ、という意識を持てたら強いですよね。

現代風に言えばアンチや炎上を怖れずにただ自分が好きなこと、面白いことをヤリ続ける、という表現になるでしょうか。

そういう意識をぜひとも目指していただいて、オーディションなどの会場では「あたしはこういう人間なんですよ!」という名刺代わりに歌うイメージを持てたら最高だな、と思うのです。

それくらい自分軸の確立が大事だという話ですね。

もちろんこれは多くの方にそれぞれのテーマで言えることだと思います。

さて、七つ目としては違う角度からのアプローチです。

>お弟子さんも認める素敵な彼と落ち着いた恋愛をしています!笑 )

まあ、うちのお弟子をそんな簡単に信用しちゃっていいわけ??笑というツッコミはさておきまして、パートナーシップがうまく行ってるなら、そこをさらに上げて行くのもトラウマを癒すのに役立つんです。

つまり「この人がいればあたしは何もいらないわ」という愛の泉に溺れるんですな。

これこそ向き不向きがあるんですけれど、「彼氏がいないときは、自分の中に理想の彼氏を召喚し」というほどの恋に生きる女であれば是非とも味わいたい境地だと思うのですな。

つまり、Sさんにとって「彼氏とのラブラブで情熱的でとろけるような夜」の重要度を圧倒的第一位に押し上げちゃうんです。

だから、「パートナーシップはうまく行ってるから、今度は本業の方を頑張ろう」じゃなくて、「パートナーシップがうまく行ってるから、もっとパートナーシップで幸せを感じよう」という戦略です。

この場合、本業に対する熱意が失われる危険性もありますが、そこは「歌も、演じることも大好きで、感情表現が豊か」というSさんであれば心配ないと思います。

そしたら、歌を歌うことへのハードルはぐーんと下がるのは想像に難くないと思います。

よくライフワークをデザインする際に、パートナーシップを軸にすることは情熱系武闘派女子のみなさま相手にはあることなんですけど、よりパートナーとの関係にエネルギーをぶちこむことが、仕事やその他人間関係に非常に良好な影響を与えることはよくご存知かと思います。

そしたら、試験やオーディションを受けるのも彼氏を喜ばせることになりますから、より楽しめるようになるのです。

だから、より深い信頼と絆を作るために今の彼氏との関係に没頭してみるのもアリだと思うわけです。

ということでイップスのような状態になると「怖れ」という感情がキーになって、「思考」がぐるぐると動き出し、「意志」で自分をコントロールしようとするのでうまくいかなくなるんですよね。

となれば、「怖れと向き合う」「思考よりも感情に意識を向ける」「自分軸を確立する」というアプローチを重ねていくことで、イップス状態にあることを忘れることができると思います。

2か月、5か月後に大切な本番が控えるということで、焦ってしまうかもしれませんが、今日ご提案したアプローチが奏功することを願っております。

※そんなこと言ったって根本さんの予約なんてなかなか取れないじゃない!という苦情をよく頂きますが、「え?そんな人気ないっすよ?」とお伝えしたいのが一点、そして、「まあ、お弟子で我慢するしかないのか?」と思われた場合は、うちのお弟子は当然ながら師匠のサポートを受けられるし、案外腕のいい奴も多いので安心して使っていただいて良いかと思います。

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